テスタロッサたちは街に帰る。リムルはすでに先に帰っており今ここに来たのはビアンカとフローラ、テスタロッサ、そして目を覚さないシスタだけなのであった。
「あれ?テスタロッサ目が少し腫れてない?」
「そんなことないわ」
「いや腫れてるぞ」
「カレラまで、そんなことないのよ」
実際は見てもわからない程度なのだが何百年も喧嘩をしてきた相手、ウルティマとカレラにはバレていたのだった。
「そんなことないわ」
「ううん、目腫れてるよ」
「ああ、腫れてるな」
「やかましいわよ」
テスタロッサが放った怒気に2人はそれ以上は何も言わなかった。そしてテスタロッサたちにクマラはシスタを家に連れてかえる。後はシスタが目を覚ますのを待つだけなのだった。
その日シスタが帰ってきたことは国中に知らされた。しかしシスタがどういった状況か知ってるのは幹部以上のメンバーしか知らないのだ。しかもその情報統制はかなり厳重にされている。
そしてリムルは今回シスタを助けた2人を呼んだのだった。
「それで2人はなんでシスタを助けてくれたんだ?いやそれよりあいつはどこに行ってたんだ?」
「それに関しては私から話すわ。こっちとしても守秘義務というかいえないことはあるわ」
「それでも構わない。話せる範囲で話してくれ」
「そうね。まず一つ目に私たちはあなたの味方じゃない。彼の味方よ。何より彼の下につくわ」
「理由は?」
「彼を気に入ったからとでも言いましょうか。実際のところは少し違うけど大まかにはそんな感じよ」
「二つ目は?」
「正直にいうと彼がどこに行って私たちがどこの人かは言えない。彼の過去に関わるから。もっともさっきいた3人は何かしら彼の過去を知ってると思うけど」
「なるほどね。うちではシスタと俺がテンペストでは1番上ということになってる。ただそんなことに関係なくシスタを助けてくれたことには礼を言いたい。ありがとう。そして行く宛がないならうちで暮らすのも構わない。待遇は保証するよ」
「ならそうさせてもらおうかな。いいでしょフローラ」
「ええ、構いませんわ。わたくしもこの街に少し興味がありますので」
「なら決まりだ。今日はシスタの家にでも行っておいてくれ。それか旅館があるからそっちにするか?」
「いえ、シスタ様の方に泊まらせていただきますわ。何か悪化した場合も対処できますから」
「そっか。なら頼んだ」
2人はそこから出ていきシスタの家に向かう。リムルは2人が立ち去ったのを確認してからゲルドのところに向かい空いてる敷地に新しい家を2軒建てるように指示したのだった。
シスタ直属の4人は自責の念にかられていた。自分たちがついていても同じことになったであろうがどうしても自分を責めるしかできないのだ。自分たちよりはるかに格上のマヤですらボロボロで帰ってきてシスタですから意識を戻さないのだ。
「わたしたちがついていれば」
「我が」
「やかましい」
カレラの頭をはたいたのは先ほど目を覚ましたマヤだった。
「貴様!!」
「なに?いつまでもクヨクヨしてんならシスタのとこに行ってきなさい。起きた時に誰もいないなんて寂しいからね。それに今のシスタにはそれがいいから」
「っ!何も言わんからな!」
「勝手にしたらいいよ」
マヤは松葉杖をつきながらさっきまでカレラが座っていた椅子に座る。松葉杖なんて今までついたことなかったのどう余計に疲れるのだ。これも今回無理言って速攻で作ってもらったものだ。自分の超速再生が機能しないのだ。それどころか超回復も機能してない。その他のスキルに関しては問題ないのだが回復に関するスキルは一切発動しないのだ。
だからもう後は自然回復を待つしかなかった。多分だがシスタは直前で
「なんでかな〜」
自分の服をめくり火傷の跡を見る。これも完全回復薬では回復しなかったものだ。不幸中の幸いは顔にまで火傷が広がってなかったことだ。ただお腹から膝ぐらいまでは火傷の跡が残っている。
これじゃあとてもシスタに愛してなんて言えないぐらいの傷だ。もちろんシスタがそんなことを気にしないのはわかってるし、自分を責めるだろう。ただわたし自身が許せないのだ。
もうわたしはシスタの隣にはいられない。わたしは全てを空間にしまい出ていく準備を始めた。夜に誰にも気付かれないように出ていくために。
暗い海の中を落ちてる気分だ。まるであの時のように。
俺は昔から出来は悪くなかったと思う。何をするにしてもそれなりにできた自覚もあった。けれど俺が生まれた家はそれだけでは済まされなかった。日本に古くからある有名な家系。それ故に何事もそれなりではなく完璧にしないと許されなかった。
だからこそ俺は努力もした。けれど本気で考えると頭が焼き切れるように痛くなったのだ。始めは親に相談したりもしたが結局現代の医学では何が原因か突き止めることはできなかったのだ。
俺はその痛みに耐えることができずに本気で何事も取り組まなくなった。
そこからの俺は家でもいないものと扱われ、兄であったあいつからはただのストレスの発散の道具として扱われた。
するとだんだん体は傷ついていく。そうなれば学校でも相手にされなくなっていき頼る人すらいなくなった。あの時に教師も家からの圧力を受けており俺には干渉してこなかった。
そして誰も信じられなくなって言ったが1人だけ俺に干渉してきた奴がいた。そいつは俺のことを真摯に受け止め全てを聞いてくれた。そのことで救われた気になっていたが全ては兄が仕組んだことだったのだ。
全てを話してその録音を上手く処理して全てを俺が悪いように改造したのだ。それを流された時点で学校からも家でも居場所は完全になくなり俺はあの事故に巻き込まれた。しかし思い出せたのはここまでなのだ。まだ何かとんでもないものを忘れている気がするが思い出せない。
事故が起こったあの時ら子どもは泣きそうな顔をしていたが俺は引かれて体の血が抜け冷たくなっていく体を感じるとやっと終われるのかと思ったのを覚えている。
そしてこっちの世界に転生してリムルやヴェルドラと出会い、様々なやつと出会っていくが俺の心はどこか他人に一線引いてしまう。だからこそあの時悪魔を呼ぶことに固執したんだと思う。悪魔がいるなら俺を滅ぼしてくれるかもしれない。ギィやミリムに頼もうとしたが2人ともに何故か気に入られてしまいそんなことを頼めない。しかし時間とともにだんだんと力もついてきて滅ぼせる相手が少なくなってきているのは確かだ。
竜種に魔王たちぐらいしか知らないのだ。それ以外の人物では殺すということまではどうやっても不可能なのだ。
暗い海の中に落ちていた気分がだんだんと光を帯びていき目が覚めた。
「ここ、は?」
「「「「シスタ様!!」」」」
4人の声で自分がどこにいるか気がついた。体を起こしてみると体中が痛いし、視界が半分しか見えていない。
「僕は一体どうやってここに?」
「覚えておられないのですか?ある方たちが連れて帰ってきましたけど」
すると部屋の扉が開かれる。そして現れたのは見たことのない二人組だった。
「あ、目覚めたんだ?」
「ご無事で何よりですわ」
「えっと誰かな?」
2人は一瞬固まるが納得したように話し始めた。
「そっかあの状況だったから覚えてないんだね」
「まぁあの来栖「待て!」どうかしましたか?」
「テスタロッサ、ウルティマ、カレラ、クマラここから出て行ってくれるか?」
4人は何も言わずに部屋から出ていく。そして僕は部屋に防音の結界を張ろうとしたが何故かスキルがうまく発動できない。
「なんだ?体に何か」
《おそらく呪いのようなものです。目と腹に受けた傷から魔素の流れを乱されています。さらにこの傷から様々なものが封印されています》
(例えば?)
《痛覚無効、状態異常耐性、超回復、超速再生、万能感知、さらに魔素感知まで使えませんさらにマスターの体は人間になっております》
(!?そんなこと可能なのか?)
《まだ解除の仕方などは目処がついておりません。ですがすぐに見つけますので》
(頼んだ)
「ああ、それよりすまない。スキルが発動できない。防音の結界を張れるか?」
「ええ、できますわ」
フローラは一瞬で結界を張る。そしてそれに気づいたシスタが口を開きはじめた。
「あの時僕を助けてくれたのは2人だね」
「間に合わなかったけどね」
「けどあのとき確かに僕は助けられた」
「それでなんでいまは僕なの?」
「何が?」
「だってあれだけ口の言い合いしててこの態度の変わりようは何?あいつと言い合いしてた時はもっと口が悪かったよ。それなら僕じゃなくて俺じゃない?」
こいつのいうことはもっともだ。元々俺だったのだがこっちの世界に来てからはやめている。人間にしろ魔物にしろ対等でありたいと思ったからだ。俺という言葉はどうしても偉そうに感じてるのだ。前にも言われたことがあった。シュナから言われたのだった。
なぜそんなにもわたくしたちと距離を測っているのですか?と
まさかバレてるとは思いもよらなかったのでなんて返答しようか悩んだがその時は確かテスタに呼ばれてその場を抜けたんだった。
「距離は大事だろ。それに……いやなんでもない」
「ふーん、そうなのかな?少なくともさっき見た感じはそんな感じして欲しくなさそうだったけど。あの3人」
「わかってるつもりだ」
「ビアンカさんそこまでにしておきましょう。それよりもわたくしたちの聞きたいことが聞けておりませんわ」
「そうだね。じゃあ単刀直入に聞くけどあなたはまだ折れてない?立ち向かう勇気は残ってる?」
「分からんとしか言えない。今の僕じゃあいつに勝てないことはわかった。なら強くなるしかないだろ。一段一段じゃ無理だ。何個も飛ばして強くなるよ」
「なるほどね。それならいいわよね、フローラ?」
「ええわたくしは構いませんわ」
「なら決まりだね」
「何がだよ」
「私たち2人あなたの部下になるわ。よろしくね、シスタ様」
「ええよろしくお願いしますわシスタ様」
「シスタでいいよ」
2人は話したいことを話したのか出ていく。テスタロッサたちは入れ替わるように入ってきた。しかしそこにはいつもうるさい奴がいない。
「お、おいマヤはどうした?」
「家で休んでいるはすですが?」
「そうか。今から行く」
「待ってくれ我が君。そんな体では歩くのすら厳しいのではないか?」
シスタはそれを無視して立とうとするが立てずに思いっきりこけた。しかし腕をつきながら立ち上がろうとする。
自分が一番わかっているはずだけど我が君はそれを止めようとしない。
「なら我が支える。あの女のところに行こう我が君」
「すまないなカレラ」
「むーボクも!」
2人を肩を貸してもらいなんとか歩き出すシスタ。それでも足も腕もかなりきているようでほとんど引きずられているような感じなのだ。それでも2人は掴んでいるシスタの手を決して離そうとしない。
本来悪魔は自分より強い相手にしか従わない。しかしここにいる3人それにクマラは知っているのだ。シスタが本当に望んでいることを。そしてそれを叶えるのは自分たちだと思っているのだ。
外に出るとそこはすでに暗くなりはじめていて人気も少なくなってきている。そのせいもありなかなか僕の存在はバレていない。魔素を消しているからだろうと思っていたがここまでバレないのは助かる。
そしてマヤの家について中に入るが人の気配はしない。進んでいきリビングに行くと一枚の手紙があった。
『ごめんシスタ。多分これを読んでるのはシスタだと思ってる。あたしは今回のことで自分の力の無さを痛感した。シスタを傷つけてしまいこんな体にしてしまった。だからもうシスタの隣にいたいなんて言わない。けどこれだけ伝えておくね。今までありがとう』
手紙を見終わったシスタは全員に命令を出す。
「今すぐマヤを探せ!連れてこなくてもいい。見つけたらそのまま後を追ってくれ。思念伝達で他の奴に伝えてくれ」
「「「「は!」」」」
4人はすぐに飛び出す。それはシスタからの命令。それは4人にとって至福でもあり、叶えたくない願いであったのだ。自分たちが主人にとっての一番でありたい。その願いは隠せないが今の主人にとっては何よりも大事にするものだと確信していたから4人はそれぞれの部下を使いマヤを探し出す。
そしてそれはすぐに見つかった。テンペストから遥か彼方魔王ギィ=クリムゾンが住む白氷宮なのだ。
(シスタ様今野真矢を見つけましたわ。どういたしますか?)
(テスタ、マヤを止めることはできるか?できるならそのまま止めて欲しい。無理ならマヤを付けてくれ)
(わかりましたわ)
はぁ、自分自身が嫌になる。自身は原初と呼ばれるまでの悪魔であり、この世界において最強の一角を担うものだと思っていた。しかし現世に顕現してからはその認識を変えられた。魔王は愚か人間である今野真矢にまで負けるなんて思ってもみなかったのだ。
そして今野真矢の跡をつけると様子がおかしい。あの女は究極能力持ちで寒さにもそれなりに抵抗があるはずなのに全くそれが発動していないような感じなのだ。
「寒い、流石竜種ヴェルザードがいる土地」
「!!」
その言葉にテスタロッサの足が止まる。竜種ヴェルザード、この世界のみならず悪魔たちが住まう世界にも名は轟いている。もちろんテスタロッサも知っている。
そんな人物のところに向かうなんていったい何を考えているのか?
「やぁテスタ。待たせた」
「シスタ様。今あの女からヴェルザードの名が」
「なるほどそうきたか」
シスタにとってそれは一足跳びの一つの手段であり、躊躇う一つの方法であった。
「テスタはついてきてくれ。ウルティマ、カレラは先に帰って街の防衛を頼む」
「「「は!」」」
テスタに肩を借りて歩き出す。そして白氷宮に着く前にマヤの目の前に来ることができたのだった。
UAが10万超えたらまた何か番外編やろうかな〜なんて思ったりしてます
何か意見があったらお願いします
このキャラを出して欲しいなのでも構いませんし、こんなイベントをして欲しいとかでもいいです
両方でも構いません
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