仮面ライダー鎧武~ミライの果実~   作:ブレイアッ

2 / 5
前回とは比べ物にならないくらいの長さ
前回の二倍以上です、変身シーンを細かく書いたらこうなりました。主人公はまだ変身しません


2  大根!  土を踏んではいけません!

2  大根!  土を踏んではいけません!

 

 

  会計を済ませ、店の外へと出る耕一

  ポケットから地図を出し、宿泊予定のホテルへと向かう。途中で知り合いの家に立ち寄ってみたが生憎と出かけているようで留守だった

 

  しばらく歩き、宿泊予定のホテルに到着。チェックインして予約していた部屋にキャリーバッグを置いて再び沢芽市の街を歩く

 

  今度の目的地は街中のステージ、シャルモンに行く途中で知ったビートライダーズのダンスを見るためだ

  地図を片手に一番近い西のステージへと歩みを進める耕一

 

  しばらく歩くとステージの前には人だかりが、ステージの上では青い服で統一した十代後半くらいの男女が踊っている

  彼らのチームの名は”鎧武"、最近沢芽市のビートライダーズのランキングで上位に上がってきたチームだ

 

  ジャンプなどを中心に、個人で、複数で、左右対称にと様々な変化をつけて踊る彼らのダンスはまだまだ未熟ながらも心から楽しんで踊っているのが伝わってくる

  一通り曲が流れ終わり、ダンスも終了したのだろう。観客の拍手のなか手をふりながら楽しそうに、そして名残惜しそうにステージから降りる”鎧武"のメンバーの様子からは本気で楽しみ、本気で頑張っている証だ  

 

「うん、良いものを見せてもらった」

 

  耕一はそう呟いてきびすを返し、ホテルへと向かう

  

「また、明日も来よう。頑張る子供見るのは嫌いじゃない」

 

 

●∴○

 

 

  翌日

 

  ふと耕一が立ち寄った高架下では何やら人だかりができている

 

「ん?」

 

  何やら盛り上がっている様子の人だかりから全体的に黒めの服を着た十代後半くらいの青年が飛び出し、耕一にぶつかる

 

「おっと」

 

  何があったのかは不明だが、足下がふらついている

  喧嘩でもしたのだろうか?  と考えながら彼の顔をのぞきこむ

 

「…………っどけ」

 

  青年は耕一の体を押し退け、どこかへと去って行った

 

「んーなんか危なっかしいなぁ、あの子」

 

  青年が去って行った方を見やって呟いた

 

 

●∴○

 

 

  時は少し経ち、西のステージ

 

「あちゃー、もう始まってたか」

 

  昨日と同じようにチーム”鎧武"のダンスを観ようと耕一がステージへと着いた時にはもうダンスは始まっていた

  今度は最初から観ようと思っていたのに地図なしでも大丈夫だろうと楽観的に見たのが間違いだった。道に迷って着いた先は東のステージ、改めて地図を見ると真逆方向だったことに気付いた彼は急いで西のステージまで跳んできたのだ

 

  急に音楽が止まり、ダンスが中断される

 

「こういうもので公共のステージを使わせるのなら、もっと厳正なる審査の上で発行するべきよね!」

 

  音楽を止めた張本人、鳳蓮がステージに上がって言う

 

「私達のダンスの良し悪しを、何であんたが決めるのよ!?」

 

  鎧武のメンバーの一人が鳳蓮に反論する

 

「誰も決めようとしないからよ!芸術は、選りすぐりの本物だけを残していかなきゃ!あなた達のような偽物を誰もが放っておくから!文化が廃れてしまうのよ!」

 

  確かに、彼ら”鎧武"のダンスはまだまだ荒削りで、プロに比べると見劣りする

  しかし、彼らはプロにも負けないくらい楽しんで踊っている。いずれ彼らの中からプロのダンサーになって人前で踊るようになる者もいるかもしれない

  だからこそ耕一がもう一度観たいと思い、人々が観客として集まるのだ

 

「芸術とか文化とか、そんなの僕達には関係ない。」

 

  鳳蓮の気迫にも負けずに反論する鎧武の青年

 

「そうです。楽しいと思った気持ちを皆に伝えるのが、どうしてダメなんですか?」

 

  楽しいと思って踊る、観客に楽しいという気持ちが伝わってさらに踊り手が楽しいと思う

  そういった楽しいの連鎖が延々と続くのがストリートダンスの良いところだ

 

「甘ったれんじゃないわよ!そうやって気安く人前に立つなって言ってんの!」

 

  鳳蓮はどこからか黒い、刀のような意匠が凝らされたベルトのバックルのようなものを取りだし、腰にあてる

  バックルの名を『戦極ドライバー』という

  腰にあてられた戦極ドライバーから黄色いフォールディングバンドが出現し、ベルトとなって鳳蓮の腰に固定される

  ポケットからドリアンの果実のような錠前を取り出す

  錠前の名は『ドリアンロックシード』

  鳳蓮はドリアンロックシードの解錠スイッチ、アンロックリリーサーを押し、ハンガー・スライドシャックルを開く

 

《ドリアン》

 

  鳳蓮の頭上にジッパーが開き、ドリアンの果実に酷似したものが出てくる

 

「変…身」

 

  ドリアンロックシードを戦極ドライバーのドライブベイに装着、スライドシャックルを閉じて施錠

 

《ロック  オン》

 

  エレキギターのような音楽が辺りに流れる

  鳳蓮はバックルの刀のようなもの、カッティングブレードを倒し、ドリアンロックシードのキャストパッドが開き、シードインジケーターが露になる

 

《ドリアンアームズ!  ミスターデンジャラス!》

 

  頭上で待機していたドリアンが鳳蓮の頭に落ちる

  すっぽりとドリアンに鳳蓮の頭が収まると鳳蓮の体を黄緑のライドウェアが包む、同時に頭部のドリアンが展開、アイアン・メイデンを連想させる刺々しいデザインの鎧を身に纏う。ドリアンの果実から現れた兜、ドリキングカスクの左目周辺には傷のような意匠がある

  鋸型アームズウェポン、ドリノコを両手にもつ彼の名はアーマードライダー『ブラーボ』

 

  さっきまでとは比べ物にならないほどの威圧感を放つブラーボにたじろぐ鎧武のメンバー

  そんな彼らとブラーボの間に割り込む青年がいた

 

「紘汰!?」

 

「危ないから下がっとけ。あいつは強敵だ、助太刀するぜ」

 

  彼の名は葛葉 紘汰、元”鎧武"のメンバーだ

 

「あら、あなたもビートライダーズだったのね。道理でセンスのない格好してる訳だわ。」

 

「なっ……!あんた、水瓶座の俺とは相性悪いんだってな?星占いなんて信じる気は無いが、今度ばかりは納得だよ!ミッチ!」

 

「はい!」

 

  ミッチと呼ばれた青年、呉島 光実が紘汰の隣に立つ

 

  二人同時に戦極ドライバーを腰に固定させ紘汰はオレンジの果実を模した錠前を、光実はブドウの房を模したロックシードを解錠する

 

《オレンジ》

 

《ブドウ》

 

  二人の頭上にジッパーが開き、それぞれの上にオレンジの果実に酷似したもの、ブドウに酷似したものが待機する

 

ドリアンロックシードを戦極ドライバーのドライブベイに装着、スライドシャックルを閉じて施錠

 

《《ロック  オン》》

 

  辺りに和風テイストの音楽と中華テイストの音楽が混ざりあって響く

 

「「変身!」」

 

  二人同時にカッティングブレードを倒し、それぞれのロックシードが展開する

 

《ソイヤ!  オレンジアームズ!  花道オンステージ!》

 

《ハイー!ブドウアームズ!  龍・砲・ハッハッハッ!》

 

  すっぽりとオレンジとブドウに紘汰、光実の頭が収まると紘汰の体を紺色の、光実体を緑のライドウェアが包み、頭部の果実が展開する

  紘汰は日本の鎧武者を連想させるオレンジ色の鎧を、光実は中華の鎧を連想させる紫色の鎧を身に纏う

 

  鉱太が変身したアーマードライダーの名は『鎧武』

  光実の変身したアーマードライダーの名は『龍玄』

 

  龍玄が後ろに下がり、鎧武が前に出る。龍玄が後衛、鎧武が前衛でブラーボに挑む

 

 

●∴○

 

 

「んむ」

 

  畑山耕一は少々不機嫌になっていた

  理由は言うまでもなく凰蓮だ。せっかく少年たちのダンスを観に来たというのにそれを中断させ、少年たちの主張を無視して戦いを始める大人げないブラーボのせいだ

 

「あんた、誰よりも頑張って立派なケーキ職人になった。それを誇りにしてんだろ!?」

 

  鎧武が戦いながらブラーボに言う

 

「そうよ?  私こそが本物のプロフェッショナルよ。」

 

「だったら!  自慢のケーキを作ってるだけで胸を張ってればいいじゃないか!  こんな馬鹿げた事をやるよりも、余程みんなが喜ぶはずだ!」

 

  鎧武の発言に耕一は心のなかで強く頷く

  彼の言う通りシャルモンの、凰蓮のケーキは素晴らしい。それは間違いない

 

「黙らっしゃい!」

 

  鎧武の言うことなど聞く耳持たず、ドリノコによる斬撃をあびせる

 

「紘汰さん!」

 

「ミッチ!」

 

  一度ブラーボから距離をとり、銃撃をあびせる二人、ブラーボはドリノコを回転させることによりすべて防ぎ、ドリノコを投擲してカウンターをする

 

「そうだわ!ちょっとあの子の真似をしてみようかしら?」

 

  そう言って取り出したのは大量のロックシード、ブラーボはそれを片っ端から解錠し、その場に放り投げる

 

「なっ!?」

 

  ブラーボの行動に驚きの声を上げたのは耕一だ

 

  空を覆い尽くさんばかりの門から大量のインベスの群れが出現する

 

  本来のインベスゲームなら決して解錠したロックシードは手放さない、もし手放してしまえばインベスたちは完全にコントロールを失い、暴走状態になる

 

「コントロールはどうすんだよ!?」

 

「はあ?何よそれ。」

 

「インベスゲームの初歩さえ知らないなんて!」

 

  例え話をしよう

  もし、凰蓮の厨房に料理をしたことのない人間が我が物顔でケーキ作りをし、客に出す

  これほど迷惑かつ危険なことは絶対にしない、誇りとプライドをもってケーキを作っている凰蓮なら激怒するだろう

 

  凰蓮がケーキ作りの専門ならインベスゲームの専門はビートライダーズだ 

  下手にその専門の領域に手を出してはいけない

 

  暴走状態のインベスたちは無差別に人に襲いかかる

  ステージを見ていた観客は一瞬で悲鳴を上げ、逃げ惑う

 

「…………はぁ」

 

  耕一はため息をつき、白衣の内ポケットから戦極ドライバーと酷似したものを取りだす

  それを腰に当てると黒いフォールディングバンドが出現し、固定される

  すぅっ、と息を吸い

 

「ストォォォォォップ!!!」

 

  空気を振動させるほどの大音声で叫ぶ

 

  その大音声に逃げ惑う観客たちも、チーム”鎧武"のメンバーも、アーマードライダーたちも、さらにはインベスたちもその動きを止めて耕一に注目する

 

  一瞬の静寂、一番最初に声を発したのは耕一だ

 

「凰蓮《おうれん》・ピエール・アルフォンゾ、洋菓子店シャルモンのチーフパティシエ。貴方は大根を知っていますか?」

 

「知ってるわよ、それがどうしたのかしら?」

 

  大根、古くから日本人に親しまれてきた地中海原産のアブラナ科の根菜類の代表格、根だけではなく葉も食べれる利用範囲の広い野菜だ

  それはさておき、耕一の言葉に当然といったようにブラーボが答える

 

「大根は柔らかくて砂利のない土じゃないと真っ直ぐ育たないんだ。”大根十耕"って言葉を知ってるかい?  大根を育てるには先ず畑を十回耕すって意味なんだ、畑を十回耕して土の中の砂利や土の塊を取り除いて柔らかい土をつくる。でも、いくら土を柔らかくしてもそれを踏み固めでもしたら意味がない、そんなことをしたら大根は真っ直ぐ育たないんだ」

 

「…………何を言いたいのかしら?」

 

「貴方のやっていることは大根畑の土を踏み固めることと同じだ。少年たちがやりたいことをする、それは少年たちの畑を耕すことと同じ、いずれ耕した畑に種をまき、水をやり、いずれ大きくなって実を結ぶ。でも、その前に耕した畑の土を踏み固めてしまえば大きな実は成らない、もしかしたらちゃんと育たなくなってしまう」

 

「…………そう、それで?」

 

「貴方には土を踏み固めるのをやめていただきたい、答えは…………」

 

  ある不運少年は言っていた

「答えは聞いてない!」と

  しかし、耕一はそんなことはしない

 

  ぐるりと周りを見渡す、観客たちがいなくなっているのを確認して一言

 

インベス(この子)たちを倒してから聞きましょう」




大根はお好きですか?
少なくとも「大根? 嫌いじゃないわ!」って人が大半だと思います

パクチー(兄貴)「お前はいいよなぁ」

子供が嫌いな野菜ランキング1位(2014年1月17日現在)『パクチー』

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。