Betrayal Squadron   作:胡金音

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前回の後書きで15話は軍部サイドの話だと言ったな?・・・あれは嘘だ。


十五話 大義と軍規

 ここは夏島、トラック泊地本部。那智は数ヶ月前から決まっていた実弾演習に出ようとしていたところを呼び戻され、詳しい説明もそこそこに出撃命令を下した直属の上官である富山の肩を掴んで振り向かせた。

「提督!これはどういう事だ!?」

那智は富山から受け取ったばかりの指令書を彼の目前に突きつける。

「指令書の通りだ。敵性艦隊を無力化せよ、準備が整ったら執務室に来なさい」

富山は那智の行動を咎める事も無く彼女の手を払うとその場を後にしようとした。が、那智に制服の袖をガッチリ掴まれて引き戻された。

「その敵性艦隊が友軍基地にいると言うのはどういう事だと聞いているのだ!」

「・・・春島に拠点を置く55号両基地は今や敵勢力下にある。数日以内にそれらを沈黙させよ」

 それだけ言って富山は一旦その場を去ろうとするが、直ぐに富山の行く手に回り込んでいた別の艦娘に噛み付かんばかりの勢いで詰め寄られた。

「馬鹿を言わないで下さい!泊地内を占拠されるような戦闘に私達が気付かないとでも?それとも春島の提督は敵に基地を明け渡したとでも言うつもり?大体、その敵って一体どこの誰よ!?」

同じく富山直属の艦娘、足柄に退路を塞がれていた。

 「あの、提督さん・・・。向こうの艦娘さん達は・・・どうなったんですか?」

答えかねている富山に遠慮しつつも尋ねる事はしっかりと尋ねる声の主は羽黒。その後ろには張り詰めた表情でその様子を見守る妙高の姿もあり、富山直属の艦娘4人が一堂に会していた。

「・・・分かった、先に話してやるからとにかく場所を移そう」

富山は4人を見渡すと諦めた様子で首を振ると4人を連れて長い廊下を自身の執務室へと戻って行った。

 

 

 「・・・今朝方、55号艦隊は離反し所属基地を占拠した」

泊地長と言う役職もあり一般的な艦娘提督のそれよりもかなり広めに造られた執務室に戻った富山は、部屋の中央窓寄りに設けられた仕事机の席に着くとようやく重い口を開いた。

「ちょっと!離反って一体どう言う事!?規律違反どころの騒ぎじゃないじゃない!」

机を囲む様に並んだ4人のうちの1人、足柄が気色ばんで机を掌で叩く。

「それについても説明願おう」

腕を組んだまま那智もそれに加勢する。

「2人共、今は提督の話を聞きましょう」

丁寧で落ち着いた声の妙高に有無を言わせない口調で窘められて2人は言葉を噤む。富山は目線を上げ彼女が続きを促すのを見ると話を続けた。

 「離反の理由については今のところ向こうの艦隊からの表明はない。が55号基地司令より本日2000以降、当泊地内を航行する船は攻撃するとの声明を受け民間連絡船の運航取り止めも決定した。すでに離反に加担する気の無い守備隊がこちらの傘下に下り始めている。そして本来なら金沢准将を風紀違反で連行するはずだった憲兵が本国に報告書を送った。その返答が先ほど大都大将より届いたその指令書だ、我々に離反制圧の命が下った。本国にしては随分早い対応だな。それにしても・・・お前達に味方の艦娘を沈めろと命令する日が来るとはな」

一気に話し終えると富山は大きな溜息をついた。

 「では・・・」

終始聞き手に徹していた妙高がゆっくりと口を開いた。

「この指令書は提督にとって不服な物ですね?」

富山の頬が少し動いた。気の乗らない指示を下す時は溜息交じりに話す富山の癖を彼の秘書艦になって久しい妙高は知っている。

「彼らを説得する事が叶えばこの指令書にある敵性艦隊の無力化は達成されるのでは無いですか?」

返答を待たずに妙高は話を続けた。

「・・・そうだな」

前者後者、どちらにとも言えない答え方で富山は返答する。

 「だが、こちらからの電文に返答は一切無い。55号大隊は交渉する気は無い様だがどう交渉に向かう気だ?」

「一つ考えがあります。作戦案を纏めて来ますので、私に任せてはいただけないでしょうか?」

「作戦を見てからだ」

富山は即答した。

「はい、承――」

「それから」

妙高は富山の発言に遮られて言葉を飲み込む。

 「もう使いこなせるなら改良型艤装を使う事を考慮に入れても構わん。本来は前線への出撃用に配備されたものだがその指令書があれば訓練以外でも使える筈だ。ただし、作戦考案は仕上がり次第直ぐに持ってくるように」

「・・・・・・」

「どうした?」

「いえ、承知致しました」

きょとんとして固まった妙高は微笑んで答えた。

「それでは作戦準備に取り掛からせていただきますので失礼します。・・・貴女達も行きますよ」

妙高に連れられて不満や不安を顔に浮かべる4人が執務室を出て行く。

「やれやれ、参ったな」

戸が閉まった後、首を振って呟いた富山の顔には苦笑いが浮かんでいた。

 

 

 富山の執務室を後にした妙高は3人を連れて先ほど通った廊下の来た道を戻っていた。

「姉上、説得なんて言ってどうするつもりだ?」

妙高は那智の声に立ち止まって振り返る。

「貴女も友軍に砲を向けたい訳ではないでしょう?大丈夫、ちゃんと考えていますよ」

「だからと言ってだな・・・。姉上が何も考えていないと思ってはいないが・・・」

そう言って那智は言い足りなそうに妙高の顔を覗き込んだ。

 「ところで・・・空母艦娘の方々はどのように艦載機を飛ばすかをご存知ですか?」

「知らないわよ!!」

妙高がそんな事を3人に尋ねるので見えない展開に耐えかねた足柄が声を張り上げた。

「姉さん、今その話必要?」

「・・・えっと、専用の弓艤装で発艦して艦載機から内部艤装に送られてくる位置座標と目視を元に操縦、着艦させる、でしたよね?」

妙高の質問に羽黒は律儀に答える。。

「操縦の方法が私達の水上機とは違うからどんな感覚なのかは分かりませんけど・・・」

勢い余って妙高に掴み掛かろうとしていた足柄が少し不満そうな視線を向けて羽黒はそう付け足した。

「羽黒の言った通りです」

掌を向けて足柄を宥めながら妙高は頷いて言った。

「空母艦娘が夜間戦闘に参加しないのは夜間、艦載機を視認しにくくなりたとえ歴戦の艦娘でも操縦と着艦が格段に難しくなるからだそうです。そして55号艦隊の主力は旧一航戦を始め空母艦娘の方々・・・」

「夜の間なら近付きやすくなると言うのだな」

続きを察した那智が話を引き継ぐ。

 「だからってあの基地には青葉や古鷹みたいな重巡もいるじゃない。それに駆逐艦達はどうするのよ」

「とりあえず続きは作戦会議室で話しましょう。その後で提督にお願いしなければいけない事もあります。・・・これから忙しくなりますよ」

足柄の話しにもしっかり頷いた妙高は付いて来る様に3人を促して再び歩き出した。

 

 

 そして4人は泊地本部のある部屋に向かった。部屋の中央には3人掛けの長机が4台、内側に空間がある長方形になるように並べられている。部屋の大きさは特別広くは無いが机の外周を人が通るのに困らない程度に椅子の背もたれと壁の距離が確保出来ている。廊下と反対方向の壁には建物の中庭に面した縦長の格子窓が3つ設けられており、建物の影が短く出来ていた。電灯を点けなくとも十分に明るい部屋で、まず4人は窓を開けた。部屋に篭っていた熱気が抜けていく間、4人は机を動かして机に囲まれていた空間を無くしにかかる。“ロ”の形に並んでいた机を“エ”の形に並ばせると、妙高は部屋に来る途中、資料室から持ち出したトラック諸島近海の海図を全員が見えるように机の中央に広げた。

 「さて、さっき話したから分かると思いますが・・・今夜にでも夜襲をかけようと思います」

妙高はそれぞれが海図を見やすい位置に移動し終えてから口を開いた。

「話し合うんじゃなかったの?」

「言葉の綾ですよ」

足柄の指摘に妙高は軽く微笑んだ。

 「まず私達が離反の武力制圧に向かったと見せる為の船団を用意します。本部の陸戦隊が持つ揚陸艇や52号基地の艦娘に協力を仰ぎますが・・・これは泊地長である提督に準備していただきましょう。私達の中からも2人参加してもらいますが、あくまで気を引く為です」

「残りの2人はどうするんですか?」

「春島を東西から大きく迂回して北側海岸から上陸、基地に侵入し55号艦隊の金沢少将と直接交渉を目指します」

妙高は海図を指で示しながら考えた計画を説明を続ける。

「そんなに簡単に事が進むとは思えないが・・・。何故、今夜なんだ?船団になる程の船舶や艦娘を動員するには時間に余裕が無いだろう?」

「そうです。対話で解決するには時間に余裕はありません」

「無理に対話に向かわなくても良いんじゃない?こんな泊地で離反したって配給が来る訳無いんだしひと月もせずに食料不足で挫折するわよ」

「・・・平時だったらそうですね。でも今の55号基地にはフ島攻略作戦時の支給品が余っているはずです。それに今、ひと月どころか半月でも泊地の情勢が不安定になることは軍にとって大きな痛手となるはずです」

妙高は少し表情を曇らせて言った。

 「あっ・・・!」

羽黒が声を上げて3人の注目を集める。

「前線に補給が届かない・・・」

その後の羽黒の呟きに那智と足柄が示し合わせた様に顔を見合わせる。

「そうです」

妙高は羽黒の発言を補足し始める。

「深海棲艦どころか他国とも交戦中の今、数日経っても離反が続くのなら本国は前線に送る部隊をこちらに回してでも制圧に向かうでしょう」

「では、何が目的でこんな時に離反をしたんだ?たとえ平時であっても首謀者は極刑を免れないだろう?」

那智は難しい顔で首を傾げた。

「ええ、ですからその理由を尋ねに参りましょう」

妙高は3人の不安を拭い去る様に力強く言った。

 

 

 

 廊下の時計は日付が変って間もない事を示していた。明るくなるまでまだ数時間あるという時間もさる事ながら、55号大隊基地は宿直の職員や大勢いた陸戦隊の面々が居なくなり静まり返っていた。節電の為に真っ暗な廊下の静寂に2人分の足音が響いている。灯りは頼りなく足元を照らす手持ちライトだけと言う状況にも関わらず慌しく走る大端は斜め後ろを付いて来る陸戦隊員に訊ねた。

 「状況は?」

「はい、本日00:10当直の監視手が哨戒の電探に艦娘を含む船団の反応を確認しました」

「電探の誤認という事は?」

大端はライトを手に歩調を緩める事無く慎重に状況の確認を続けた。

「見張りが目視でも確認しており間違いという事は無いと思われます。戦力は陸戦隊揚陸艇4隻、艦娘は偽装の形から重巡級2隻駆逐級6隻と報告を受けております」

 「そう・・・随分早い対応ね。分かった、陸戦隊の小隊長クラスと目撃した見張りを講堂に集めておいて。加賀を起こしたら鳳翔と一緒に私も向かうから。それから島の地図を用意して」

「地図?海図では無くですか?」

「そうよ」

そう答えると大端はライトを陸戦隊員に返した。

「・・・承知しました」

大端は小さく手を振って応えると暗闇を艦娘寮に向かう通り慣れた通路に曲がって陸戦隊員と別れた。

 

 

 

 「ん・・・大端提督?」

寮の自室で仮眠を取っていた加賀は肩を揺さぶられて目を覚ました。

「・・・基地司令はどうしたの?」

「それどころじゃないわ」

上体を起こして目を擦る加賀に大端はやきもきして言った。

「では・・・?」

「軍が動き出したみたい。直ぐに講堂まで来て頂戴」

大端の話に加賀の眠気は一気に吹き飛んだ。

 最低限の身支度で自室を後にした加賀は大端に連れられて合流した鳳翔と共に深夜の暗い廊下を灯りの燈る講堂に向かっていた。

「こんなに直ぐ軍が動くだなんて・・・」

「やっぱり私達は目を付けられていたのかも知れないわね」

鳳翔の呟きに大端は自嘲気味に付け足した。

 「それでは・・・私は直ぐに睦月さん達を起こして泊地から逃げる準備を・・・!」

「鳳翔さん、落ち着いて下さい・・・もし目を付けられていたのなら今、海上に出るのはむしろ危険です」

冷静な加賀の声に大端は頷いて言った。

「それに見張りの目が確かなら鳳翔さんの手も必要よ」

「・・・何か策はあるの?」

「ええ。これでも提督だもの」

講堂の入り口に到着すると大端は扉に手を掛けて振り返る。

「さあ、こうなったら徹底的に。軍部に一泡吹かせてやりましょう」

そう言って不敵な表情を浮かべた大端は講堂の戸を開いた。

 

 

 「3人、か・・・」

講堂に集まった陸戦隊小隊長の顔触れを見て大端は少し肩を落とした。

「はっ、総勢18名が残りました」

「そう、残ってくれたのはどこの小隊?」

気を取り直して大端は最初に報告に来た隊員、改め小隊長に尋ねる。

「いえ、各小隊から数名づつ基地警備に残留していましたので・・・」

「陸戦要員は寄せ集め状態なのね?」

「はい」

「まあ、これだけ残ったのなら上出来か・・・」

 「あの・・・金沢基地司令はどうなされたのですか?」

制圧に来た艦隊目撃した隊員が事情を知らずに尋ねる。

「司令は、憲兵を追い返した際に被弾して療養中よ」

大端は被弾させた本人を背に答える。

「では指揮は中佐が?」

同じく詳しくは事情を知らない、報告に来たのとは別の隊長が訊ねた。

「ええ。・・・皆よく聞いて、時間が無いわ」

用意された島の地図を広げると大端は戸惑いを見せる小隊長達を纏め上げようと低くした。

 「早速、本部から離反制圧の部隊が送られて来たみたいね」

話を切り出すと大端は見張りの隊員を視線で促した。

「はい、現在泊地本部のものと思われる艦隊は当春島南方に停泊中です」

そして改めてこの基地に向かっている艦隊について報告をさせた大端は温めていた作戦を伝え始める。

「おそらくこちらの出方を見ているのでしょうね。鳳翔さんは青葉、古鷹、加古を連れて海岸沿いに展開し彼らの上陸に備えて下さい。加賀さんは千歳、千代田と基地の周囲を哨戒してもらいます」

「それは・・・目視で、と言う事?」

「まさか」

加賀の質問に大端は首を振る。

「艦載機を使って上空からよ。もし戦闘になったら鳳翔さんも夜偵代わりに艦載機を使って良いわ」

「・・・」

当たり前の様に言い切った大端と対象的に加賀と鳳翔は開いた口が塞がらない。

 「中佐」

2人の言葉を代弁した訳では無かったが隊長が口を挟んだ。

「夜間に空母艦娘の艦載機は飛ばせなかったのではありませんでしたか?」

「ええ、私は艦娘じゃないから知らないけど暗闇で艦載機を捕まえるなんて正気じゃないでしょうね」

澄ました顔で大端は答える。

「でしたらこの作戦には無理が・・・」

隊長は白い制服から伸びる手に遮られて話を止めた。掌の向こうで、どこか楽しそうな大端が口を開いた。

「そこで貴方達、陸戦隊には―――」

陸戦隊員4人と艦娘2人に不信の目を向けられながら、大端は加賀達の配置と陸戦隊員の任務を伝えた。

 

 

 

 お世辞にも広いとは言えないガス灯が天井の中央にぶら下がった長方形の部屋で、兵隊が立ったまま無骨な金属製のコップに注いだ飲料水を一気に飲んでいた。部屋の四方には大小の窓が1ヵ所づつ、1番小さい窓には内外両方にカウンターの様な張り出しが設けられている。そしてあまり目立たない特徴ではあるが長方形の長い方の壁に2つの扉が対になるように儲けられていた。窓の外は真っ暗ではあるが、軍基地とその他の境目を示しているだけの低い背の木材で出来た簡単な柵が延びているのが開いた窓からの光で分かる。閉められた門の番兵詰所では2人の兵隊が任務に就いていた。

 兵隊は空になったコップを部屋の中央にあるテーブルに置いて椅子に座ると向かいに座る兵隊、彼のそれよりも一つ線の多い階級章を付けた兵隊に声を掛けた。

「先輩、隣の基地が離反して立て篭もっていると聞きましたがうちの基地からは何もしなくてよろしいのですか?」

「そんなのは上が決める事だ」

尋ねられた兵隊は退屈そうにカードをきりながら答えた。

「何も言ってこないところから察するに取り戻した後の事を考えて航空攻撃は避けているんだろ。あの基地は最新機器の塊みたいなところがあるからな・・・隣が離反したなんて冗談言ってないで一戦やろうぜ」

 カードをきっていた階級の高い方の兵隊は返事も待たずに配り始めた。

「冗談なんて言っていませんよ。・・・またですか?さっき負けて夜間の門番する破目になったの忘れたんですか?」

配られたカードを手に取りながらも呆れた様子で階級の低い方の兵隊は言った。

「だからこそだろう。お前だって負けたからここにいる訳なんだから少しでも練習をだな・・・」

「練習は結構ですが、そもそも夜間任務を賭けなければ良いのでは?俺はあの時、先輩に強引に呼びかけられて居なければ今頃寮で寝ています。・・・ところで」

そう言って天井を仰いだ兵隊の視界の端で、遠く窓越しに車両のライトが近付いていた。

 「こんな時間に来客の予定なんてありましたっけ?」

「ある訳無いだろ。もう直ぐ夜中の1時だぞ」

立ち上がって窓から様子を窺う兵隊を他所にカードを配り終えた階級の高い方の兵隊が自分のカードを捲って顔を顰める。

「しかしあの軍用トラック、こっちに向かって来てるんですが・・・」

近付いてくる車両の正体が分かる距離になってようやく階級の高い方の兵隊も立ち上がって窓辺に向かった。

「んんー?離反の件で何かあったのかー?」

相変わらず冗談だと思っている様な調子で階級の高い方の兵隊は呟きながら外の様子を窺った。

「ですから冗談では無いですって。基地司令が通信室で話しているのを・・・」

言い返す途中、階級の低い方の兵隊は口を噤んだ。

 トラックはかなり近付いていたが閉ざされた門の前で止まる気配は無い。むしろ排気音が一段と高くなっていた。

「おいおい、度胸試しじゃあるまいし・・・」

危機感の無い呟きを零す兵隊の隣で階級が低い方の番兵がある可能性に気付いて顔色を変えた。

「まさか・・・」

「おい、止まれ!何事だ!!」

どう考えても止まれない距離になって階級の高い方の兵隊はようやく焦りを見せた。しかしトラックは直ぐに詰所から運転する“陸戦隊員”の姿が見える程の距離まで差し迫る。盛大な打撃音と共に門を構成する金属がねじ切れて2人の番兵の横を疾走する鉄の塊が走り去っていった。遅れて何かの金具が地面で転がる音とひしゃげた鉄格子の門が発てる情けない音が重なり合う。

 55号艦隊離反2日目、陸上からの攻撃を全く想定せずに建てられていた54号基地の春島第一飛行場はあっさりと“敵”の侵入を許していた。それは同じような造りの春島第二飛行場も同様だった。前線から程遠い深夜の両飛行場は見事に混乱し、54基地が受けた襲撃が泊地本部に伝わるのは数時間後の事だった。

 

 

>>>To be contemew【16話 使者との対話】

 




 主人公ってなんだっけ?ご無沙汰しております。筆者の胡金音です。今回はかなりコンパクトに仕上がっています。(当社比)
 さて、いきなりですがこの作品は結構な頻度で地理系の話が登場していますが距離関係はかなり適当だったりします。特に8話から11話にかけてのフ島(フィリピン辺りにある架空の島)攻略戦で敵軍の背後を突くために2000km以上の海を横断する辺りに、筆者のいい加減な距離感覚が現れています。一応グーグルマップでの現地調査?でここに基地があってここに寮があってとか考えては居ますが、徒歩で10分ぐらいかなと思って出かけたら30分掛かって遅刻する人が書いているので雑です。気になる方もいらっしゃるとは思いますがその辺も目を粒っていただけたらなと思います。(そもそもトラック諸島って環礁内で艦隊戦が出来るほど広いのか・・・?)
 と、いきなり言い訳から始ままりましたがなんとか5/29までに更新できて良かったです。筆者の活動範囲が広がった事もあり更新ペースは遅くなりますが何とか完結までは書き進めますので良かったらお付き合い下さい。次回は2015/8/13の更新を予定しております。
 それでは今回はこの辺で。暑くなってきましたが皆様、お体にはくれぐれもお気をつけて!!

>>>つーべー、こんてぬー。【アト・ガーキー=XVI】
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