──今はもう無き旧世界、《ベルカ》。そこで産まれた旅する魔導書、〝夜天の魔導書〟。幾度の主を経て夜闇が強まったその魔導書は、白き月の光によって再び静寂を取り戻した。
コレは〝夜闇を切り払う為に造られた陽光〟が十六夜と出会う物語だ。
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こ こ に あ る
僕は何時ものように無限書庫で業務していたら〝声〟が聞こえた、
の ぞ む も の は こ こ だ
その〝声〟は最早〝魔法〟の域にまで届く程強力だった。
僕の頭は真っ白であるのと同時に体はソレを求めるがままに手を伸ばした。
そして
──僕はその〝熱〟を受け入れた
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無限書庫司書長室、そこは読んで字が如く無限書庫の長たるユーノの部屋である。そこに客人を招き入れる事も少なくは無いが、今回の来訪者は少々特殊過ぎてユーノ自身困惑していた。というのも……
「とりあえず君たちとその〝陽天の魔導書〟について詳しい事を教えてくれる?」
「はい、我が主」
見た目が〝八神家騎士一同によく似ている方々〟だからだ。
「先ずは我らの自己紹介からさせて頂きます。私はアストラと申します。ヴォルケンリッターの将、まとめ役をやらせてもやってます」
そう言いながらシグナムに似た、紫の短髪をしている男性は礼儀正しくお辞儀をした。
「次はボクだね! 全てをぶち破る
次はヴィータに似ている性格とは真反対な印象を覚える濃い青色の髪をしている少女が挨拶をした。
「それでは次は私が、陽の癒し手・花の騎士カムシンと申します。サポートがメインで治療も出来るのでマスターも怪我等をした際はお申し付け下さいね」
今度は髪色が真っ赤なこと以外は基本的にシャマルさんに似ている女性だ、髪色から陽ではなく火なのではと思ってしまった。
「そして我は剣の守護獣アントラクス、主の平穏を護れたら幸いです」
最後に簡潔に閉めたのはまるで本当に剣なのではないかと思ってしまう鋭さと、銀色の髪を持つザフィーラ似の男性だった。
「うん、自己紹介ありがとう。それでもう一度聞くけど陽天の魔導書と君たちの事、ソレに追加でなんで僕が君たちの主になっちゃったのかも教えてくれる?」
「分かりました、ソレでは先ず我らが造られた経緯から話させて貰います」
僕の質問に将であるアストラが応える。
「先ず主も既にお気づきであると思いますが我らは〝夜天の魔導書〟のコピーのような物です」
「うん、確かに皆夜天の騎士達とよく似ているしね。でも所々違うのはなんで?」
「ソレは我らが夜天の魔導書……いえ、主が分かりやすい様に仰るとしたら〝闇の書〟の対抗策として〝当時の主〟に造られたからです」
「なっ?!」
急に想定外の情報が出てきたことにより僕は言葉を失ってしまった、容姿や魔導書の名前から夜天の魔導書と深い関わりがあるのは察していた。けれどまさか闇の書への対抗策とは思ってもいなかった、そしてソレを造ったのが誰でもない夜天の主である事も。
「当時の主は心優しく人道的な方でした、ですが同時に優秀な魔導師でもありました。元々は国を豊かにする為の研究を行っていましたが、時が流れるにつれ国同士の戦争は激化していき兵器等の研究に駆り出されるようになりました。そんな時でした、夜天の魔導書が主と出会ったのは」
そこからは早かったという、夜天の魔導書は『研究』という目的から『破壊』という目的に変わっていった。勿論当時の主の本意ではなかった、しかし時代がソレを許してくれなかった、国がソレを許してくれなかった、敵がソレを許してくれなかった。
「ただ主は夜天の魔導書を改変する事に対して最後まで心では反対していました、どうにかしなくてもいいようにはならないか、どうにか彼女達の平穏を護れないか……そうして行き着いた先が〝夜天の魔導書の復元とその為の
アストラの顔や声からは悔しさや無力感を強く感じ取れたから言ってる事は嘘でないと判断した。けれどどうも腑に落ちない事があった。
「君達が造られた経緯は分かった、君たちの想いも……けどどうしても分からないことがある」
「それはなんでしょうか?」
「〝どうやって君達をその主は造ったか〟が分からない、夜天の守護騎士達はとても強い。それに対抗する為に夜天の魔導書をコピーする、そこまでは理解できるが君達を構成する為に必要な魔力はどうしたの?」
「それは夜天の魔導書の転生システムを応用しました」
「転生システムを?」
「はい、元々の転生システムは魔法をページいっぱいに収納したら〝真っ白な夜天の魔導書〟と〝魔法が敷き詰められた魔導書〟の2種を産み出す物だったんです。この場合魔法が敷き詰められた魔導書の方に魔力自体は込められていませんが、システムの改ざんを行い1回限りでしたが魔力の分散を行いながら新たな魔導書を産みだすという事に成功しました。魔導書の自動防衛機能が発動して半分の力とは行きませんでしたが、当時の夜天の魔導書の約3分の1の魔力を陽天の魔導書に移す事が出来ました」
「なるほど……ありがとう、君たちの今までの経緯は何となくだけど把握はしたよ。次はなんで僕が君達の主になっちゃったか教えてくれる?」
「あぁその、それにつきましては本当に事故に近い事案でして」
「事故?」
「実は陽天の魔導書にも闇の書同様に次元を超える機能があります、ソレを使用して闇の書を追い、現地の人若しくは我らのみで闇の書と対峙する事となっていました。ですがあの空間──無限書庫に転移して以降その機能が使用できなくなったんです」
「え? 無限書庫に来てから? システム不良とかではなくて?」
「ボク達も最初はソレを疑ったから自己修復機能を真っ先に使ったんだ、けどソレは正常に作動した上で問題なしという結論が出た。だからボク達は〝この空間には外に出る為の転移を防止する結界がある〟と結論付けて、ボク達自身が魔導書から出て自力で脱出しようとしたんだけど……」
「それも出来なかったと」
「はい、何故かは分かりませぬがあの空間では魔導書の能力を1部封印する結界が張られていました。ですがだからといって闇の書をこのまま野放しにする事は出来ない、ですので──」
「通りかかった僕を主として脱出を試みたっと」
「…………はい」
うーん、僕はどうやら壮大な貧乏くじを引いてしまったようだ…………
「本当に申し訳ありません主」
「いやもうそれに関してはいいよ、とりあえず今はこれからの事について──」
「いや本当にごめんねマイスター、ボク達の都合で〝人体改造紛いな事〟までやっちゃって……」
「え? …………え?」
え?