最強の相棒として転生した件   作:麒麟@

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55話

 暗い暗い夢の中。それは少し前の記憶。

 あることを思い出していた。俺の前世は碌でもなかった。小さい時の記憶は覚えているのはごくわずか。紛争地帯に生まれそのまま知らない奴らに拾われた。

 そこからの記憶はあまり思い出したくもない。常に暴力を振るわれる日々。小さい時はなかったが4.5歳あたりから振るわれていたと思う。

 そしてそこから数年後僕は全てを変える出会いがあった。

 

 

「ここにいる人たちみんな助けなさい」

 

 

 その一声で全てが終わり僕は助けられた。救助された僕はそのまま広い屋敷に連れて行かれた。連れていかれたのは一つの部屋の中だった。

 

 

「あなただけはこの屋敷で働いてもらいます」

「…………」

「まぁ今はいいけどいずれは私を助けてね」

 

 

 そこからは言われるがまま動いた。今にして思うとあの頃があの世界で一番楽しかったのかもしれない。そこからしばらくした頃僕もようやく話せるようになった。

 

 

「お嬢様早く食べてください」

「いや〜」

「食べないと育たなくて将来の旦那に嫌われますよ」

「いいもん。その時は結婚してね」

「無理です。万が一できても好き嫌いする人嫌いなので」

「わかった、わかったよー食べるからー」

 

 

 こんな毎日が続くならそれも悪くない。そう思って毎日を暮らしていた。そんな毎日が崩れたのは全てあの時だった。

 それが夢に出てきた瞬間に僕は目が覚めた。

 

 

「ここは……」

「随分休まれていましたね」

「シュナ」

「もうお昼前ですよ。こんな時間まで寝るなんて珍しいですね」

「そうだな」

 

 

 久々に嫌な夢を見たせいか服の中はかなり濡れている。汗を書いたのだろう。寝る直前まで仕事をしていたおかげでかなり余裕があるために風呂に向かう。

 風呂で汗を流すとすぐに出ていく。そろそろ全員集まっている頃だろう。自宅に向かい中に入ると全員が揃っていた。

 

 

「さてとそれぞれの特訓相手を言うか。テスタロッサはディアブロ」

「は、はぁ!?あの黒と特訓?冗談でも笑えませんわよ」

「それでカレラはアゲーラとハクロウだ」

「了解した」

「ウルティマはヴェルドラと」

「はーい」

「ビアンカとフローラはお互いに特訓しててくれ」

「りょーかい」

「かしこまりましたわ」

「マヤとユキは僕が鍛える」

「了解」

「やった〜」

 

 

 カレラたちがかなり睨んでいるが無視だ。それよりもテスタロッサから放たれている殺気がやばい。かなりというか人によってはそれだけで死にそうだ。

 

 

「それじゃあ解散。それぞれのところには話はもうしているから」

「ちょっとシスタ様!?」

 

 

 テスタロッサが何か言っているが無視だ。それぞれがバラバラに移動する。マヤとユキも僕の後ろについてくるのでテスタロッサの意見は今回無視だ。

 

 

「迷宮に向かうか」

「了解」

「はーい」

 

 

 3人で迷宮に移動する。入り口付近に来ると入場する人がいたのでその列から少し離れたところで迷宮に用意している部屋に移動する。

 転移すると誰もおらず3人だけの空間になった。

 

 

「さてとお前らの特訓だが実際にはユキとマヤで戦ってもらう」

「ちょ!」

「でもそれって実力差ありすぎない?」

「まぁそうなんだが実際は少し違う。ユキには全力でやってもらうがマヤが使っていいのは身体強化と体だけだ」

「変態」

「ちがうわ!徒手格闘だよ。そっちの方面鍛えてないだろ。今マヤが使ってる武器は確かに性能が高いけど万が一吹き飛ばされたりでもしたら笑えない」

「まぁ確かにその可能性がないとは言わないけど今のあたしに勝てるのなんて少なくない。一部の魔王、それと竜種くらいじゃない?」

「はぁ、自己評価がちゃんとできてるなら何より。けどマヤには言う必要ないと思うけど」

「っ!あいつらか。わかったよ」

 

 

 ユキが銃を打ち始めたのを見て僕も分身体を出す。その分身体は

 

 

「それでは始めます」

「頼んだぞ」

 

 

 僕の癖ややり方などを知っているルウェルを分身体に宿らせた。ルウェルは最高の特訓相手とも言える。使うのはお互いに自分にあっている武器。僕は刀を抜きルウェルも刀を創造する。

 リムルやヴェルドラクラスになると物を作るのも意外と簡単になる。もちろん鍛治師が作ったものに及ぶはずがないのだが。

 

 

「それでは始めましょうか」

「あぁ」

 

 

 僕が踏み込むとルウェルも踏み込んで迎え撃つ。何度か斬撃を繰り出すとルウェルはそれを全て避ける。予備動作や今まで見てきた経験があるのだろう。

 そして右手を上から振り下ろした瞬間ルウェルはそれを最小限に避けて

 

 

「隙だらけですよ」

 

 

 体を回転させてそのまま左脇腹を蹴られる。ほんとに手加減がなくその瞬間骨にヒビが入ったのがわかった。身体強化しか使っていないのにかなり実力に差がある。数度挑んで勝てないことがわかったので少しやり方を変えることにした。

 身体強化を発動しながら目を一番に強化する。攻撃を繰り出しながら相手の反応を常に観察する。

 

 

(それでいいのです)

「まだまだ」

 

 

 そこからは一進一退の攻撃が続く。20分ほど続くとルウェルが刀を手放す。

 

 

「もう十分です」

「そうかな」

「後はゆっくりしておきましょう。そろそろ帝国が攻めてきますので」

「そろそろか。予想より早いな」

「テスタロッサたちの情報からの分析です」

 

 

 ルウェルは分身体から僕の体に戻ってくる。隣では激しい土煙と爆撃音が鳴り戦いが続いている。自分の戦いの最中に横目で見ていたがユキは上手く戦っているようだ。様々な銃弾の威力を使い土煙を起こして戦っている。

 

 

「うまく戦ってるな」

《ユキはかなり頭がいいのでそのおかげもあるのでしょう》

「だろうな。あの7人と比べても上位に入るだろう。テスタロッサと同じくらいだな」

 

 

 ユキはなんとか戦っているがそれでも実力差は歴然だ。剣を使っていないとはいえ2人の実力差は見て明らかだ。本来であれば瞬殺されてもおかしくないのだがそれでも僕が戦っている間一度も倒されていない。

 戦い方としては倒すと言うより粘ると言う感じだ。撃ってる弾幕の壁が破られたら自身を身体強化して一気に間合いを詰める。そのまま殴ったり銃身で脇腹を殴る。

 魔素量に関しては僕に引けを取らないのでただのパンチなどでもマヤが引くわけだ。

 

 

「あーもう腹立つ」

 

 

 そういい空間を開き剣を取り出す。

 

 

天魔の一撃(メフィストストライク)

「は!?」

 

 

 ユキは言葉と裏腹にかなりの数の弾丸を放つ。しかしそれでは剣を持ったマヤは止まらない。やばいと思った僕は間に入り剣を受け止める。そのまま勢いを使いマヤを転ばす。

 

 

「はいここまで。マヤの負けね」

「うぅ」

「ユキもマヤも戻るよ。帝国が動いたって報告が入った」

 

 

 

 帝国が動いたのでここまでだ。本当ならもう少し鍛えたかったが動いたなら備えないといけない。リムルには今回軍の方を任せてある。テスタロッサたちもそっちに参加だ。ただユキ、マヤ、ビアンカ、フローラは僕の指示で動くことになっている。広場に向かうともうすでに各部隊の隊長たちがいてテスタロッサたちの配属も決まったようだ。

 

 

「さてとリムル後は任せるよ」

「は?お、おいおいおいシスタはどうするんだよ」

「ちょっとね。気になることがある」

「はぁ〜なら本隊が出てくるまでに帰ってきてくれよ」 

「それは約束する」

 

 

 リムルはそれ以上何も言ってこなかったので僕たちは広場から離れる。

 

 

「それでどうするの?」

「とりあえず誰にも見えないところまで上ろうか」

「なぜですか?てっきりまたあちらに行かれるのかと」

「悔しいけど今の僕の力でもあいつには勝てない。なら結界が有効の間に力をつけるよ」

「そうですか」

「それで何するのさ。ここからなんて何にもできないよ」

 

 

 今僕たちがいるのは地上から遥か上空。ここから魔法を撃っても届くまでわずかだが誤差が出るだろう。

 

 

「目的はある人物の呼び出しかな」

「こんなところに来る物好いるの〜?」

「まぁしばらくは様子を見てようか」

 

 

 そこからホログラムで各戦場の様子を映し出す。なかなか面白いことになっているようだ。これはリムルにも言っていないがリムルの様子も写している。リムルの対応も見てみたいからだ。

 そこから1時間ほど経った頃莫大な魔素がこの場に近づいているのがわかった。

 

 

「シスタ!」

「わかってるよ」

 

 

 そして目の前に現れたのは待っていた人物その人だった。

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