「……煩い」
「ギャアァァァァァァァァァァァァァァァ!?」
目の前に立ち行く手を阻んだヴィランに私の手刀がヴィランの腹に刺される。
……やはり、煩い雑音だ。静かな方が私は好ましい。
「さっさと去るか」
返り血の雨の中を一切濡れずに平然と歩いていく。
『個性』と呼ばれる物が発生してから幾年。超常が日常となった世界。そんな世界に私は転生させられた。……何故か、女性として。
灰色の髪に青と灰色のオッドアイは『開くのも億劫だから』と常に閉じている。無論、前は見えている美しい美貌だが転生前と比べてとても冷徹な性格になってしまった。
肉体の方も美しい造形をしており、同年代から比べられれば豊満な胸に色白な肌は女子から羨ましがられる。その上、肉体の性能は破格で単純な身体能力だけでもそこら辺の異形系、強化系の個性を凌駕し頭脳も明晰で一度見たものは何でも模倣できる。
(だが、その代価も大きかった)
生まれつき特殊な病気があり、治ったのが一年前。幾つもの
(神の話では、とある世界において【才禍の怪物】と呼ばれた女性がモデルらしい)
その女性に一度でも会ってみたい。私ではこの肉体の性能を十全に生かせてない。こんな体、凡人だった私には不相応過ぎる。
だが、そんな事を言っている暇はない。私はこの世界に産まれたのだから、生きなければならない。
「ねぇ、君!」
「……煩い」
煩い声で話しかけてくるヒーローに鬱陶しそうに振り向く。
実を言うとヒーローだろうと煩いから攻撃しても良い。だが、ヒーローは公僕。敵対したところで利はない。
「それで、何のようだ。私は学校に向かっているのだが」
「君、ヒーローに興味はないかい?ヒーローに興味があれば是非うちの事務所に来ないかい?」
「……私は中学生だ。通学の邪魔だ、さっさと失せろ」
「え!?で、でも」
「煩いと言っている。【
鬱陶しく、そして煩く喚くヒーローに向けて手を向けると唱える。
「ギャアァァァァァァァァァァァァァァァ!?」
次の瞬間、ヒーローは醜い雑音と共に吹き飛ばされる。
私の個性はこの体の本人の技術と力、そして才能。正式名称は【静寂】。この攻撃の正式な名前は【サタナス・ヴェーリオン】。【
神の話では、この体の人物のいた世界では一定の条件と才能によって魔法が普通に使える世界だったらしい。これもその一つだが……あまりにも威力が強すぎるため、常に発動させている魔法でセーブさせている。
「やはり、煩い」
自分の魔法が一番の雑音。妹の才を奪った憎むべき才能。
だが私は生きなければならない。手術のかいなく死んでしまった、
私は誰よりも優しかった妹のためにも生き続る。
それが、アルフィア・テーネシアの生き方だ。
………あれ?アルフィアから持病抜いたら最強クラスじゃね?