イリヤを救う為なんだ!   作:大いなる犠牲

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キャスター

今朝方、イリヤからランサーの襲撃を受けたと連絡が入った。

 

「キャスター!」

 

「落ち着きなさい。難なく迎撃して見せたとあの娘が鼻を高くして言っていたでしょう」

 

寝着のまま飛び出そうとするウルを止めたのは彼女の『サーヴァント(使い魔)』であるキャスターだった。

本来ならその役目はアインツベルンからウルを補佐する為に付けられた専属メイドであるセラが賜る筈であるが、彼女は別件でイリヤの方へ出掛けていた。

 

「それに――、最後のサーヴァントが召喚され正式に聖杯戦争が始まってしまったのだから、貴方がイリヤスフィールに会いに行けば、あの偏屈爺に結ばされたギアスが発動して死ぬわよ」

 

(まぁ、あの程度の術式。発動する前に破壊するなんて容易いのだけれど)

 

召喚時に纏っていた死に装束のような装いから、藤色のブラウスに黒ズボンという……かなりラフな姿になったキャスター。

彼女は困ったように頬に手を当て、この頑固なお子さまにどうやって言い聞かせようかと考えていた。

 

「でも、襲撃を受けたって事は森の結界が破られたってことでしょう?

私とキャスターなら、前よりもっと頑丈に直せるもの」

 

「イリヤスフィールのサーヴァントはギリシャ最強の大英雄なの。ヘラクレスを十二回も殺せるサーヴァントなんて、それこそ神霊クラスでも引っ張ってこないと不可能よ。結界なんて拠点が割れてしまった後ならいくら張り直しても壊されるだけ、はっきり言って魔力の無駄使いだわ」

 

「うぐぐぐぐ」

 

恐らく、緊急時のギアス解除を狙っての考えだが、無意味だ。そう優しく諭すように教え込む。

自身のマスターは子供だが、現代の魔術師としてはかなり優秀で、サーヴァントとして冷遇された覚えもなければ、私の意見を可能な限り飲むという破格の条件によって、かなり癖のある工房を用意して貰った。

現状、待遇に不満はない。更にこの地に降りる前に、アインツベルンが保有するプライベートジェットの順路を変え――――聖杯へ掲げる願いすら叶えて貰った。

 

裏切りの魔女として知られる私が言うのもなんだが、ここまでされておいて裏切るようなサーヴァントは真性悪か異端者のどちらかだろう。

 

「それよりも、あの姑メイドがもうすぐ帰ってくるわよ。

そんなだらしない姿、どれだけ小言を言われるか……悪いことは言わないから、さっさっと顔を洗って髪を梳かしてきなさい」

 

「……もうっ、セラからおねえちゃんの話聞くからいいもん!キャスターの意地悪!」

 

プンスカ鼻息を荒くして……それでもセラの説教が怖いのか素直に洗面台へと向かうマスターに視線を送りながらキャスターは嘆息を漏らした。

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