ペプシマンIN幻想郷   作:雨宮季弥99

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本当にふと思いついた小ネタを勢いだけで書きあげました。

外伝作品だけ別で上げるほどの話数もないので本編の合間と言う形で入れておきます。


ペプシマンIN幻想郷外伝Ⅰ
ペプシマンIN幻想郷外伝 暁の水平線にペプシを刻め


 その日、私達は深海棲艦との決戦に赴いていた。鎮守府には防衛のための僅かな部隊を残しただけのまさに総力戦。そして敵方も多数の姫級、鬼級、数えるのもばからしくなる程のザコどもがいる。

 

「全艦攻撃開始!」

 

 私の声を合図に艦載機が、砲撃が、魚雷が、互いの陣営に向かって飛び交う。こちらはだれもかれもが一級の錬度を誇っているためこの程度で沈む者はいない。だが、向こうは何分にも数が圧倒的だ。こちらの砲撃にも怯まずに突撃してきた敵部隊とこちらの部隊はさして時間を置くこともなく肉薄。白兵戦を含めた戦いが繰り広げられる。

 

「はあああ!」

 

 襲い掛かる人型の軽巡、重巡を拳で、蹴りで薙ぎ払う。こう距離が近くては砲撃をする余裕もない。だが、薙ぎ払った敵の影から、一つの人影が私にとびかかってきた。

 

「アハハ……沈メ! 沈メ!」

 

「レ級か!」

 

 飛びかかってきたレ級の攻撃を交わし、こぶしを繰り出すが敵もさるもの、こちらの肉弾戦についてくる。くっ、思った以上にやる。だが、私がここで負けるわけにはいかない! いかないのだ!

 

「おおおおお!」

 

「アハハハ!」

 

 互いに手四つで組み合い、睨み合う。互いの視線が交差した……その時。

 

「……なんだ?」

 

「……?」

 

 突然何やら軽快な音楽が耳に届いた。レ級にも聞こえているのか、私と同じように不思議そうな顔をしている。この砲撃の中を、いったいなんの音楽なんだ?

 

「! 長門さん、あれを見てください!」

 

 赤城の指差した方向を見ると……そこには人影があった。だが、ただの人影ではない。銀色と青色によって描かれた体の色。目も鼻も口もないのっぺらぼうのような顔。艦娘でもなく、深海棲艦とも思えない容姿であるにも関わらず海の上を走る……そうだ、私たちのように滑っていない、走っている! な、なんだあれは!

 

「ナ……ナンダアレ!」

 

 レ級も見たことがないのか、顔が青ざめている。そしてその人影は……まっすぐこちらに向かって走ってきている! 逃げ出す暇もない!

 

 そう思った時には既に遅く、その人影は私達の目の前に来ていて……その異形の姿に私とレ級は思わず抱き合っていた。

 

「な、何者だお前は!」

 

 私の問いに人影は……なんだ? 腰に手をやったと思ったら、アルミ缶のジュース? を取り出し……。

 

「ゴクッ……ゴクッ……ゴクッ……」

 

 おもむろに飲みだしたと思うと、そのまま全部飲み干して……。

 

「プシャーーーー!」

 

 手を突き出してそう叫んだ。と言うかこいつ、口があったのか?

 

「私の名前はペプシマン! ペプシを求める人にペプシを渡すのが私の使命!」

 

 ペプシマン……? 聞いたことがない。本当に何者なのだこいつは。

 

「人は戦いをする。その理由は様々だ。国のため、家族のため、故郷のため、愛のため、思想のため、宗教のため……理由は様々ある」

 

「だが、戦う前に話し合いをする事は可能なはずだ。人は言葉を持つ、欲望を抑える理性を持つ。戦うなと言うことはできない。だが、戦う前に少しだけ……そう、少しだけでも話し合いをしてほしい。もしかしたらそれで、戦いをせずに済む方法を見つけることができるのかもしれないのだから」

 

 そう言うと、人影は自分が飲んだジュースを再びどこかから二本取り出し、私とレ級に差し出す。私達は思わずそれを受け取ってしまった。

 

「この先の無人島にこのペプシを大量に置いてある。他の人達が飲みたいのならばそこから取っていってくれ」

 

「あ……わ、わかった」

 

「……ワカッタ」

 

「うむ。ではサラバだ!」

 

 そう言うとペプシマンは現れた時と同じように海の上を走って去っていった。私達はそれを見送ることしかできなかった。いつしか、敵も味方も攻撃を忘れ、彼が走り去る後ろ姿を見送るだけだった。

 

「……」

 

「……」

 

 戦場とは思えない静けさの中。私とレ級は何も言わないまま互いを見つめ……そして。

 

「クッ……ハハハハ」

 

「……アッハハハハ」

 

 互いに笑い出してしまった。

 

「……ハッ、戦うのがばからしくなってしまった。どうする、まだやるか?」

 

「……イヤ……ヤメヨウ……ソレヨリ……ヤッテミルカ? ……話シ合イトヤラヲ」

 

「そう……だな。やってみようではないか」

 

 自分でもバカなことを言っていると思う。実際、後ろにいる赤城らへんは驚いているだろう。だが、さっきのペプシマンとやらに比べれば深海棲艦と話し合いをする事が難しいことなわけもないんじゃないか? 向こうも、同じ言葉を話すのだから。

 

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