最強の相棒として転生した件   作:麒麟@

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56話

「久しぶりね」

「やっぱり来たな」

 

 

 目の前に立つのは蒼髪にチャイナドレスを着た人物だった。

 

 

「ヴェルグリンド」

「ふふ、久しぶりの再会を喜びたいのだけれどその前にテンペストを渡してくれる?」

「それをどういう意味で言ってるのか教えてくれるのか?」

「言葉通りよ」

「それの意味を分かってて俺に言ってるのか?」

 

 

 その言葉にマヤたちは驚く。いやマヤは動揺があったがそれほど驚いてはいない。

 前にこの言葉遣いを聞いているのだ。

 

 

「それは本当に戦争をするということでいいんだな」

「ええ、そもそもあなたがここにいることがわたしからしてみればよかったのよ」

「もしかして俺を消せるともでも」

「そのために私自ら来たのだもの」

 

 

 ヴェルグリンドは魔素を解放する。しかしその威圧感は何か物足りない。いや足りないというより今のヴェルグリンドではこれが全開のようだ。

 

 

「まさかそれで戦う気か?」

「ええ、あなたを滅ぼすのはこれで十分よ」

「そうか。さてと4人とも手を出さないでくれよ。すぐに終わらせてくる」

 

 

 飛び出すとヴェルグリンドはタイミングを合わせて刀を創造して斬りかかってくる。その瞬間刀を構えるのではなく手のひらの上に一つの球体を作った。今の俺が作れる最強のうちの一つだ。それに刀が当たると刀は砕けて吸収されていく。

 

 

「仮にも神話級を砕くなんてなんなのそれ」

「さてここで問題だ。神話級が厄介な点とは」

「そんなの性能でしょう」

「まぁそれもあるんだけど一番は修復能力だ。壊れようが欠けようがある程度の時間があれば修復する。それが厄介なんだよ。ならどうすればいいのか。考えた答えがこれだ」

 

 

 重力を極限まで固めてブラックホールを作る。ただ作るだけでは周りの人や物を全て吸い込んでしまう。だから層の境目を作る。その周りに普段の重力を纏うということをすると周りには何も被害が出ない。それに対して刺激が加わるとそこからそこが弾けてそこから全てを吸収する。

 

 

「あなた一体どこまで強くなるのかしら?」

「んーわかんないけどとりあえずこの世界の誰よりも」

「そう」

「それでまだやる?マヤの時助けてもらったからできれば殺したくはないが」

「そうね。ここでやりあうのは得策じゃないわ。とりあえず引くわね」

「それなら軍を引いてくれると助かるんだが」

「それは無理よ。ルドラが望んだことだもの」

 

 

 その時のヴェルグリンドの言葉は声色自体はいつもと変わらなかったがとんでもない重さを感じた。これはもう決定事項なのだろう。

 

 

「はぁ〜分かったよ。とりあえず帰れよ。殺したくはないからな」

「分かってるわよ」

 

 

 ヴェルグリンドは落ちていく。比喩ではなくそのまま落ちていったのだ。あの服で落ちていって大丈夫なのか?下でたまたま上見たやつとか卒倒しそうだが……

 

 

「シスタ様何を考えているのですか?」

「フ、フローラ。何も考えてないわ。気にすんな」

「あっやしぃなぁ〜。何かやましいことでも想像してたんじゃないの?」

 

 

 なんでこういう時の女は極端に鋭いんだ、らまぁ考えてただけで実際のところ興味はないのだが考えたのは事実だから何も言えない。

 

 

「まぁ後は戦況を見ておくか。テスタたちにも本気は出すなと言ってあるし」

「シスタ〜お腹すいた」

「お前は全く」

 

 

 マヤが文句を言い出したので仮の地面と机を出す。最低限の強度はあるために後は浮かせる力さえ発動していればいい。そこに飲み物とお菓子を用意する。後は戦場の映像を流すだけだ。

 

 

「ところでよシスタはあの女が来ることわかってたのか?」

「んー半々ってところだけどヴェルグリンドの性格からしてくると思ってたよ。何気に神経質だから。戦争を仕掛けてくるくらいだから余計な目は積んでおきたいんだろうね」

「そこまで分かってるならなんでこのメンツなんだ。本来ならもっと戦力がいるだろ。あいつヴェルドラと同じ気配がしたから」

「そこまで感じ取れるなら上等上等。ユキもだいぶこの世界に慣れたようで」

「まぁ嫌でもなれるな。殺伐としすぎだろ」

「ユキが元いた世界はどうだった?」

「何にも覚えてねぇ」

 

 

 その言葉に絶句した。正確には何も言えなかった。ユキが元いた世界でどういう扱いだったのかは知らないが少なくとも戦いに近いところに身を置いていたはず。今も人を撃つのには躊躇いがあるが体の動かし方は戦いに身を置いていた物の動きだ。

 

 

「まぁ思い出したら教えてくれ」

「了解だ」

「さてさて戦況はいかがかな」

 

 

 戦況を見ると最初は五分。しかしすぐに巻き返していくテンペストの軍隊。直ぐに巻き返す。その直後帝国軍が次々に死んでいく。映像だけではわからないがおそらくテスタたちが殺ったんだろう。

 

 

「やっぱり強いなぁ〜」

「それをシスタが言ってもねぇ」

「そうだね。シスタは私が知ってる限りじゃ一番強いから」

 

 

 やめてやめて恥ずかしい。ビアンカまで賛同するとなるとなかなか恥ずかしい。ユキは世界を知らないと言ってもいい。ただビアンカとフローラはあの世界のことを知っている。お世辞とわかっているから恥ずかしい。

 

 

「まぁその話は置いといて流れを見るか」

「そうだねー」

 

 

 お茶のおかわりを要求してくるマヤにお茶を入れて今の状況を改めて確認する。なんだかんだでテスタロッサたちが大暴れしているようだ。とりあえず今のところは手を出さないほうがいいだろう。先遣隊とも言える部隊が壊滅したことで一時的に休戦のような状態になったみたいだ。 

 

 

「さてとそろそろ降りるか」

「え、もう?」

「まぁな。むしろここからが僕たちが出る本番だよ」

 

 

 シスタたちが空から降りてテンペストに向かう。その道中に何体かの魔物がいたが知性がなく襲いかかってきたので簡単に蹴散らす。

 

 

 

「リムルお疲れさん」

「俺は何もしてないけどな」

「けど途中何度か立ち上がって行こうとしてたじゃないか」

「お前見てたのかよ」

「なかなか面白かったぞ。あそこまで慌てるリムルはシオンの料理の時ぐらいだからな」

「やめろやめろ」

 

 

 これ以上弄ってもいいことがないのでやめておく。とりあえずテスタたちを労おう。

 

 

「お疲れ様テスタ、ウルティマ、カレラ」

「あの程度疲れたうちに入りませんわ」

「ボクも全然だよ」

「我は暴れ足りなかったがな」

「3人にもそっちの関係ない顔してる4人にも頼みがある。特に3人はな」

 

 

 内容を少しずつ話していくと6人は直ぐに納得してくれた。ただ1人だけ納得してくれない。このまま話が進まなかったらなかなかにややこしいことになりそうだ。

 

 

「だからなんであたしがそんな役なんだよ」

「強さはともかく魔素量は幹部を含めてトップクラスだし」

「それだけじゃ話にならないだろうが」

「まぁそうかもな。だから基礎さえできて仕舞えば後は徹底的に鍛えるよ。全員で」

「…………鬼だな」

「なんとでもいえ」

 

 

 いくら僕でも知り合いに死なれるのはごめんだ。だからこそ生きるためのすべを教える。助けられる範囲の人間は生きてて欲しいと思っている。

 

 

「まぁやれるだけはやってみるよ」

「それでなんだけどクマラを説得してきてくれ」

「クマラ?」

「迷宮のボスの1人だよ。元々助けたうちの1人だったんだけど最近の伸びが凄くてな」

「それならそいつを────にしたら」

「却下」

 

 

 ユキが文句を言ってるが聞き入れるつもりはない。ただクマラも基本的には言うことを聞いてはくれるがここという場面ではかなり頑固だから説得自体はユキだけにやらせる。僕が出ていけば渋々だが従う可能性はある。ただそれではダメなんだ。クマラとユキはいいコンビになる。接近戦の成長過程のクマラ。中距離、遠距離特訓中のユキ。この2人が噛み合うことでかなり強力な戦力になるはずだ。

 

 

「さてとそれじゃあ軽く宴にしますか」

「シスタ様は参加されるのですか?」

「僕?しないよ。だって今回は何にもしてないもん」

「シスタ様が参加しないならボクもいいや」

「お前ら3人は強制だからな。拒否権があると思うなよ。後そこで抜け出そうとしてるカレラも」

「我が君がいない宴などに意味があるか!」

「はいはい。抵抗は無駄だから」

 

 

 パチン!と指を鳴らすと3人の体が固定される。その間に3人の部下を呼び宴の会場に連れて行くように指示する。

 

 

 

「さてと僕たちは迷宮に向かうか、家に帰るか悩むけどどうする?」

「んー迷宮に行かない?ちょっと戦いたいし」

「アタシも行きたいかな」

「なら行こうか。僕もゆっくりと休ませてもらおうかな」

「ダメです」

 

 

 にっこり笑いながら後ろから声がする。振り向くとシュナが圧を放ちながら笑っている。

 しかしその圧には例え魔王であっても逆らえない。あのミリムですらシュナには敵わないのだ。

 

 

「はい……でも仕事は終わらせてませんでしたか?」

「今回の戦争の中間処理です。後何より宴会に来ないなどと言われるのですか?」

「い、いや今回僕何もしてないし」

「そんなの関係ありません。シスタ様が来て嫌がる方がいらっしゃるとでも?」

「い、いや、けど」

 

 

 その間もずっと笑ってる。何も言えずに完敗した僕はスライムの形態でシュナに連れていかれたのだった。

 

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