万象黙示録を壊す歌   作:秋月玲

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第4話

イザークさんが街に薬を届けて1週間後。オレの心配は想定される最悪の形で訪れた。

 

 

「出てこい!」

 

 

「いるのはわかっているんだ!」

 

 

数人。命を落とした者がいた。お年寄りや子供、違う病気を併用した者たちの中には、この薬で救うことが出来なかった者もいたようだ。

 

 

「お前がその怪しい力で殺したんだろう!」

 

 

「異端な存在め!」

 

 

街の人々がイザークさんの家へと押しかけて、罵声を浴びせている。

 

 

「神さまが起こしてくれた奇跡。それで街の人々は助かったって言うのに!」

 

 

「お前の変な力で殺された者もいるんだ!」

 

 

言いがかり。そう思うが、イザークさんはなにも言い返さない。

 

 

「どうして黙っているの?」

 

 

キャロルも不安そうな顔をしている。この連中に捕まったとき、なにをされるかわかったもんじゃないからだろう。もちろんオレもイザークさんを渡すつもりなどない。

 

 

「仕方のないことなんだよ。きっと話せばわかってくれるさ」

 

 

そうキャロルの頭を撫でながら言うが、そうならないことはオレにもキャロルにもわかっていた。連中は話を聞くつもりすらないことを。

 

 

「駄目ですよ。出て行けば、イザークさんはきっと帰って来れない。そんなのは駄目だ」

 

 

窓から覗けばどれほどの人数で押しかけてきたのか、家の周りは人で埋め尽くされていた。棒や鎌、鍬などの武器となりそうな物を手に。

 

 

「パパはあいつらを助けようとしたのに。どうして? どうしてこんな風に言われないといけないの?」

 

 

キャロルの目には涙が浮かんでいて、今にも泣き出しそうだ。

 

 

「キャロルの言う通りだ」

 

 

オレがそう呟くと同時に、ついに家の扉が破壊される。多くの人が家に雪崩れ込む。

 

 

「イザークを捕らえろ」

 

 

オレは咄嗟に、雪崩れ込む人とイザークさんたちの間に立つ。

 

 

「こいつも怪しい力を使うものか」

 

 

「構うか。一緒に捕らえろ!」

 

 

棒や鎌でオレを攻撃してくる街の人々。とりあえず棒を掴み、1人蹴り飛ばす。奪った棒を振り払い、相手をなぎ払う。

 

 

「今のうちにイザークさんはキャロルを連れて逃げてください!」

 

 

「出来るはずがないよ。君を置いていけるはずがない。ヒカルも大事な家族なんだから」

 

 

イザークさんから帰ってきた言葉に、驚いて動きを止めてしまう。そんな風に思われていたことが意外で、嬉しくて。

 

 

「邪魔だ!」

 

 

オレの動きが止まったのをチャンスと思ったのか、オレは後ろから思いっきり殴られる。床に倒され、数人がかりで取り押さえられた。

 

 

「僕はどうなってもいい。だから、息子と娘離してくれないか?」

 

 

キャロルもイザークさんも、数人がかりで捕らえられていた。

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