朝起きて布団から出ると頭が痛いと泣きそうになるシスタ。この世界に来てから病気関連は一切かかったことがないのだ。だからこそ一人でうめいている。
「ううん、布団取らないで」
「ん?だれ?」
隣を見てみると下着姿のマヤがいた。その瞬間に布団を被して何も見てないとの表現。
しかし現実はそう甘くない。部屋の扉が鳴る。
「おはようございますシスタ様。起きていますか?」
「あ、あぁ。起きてるよ」
声の主はテスタだった。何故こんな時に限ってきたのかわからないが今のこの状況を見られるのは流石にまずい。
「失礼しますわ」
「わーわー、ストッープ」
もう入ってきてしまった。もう手遅れだと思う。しかしこれがウルティマとかなら見た途端に殺していたと思う。
「うるさいよ〜」
「あら、あなた殺されたいのかしら?シスタ様のところに忍び込むなんて」
「あ、やばいやつだこれ」
マヤはすぐに服を着て転移して逃げる。昨日みたいに喧嘩をしないところは素直に褒めないといけないかもしれない。もっともこっちが本来の姿で昨日のが異常だっただけかもしれないんだけど。
僕も服に着替えて部屋を出る。テスタはすでに部屋から出ているためそこは気にしなくていいのだがなにぶん頭が痛いのだ。
《だから大変なことになるって言ったのに》
(こっちのことなんて知らなかったんだよ。まさか頭痛が起こるなんて想定外だろ)
《はぁ》
ルウェルにため息つかれた!流石に少しショックだ。そのまま頭痛を隠して部屋を出る。しかし酒もまだ残っていたようでフラフラする。
「およよよよよ」
「シスタ様!?」
「悪いテスタ。なんでもない」
「しかし」
「あー酒が残ってるんだよ。苦手なんだけど」
「それならばお任せを」
そういいテスタは僕の額に手を当ててくる。そして何かを唱えたあと立ってみると頭の中がスッキリする。それどころか体も軽い。
「楽になったよ。何したの?」
「少しだけ解毒の魔法を」
「あーなるほどね。ありがとう助かったよ」
「いえ、お役に立てたなら何よりですわ」
テスタがそのままついてきてまた会議室に向かう。会議室に着くとすでにいろんなメンツがいた。ルミナスはもちろんリムル、ヴェルドラまでいるし、ヒナタとマヤも座っている。僕の席の後ろにはウルティマとカレラもいるし僕が最後みたいだ。
「リムルも二日酔いか?」
「ちょっとだけな。昨日は酔っ払いに絡まれたから」
「ぬ、それは妾のことか?」
「まさか」
そう言いながら目を逸らしヴェルドラの方を見るリムル。リムル自身ルミナスにも飲まされていたのだがここでルミナスを敵に回すぐらいならヴェルドラを売ったほうがましだと思うリムル。最も本当に大事なときはヴェルドラを守るだろうと見守るシスタ。
「それじゃあ今日の議題は西方教会だ」
「それに関してだが妾としてもそなたらに借りを作りたくない。何かないか?」
「それなら僕たちの国との国交を結んでほしい」
「それで良いのか?なら構わんぞ」
「ル、ルミナス様!!」
ヒナタが止めに入る。ここで負けたとわかっていても国としての問題は別なのだ。それがわかっているヒナタだからこそルミナスの意見に待ったをかけたのだ。しかし相手は魔王ルミナス。止まりはしない。
「うるさい!妾が決めたのだ。口出しするでないわ」
ヒナタも押し黙る。ルミナスは元々短気であったがマヤが出て行くことによって今はいつ爆発してもおかしくない爆弾なのだ。それがわかっているヒナタだからこそ言葉を慎重にしなければならない。
「しかし聖教会としては魔物を」
「それをなんとかせい」
「はぁ……」
「まぁまぁ頑張ってねヒナタ」
「マヤ貴様表に出ろ!真っ二つにしてくれる」
「あ、やるの?いいよ」
ヒナタとマヤはお互いに武器を出して出ていこうとする。周りの聖騎士も止めに入るがそんなことで止まる二人ではない。それを見ているヴェルドラは知らんぷり、リムルもやばいとおもっている。
シスタといえばお菓子を食べている。
「シスタ様止めにいかないのですか?」
「ありゃテスタ。止めた方がいいのかな?」
「それは止めた方がいいかと」
「はいはい」
シスタは二人の方を見る。そして
「な、何今の?」
「シースーターまたやったね」
「いやさ、喧嘩するから」
「でもやりすぎだよ。乙女が顔をうったんだよ」
「乙女?」
「そこは悩むところじゃなーい」
マヤが必死に言っているがシスタは相手にしない。戦闘中のマヤの行動には目を見張るものがあるが私生活ではポンコツそのものなのだ。実際のところは見てはいないがそんな感じがするとおもっているシスタ。
「シスタなんか馬鹿にしてるでしょ」
「そ、そんなことないよ」
シスタは女の勘をおそろしく思う。スキルとは違う何か。
そんなシスタを置いてけぼりに会議は進んでいく。
「それなら百年間という条件を設けよう。その後のことはまた考えることにしようぞ」
「それならば」
「民たちの信頼を揺らがせてはならんぞヒナタよ」
「わかっております」
会議は終わりまた宴会の準備を始めて行くリムル。ルミナスもそれに同調する。ヴェルドラは寝そべりお菓子を食べていてシスタはマヤに追いかけられてすぐに逃げたのだ。
それを見てみたウルティマは少し疑問に思ったことがあったのでシスタのことを追いかける。
「ウルティマどうしたの?」
「ちょっとシスタ様が気になったの」
「ならば我も行こう。主人のことが気になるのは同感だ」
悪魔三人衆というよりウルティマが気になったのはシスタのことだ。
ウルティマの力の一つ記憶の抽出だ。それは触れないといけないためシスタに使ったことはないが経験上みただけである程度のことはわかるようになっている。しかし主であるシスタの記憶、魂はあまりにも黒過ぎるのだ。
そして走っていき追いついた。
「ん?どうした?」
「シスタ様少し記憶見てもいい?」
「ウルティマにそんな力があるなんて知らなかったな。いいけどどうなっても知らないよ」
「長いこと生きてるからなんとかなると思うよ」
「ならいいけど」
ウルティマはシスタの頭に手を当てる。そして記憶領域に踏み込んだ瞬間に意識がバラけそうになった。
「あぁぁぁぁぁあああ!」
「ウルティマ!?」
「シ、シスタ様。なんで平気なの?」
「なにが?」
「これだけの黒い魂、記憶を持っていたらとても耐えられない」
「それが普通だったら耐えれるんだよ。それより体は大丈夫か?」
「う、うん」
シスタはウルティマを立たせる。しかしすぐにマヤが来たのでまた逃げ出したが……
その後悪魔三人衆は、いや正確にはテスタロッサとカレラがウルティマに聞く。
「いったいなにを見たのかしら?」
「早く言いたまえ」
「ちょっと待ってよー。それに僕が見たのはシスタ様の片鱗。ほんの一部なんだよ。それに黒すぎてよく見えなかったんだよ」
「それでもいいわ。記憶を送ってちょうだい」
「我にもだ」
その言葉を聞きウルティマは見た記憶の片鱗を二人に送る。
「うぁぁぁぁぁぁああああ」
「がぁぁぁぁぁあああ」
2人ともウルティマが危惧した通り2人とも記憶の濁流に飲まれてしまう。そしてウルティマが意識を取り戻させるとなんとかこっちに戻って来れたみたいだ。
「どうだった?」
「シスタ様は何故こんな記憶を持っていて普通でいられるのかしら?」
「不思議だ。とてもじゃないが耐えられるものではないぞ」
「ええ、わたしたち悪魔公でも耐えられないのだから」
三人は不思議に思ったがこれ以上考えても仕方ない。
「前にシスタ様が言ってたことと関係してるのかな?頼りにしてるってことと」
「そうかもしれないわね」
「それも我が君についていけばわかることだ。我らの忠誠が揺らぐことはない」
「ええ」
「もっちろん」
三人はそう決めてシスタの後を追うために走り出したのだった。
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