万象黙示録を壊す歌   作:秋月玲

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第26話

互いの胸に、互いの槍が刺さって膠着している。オレは残酷な選択をするしか残っていない。

 

 

「キャロル! オレごとツキカゲを撃て!」

 

 

オレが生き残るのも問題がある。だからこその発言だ。それがキャロルにとってどれほど辛いものかわかっていながら。

 

 

「なっ! そんなこと出来るわけない!」

 

 

大粒の涙を流しながら叫ぶキャロル。その姿に心が痛む。

 

 

「オレはもうこいつを呼び出したときから戻れないんだ! だから、オレが意識を奪われて破壊兵器となる前に!」

 

 

オレの発言に驚き、返す言葉を失うキャロル。

 

 

「相打ちに持ち込めればよかったんだけどな。ここまでが精一杯だとは」

 

 

「俺にも負けられない理由はある。しかし、ここまでやられるとは思っていなかった」

 

 

互いの槍を引き抜かれないように、支えながら言う。このまま血を流し続けていくのを待つだけなのだとお互い気付いている。

 

 

「オレとの記憶は、オレの死と同時に消える。バイデントはそういう呪いの聖遺物なんだ。だから、オレの思い出を全て焼き尽くして、オレたちを撃ってくれ。頼むキャロル」

 

 

思い出の焼却。錬金術を使う上で必要なことである。ならばオレとの思い出が残っている間に使ってもらうのがいい。

 

 

「オレがオレでいられる間に」

 

 

その言葉で理解してくれたのか、ボロボロになったファーストローブを纏うキャロル。ずっと探していたダウルダブラを見つけたようだ。

 

 

「ありがとうキャロル」

 

 

キャロルは手をこちらに向け、手のひらに四大元素の力を集める。それが放たれたとき、オレの役目は終わるのだ。

 

 

「さよならだ。ヒカル」

 

 

涙を流しながらも、しっかりとこちらを見つめるキャロルの呟いた言葉にオレも頷く。

 

 

 

「キャロル! これからは自分のために生きろ! 自分が本当にしたいことを見つけるんだ!」

 

 

最後にそう叫ぶ。イザークさんの残した言葉に付け足すような感じになってしまったが。オレの本心だ。どこか復讐に囚われている感じがしていたから。

 

 

「さよなら。キャロル」

 

 

4つの光がオレとツキカゲを包み込む。それがオレたちを解放してくれる光のようで、どこか安心していた。

 

 

「最後まであの少女の心配か」

 

 

「そうだな」

 

 

その言葉を最後にオレたちの姿は、消えていくのを感じる。

 

 

 

これでよかったんだと、自分に言い聞かせて。キャロルを独りにしてしまうことは、心苦しいが。それでもキャロルなら、オレやイザークさんの言葉を正しく理解してくれると信じて。ヒカル・マールス・ディーンハイムとしての生涯の幕は降りる。







次回、あの人視点


そろそろこの物語も佳境になってきました。三部はF.I.Sでの話になります。そこでヒロインは誰だと読みたいですか?時系列はヒロインで変わる予定

  • 月読調一択に決まってる
  • マリア姉さんに春が訪れてもいいじゃない
  • 囚われ中の393
  • デース
  • あえてのフィーネ
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