1920年代後半 タンヌ・トゥヴァ
首都クズルの地下研究所。そこでは現代の科学さえも凌駕する研究が行われていた。
ドライアイス推進式の次元航行船。最初は誰もが馬鹿らしいと思った。
しかし、ドンドゥク・クーラル書記長の命令により、研究が開始された。
全ては、トゥヴァ文明を存続するためだった。
「書記長、どうして私のような取り柄のない遊牧民を船長に?」
若き船長となったニァーゲルは書記長に直接尋ねた。
「だからこそだよ。ニァーゲル船長」
書記長は樽のような見た目の航行船を見ながら言った。
「君はまさにトゥヴァを象徴したような人間だ。そのような人間にこそ・・・」
「ですが、私には能力は・・・」
「そう心配するな。能力に関しても申し分ない。私が保証しよう」
その数ヶ月後、航行船はついに出発した。
次元の壁を突破した宇宙船はドライアイスの煙を吹き出しながら、次元の海を進んでいった。
その輝く煙を見た他の航行船の乗組員はその華麗さを一生忘れることはなかった。
二十年後、地球のタンヌ・トゥヴァ文明は滅亡した。
存続したのはたった数十年であったが、その文明は壮麗な滅亡を迎えることになった。
「「「タンヌ・・・なんだって?」」」
管理局が設立される前の最高評議会の三人組はそう言った。
ともかく、当時のミッドチルダ政府はトゥヴァ植民隊に援助を提案した。
だが、リーダーのニァーゲルはそれを丁重に断った。
「提案は嬉しいのですが、この無謀な事業に貴方達を巻き込むわけにはいきません。
この仕事は確実に失敗するでしょう。貴方達は貴方達の仕事に集中してください」
この返答を最後に、ドライアイス推進船はとある無人の世界に消えていった。
このニァーゲルの返答が後の次元トゥヴァと管理局の運命を変えるとは誰も思わなかった。
数十年後 ミッドチルダ
「次元タンヌ・・・なんやって?」
八神はやては素っ頓狂な声を上げた。
「次元タンヌ・トゥヴァ。あの管理外世界ですよ」
カリムは淡々と喋っていた。
「ああ、ミッドに比較的近いのに、なぜか管理外世界の?」
「そう、その次元タンヌ・トゥヴァですよ」
「そもそも管理外世界なのに、どうして次元ってついてるんや?」
「知らないんですか?地球のタンヌ・トゥヴァ人民共和国から来た人たちですよ?」
「タンヌ・・・なんやって?」
カリムは溜息をついた。
「本当に知らないんですか?」
「うん、知らん」
「・・・とにかく、管理局からも護衛戦力が欲しいんです」
「危険な世界なんかい?」
「わからないんですよ。向こう側から許可は下りたんですが」
「それで、私の協力が欲しいってことなんやな」
「そうです。多分、はやてさんが地球人だと知ったら、好感情を抱くはずなので」
「確かになあ・・・」
「それでは、二週間後なので頼みますね」
そのころ、最高評議会の一人がトゥヴァの存在を思い出した。
「そういえば、あのタンヌ・トゥヴァとかやらはどうなったのだ?」
「「タンヌ・・・なんだって?」」
「・・・今度、聖王教会がそこに布教に向かうらしい」
「管理外世界だぞ?」
「まあ、次元移動技術を持っている世界を管理外世界にしないのはどうかと思うが」
「とにかく、あの世界がどうなっているのか知るチャンスだ」
「まあ、大して進歩はしてないだろうな」
「結局、元をたどれば管理外世界から来た野蛮な連中だからな」