万象黙示録を壊す歌   作:秋月玲

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キャロル視点ラスト


第22話

わたしが奏でた歌が確実に、『ガングニール』も『ダインスレイフ』も『ネフシュタン』も『ダウルダブラ』も、そして『わたし』をも砕いたのがわかる。完全聖遺物同士の対消滅とはいかなかったようだが、確かに砕いたのだ。

 

 

「おのれ。絶唱がこれほどとはな」

 

 

体中から血が流れるのを感じる。視界は赤く、呼吸も苦しい。口からも血を吐き出している。

 

 

「長くはもたないか」

 

 

自身の体が限界を迎えていることはわかる。わたしはここまでなのだろう。だけど、もう少しだけ戦う力が欲しい。確かにフィーネはもうボロボロで、奴もこれ以上の戦闘は難しいかもしれない。いや、そうであってもらわないと困るが。それ以上に外で戦う皆が気になっていた。あのツキカゲと言う男はこのフィーネと同等か、それ以上の実力を感じていた。早くわたしが戻らないと。

 

 

「独自で、いや無意識に歌と錬金術を融合させたか。天才と言うやつか。ここで殺すには惜しい存在だが、仕方あるまい」

 

 

まだ動けるようで、折れたダインスレイフを片手にわたしに近寄ってくるフィーネ。

 

 

 

ここまでか。そう諦めかけたときだった。不意に後ろから声が聞こえる。

 

 

「その天才を易々と殺させるわけにはいかないワケダ」

 

 

「その子はあーしたちが引き取らせてもらうわ」

 

 

いつかの2人組がいたのだ。

 

 

「錬金術師風情が忌々しい。しかし、たった2人増えたところで!」

 

 

「2人じゃないとしたらどうする?」

 

 

わたしが後ろを振り返ると、屋敷に溢れんばかりの錬金術師たちがいた。

 

 

「予想外でね。彼女がここまでの錬金術師とは。失うわけにはいかないのさ。我々としてもね」

 

 

中でも中心に立ち、ハットを被った男からは強大な力を感じる。

 

 

「パヴァリア光明結社か。今これだけの数を相手にするのは、私とて難しい。ましてや統制局長であるお前や幹部たちまでいたのではな。ここは引いてやる。しかし忘れるな。私は何度でも蘇ると」

 

 

「ご自由に。引き下がるなら我々も興味はない。そう今はね」

 

 

男の言葉を聞くとフィーネはこの場から姿を消した。

 

 

「さて、キャロル・マールス・ディーンハイム。君を我々の仲間に引き入れたい。よい返事を期待する」

 

 

幹部と呼ばれていた1人だろう。前回はいなかった女性が話しかけてくる。

 

 

「わたしにはまだやらなければならないことがある」

 

 

連中の言葉を無視するようにわたしは、体をゆっくりと外へ向かわせる。まだ皆が戦っているのだから。

 

 

連中は追ってくるわけでもなく、ただわたしの行動を見つめていた。不思議に思ったが、今はそれどころじゃないと急ぐ。外に出たわたしの目に飛び込んできたのは、大地に横たわる4人とツキカゲに追い詰められていたヒカルの姿だった。





そろそろこの物語も佳境になってきました。三部はF.I.Sでの話になります。そこでヒロインは誰だと読みたいですか?時系列はヒロインで変わる予定

  • 月読調一択に決まってる
  • マリア姉さんに春が訪れてもいいじゃない
  • 囚われ中の393
  • デース
  • あえてのフィーネ
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