自分の目が信じられなかった。
緊急連絡を受けて、一番近いあたしが現場に来てみれば明らかに人じゃあない生物がノイズと戦っていた。
でも、あの姿は間違いない。 見間違えるはずがない!
鬼だ! あの時の鬼なのかは分からないけどそれ以外に考えられなかった。
でもこれはチャンスだと思えた。
あたしは・・・、まだあの時の礼を言えてない。
それに・・・、 あたしには・・・、あたしにはあの力が要るんだッ!
絶対にその力の秘密を暴いてやるッ!
そう心に決めた彼女はサイドスタンドを蹴り上げて戻し、アクセルを全開に開き走り出した。
「なんだこいつら? 結構脆いな」
ソウキはたった一人でノイズを
彼がいつも戦う相手は素手の攻撃で倒されるほどやわな存在ではない。
必ず専用の道具を使わなければ決して倒せない厄介な怪物なのだ。
かといって、素手でも倒すことのできる怪物の親とも違う。
ノイズは彼にとって完全に未知なる相手であった。
本来であれば適度に戦闘を切り上げ、対策を立ててから臨むのが好ましいのだが生憎場所は天下の往来であり、既に視界の届く場所から離脱したとはいえ、逃がした女の子の安全が掛かっている以上、彼に撤退の選択肢はなかった。
幸か不幸か、怪物は一撃で倒せるどころか、敵の体当たりを喰らっても何故か攻撃してきた相手の方が崩れるという始末であり、物量差に関しては問題にならないレベルであった。
もちろん多少の衝撃はあるが、自動車にぶつけられるぐらいの威力で怯む彼らではなかった。
そうこうしている内にノイズは最後の一匹となり、戦いを終わらそうとするのだが、そこで不思議なことが起きる。
「あれ? っこのぉ! ・・・あら? なんだ? 色が変わったと思ったら今度は攻撃が当たらねーぞ?」
先ほどまでは一方的に効いていた攻撃が突如怪物の体をすり抜ける。
何度か攻撃を、パンチ以外にもチョップ、蹴りなども繰り出すのだが攻撃は全く当たらず、まるで霞を斬っているような手応えのなさだった。
(調子に乗りすぎたか? さて、どんな手でくるんだ?)
内心反省しつつも攻撃の手を止め、距離を取って相手の出方を伺う。
次はまだ試してない術を使おうと腰に互い違いに備え付けられた短棒に触れようとしたその時。
怪物は突如攻撃したときの様に崩れ落ちたのだ。
「・・・なんだったんだ?」
それは時間にして数分の出来事であり、あまりにも呆気ない幕開けであった。
「・・・とりあえず、もうこの辺にはいないぽいな。 さて、あの子は無事逃げられ・・『ブォ~~ンッ!』 ・・っお!? アッブナ!?? 何だっ!? 今度は何だ!??」
辺りを確認し、取り逃しがないことを確かめているとバイクがアクセル全開で彼の背後直ぐ近くを通り抜ける。
驚きながらもそのバイクの通った方へ振り向くとそこには、バイクでスライドしながら行うブレーキ方法、通称、金田ブレーキでこっちに方向転換し、ゆっくりと近づいてきたのだ。
「・・・あの時の鬼じゃない? まあいいや。 おいッ! お前も鬼なんだろ? このディスクの持ち主を知らないかッ!?」
同じく
出で立ちは女性にしてはかなりの長身。
オレンジ色のジャケットを羽織り、スキニーデニムが非常によく似合うほど脚が長い女性だった。
顔は残念ながらフルフェイスのヘルメットとミラータイプのシールドのため確認は出来なかったが、乗っているバイクもアドベンチャー系であり、どことなくスポーティで快活、可愛いよりもカッコイイという言葉が似合いそうな印象だった。
だからこそ、さぞ美人で、一度会ったら忘れられなさそうな女性の手に、彼とその関係者のみしか持ちえない物を持っていることに驚きを隠せずにいた。
「それは・・・ディスクアニマル! なんで君が?」
「ッ! やっぱり知っているのかッ!? 教えろッ!? お前たちは何者だッ! どうやったらあたしも鬼になれるんだッ!?」
矢継ぎ早に質問してくる謎の女。
ソウキの中で彼女に対する警戒度が跳ね上がる。
だがしかしこのまま放置する訳にもいかず悩んでいるとここから然程遠くない工場密集地帯から謎の光の柱が立った。
「あれは? そう言えばあの方向はあの子たちが逃げた方向! 君! 済まないが後で話そう! そこで待っててくれ!」
「お、おいッ!? 待てーッ!」
嫌な予感がする。
そんな気持ちを胸にソウキはその強靭な健脚で建物伝いに最短距離で走ってゆく。
それはまるで
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さて、あのバイクの女は何者なのか・・
次回をお楽しみに!