「それにしてもこの聖遺物は、維持するだけでしんどいな」
わたしがそう呟くのと同時にガングニールがわたしの体から離れ、槍へと戻る。
「維持するほどのフォニックゲインがないと見える。それでどうやって私と戦う?」
体力的にも限界で、フィーネの言うようにわたしには手が残っていない。やはり完全聖遺物を纏うことは難しいのだろう。
「ガングニールが消えても歌は残るか。いったいどこから?」
やけに熱い胸もとに触れると、いつのまに紛れ込んでいたのだろう。わたしの服から聖遺物の欠片と思われるモノが入っていた。
「こいつか」
今度はその欠片に魔力を流し込んでみる。もはやそれしか手はないのだから。
「ほう。それはダウルダブラの欠片か。そんなもので完全聖遺物に勝てると思うてくれるなよ?」
魔力を流し込んで、竪琴になったダウルダブラを奏でて、ファーストローブへと変換し、それを纏う。さっきのガングニールほどの出力は確かにないが、安定しているようにも思える。
「高くつくぞ! わたしの歌!」
胸から湧き上がる歌を歌いながら戦う。すると加速されたように動け、ダウルダブラもどう扱えばいいのかわかるようになった。
「たかがこれしきの歌で!」
フィーネの体を弦で絡めて封じ込める。
「終わりだ!」
弦を弾いて更に締め付ける。所々ネフシュタンの鎧が砕けるのがわかる。
「この好機逃す手はない! 聞けわたしの全てをぶつけてみせる!」
胸から湧き上がる歌を自然と口にする。それがどういった歌か、なんとなくだがわかっている。それでもこの強敵を退けるにはそれしかないとわかって。
「Gatrandis babel ziggurat edenal
Emustolronzen fine el baral zizzl
Gatrandis babel ziggurat edenal
Emustolronzen fine el zizzl」
わたしの歌に辺りが騒めく。わたしを中心にエネルギーが集まるのを感じる。
「その歌は!? 絶唱だと!? どうして錬金術師であるお前がそれを使う! 歌を知らぬ錬金術師が!」
フィーネが叫んでいるが、わたしの耳には入らない。歌と辺りにあるエネルギーで聞こえないのだ。
「ネフシュタンの鎧をここで失うわけには!」
咄嗟だった。歌いながらガングニールを手にしたのは。どうして拾ったのか、自分でも不思議だ。それでもこれが有効な手段だと直感する。
「ガングニールもダインスレイフも対消滅などさせてなるものか! たかが小娘1人の絶唱など!」
次の話がキャロル視点ラスト予定です。
そろそろこの物語も佳境になってきました。三部はF.I.Sでの話になります。そこでヒロインは誰だと読みたいですか?時系列はヒロインで変わる予定
-
月読調一択に決まってる
-
マリア姉さんに春が訪れてもいいじゃない
-
囚われ中の393
-
デース
-
あえてのフィーネ