シンフォギア feat. 奏でる鬼   作:Mak

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初のシンフォギア原作再編物です。

生暖かい目で見守ってください。


プロローグ

「Grandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el baral zizzl」

 

 

2041年 春。

 

壊滅的な被害を受けたライブステージの跡地で、槍を天に掲げ、少女が歌を唄い始める。

 

黄昏の空に、命を燃やし、身を滅ぼすしてでも敵を倒す呪いの歌が響き渡る。

 

 

「いけない奏ッ! 唄ってはダメッ‼」

 

 

仲間である刀を持つ少女が必死に止めるよう呼びかける。

奇しくもその願いは叶ってしまう。 

 

そして、これがこのお話の分水嶺だった。

 

 

「Gatrandis babble zi・・・ガハァッ!」

 

 

歌の二巡目に入ったところで少女は吐血してしまい、歌は途中で途切れ未完唱に終わる。

 

そして歌と共に高められていたエネルギーは離散し夕日に溶けてしまう。

 

その隙を観客である怪物たちは逃さなかった。

 

 

「しまッ! グァッ!!」

 

 

怪物たちは体を槍上に変化させ少女に突進する。

 

怪物たちは彼女の体に触れた途端に炭となって崩れたが、少女の方もステージの壁の方へと吹き飛ばされ、叩きつけられてしまう。

 

槍は崩れ落ち、身に纏っていたオレンジを主体とした戦闘服は光と共に消え、純白だったステージ衣装は煤にまみれ、彼女の吐血で赤く汚れてしまう。

 

 

「ちくしょう……。 すまない……、紛い物のあたしじゃあ……、君を守ることが出来ないみたいだ……」

 

 

少女は語り掛ける。 

激突した壁のすぐ横で胸から血を流し、意識朦朧としている自分より小さな女の子に声を掛ける。

 

 

「せめて……、あたしの命に代えてでも君を助けてあげたかったな……。 あたし、妹がいたんだ……。 生きていくれてたら君と同い年ぐらいかな……。 情けないお姉ちゃんでごめんな……」

 

 

少女は女の子に寄り添い、彼女を抱き寄せる。

既に抗う術を失い、2人が助かる道は完全に閉ざされていた。

 

 

そんな二人に、触れるだけで人を炭へと変える怪物、【ノイズ】が取り囲み、一斉に飛び掛かろうとする。

 

少女はせめてもの抵抗とばかりに、ほんの僅かな時間でも長く女の子が生き長らえるよう抱きしめ、庇うように怪物に背を向ける。

 

柄にもなく神を恨みながら……。 

 

こんな不公平があって良いのかと呪いながら……。 

 

一回ぐらいあたしをエコヒイキしてくれたって良いじゃないかと……。

 

 

『キイィィィィィン……』

 

 

爆発と瓦礫による喧騒の中、金属が共鳴しあう音が辺りを支配する。

 

それと同時に3枚のCDサイズのディスクらしき物が何もないはずの空間から突如現れ、少女たちの一番近くに居たノイズを切り裂く。

 

 

『ピュ~イ ピュ~イ ピィッピィッピィッピィーーッ』

『ゥホァッ ゥホァッ ゥホァッ ゥホァッ』

『ギュイーンン゛ン゛ン゛ン゛』

 

 

そして円盤はそれぞれ3体の獣へと変形し、その小さな体のどこにそんな勇気があるのか、自分よりも遥かに大きいノイズ共へと攻撃を開始する。

まるで少女たちを守るかのように……。

 

 

「……はははッ。 夢でも見ているのかな? それとも神様のお使いか?」

 

「う~ん? どちらかと言うと鬼のおともかな? 大丈夫かお嬢ちゃんたち?」

 

「ッ!」

 

 

自分たち以外誰も居ないはずの戦場に、中年と呼ぶには憚られるほど逞しい体付きの男性が彼女たちの側に佇んでいた。

 

 

「お、おいおっさん! どこから現れたんだッ!?」

 

「……君の方は大丈夫そうだな。 そっちのお嬢ちゃんの方は……早く手当しないと危ないな。……ったく! あのお面ヤロウッ! 鬼使いが荒いんだからなぁ。 呼んだならちゃんと元に返せってのに」

 

「質問に答えろッ! いやそれより、ここは危ないッ! 早く逃げてくれッ!」

 

 

少女の質問を無視し、男は状況を確認するよう少女たちと戦況冷静に分析する。

 

小さな獣たちの方は善戦していたようだったが、尽きることの無いその物量に、徐々だが劣勢に追いやられていた。

 

 

「どうやらあのバケモノを全部倒さないと助かりっこないって感じかな?」

 

「ノイズと戦うつもりなのかッ!? やつらには普通の攻撃は効かないんだぞッ! 頼むからこの子を連れて逃げてくれッ!」

 

「ん~? 鷹たちの攻撃も効いているみたいだし大丈夫じゃないかな? 大丈夫、大丈夫! おじさんに任せなさいって! それに、こういう時の為に、鍛えてますから!」

 

 

男は人懐こそうな笑顔を少女に向け、敬礼のような挨拶を取ると、右腰にぶら下がっていた二つ折りになった何かをホルスターから取り外し、軽く振る。

 

すると二つ折りになったそれは一本の音叉となった。

 

 

『キイィィィィィン……』

 

 

男は音叉を左手の甲に当てると再びあの共鳴音が鳴り響く。

 

そして、それを自分の額へとかざすと男は蒼炎に包まれる。

 

 

「おっさんッ!!」

 

 

突然の発火現象に少女は驚く。

 

だが男は慌てることも声を出すことも無く、ただその炎に身を任せていた。

 

間もなくして炎が消え去るとそこに人はおらず、代わりに異形の者がそこには居た。

 

筋骨隆々の紫の体に紅い(かいな)、顔には歌舞伎役者のような隈取、頭部には2本の大きな銀の角を持つ異形が居た。

 

その姿はまるで……

 

 

「お、鬼ッ!?」

 

 

 

 

 

つづく

 




プロローグでした。

本格的なスタートは次回からです。

もうしばらくお待ちください。
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