ガリィから流れる血の量は尋常じゃなかった。元々ガリィは怪我をしたら血が止まらないからのもあるだろう。
「そんな深刻そうな顔しないでくださいよー。これでもガリィちゃんたち満足しているんですよ?」
こんな状態でも確かにガリィたちは笑顔だ。しかし、どうして満足なのかオレにはわからない。
「全く。相変わらず鈍いですねー。ガリィたちは少しの間でも自由になれたんです。あなたたちのおかげで。それだけで満足したらいけませんか?」
自分の意思で行動することが許されなかった。だから自由に動けたことに満足か。
「でもその結果、こんなことに」
「それでもですよ。あの街にいた頃なんて、生きてる実感ありませんでしたし」
その言葉を最後にガリィの動きが止まる。その意味を理解したオレは自らを許せない気持ちでいっぱいだった。だからあれだけ躊躇っていたのに簡単に行動出来てしまう。
「来い! バイデント!」
左手に二又の槍が現れる。今度はこれに魔力を流す。
「バイデントのファーストローブ」
全身真っ黒の鎧を身に纏う。ツキカゲと同じくフルフェイスだ。目だけは赤く光っているのがわかる。
「ようやくその気になったか」
白銀の鎧のツキカゲと漆黒の鎧のオレが向き合う。
「オレが早くこの力を使っていればガリィたちはこんなことになる必要もなかったのにな」
そう言って槍を持つ手に力が入る。これを使うことにリスクがないわけじゃない。そのリスクが使うことを躊躇わせた。だが、ガリィやファラ、レイアにミカを失うことに比べれば容易いことだったのにな。
「お前はその力を使うことに躊躇はしないのか?」
オレの扱うバイデントは冥王ハデスの槍。ツキカゲの扱うトライデントは海皇ポセイドンの槍。同じくリスクがあると見て間違いないだろう。
「ないな。俺にはこうするしかないからな」
「そうか。どんな理由があるにしろ、この力を使う以上手加減は出来ない。確実に倒させてもらう」
それは向こうも同じなのだろう。これが最後の戦いだと思い、キャロルに視線を向ける。涙を流しながらガリィたちを見つめるその姿に心苦しくなる。
「結局、独りにさせてしまうな」
オレはもうキャロルの側にはいてやれない。そのことが唯一悔やまれる。
「行くぞ!」
オレが走り出すとツキカゲもこちらに向かってくる。お互いの槍がぶつかり合う音が戦いの幕開けとなった。
「さよならだ。キャロル」
そっと呟く言葉はきっと届いていないだろう。オレたちが戦い始めたことに気付いたキャロルがこちらを向いている。
そろそろこの物語も佳境になってきました。三部はF.I.Sでの話になります。そこでヒロインは誰だと読みたいですか?時系列はヒロインで変わる予定
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マリア姉さんに春が訪れてもいいじゃない
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囚われ中の393
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