最強の相棒として転生した件   作:麒麟@

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今回はちょっと長めです


19話

 魔王の宴(ワルプルギス)への参加が決まり、シスタとリムルは準備をしていく。

 そしてシスタはシュナのところに訪れる。

 

 

「シュナ、前に言っていたやつできたか?」

「もちろんです。こちらです」

 

 

 出してくれたのは白い軍服に黒い軍服だ。僕とリムルで色違いになっている。

 白が僕で黒がリムルだ。

 

 

「シスタ様お願いがあります」

「?なんだ」

 

 

 その時の真剣な表情をしたシュナにシスタも真面目な対応をする。実際何を言われるのかはわかっていなかった。

 

 

「わたくしもジスターヴの方へ行かせてください」

「!!?シュナそれがどういうことがわかっているのか?」

「もちろんです。新たな手に入れたスキル「解析者」も役に立つはずです」

 

 

 シスタは諦めた。その顔はとてもシスタに説得できる顔ではない。

 

 

「わかった。ただし、必ず生きて帰ってこい」

「はい!」

 

 

 その場でソウエイとハクロウに思念伝達をする。すると二人はすぐにやってきてくれた。

 

 

「お呼びですかな?」

「シュナもジスターヴに行く。だからお前たち二人に護衛を頼みたい」

「承知」

「あ、あれ?反対しないんだな」

「ほっほほ、こう見えてもシュナ様もオーガの姫様。こういうことになるだろうとは予測しておりましたわい」

「頼もしいな。頼んだよ」

 

 

 3人は出て行く。そして少しするとテンペストの結界の前に誰かやってきた。気付いたのは僕とリムル、ディアブロ、テスタロッサ、ウルティマ、カレラだけだった。

 もっともベニマルは気づくことはないだろう。今は軍の編成で頭がいっぱいのはずだ。

 

 すぐに結界の外に行くとそこにいたのは

 

 

「お久しぶりでございます。シスタ様。我が主ギィクリムゾンが城まで来るようにとのことです」

「あー!レイン」

「知り合いか?」

「まぁ、知り合いだな」

 

 

 そこにいたのはギィの城にいたレインというメイドだった。

 

 

「それでどうしたんだ?」

「それは私には計りかねます」

「まぁわかった。それで今回の魔王の宴(ワルプルギス)に連れて行く護衛は一緒でも構わないのか?」

「ええ、構いません」

「それじゃあウルティマ、カレラ行くぞ」

「お、おいシスタ」

「悪いリムル。今ギィと敵対するわけにはいかないんだ。敵対するとこのテンペストは滅ぶ運命を辿るしかないからな」

「はぁ、わかったよ。それじゃあ会場でな」

 

 

 そういいレインは転移門を作る。するとあっという間に辿りつく。

 幻想的のような氷の城に。歩いていき前と同様巨大な二体の悪魔が大きな扉を開く。

 

 

「シスタテンペスト様が到着なされました!」

 

 

 その声に怒りを荒げるものがいた。しかし手で制する。ウルティマとカレラだ。多分だけど魔王と言わなかったのが気に食わなかったんだろう。しかしそんなことレインからすると関係ない。なぜなら今はまだ自分たちが名乗っているだけで他の魔王から認められたわけではないのだ。

 そしてそのレインの声に反応したものがいた。一瞬で目の前にまで飛んできて頬を触る。

 

 

「へぇ、本当に魔王になったのねシスタ」

「ヴェルザード、久しぶり」

 

 

 その気配を感じ取り攻撃を仕掛けるウルティマとカレラ。しかし軍服を掴んで止める。

 

 

「我が君離してくれ」

「シスタ様、離して!」

「待て待て。ヴェルザードに攻撃の素振りはないだろ」

「ふふ、昔より落ち着きが出てるわね。ギィはもう魔王の宴(ワルプルギス)に行ったわ。今回来てもらったのはわたしのため」

「まぁ構わないよ。そっちに間に合うなら。それで要件って?」

「少しだけ付き合ってちょうだい。お茶のね」

 

 

 いつのまに用意されたのか机と椅子が用意されていた。そしてレインが紅茶を持ってきて扉の前に行く。

 その様子は前にも見た感じだ。ウルティマとカレラは背後に控えている。

 

 

「それでなんのよう?」

「ギィが……いえなんでもないわ」

 

 

 あーこれはそういうことか。他の奴らもいるから言えないこととかそういうことだな。

 

 

「まぁいいや。それで今度はいつ出かけるつもりなんだ?」

「そうね近々あなたたちの国には行こうと思っているわ」

「そっか。また来る時は言ってくれ。もてなすよ」

「ええ、期待してるわ」

 

 

 ヴェルザードと話しているとだんだん時間ばかり過ぎて行く。そして時間になる。

 

 

「我が君」

「シスタ様」

「あぁ、わかってる」

 

 

 ウルティマとカレラは後ろから言ってくれる。そしてそれをわかっていたかのようにヴェルザードは動き出す。

 

 

「レイン!」

「は!」

 

 

 そしてレインは転移門を作る。その中を通って行くと大きい扉の前に出た。そしてふと思いつく。

 

 

「ウルティマ、カレラお前たち擬態できるか?」

「どうして?」

「そこには同意だ。なぜ擬態などする必要があるのだ」

「まぁまぁ、する必要がないといえばないんだけどお前ら今までにこっちに出てきたことあっただろ」

「うん」

「もちろんだ」

「その時のことで恨みを買うのはめんどくさいからな。頼む」

「はーい。シスタ様の頼みだもん」

「やれやれ断る理由はないな」

「あと魔素もこんな感じで揺らしておいてくれよ」

 

 

 自分で手本を見せてみる。すると二人はすぐに擬態をして魔素のコントロールを乱した。

 流石にこんなに早くされるとは思っても見なかったのでショックであるがそれを顔に出してはいけない。

 

 

「これでいいのー?」

「我もできたぞ」

「あ、ああ完璧だ」

 

 

 一応リムルにも思念伝達をしておく。リムルはともかくシオンとヴェルドラは口を滑られそうだからな。

 

 扉を開けようとすると開ける前に扉が開いた。その扉を開けたのはミザリーだった。

 

 

「ありゃミザリー久しぶり」

「シスタ様お久しぶりでございます」

「それでなんで気づいたの?」

「以前戦った際に魔素の流れを覚えております。巨大になって妨害もありましたがなんとかわかりました」

「はぁ……ミザリーも大概化け物なんだよな」

 

 

 そういいミザリーの後について行く。部屋に入るとすでに3人もうきていた。そして一番奥にはギィ、その両隣は空いており、さらにその左側には巨大な男が座っている。さらにその隣にもハリウッドにいそうなくらいの男が座っていた。

 しかしこの一番左の男の従者のメイドさん。こっちの方が強そうなオーラをしている。もちろん座っている奴も強いオーラを纏っているんだけど。

 その直後にリムルたちがやってきた。すると皮切りのように次々とやってくる。

 金髪の人間らしき風貌こいつがレオンだとすぐにわかった。

 

 

「おい、シズさんから一発殴ってくれって頼まれてんだ。殴らせろ」

 

 

 リムルがそういう。僕自身も思っていたがそれをここでいうつもりはなかった。

 

 

「断る。だが城に招いてやるからそこでやるといい。罠だと思うなら来なくていいぞ」

「わかったよ。招待状でも出してくれ」

 

 

 リムルはそういいレオンの顔に少しだけ笑みが浮かんだ気がした。そしてだんだんと席に座って行く。そして最後にやってきたのは背中に羽の生えた女の人だった。その背後には同じく背中に羽の生えてマスクをした奴が控えながらは入ってきていた。

 

 そしていよいよ

 

 

「さっさと歩け!このグズが!」

 

 

 問題のクレイマンが入ってきてミリムを殴った。そしてそれは魔王間にも衝撃が走ったのだった。ミリムは中身が抜けたように何もし返さない。

 

 

「さぁ!今宵は私の発案に応じてくださってありがとうございます。始めましょう。魔王の宴(ワルプルギス)を」

 

 

 クレイマンはそう叫び魔王の宴(ワルプルギス)が始まる。そして長々と話し始める。時間にして30分ほどだったと思うけど聞いているだけで鬱陶しい。

 

 

「あの〜」

「なんだ?」

「魔王たちってそんなくだらないこと話すんですか?なんかもっと言葉より拳だと思っていたんだけど」

「くっ!邪竜の威を借りるスライム如きが生意気な」

 

 

 リムルとクレイマンがそう言い合う。それを聞くシスタは何も言わない。何せ二人の言い合いなのだ。手を出すのもご法度だろう。

 

 

「貴様もだ。低俗なスライムのくせに魔王を名乗るなど言語道断」

「ふーん、それでいい分終わり?」

「それだけではない。ミュウランを殺したのだろう。我が部下を殺したのです。皆様このものたちにわたしから裁きを下しても?」

「構わん」

 

 

 ギィがそう答える。そして結界を張り出した。その中にはリムルとシオン、ヴェルドラ、シスタ、ウルティマ、カレラ、そしてクレイマン、ミリム、クレイマンの従者であろう2匹の獣がいた。

 

 

「お前たちは魔王を名乗るのか?」

「ああ、すでにジュラの森では盟主だし関係ないよ」

「もちろんだ」

「ならクレイマンを倒すといい。ここには見届け人もいることだ。倒せたなら名乗ることを認めよう」

 

 

 ギィがそういう。あくまでもここでは他人のふりをしているのかもしれない。

 

 

「はっはは。そうですかギィよ感謝します。この者たちを殺す機会をくださったことを」

 

 

 クレイマンはそう言い喜ぶ。

 しかしギィにとっては感じていることが違っていた。元々シスタは悪魔公(デーモンロード)であるミザリーと互角に戦ったのだ。それもミザリーには手加減しろと言ってはいたがそれでも勝ったことには変わりない。そしてシスタの後ろに控えるあの従者。気づいているものは少ないかもしれないが間違いなく原初の悪魔だ。それを見てクレイマンがここで生き残ることは不可能だろうと思いながら戦いの決着を見守った。

 

 

「さぁミリムよ。このものたちを全員殺せ!」

 

 

 その声でミリムは動き出す。それを見たリムルとシスタは焦った。いくら進化したとはいえミリムは別格なのだ。勝てると思ってもいない。

 

 

「ヴェルドラ、ミリムの相手をしててくれ。ただし怪我をさせるなよ」

「なるほどこれが兄上の一粒種か。よかろう。少し遊んでやる。くるが良い」

 

 

 するとシスタの気のせいかもしれないがミリムが少し笑った気がする。

 リムルとシオンはクレイマンの相手。そして僕の相手はというと2匹の獣だ。

 

 

「なら僕が」

「我が」

「待て待て僕がやるから二人は待ってて」

《その獣は殺さずに捕まえてください》

 

 

 ルウェルからそんな警告が入ったのだ。訳はわからないがまぁその通りにしようと思い攻撃を見切って行く。これは何をしても勝てると思いめんどくさかったので捕食して終わった。

 後でルウェルから報告を聞くとしてリムルの方を見てみる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてやるか」

 

 

 リムルの言葉と同時にシオンが殴りにかかる。しかしクレイマンも腐っても魔王の一人。懐から人形を出して対抗しようとする。

 

 

「踊り狂え、踊れ人形達(マリオネットダンス)

 

 

 そういい人形が動き出す。しかしシオンは意に介さず、愛刀剛力丸を一閃する。するとその人形たちはうごかくなった。

 

 

「はっはやるな。だが踊れ人形達(マリオネットダンス)は一体一体が上位魔人並みの再生能力を持っているぞ」

 

 

 そう発するクレイマン。しかしその人形達が動くことはない。

 

 

「なぜ動かない?何をした貴様!」

「はぁ教えてやるよ。シオンの持つ刀は魂食い(ソウルイーター)なんだよ」

「なんだと!それでは宝刀ではないか!?」

「知らないよ。俺たちが作ったんだし」

「なるほどこれは剛力丸・改なのですね」

 

 

 あ、あれ?渡した時に言ったよねと思うリムル。だが真面目に考えてはダメなのだ。相手はシオン。ゴブタ同様に話を聞いていないことの方が多い。いや、聞いていてもわかっていないことの方が多いと言った方がいいのかな。

 

 

「小癪な剣もこの私のコレクションに加えてやる。操魔王支配(デモンマリオネット)

 

 

 クレイマンから発せられた黒い光がシオンを包んでいく。しかし誰も慌てない。食らっているシオンですら慌てる様子はないのだ。

 

 

「ククク、喜べ魔王すら支配する究極の呪法だぞ。お前のような魔人に使用するのはもったいないがまぁ良い。下等なスライムどもはどうせ部下頼りなのだろう。所詮はオークロード如きに手こずる雑魚の魔物よ。貴様の主を殺したら貴様を私の配下にしてやろう」

 

 

 長々とクレイマンが話す。リムルは呆れて何もいえなかった。ヒナタを相手にしたらこいつすぐに殺されるだろうと思うほど弱いのだ。魔素量でさてシオンを下回っている。

 

 

「おい、これはどういう攻撃だ?痛くも痒くもないがもう少し待たないと効果を発揮しないのか?」

 

 

 イライラした声でシオンがそう言い放つ。やっぱりシオンにこの攻撃は通用しなかったと思うリムル。

 しかしクレイマンは慌て始める。

 

 

「そんなはずはない。魔王ミリムでさえ操った呪法なのだぞ」

 

 

 その言葉を聞きながらシオンは光により妖気を吹き飛ばした。それを見て本当の意味で慌て出すクレイマン。

 

 

「こいつ魔王を舐めきってますよ。皆さんここは粛清が必要なのでは?これでは殺されてしまったカリオンも浮かばれない」

 

 

 目を血走らせてそう言い放つクレイマン。しかし他の魔王達は何も言わない。

 

 

「おいおい、俺がいつ死んだって?リムルとシスタとは知り合いなんだが」

 

 

 魔王フレイの後ろに控えていた翼を生やしてマスクをしていたものはおもむろにマスクを外す。するとその顔は魔王カリオンだったのだ。

 

 

「なぁ!なぜお前が生きている?は!さては裏切ったなフレイ!」

「あら?いつから私があなたの味方になったのかしら?」

 

 

 そんなことをいうフレイ。それを聞くリムルは改めて思った。女って怖い、と。

 

 

「ふざけるな。もういいミリム。ここにいる奴らを皆殺しにしろ」

 

 

 クレイマンはそう言い放つ。流石にミリムはやばいと感じるリムル。そしてそれはこの光景を見ていたシスタも同様であった。

 

 

「??なぜそんなことをする必要があるのだ?リムルとシスタは友達なのだぞ」

 

 

 何事もなかったかのように言い放つミリム。その言葉を聞き混乱している魔王達。それはリムルとシスタであっても同様だ。

 

 

「それよりもフレイ。あれを持ってきてくれたのだろうな!?」

「はいはい、コレでしょ。それよりあなた全然演技ができてなかったわよ。口元もにやけていたしね」

「仕方ないだろう。あの2人がワタシのために怒ってくれたのだ。嬉しかったのだ。もう少しクレイマンの精神を弱体化させれば黒幕の正体をはかせることができたのだがな」

 

 

 そんなことを言い張るミリム。他の魔王達も呆れたように

 やっぱりな、

 だと思った。

 そりゃそうだよな。

 と心の声が響いたように聞こえた。

 

 そしてそそくさとドラゴナックル手にはめるミリム。

 しかし今の状況に納得しないものが1人。

 

 

「ちょ!ちょっと待てミリム。お前まさかノリノリで俺たちの国を滅ぼしてくれたの?操られてなくて自分の意思で」

「む!そんなことはいいだろうカリオン。クレイマンを追い詰めたのだ。さぁ黒幕を吐かせるぞ」

 

 

 涙目になるカリオン。なぜか少し可哀想だと思ってしまうリムル。騙されたもの同士2人の間に感じるものがあったのだろう。

 状況は既に詰んでいる。あとはクレイマンを始末するだけなのだ。

 

 クレイマンは状況を理解できていなかった。

 

 

「バカな!操魔王支配(デモンマリオネット)が効いていない。なぜ呪法の支配を受けていないのだ」

「うむ!大変だったのだぞ。ワタシは大抵そういう術は弾いてしまうからな。まず全部の結界を解除し、そして意志の力で抵抗(レジスト)を抑え込んだのだ。お前は用心深いからな。そうやってワタシに頑張って呪法をかけたと勘違いさせたのだ」

「なんだと……ワザと?魔王すら支配するそれが操魔王支配なのだぞ」

「そうなのか?だがワタシはそういうのを解除するのも得意なのだ」

 

 

 胸を張って言い張るミリム。その様子を見てため息を吐くフレイ。

 

 

「でも、クレイマンがミリムを殴った時は焦ったわ。

 ミリムの計画が失敗するのはどうでもいいんだけど、私のお家が壊されるのは、ね。

 本当、良く我慢出来たわね」

 

 

 そう言うフレイ。クレイマンのやつ今だけじゃなくて過去にもミリムを殴っていたのか。怖いもの知らずにも限度があると思ったシスタ。

 

 

「うむ、ワタシも我慢できる程度の大人になったのだよ」

 

 

 そういうミリムに対して少し笑いを堪えるリムル。大人は自分で言い張るものじゃないんだよ、と突っ込みたいんだろう。

 

 

「どこがよ。それにしても、一体何が目的だったの?」

「ん? いや何、クレイマンが怪しい会話をしていたのを思い出してな。

 何でも、テンペストの町を人間の敵に仕立て上げて人魔戦争を画策してたようだ。

 そんな事されたら面白くなくなるから、邪魔しようと思ったのだ!」

「へえ、貴女が自分の事以外で動くなんて……」

「わはははは! だから言ったであろう! 大人になったのだ!」

「はいはい。そういう事にしておくわ。

 でも、クレイマン。貴男、弱者や抵抗出来ない者の前では、威張り散らすのね。

 私、貴男に魔王を名乗る資格は無いと思うのよ。

 ミリムが我慢していたから口出しはしなかったけど……少し怒っていたのよ、私も」

 

 

 静かな怒りを結界の外から放つフレイ。それに同調するように

 

 

「そういう事なら、町ごと吹き飛ばされた俺にも、言いたい事があるぜ。

 なあ、クレイマン。取り敢えず、お前は許さん!」

 

 

 ミリムにやられたことを見事クレイマンに責任転換したカリオン。しかし最も怒りを感じているのはリムルとシスタだ。

 

 

「さて、そろそろいいかな?」

「シスタ今回は俺が」

「いーや僕だ」

 

 

 2人の言い合いを見ながらクレイマンは既に終わったと感じていた。ミリムの暴力的な攻撃を見てしまったのだ。そして今この結界の中に仲間はいない。

 クレイマンは心に決めた。せめて何人かは道連れにしてみせると。

 

 刹那、クレイマンの体が光り輝く。そして周囲の魔素をだんだん吸収していく。

 

 

「離れろシオン!」

 

 

 リムルの命令は既に遅かった。しかしそこはウルティマとカレラがシオンを抱き抱えて隣までやってくる。

 

 

「上出来だ。ウルティマ、カレラ」

「うん!」

「容易いことだ」

 

 

 そう言いながらも笑みを浮かべるウルティマとカレラ。そしてこのことはリムルも見ていた。

 

 

「さて、コレで僕がやってもいいよな?」

「仕方ない。今回は譲るよ」

 

 

 そしてシスタはそこからクレイマンの手と足を切り落とす。しかし魔王で「超速再生」持ちだったのですぐに回復する。思考加速を使いシスタは刀を振るう。

 

 

「さてクレイマン。ここで交渉をしよう。黒幕とやらを話したら助けてやらんでもない」

「話す!話すから殺してくれ」

 

 

 クレイマンが味わったのは世にも恐ろしい痛みを感じる斬撃だった。自分の認知できない速度で切られたために痛みを感じているのだ。

 

 

「私の黒幕は呪術王(カースロード)カザリーム様だ。そこのレオンに滅ぼされた魔王だ」

 

 

 他の魔王達もキョトンとしている。そんなやついたっけ?そしてそれはレオンも同様だった。

 いやいや、なんで君が覚えてないのよ。殺したの君でしょ。

 

 

「ああ、そういえばそんな奴がいたな。部下になるなら魔王に紹介してやると言ってきてむかついたら即殺したが。そうか部下にしたかったのか」

 

 

 なんで恐ろしいレオン。美形に関わらず性格は破綻しているようだ。

 

 

「さて、黒幕の正体も聞けたし何か言いたいことはあるか?あ、そうそう。お前復活はできないからな」

「な、なんのことだ?」

 

 

 嘘が下手すぎるだろと思ってしまう。しかしそんなことよりも話して絶望を与える方が大事なのだ。

 

 

「なんのことって?うーんお前の魂全てもらうからかな。それじゃあバイバーイ」

「やめろ!助けてカザリーム様」

 

 

 こうしてクレイマンは僕の中の魂の一つとなった。もっともルウェルに頼んで地獄を見せるように言っているので本人は今頃死ぬよりも辛い思いだろう。

 なにせルウェルはやると言ったらとことんやるのだから。

 

 

「素晴らしい、お前達が魔王を名乗ることを認めよう。異論のある奴はいるか?」

「まぁシスタとリムルはやってくれると思っていたよ。なんならアタシの弟子にしてあげてもいいけど?」

「結構です」

「また別でとってください」

「何よ!なってくれてもいいじゃない」

 

 

 ブーブ文句を垂れる妖精。それに対抗するように

 

 

「ふふん!シスタとリムルはワタシの友達だからな。お前とは仲良くしたくないようだぞ」

「え、ちょっとうそよね?」

「わはははは、お前は仲間はずれだなラミリス」

「なんだと!てーい」

 

 

 ラミリスがドロップキックをミリムに放つがミリムは軽やかにかわす。

 

 

「ワシも賛成だな!」

「俺はどーでもいい」

 

 

 そういうダグデュールとディーノ。

 

 

「俺は誰が魔王になろうと興味はない。勝手にするがいいさ」

 

 

 そう言い放つレオン。相変わらず冷めている奴だ。

 

 

「俺も構わん」

 

 

 そう言い放つロイ。

 さて、残るは二人なのだが。

 そう思い、フレイとカリオンを見やると、フレイが俺の視線を受け止めて此方を値踏みするかの様に見つめ返して来た。

 そして、

 

「いいかしら? 今は宴の最中で丁度良いから、私から提案というよりお願いがあるのだけど?」

 

 そんな事を言い出したのだ。

 

 

「先ず、そこのスライムさんを魔王として認める事に異議は無いわ。

 私の提案したい事は、その事とは無関係。

 ……いいえ、無関係と言う訳でもないわね。

 さっきの戦いを見ていて確信した。私は、魔王としては弱すぎる。

 クレイマンと戦っても、良くて互角。

 空で戦うならば、私が有利でしょうけど……魔王に言い訳は通用しないわね。

 私は、ミリムの配下につく事に決めたわ。

 ミリムも危なっかしいし、放ってもおけない。

 私も魔王としては劣るけど、戦力としてならそこそこだしね。

 どうかしら、この提案受けて貰えない?」

 

 

 しかしそれにはダクデュールが反論した。

 

 

「お主の攻撃性は高速機動による集団戦であろう。そこまで卑下にせんでも良いと思うが」

「もう決めたのよ」

「そうか」

 

 

 それ以上はダグデュールも何も言わなかった。そういいミリムとギィを交互に見るフレイ。ミリムが反論するよりも早くカリオンが言い放った。

 

 

「ちょっと待ってくれ。そういう事なら、俺も言いたい事がある。

 俺も、ミリムとタイマン張って負けた身だ。潔く、軍門に降ろうと思う。

 相手が勇者ならいざ知らず、負けた者がいつまでも魔王を名乗るのは烏滸がましいだろ?

 てな訳で、俺は今日からミリムの配下になる。宜しくな、大将!」

 

 

 もはやミリムの意思など関係なしだ。しかしカリオンの配下に入るのはギィが言い放つ。

 

 

「本当にいいのか?」

「あぁ、構わん」

「チィ、お前もあと数百年すれば覚醒すると踏んでいたのだが」

 

 

 しかしミリムは反論する。

 

 

「ちょっと待て、カリオン! タイマンはクレイマンが悪いのだぞ!

 ワタシは操られておったのだ。知らんぞ、そんな事!」

 

 

 それは無理だろうとその話を聞く魔王達。実際無理であると感じるシスタ。

 

 

「てめえ、知らばっくれるなよ。さっき自分で

『ワタシを支配するのは無理だっただろ』

『ワタシは、そういうのを解除するのも得意なのだ』って言ってやがっただろうが!」

 

 

 カリオンのやつ思ったより声真似が上手い。今度宴会にでも呼んでみようかなと思ってしまったことはシスタの胸の中にしまっておく。

 

 

「むぅ、それはだな」

「そこの筋肉バカはともかく私は加えてくれるわよね?」

「そ、そんなことを言って部下や配下になると気軽に話してくれなくなるだろ。一緒に悪巧みもしてくれなくなるだろ」

「あら?そんなことないわよ。いつでも一緒にいられるからもっと楽しいことができるかもしれないわよ」

 

 

 フレイがそう言い張る。それを聞くシスタは身震いが止まらない。実際はしてなくても。女というのはコレがあるから怖いのだ。

 カリオンはカリオンで

 

 

「大体だな、お前が俺の国を吹き飛ばしたんだろうが!

 お前には、俺達を養う義務があるんだぞ」

 

 

 難しい言葉でミリムを巻こうとしている。見た目に似合わず策士のようだ。

 ミリムは意味が判らなくなってきたようで、目を回す寸前である。

 そしてついに、

 

 

「ええええい!!! 分かったのだ。好きにするが良い!」

 

 

 火山の噴火のように頭から煙を出して、考えるのを止めた。

 流石はミリム。

 賢いようで、考える事は苦手なのだ。

 

 

「ははは。いいだろう! 今日より、フレイとカリオンは魔王では無い。

 ミリムの元で仕えるが良い」

 

 

 ギィが笑いながら宣言する。

 異論のある者は居ないようである。当然、僕にもリムルにも異論は無い。

 

 こうして魔王としての戴冠は正式に承認されたのだった。

 




正式名称何にしましょう。
ちなみに考えてるのは既にあるんですけどかっこいいのとか送ってくれたらそっちにします



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