万象黙示録を壊す歌   作:秋月玲

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第16話

男が現れたことでオレは激しい頭痛に襲われていた。その隙をついてか、ファラ、レイア、ガリィの3人は壁に叩きつけられている。

 

 

「いいぞ。トドメを刺すんだ!」

 

 

貴族の声にガリィたちが危ないと、動こうとするが体が言うことをきかない。

 

 

「ガリィちゃんたちもここまでね」

 

 

咄嗟に視線だけでもと動かすと、ミカがその爪を高く振りかざし、ガリィたちへとゆっくり降ろそうとしているところだった。

 

 

「本当にそれでいいのか?」

 

 

突如ミカへ話しかけるキャロル。

 

 

「そうやって、言いなりになったまま望まぬ殺傷を繰り返して」

 

 

「何を言うか? ミカが望んでないなどと戯事を」

 

 

キャロルの言葉を遮るように貴族が叫ぶ。

 

 

「望まぬのでないなら、どうして涙を流す? お前も目的を見失ったのなら、もう一度探せばいい。その手助けならわたしたちがしてやる! だから、自分に正直になってみろ!」

 

 

キャロルの言うように、爪を振りかざすミカの目には涙が溢れている。

 

 

「アタシ、もうこんなことしたくないんだゾ。でも、やらないとまた怒られるんだゾ」

 

 

戸惑いを隠せない様子で呟くミカ。ファラがそっとその手を握る。

 

 

「ならば一緒に行きましょう? もうこんなことは止めにして」

 

 

ファラの言葉にミカが頷く。これでこっちはどうにかなりそうだ。

 

 

「私たちの娘を誑かさないでもらいたいわね」

 

 

貴族の婦人だろう。新たに女性が家から出てくる。

 

 

「アタシ嫌なんだゾ。もうやりたくないんだゾ」

 

 

「そう。なら、この子ごとやってしまいなさい」

 

 

婦人は冷たくツキカゲにそう告げる。

 

 

「人数もいることだし、こいつでケリをつける」

 

 

そう言って手を横に伸ばすと、なにもない空間から三叉の矛が現れる。

 

 

「完全聖遺物。ポセイドンの槍、トライデント」

 

 

三叉の矛がツキカゲの体を覆うように広がり、ツキカゲの体は白銀の鎧のようなモノで覆われていた。フルフェイスのマスクからは緑に光る目以外は隠されている。

 

 

「トライデントのファーストローブ。こいつを出したからには終わらせる」

 

 

身構えるだけで伝わるプレッシャーにオレたちは、体がすくむ。

 

 

「これは……」

 

 

ツキカゲがトライデントを呼び出した辺りから、婦人の様子がおかしいことに気付く。頭を抱えて、どこか苦しんでいるようにも見えた。

 

 

「おい、なにをした?」

 

 

貴族がツキカゲに詰め寄るが、ツキカゲも意外だったのか、ただ婦人を見つめていた。

 

 

「なるほど。この時代に私の魂はここにいたか」

 

 

ミカと同じ赤髪だったモノは金色に輝き、雰囲気もどこか別人を思わせるほど鋭く、冷たくなっていた。

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