ツキカゲに向かって跳躍し、殴りつける。それだけでツキカゲは数メートル吹き飛ぶ。ファーストローブを纏っただけでこれだけも力が上がっていることに驚くが、ツキカゲが膝をついた今がチャンスだと一気に襲いかかる。
「このまま押し切る!」
槍を構えて貫く。これはツキカゲも槍で応戦したため防がれるが、ガラ空きになった胴体へ蹴りを繰り出し、再び吹き飛ばす。
「すごい……」
キャロルの呟きと同じく、自分でもそう思っていた。このまま勝てると。
「あまり調子に乗ってくれるな!」
オレが追撃しようとしたところを大きく跳躍してかわすツキカゲ。突然のことで、そのままツキカゲの動きを目で追ってしまっていた。それが、失敗だったとすぐに気づく。
空中で槍を支えに逆上がりをするように回転を始め、数回転後にその勢いを利用してオレに向けて蹴り落としてきたのだ。これに反応することが出来ずに直撃し、オレは大きく吹き飛ばされることになった。
「たった1発でこれだけの威力か。侮っていたつもりはないが」
立ち上がりながら、ふらつく足元を見て呟く。
「でも、このままやられるつもりはない!」
拳や蹴り、槍での攻撃をオレとツキカゲが互いに繰り出し、それぞれぶつかり合う。その度にどちらかが吹き飛んだりしていたが、それでもお互いに譲らず攻撃を繰り返している。
「なにがお前をそこまでつき動かす?」
「負けられない理由がある。それだけだ!」
お互いに一歩も引かず、防御も考えず攻撃を繰り出す。ツキカゲにも負けられない理由があるのだろう。それでもオレも負けるわけにはいかない。キャロルのためにも。
「バイデント、最大出力だ。オレのありったけをくれてやる」
一瞬だけだが、これまで互角だったスピードでオレが上回る。その一瞬を逃すことなく、バイデントをツキカゲに突き刺す。バイデントが貫いたことで油断していたのだろう。オレの胸をトライデントが貫いていた。
「ヒカル!」
自分の体から流れる血を見つめ、悟る。元々このバイデントを使ったときから思っていたことだが。
バイデントを使うリスク。それは、悪夢に悩まされること。打ち負かされれば体を乗っ取られていただろう。オレはキャロル一家にお世話になっている間もずっとそれに悩まされていたが、それはバイデントを所有しているためだった。そして、1度呼び出すと2度と戻すことは出来ない。オレが死ぬまでこのままで、いずれバイデントに意識を奪われて破壊を繰り返す兵器となるだろう。そして、これを手放すとき使用者の存在が食われることだ。
「それだけのリスクを背負っても守りたいヒトがオレにはいる!」
そろそろこの物語も佳境になってきました。三部はF.I.Sでの話になります。そこでヒロインは誰だと読みたいですか?時系列はヒロインで変わる予定
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マリア姉さんに春が訪れてもいいじゃない
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囚われ中の393
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