テンペストに着くとこいつらの家がないことが気がついた。
《マヤさんや何か変わったことはあった?》
《ここで話してもいいけど直接話すよ》
《了解。なら僕の家に集合で》
《はいはーい》
マヤとの会話を切る。目の前を見るとアリスの横に適度な距離を持って座ってるやつ。ケンヤは涙を堪えながら倒れ込むし、それを慰めてゲイルとリョウタ。
「はぁ……」
「お菓子でも食べませんか?作ってきましたので」
「もらうよ」
「貴方たちはどうされますか?」
「ありがとう」
「「いただきます」」
「ん〜もらう」
4人とも現金なもので食べた途端に顔が一気に明るくなる。そこにテスタたちが帰ってくる。なんだか嫌な予感がするために立ち上がった途端マヤが信じられない速度で手を伸ばしたのでそれを掴む。
「む、シスタ何するのさ」
「お前今全部取ろうとしたろ」
「だってあったから」
「ガキか!お前の分はなしな」
「おに!」
マヤの手を押さえつけて動けなくする。抑えた手を動かして抜こうとするがなかなかに抜けないようで諦めたのか静かになった。そのタイミングで全部なくなったのを確認してマヤの手を離す。
「さて、とどうだった?」
「大方シスタの予想通りかな。来てたよ東帝国の奴ら」
「間違いありませんわ。ワタクシは元々あの付近を縄張りにしていましたから」
「なるほどね。マヤ、テスタ、ウルティマ、カレラ、ユキ、ビアンカ、フローラは力をつけてもらう。各々に最適な相手をつける。明日から開始な」
全員からの異論はなくその場での返事が聞こえる。元々返事あるかもしれないと思って色々考えていたのも無駄になったが全く感じにない。
「それじゃあとりあえず解散だな。アリスたちは宿に泊まっておいてくれ。今学校を作ってるからそこに泊まれるようにする」
「あたしはここに泊まりたい!」
「おいおい」
「それは少し調子に乗りすぎでは?」
「うん、黙ってたけど目に余るね」
「我が君に対しての無礼もだ」
「待て待て。とりあえず落ち着けお前ら」
「シスタ様それは聞けませんわ」
「ちょっと我慢できないかな」
「無理だな」
3人とも殺気を放っている。アリスも怯えているが一歩も引いていない。そのさっきに当てられたケンヤたちは僕の後ろに隠れているのに。
「シスタ様も罪作りですわね」
「何言ってんだ?」
「本当にわからないって顔してるよね」
「いやわからないから」
ビアンカとフローラは頭に手を当ててため息をついているが全く身に覚えがない。
しかしこのままじゃテスタたちがアリスを殺しかねない。
「とりあえず宿ができるまでの処置な。気になるならお前たちも来ていいから」
「そ、それなら仕方ありませんわ」
「それならしょーがないかな」
「そうだなしょうがない」
3人とも納得したのかさっきが収まる。アリスも緊張の糸が解けたのか怖くなったのかわからないが腕にしがみついている。
「大丈夫だから」
「うん」
アリスの護衛として付いてきたやつも恐怖に負けたのか動けていない。
「はぁ……とりあえずそういうことだから」
「宴だよね」
「はい?」
「小規模のシスタの家でやろう」
「お、おい」
「いいですわね」
「ボクも」
「それなら料理は作りますわ」
「私も手伝うよ」
なんか否定の前にどんどん話が進んでいるような気がしてならない。
というかここで却下できないわけではないがするとグレるやつもいるだろう。
「アリスたちはどうする?」
「参加するわ!」
「俺は遠慮しとく。怖いもんその人たち」
「ぼ、ボクも」
「僕もです」
「あはは、テスタたちは殺気を出しすぎたからな」
「むぅ」
「まだ本気で出していないのですが」
「我もだ」
「3人ともの意見は分かったがお前らが魔王からも恐れられてるのは分かってるよな?」
3人とも本当に知らないという顔で頭の上のハテナが見える。まぁいいやこれ以上言っても無駄だろうし、それならいうだけ無駄だ。
「後で少しよろしいですかシスタ様」
「?構わないが飯の前か?」
「できれば2人きりの方が」
「ん、りょーかい。飯の後にでも。寝るやつもいるからな」
「かしこまりました」
そこから少しの間子どもたちと街を見て回る。いろいろなものが必要になるだろうし必要なものをそれぞれに選ばせて買っていく。どこに行ってもお金はいらないと言われるのだがそういうわけにもいかない。
「それにしてもシスタって本当に好かれてるわね」
「なんでそんなに上から目線なんだ」
「だってシスタだもの」
「はぁ……まったく」
アリスのわがままにも慣れてきた。最近は周りにわがままな奴しかいないせいか慣れてきた部分がある。
「それでどうする?」
「俺はもう疲れたし寝ることにするよ」
「僕もです」
「僕も」
「あたしは今からパーティに向かうわ」
「なら剣也たちにお金を渡しておくよ。どこでも泊まるといい。何かあれば僕の名前を出すとなんとかなると思うから」
「わかった」
剣也たちは街中を散策し始める。
「おい出てこい」
「なんだ?」
「やっぱりいたか。あいつらを見張ってろ。街から出ないように」
「断る。俺の主はアリス様だけだ」
「お願い。ケンヤたちを見張ってて」
「了解しました」
すぐに姿を消しどこかに消えた。僕はアリスを連れて家に帰るとすでに料理が机の上に庭にも机を広げて料理がある。
「いつでも始められますわ」
「それじゃあ小さい宴だけど乾杯!」
「「「「「「「「乾杯」」」」」」」」
全員が飲み始める。ジュースを飲みもの。アルコールを飲むもの。様々だがほとんどがアルコールだ。かくいう僕もアルコールを飲んでいる。半分だけ毒無効を消している。少しずつだが酔いが回ってきているために気持ちいい。
「シスタ」
「ん、アリス?」
「シスタ、シスタシスタ」
そこ言葉を話しながら足取りははっきりとしていない。こいつまさか。
[ドン!]
「ア、アリス!?」
床に顔面からぶつける。
「痛い」
「そりゃあなぁ」
「シースーター」
抱きついてくるのでこれ以上は勘弁だ。睡眠を促すように魔法をかけて膝の上に乗せる。後5分もすれば寝るだろう。
「シスタ。あたしがいていいのか?」
「なに気にしてんだ。今更だな」
「まぁそりゃそうだけどさ」
「そういうことだ」
ユキはいまだに遠慮しがちなところがある。まぁ異世界でそれも知らない連中の一員と言われて警戒も遠慮もするだろう。
「それよりもなんでこの街の奴らは毎回宴をしないといけないのか?」
「それは僕も思う」
「だよな」
けれど一番息が合うのはユキなのかもしれない。
「シスタ様そろそろよろしいですか?」
「あぁ。上に行こうか」
部屋から出て二階に上がる。それだけでもいいのだが窓から身を乗り出してそのまま浮かぶ。
屋根に上り寝転んで話す。前に座ったまま話したことがあるのだが周りから見えていたのかえらい盛り上がったために危なかった。
「で、話って?」
「シスタ様は私たちに何を隠しておられるのですか?」
「!?は、はぁ?なんのことだ」
「前々から疑問に思っていたのです。あの時なぜあれほどの怪我をしていたのか」
「あーあの時か」
「そしてそのことを話そうとする今野真矢を固く禁じていることを」
「…………」
「その理由が分かりましたわ。帝国との終わりにあるものを見つけました、その一部です」
それは間違いなくあの結界が貼ってあった場所のものだ。しかも結界が壊れないギリギリを持ってきている。今のテスタではおそらく結界の本当の部分まで読めないはずなのに大したものだ。
「あの時何があったのか教えてくださいませんか?」
「その話なら我らも聞きたいぞ」
「うんボクも」
カレラとウルティマが天井に登ってきた。2人ともかなりの酒が入っていたから来ないとかって予想していたが意外とシラフで絡んでくる。
ここ最近絡みが激しいのもあり早く寝てほしいためにこの家で飲む際は毒無効の効果を切ることを強制している。
「それならこれを飲んでまた同じ質問ができたなら答えよう」
そういい一つの瓶を置く。これは試作段階のものだがかなりアルコールがきつい。ワインやウイスキーなんかとは比較にならないほどだ。毒無効を切っている今の状態では一本飲んだらすぐにでも倒れるだろう。
3人がコップに入れてそれを口に含む。すると喉を通った瞬間にフラフラし始めた。それほどアルコールが強いのだ。
作った本人ですらいまだに飲み慣れていない。
「さてと。3人とも布団に運ぶから」
「ま、まだ質問……zzz」
他の2人も同様にすぐに寝てしまう。もともとかなりの量を飲んでいたところにとどめを食らった感じなのだ。
「やれやれ。布団まで運ぶか」
3人を浮かせて屋根から飛びおりる。そのまま部屋に向かい布団を取り出して3人とも寝かせる。まだ何人か飲んでいるようだがこれ以上付き合うと何か大変なことに巻き込まれそうなので執務室に向かって残りの仕事に手をつけ始めたのだった。
次からは本格的に帝国編です。
ただかなり変えるつもりなので