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マヤとシスタが戦い始めた頃別の場所では暗躍が始まっていた。
その場所は太古からあるが最古の魔王ギィクリムゾンやミリムナーヴァにすらばれていない場所なのである。
その場所はこの世界を創造した星王竜ヴェルダナーヴァでさえほとんど知らなかったのだ。知らなかったと言うより創造した時にはなかったのだ。
人間も悪魔も精霊も進化を続けるもの。その中には善意も悪意もあり、それらは限りなく肥大化していく。
それがその場所なのだ。その場所も召喚魔法をしておりこちらの世界にシスタとリムルが来たとほぼ同時刻にある1人の人物が召喚された。その人物は自身にかけられた呪いなど一瞬で弾き飛ばしたのだ。
そしてその人物はこう言う。
「ここを最強の王国にする。全国民、全兵士は全て──の参加だ」
その一言はとても重くそして強く感じられた。だからこそその人物には向かうことはせず、誰にも気取られないように着々と準備が進められていくのだった。
シスタがここまでとは思っていなかったマヤ。天魔之王が使えるようになった今なら勝てると思っていたのだ。実際かなりのところでこれは役に立ってくれているし、かなりのところでシスタの能力を制限しているのだ。それでも未だに決め手にかけている状態であった。
その瞬間シスタの雰囲気が変わる。今までとは違う刀の持ち方。今までは普通に持っていた刀を逆手に持ち替えたのだ。
その瞬間に2人の間に緊張が走る。それを知ってか知らずが観客たちも静まり返る。こういう時は互いに動かず刹那を見極めるのだ。
そして観客の1人が飲み物をこぼしたのだ。その音に反応する2人。
シスタは一言放つ。それが今のシスタの最強の技だとわかったマヤは自身が持つ最強の技で迎え撃つのだった。
「紫電一閃」
「
2人が交差して光った後2人とも動かない。
「クソ、また私の負け……か」
体から血を出して倒れ込む。シスタは倒れる直前に受け止めて自身の勝ちを表す。しかし内心は焦りまくりなのだ。
魔素もほとんど残っていないし、マヤの心臓が今にも止まりそうなのだ。リムルに目配せをして最後の魔素で転移をする。そして自宅に着いてすぐに回復薬を飲ませようとするが口が開けられないようだ。
塊の方は僕は作れないので方法はぶっかけるしか無かった。かけるとすぐに効果は出たようだ。
「あれ、私」
「はぁ、目覚めたか。何もあんなになるまでしなく……ても」
「シスタ!」
シスタがスライム形態になって倒れてしまったのだ。理由は自身の魔素切れだ。そのまま意識がだんだんと遠くなっていくのがわかるシスタなのだった。
シスタのあの姿を見たものは戦慄していた。今このテンペストにいる中でシスタに勝てる可能性があるとすればルミナス、リムル、必ず勝てると言い切れるのはヴェルドラぐらいなものだ。
実際見に来ていたルミナスですら戦慄していたのだ。新たに生まれた魔王の強さではない。それにリムルという魔王もいるのだ。この国には手を出さない方がいいと思ったルミナスなのであった。
「クァハハハ、シスタもずいぶんと強くなったのだな」
ヴェルドラはこう偉そうに言っているが時々感じた姉たちの気配に怯えていたのだ。ヴェルドラにとっては数少ない恐怖の対象なのだ。姉たちを力で上回るヴェルドラだが昔から埋め込まれた恐怖は時に力をも上回る。
刻み込まれた恐怖とはそういうことなのだ。
「あらあなたたちは確か?」
「シスタは無事なの!?マヤさんは!?」
「少し落ち着いて」
アリスたちがテスタロッサを見つけて話しかける。あの戦いを見ていたアリスたちは心配で仕方ないのだ。この後に招待されているシスタの家のことなどとうの昔にどこかに消えてしまっていて今はシスタとマヤの心配をしているのだ。マヤは西方聖教会にいた頃にシズの教え子たちと聞いてよく自由学園に遊びに行っていたのでsクラスのメンバーとも知り合いなのだ。
「わかったわ。シスタ様もこういうでしょうからワタシの方から言うことにしますわ。2人は今自宅におられますわ。だから安心なさってください」
「ならワタシたちもいくわよ!」
アリスの掛け声に賛同するように4人は飛び出す。その姿を見たテスタロッサはすぐに捕まえて自身が連れていくことにしたのだ。ここで無視してもよかったのだがそんなことをすれば後でシスタ様からの説教を受けるのは目に見えていたのだ。
そのまま連れて行きシスタの家に入る。悪魔3人とクマラ、マヤは鍵をもらっているので入れるのだ。実際ヴェルドラやラミリスも入っていくので鍵はほとんどかけていないのが現状なのだが……
そしてそこではスライムの形態でピクリとも動かない自分の主を見たテスタロッサはマヤを吹き飛ばして抱き抱える。すぐに何がダメなのか考えてみる。そしてその答えはすぐにわかったのだ。魔素切れなのだということがわかる。
テスタロッサは自身の魔素を輸血のようにシスタに渡していく。
今のところこんなことができるのはテスタロッサ1人なのだ。
テスタロッサはテンペストでも1、2を争うほどの精密な魔素コントロールなのだ。
もっともテスタロッサ自身シスタ以外のものにこれをしようとは思ってもいないしするつもりもないのだが……
「う……ん、確か魔素切れで」
「お目覚めですか」
「テスタ、か。あぁ、そういうことか。助かったよ」
「お気になさらずに。それよりも……」
「シスタ!やっと目を覚ましたわね。それよりパーティーは!?料理は!?」
「あ……」
アリスは先程までの心配していた姿などどこに行ったのかという感じだ。それよりもシスタは失念していたのだ。自身が言った言葉であったが……
すぐにシュナや他の料理人たちに連絡する。自宅に来てもらい料理の手配をしてもらうことにしたが流石にこれだけの人数なのだ。かなりの量がいるに決まっているので子どもたちをなんとかすることにした。
「シュナこっちは任せても大丈夫か?」
「もちろんです。お任せください」
シスタは料理の方をシュナに任せる。シオンがいたら大変なのだがシュナならなんの心配もない。シュナ主体でやってくれるのなら何も心配しない。
シスタはその後に悪魔たちを呼ぶ。そして
「僕に魔力弾を打ってくれないかな。何なら核撃魔法でも構わない」
「それは危険なのでは?」
「いいからいいから早く」
急かすと3人とも慌てたようにそれぞれが魔法を放つ。そしてそれはかなりの高威力の魔法なのだ。もし魔王になる前のシスタが喰らっていたら死にはしないまでも半身は吹き飛んでいたであろう威力。
しかし今は魔王に進化しているのでそんな心配はない。
「暴食之王」
シスタは暴食之王によって一瞬でそれらの魔法を喰らい尽くす。今のシスタには暴食之王を一回発動させるだけで限界だったのだがそれらの魔法によって魔素の一割ほど回復したのでスキルも普通に使えるようになった。
「助かったよ。もうこれで普通に動けると思う。3人ともここでパーティーするまで待っていてくれ。僕は子どもたちを連れて遊んでくるよ」
3人とも了承して家の中に入る。そしてシスタはいつものように重力之王で子どもたちを浮かせる。テンペストが一望できる高さまで上がる。するとかなり綺麗な状況が見えているのだ。所々に光があり中央には一際大きな光がある。
「綺麗」
「すげぇー」
「綺麗だね」
「素敵」
「きれー」
各々何か言っているようだがシスタにはあまり聞こえていなかったのだ。自分自身の力のなさを今日思い知らされたからだ。
たしかに思いつきでやった紫電一閃はかなりの威力だった。しかしあれ一撃で魔素切れしてしまうようではいけないと感じていたのだ。
実際使える能力を駆使してあれが使えるわけなのだが。
そこで思念伝達で料理ができたとの報告が来たので全員で向かったのだった。
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