最強の相棒として転生した件   作:麒麟@

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どざさん
s777さん評価ありがとうございます


38話

 シスタが自由行動している間のリムルはというと書類の山に埋もれていた。実際この町ではシスタかリムルの許可が必要なものが多いのだ。それでシスタの方に回していても処理されないから全部リムルの方にまわるのだ。些細なことでも書類で回すようにしているからリムルの方は必然的に多くなる。

 

 

「あのやろう、帰ってきたら覚えとけよー」

 

 

 その言葉でガラガラと資料が落ちていき、また詰み直して目の前にある資料に向かうリムルなのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて家出娘よ。何か言い訳は?」

「何もないよ。手紙に書いた通り」

「なら今すぐ引き返せ」

「嫌だね。力尽くでも連れて帰るんだね」

「ならそうさせてもらおう」

 

 

 シスタが構えるとマヤも刀を抜く。テスタに押し返してなんとか体を支えるシスタ。しかしその足は立っているのでやっとという状況だ。

 

 

「邪魔だよシスタ」

「ああ、知ってる」

 

 

 マヤの刀を避けるでもなく、防ぐでもなく体に受けた。体が真っ二つに切られそうになったがそこでマヤが刀を止める。

 

 

「なんで防がないの?なんで反撃しないの?」

「ぼ……くは、マヤ……を切る……資格はない……から」

「シスタ様!!今すぐ回復を」

「マヤ……がそれ……望む……なら。のぞ……まない……ならここで……果てるのも……仕方ない。あいつ……は僕の……運……めいについて……きて……くれたから」

 

 

 テスタロッサはシスタが何を言ってるのか理解する。たしかにここにウルティマやカレラがいたら自身が死んでも仇を取ろうとしただろう。テスタロッサはあの2人より冷静であることは自覚していたのだ。

 だからこそ怒りは腹の中に溜めている。ここでこいつがどんな答えをするのか。

 

 

「なんで反撃しないの?あたしはシスタになら」

「は……は、ワラ……わせるな。ぼくが……おまえをきれるとでも」

「テスタロッサ!今すぐシスタの回復を」

 

 

 マヤはここに来るにあたって回復薬の一つも持ってきていない。テンペストからもらったものは全て全て置いてきているのだ。

 

 

「シスタ様これを」

 

 

 テスタロッサは口を持ち上げて完全回復薬を飲ませる。すると受けた傷が治っていく。これで目や腹の傷も治るのかと思ったテスタロッサだがそう上手くは行かなかった。目のところの傷は全く回復する様子がない。

 

 

「悪いテスタ」

「ごめんシスタ」

「謝ることなんてないよ。それにマヤにも修行に付き合ってもらおうと思ってたし。いくところは一緒だから」

「マジ?」

「マジで」

 

 

 2人は顔を見合って笑う。そしてシスタは足が回復していることに気づくのだ。なぜ回復したのかはわからないが自分で立てるようになったことでだいぶ楽にはなった。

 そこから宙に浮き白氷宮に向かう。念のためヴェルザードに連絡しておく。

 前の魔王の宴(ワルプルギス)の時に軽くだが連絡を取れるようにしておいた。

 

 

『今からそっちに向かうよ』

『構わないけどどうしたの?』

『まぁまぁ、けど戦闘の準備しといてくれ。レイン、ミザリー、ギィ、それとヴェルザードも頼む』

『あら?それは戦争の知らせかしら?』

『一言もそんなことを言ってねぇ!じゃあ頼んだ』

 

 

 そこで通信を切る。そしていよいよ見えてきたのだ。氷の大陸。魔王ギィ、竜種ヴェルザードがいる白氷宮が。

 降りるとそこには言ったメンバーが揃っていた。

 

 

「さてシスタよ。これは一体どういうことだ?まさか俺と戦争する気か?」

「まさかヴェルザード本気でせんそうっていったのか?」

「ええ、違ったかしら?」

「戦争じゃなくて戦闘。俺たちに修行つけて欲しいんだよ」

「なに?お前たちにだと?」

「ああ、そういう意味だ」

 

 

 ギィは心の中で少し幻滅した。シスタというやつに対してリムルより期待していたのだ。それは一種の期待でもあったのだ。シスタに関してはレオンと同等かそれ以上気にいっていたのだ。それをこんなふうに幻滅させないで欲しかったのだ。

 

 

「仕方ない。ヴェルザード付き合ってやれ。ミザリー、レインお前たちもだ」

「ふふ、仕方ないわね。わたしの相手は誰かしら?」

「わたしよ」

「あらあなたなの。てっきりシスタかと。それがそこの原初の白(ブラン)か」

「ヴェルザード気持ちはわかるが前にも言ったけどその呼び名はやめろ。テスタロッサだ」

「それは失礼。テスタロッサ、あなたがわたしの相手をしてくれると思っていたけど。今野真矢、あなたにはシスタを傷つけたことがあるから容赦はしないよ」

「っ!望むところです」

 

 

 2人の間に恐ろしいほどの気合や魔素がぶつかり合う。ギィはやれやれという感じで見守っていた。テスタロッサ、レイン、ミザリーもすでに移動してどこかに消えた。ヴェルザードとマヤも移動を始める。

 そしてギィはつまらなそうに仁王立ちする。しかしそんなことは一瞬で吹き飛ばされた。シスタがある刀を自身で作ったのだ。それを見た途端にギィの警戒レベルが一気に跳ね上がる。

 

 

「ほう、そんなことをできたのか」

「??これがなにか?魔素を固めて作った今だけの刀だけど」

 

 

 ギィは目の前にある刀がなにかわからないが自身の神経全てが訴える。これは危険だと。だからこそ自身の持つ刀世界(ワルド)を構える。

 世界最強の刀である世界(ワルド)

 2人が交錯するまで世界の時は停止したかのように止まったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふ、わたくしの相手はあなたたちなのかしら?」

「やれやれギィ様の気まぐれにも困りましたね」

「レイン!口に気をつけなさい」

「チィうるさいやつですよ」

「何かいったかしら?」

 

 

 レインとミザリーが言い合いしているのを見てテスタロッサは柄にもなく感慨深くなってしまう。この2人は本当にいい関係なのだろうと。

 しかし2人がだんだんと魔素を高めていく。それを呼応するかのようにテスタロッサも魔素を高める。

 始まりはミザリーの核撃魔法で始まったがそこからは一方的だった。レインもミストを使って翻弄するがテスタロッサは何事もないと言った感じで全てを受け止める。そして自身も鞭で反撃する。このまま続けばテスタロッサの勝ちだが2人とも既に諦めた。

 なぜなら2人は核撃魔法などを使っているがテスタロッサに限っては核撃魔法を一度も使っていないのだ。

 核撃魔法の処理も鞭で弾くか、避けるかのどちらかなのだ。鞭に核撃魔法と同等の魔素を込めて弾く。言葉では簡単だが戦闘中にそれだけ細かい魔素操作をミザリーもレインもできるかわからない。つまり目の前にいる悪魔は自分たちより遥かに強いと分かったのだ。

 だからそこで攻撃の手を止めて降参した。前までの自分たちなら死ぬまで攻撃していただろうが今は違う。仮にも魔王ギィクリムゾンに仕えるものとして死ぬわけにはいかなかったのだ。

 テスタロッサもそれをわかっているのかそれ以上は何もせずに元いた場所に向かって転移をしようとした。が、急に近くまで転移できなくなったのだ。できる場所を探すが元の場所から少し離れている。シスタに何かあったのかとすぐに転移して移動するテスタロッサなのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、あなたと戦う気は無いのだけれど」

「あなたになくてもあたしにはあるのよ」

「そういうのはなんていうか知ってるかしら?無謀な挑戦よ。勝てもしないのはわかっているでしょう。シスタならまだしもあなたじゃ私に傷一つつけられないわ」

 

 

 マヤは頭に血が昇るが一瞬で冷静になる。ヴェルザードは何も間違ったことは言っていないのだ。竜種一体、一体が化け物なのだ。その鱗はあらゆる攻撃を弾き、その爪はあらゆる鎧をも裂くという。実際あたしの持つ攻撃で傷つけられないのは分かっている。けれどそこで終わるわけにはいかないのだ。

 

 

 

「いくよ。あたしの最強の一撃」

「ええ、勝手にしなさい」

天魔の撃墜(メフィストストライク)!」

 

 

 その巨大な一撃はヴェルザードの片手で止められた。

 

 

「こんなものなのね。つまらないわ。シスタの大事な人と聞いていたから殺すのはやめておくつもりだったのだけれどつまらない。シスタの隣にいる資格はないわね」

 

 

 ヴェルザードの一撃をギリギリで躱すマヤ。しかし本当にギリギリだったので頬を切る。すぐに反撃に移るが全て防がれる。代わりに飛んでくるヴェルザードの拳を間一発で躱す。所々当たる。

 

 

「なんであなたはそんなにも怯えてるのかしら?」

「なに……を?」

「あら自覚はないのかしら?ならそれまでね」

 

 

 ヴェルザードは呆れる。自分のことを何も見えていないのだ。周りから見ると怯えているのだ。常に何かに。いや自分に。

 

 

「シスタはわたしのお気に入りなの。あなたを殺してわたしのものにするわ」

「っ!シスタはあたし……の。あたしの何?なんであたしはシスタを」

「ふぅ、それがあなたの殻なのね。そんなものいらないわ。全て捨てなさい」

 

 

 ヴェルザードが言ったのは紛れもない事実なのだ。シスタが自身に抱えているもの同様マヤも抱えているものがあったのだ。しかしそれはシスタのものに比べれば大したことはないと自身で割り切って話さなかったのだ。

 ヴェルザードにはそれがわかった。自分もギィに対しての思いを隠していることがあるからだ。

 

 

「うるさい!うるさーい」

「殻をあと少しで」

《個体名今野真矢が勇者の卵を孵化。自身の壁を乗り越えました》

 

 

 世界の言葉が響く。それはヴェルザードにも聞こえており殻を破ったのだと確信した。

 しかしマヤも気付いていないが破ったのはヴェルザードが言っていた殻ではないのだ。破ったのはさらにやばい殻。

 

 

「さぁはじめましょうか」

「ふふ、少しはマシになったのかしら?」

 

 

 2人は切り結ぶ。しかし勝負はあっけなく終わったのだ。ヴェルザードがほんの一瞬時を止めたからだ。能力に目覚めたばかりで殻を破ったばかりのマヤには停止世界で動けなかったのだ。その間に一撃を入れた。しかしヴェルザードに停止世界まで使わせないと勝てないと思わせたのもまた事実なのだ。

 それほどまでに殻を別の意味で破ったマヤの攻撃は凄まじかったのだ。

 ヴェルザードはマヤを抱き回復しながら元の場所に帰っていくのだった。




今回で書ききるつもりだったんですが無理でした
次でなんとか終わらせます
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