夏と刀と無限の空   作:吉良/飛鳥

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美女の浴衣姿は最高だぜ!そう思うだろ弾!By一夏     おうよ、異論はねぇ!!By弾      そう、なら思い切り魅了してあげるわ♪By刀奈


Episode37『夏休み其の弐~勉強会と夏祭り~』

夏休みと言うのは、宿題はあれど学業から解放されて羽根を思い切り伸ばせる期間ではあるのだが、だからと言って己の鍛錬を怠っても良いのかと問われれば其れは断じて『否』であろう。

羽を伸ばせるからと言って、其れにかまけて鍛錬を怠ったらトンデモないしっぺ返しを喰らうからな――だからこそ夏休みであっても、一夏は己を鍛えるのだ。

過密なハードスケジュールだった挨拶旅行の期間は真面にトレーニング出来なかったが、長旅の疲れがある中でトレーニングしても良い結果は得られないってモノだから、滞在先での事は逆に軽い休暇だっただろう――ドイツとタイでは喧嘩売られたけどね。

 

 

「くぅぅ……やっぱり、朝から身体を動かすのは気持ちいいぜ!」

 

 

当の一夏は五時に起きて早朝ランニングを一時間行った後に、地域の子供会が行っているラジオ体操に参加してバッチリ身体を動かしてるんだけどな――子供達に『ジャージのお兄ちゃん』として人気になったのは、一夏の人柄故だろう……主に女子から人気を集めていたのは、うん。まぁ、一夏は極上のイケメンなんだから、思春期真っ只中の女子からの人気が出るのは仕方ないよね。

まぁ、一夏はロリ趣味じゃないし、既に心に決めた嫁ズが居るので其れ以外の女子は、精々『仲の良い異性のダチ公』止まりなんだけどね……何とも残酷な現実である。残酷な天使のテーゼも真っ青な残酷さだ。

 

取り敢えず、朝から中々のハードメニューな一夏だが……

 

 

「おい一夏、勝負しようぜ!!」

 

「あん?誰に物言ってんだお前?」

 

 

最近は少年スポーツ団に所属している男子から勝負を申し込まれる事が多くなっていた――思春期に突入した男子からしたら、女子の好意を集める野郎ってのはこの上なくムカつく存在なのだろう……或は意中の女の子が一夏に気があると言うのが気に入らないのかも知れない。

普通に考えれば小学生が高校生に勝つなんてのは無理な話なのだが、其れでも挑まずには居られないのが思春期男子の悲しい性……この位の歳頃ってのは兎に角カッコつけたいからね。

 

んで、今回挑んで来たのはミニバスのチームだったのだが、1vs5の勝負でありながら、一夏は圧勝して見せた――十五分一本勝負だったのだが、結果は40-10と一夏の圧勝!

そしてただ勝つだけでなく、総得点の半分はダンクが占めていると言うのだから相当だろう……日本人男子の平均身長の一夏がダンクを決めるって事自体が可成りトンデモないん――しかもそのダンクの内の二本は一人アリウープを決めてるんだからね。此の場に嫁ズが居たら、間違いなく惚れ直してただろうな。

 

 

「中々楽しめたぜ?今度はもっと楽しませてくれよな。」

 

 

極上のイケメンスマイルと共に少年達にサムズアップした一夏は再びランニングに戻って行った――それと同時に、少年達は一夏に勝てないと言う事をその身を持って知る事になったのだった。

 

 

「そう言えば、今日は家に集まって勉強会――んで、夕方からは夏祭りに繰り出すんだったな……今日は暑くなるみたいだから、今日の昼は夏バテを蹴り倒すメニューにしておくか。」

 

 

其れは其れとして、ランニングを再開した一夏は本日の昼食について考えて居た……此処まで来ると、主夫検定一級を与えても良いんじゃないですかね?最大ぶっちゃけると、一夏以上に家事が出来る男はおらんて。弾も候補だけど、一夏にはホンの少し劣るからな。

因みに、全く関係ない事かも知れんが、ロラン、ヴィシュヌ、グリフィン、クラリッサの四人は現在更識本家にホームステイと言う形で世話になっている――一夏の家に泊まると言う選択肢がなかった訳ではないが、其れは嫁協定に違反するとの事で、全員が更識の屋敷に厄介になっている訳だ。

てか、誰一人として嫁協定を破る奴が居ないのが素晴らしいわ。此れが一夫多妻で嫁側が巧く行く秘訣なんだろうなぁきっと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏と刀と無限の空 Episode37

『夏休み其の弐~勉強会と夏祭り~』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勉強会と言っても、実際の内容は夏休みの宿題をやるだけなのでそんな大層なモノではないのだが、本日の勉強会に参加してるのは一夏チーム全員+蘭と可成りの人数なので、二部屋ある和室を普段は閉めている襖を全開にして一部屋にし、座卓をくっつけた状態で行われている。

何で蘭が参加しているのかと言うと、一夏がLINEで弾から『妹がIS学園に進学する気みたいだから勉強見てやってくれ』とメッセージが来たからだ。特に断る理由もないし、学園の事も教えてやれると思って一夏は二つ返事でOKした訳だ。

弾本人は、五反田食堂が本日の夏祭りで売る弁当や総菜作りを手伝って居るとの事で、曰く『此れも将来店を継ぐ為の修業だ』とか。此れだけやる気が充実してる後継ぎが居るなら五反田食堂はこの先も安泰だろう。……弾が不参加な事に、虚が少しばかり残念がっていたが、蘭が『お兄もお祭りには来ますから』とフォローしていたので、夏祭りデートは出来るだろう。

 

 

「さて、何か分からない所はあるか蘭ちゃん?」

 

「一夏さん……ぶっちゃけ全然分からないです。」

 

 

その勉強会では、蘭がオーバーヒートしていた。いや、決して己の宿題に白旗を上げたとかではない。自分の宿題ならば余裕で出来ているのだが、興味本位で『IS学園で出る宿題ってどんな感じなんですか?』と聞いて、一夏達がやっている問題集に挑戦してみた所、見事に玉砕したと言う訳だ。

言っておくと蘭の成績は悪くない所か、寧ろ現在通っている中学では常に上位の成績をキープしている上に生徒会長まで勤めている優等生なのだ――其れこそ、IS学園以外の高校ならば大抵は推薦で行ける程にだ。(IS学園は可成り特殊な為、中学校からの推薦枠は存在してない。企業や国家からの推薦は存在してる。)

そんな蘭がKOされる位にIS学園は学力レベルも高いのだ。

だが、其れは当然と言えるだろう――ISは本来宇宙空間での運用を考えて作られたモノであるのだから。現状では宇宙開発用パワードスーツよりも、ISバトルのツールの側面の方が強くなってしまっているが、其れでもISを扱うには東京都の電話帳とタメ張るくらいの分厚さを誇る参考書やら、とっても特殊な校則や特記事項を頭に叩き込む必要があるのでIS適性だけでなく、学力も可成り要求されるのだ――ぶっちゃけ、IS学園の偏差値は日本国内にある高校と比べても可成り高いレベルであると言えるのだ。

 

 

「なんですか此れ!並の高校のレベル超えてません!?って言うか、皆さん分るんですか此れ?」

 

「イッチー、此れお姉ちゃんの問題集だから流石に無理だと思うよ~~?宇宙開発科はIS学園でも『バケモノ頭脳の巣窟』って言われてる位に学力レベルがぶっ飛んでるんだから~~♪」

 

「あ、此れ虚さんのだったのか?そりゃ無理だよな……ぶっちゃけ、宇宙開発科の問題集は俺も分からん。てか、虚さん以外で分かる人此処に居る?」

 

 

だが、蘭が挑戦したのはIS学園でも『頭脳派』が集まる宇宙開発科の問題集だったので解けないのも仕方ないだろう……確かに学力レベルは高いIS学園だが、だとしても現役受験生がKOされるようなモノではない。単純に宇宙開発科の問題集は専門用語やら何やらが多いので、専門知識皆無の蘭が理解出来る方がオカシイのだ。

イのだ。

まぁ、其れを抜きにしても此処に居るIS学園所属の連中は、全員が日本の難関校を突破出来ると言う訳だが――一夏達は兎も角として、飛び級の乱とコメット姉妹がガチで凄いわ此れ。乱はまだ良いとしても、コメット姉妹小学生だぞ!?カナダの代表候補生兼双子アイドルは化け物か!?

因みに、一夏の問い掛けに対しては、虚以外は『No』であった……生徒会長であり、定期考査では常に三位以内に入っている夏姫でも虚の問題集は分からないらしい。矢張り相当に特殊な学科なんだろう。

 

 

「此れが特殊だったんですね。

 でも、そうじゃなくてもIS学園は学力レベルも充分高いですって……チラッと円夏さんの問題集見ましたけど、受験対策で使ってるテキストよりも難易度可成り高いですもん。

 此れは学習レベルもっと上げないと、IS学園に行くのは難しそうですね。」

 

「まぁ、蘭ちゃんの学力なら努力すれば大丈夫じゃないか?

 宿題の問題集も殆ど正解してるし、緊張してケアレスミスさえしなければ筆記も大丈夫だと思うぜ?なにより、蘭ちゃんはIS適性が『A』だったんだろ?なら、少なくとも筆記が余程悪くない限りは落とされる事は無いと思う。適性『A』ってのは、そうそうあるモノじゃないからな。」

 

「と言いつつ、私と簪、一夏と円夏は適性『A』なのよね……って言うか、此処に居るIS学園の生徒は全員が適性『B』以上で、生徒会長に至っては適性『S』だもの。

 何て言うか『スーパーサイヤ人のバーゲンセール』状態よね。」

 

 

まぁ、一夏チームのレベルが高いのは今更であるけどな。

国家代表、代表候補が集まっているだけでなく、実力も夫々が学年別のトップ集団で、学力もトップ集団だからね……陽彩が見習い神から与えられたチート持ちだとしたら、一夏チームは全員が天然チートだわマジで。

 

其れは其れとして、この勉強会に参加した蘭は大きな成果を得られただろう。自分よりもずっと上の学力の持ち主から直接勉強を教えて貰えたのだから――こう言っては何だが、一夏チームの勉強の教え方は『家庭教師のト○イ』もビックリなレベルだったので蘭もスキっと頭に入って来たのだろう。

 

そんな訳で勉強会は捗っていた――夏姫と簪が交際発覚時にロランが『何か分からない事があったら遠慮なく聞いておくれ。女性とのデート経験は豊富だからアドバイス出来る事があると思うからね』とか言ってたけどな。……一夏に惚れた事で普通の恋愛に目覚めたロランだが、そうじゃなかったら気に入ったファンの子を無節操にアレで何してかも知れないんだよなぁ……ある意味で一夏グッジョブだわマジで。まぁ、ロランは本気で惚れた相手には一途みたいだから、浮気の心配はマッタク全然してないけどね。

 

 

「さてと、そろそろ良い時間だから昼飯にするか。」

 

「そうね、そう言えばそんな時間ね。」

 

 

取り敢えず良い時間になったので、此れからランチタイムなのだが、ランチタイムに入るよりも前に先ずは買い出しだ――冷蔵庫の中にあるモノで作れるモノは既に下準備が出来ているのだが、そうでないモノは買い出しに行かねばならないのだ。

なので『ちょっと買い出しに行って来る』と言うが早いか、一夏は財布を持って商店街にレッツゴー!!超絶ブラコンの円夏や、一夏ラブが限界突破してるのが確定してる嫁ズでも反応出来なかったってのは凄まじいな。

 

だが、逆に言うなら一夏が一人で買い出しに行ったと言う事は此の家には女子しか残っていないと言う事になり、となれば当然女子トークが展開される訳だ。

 

 

「そう言えば、一夏との子供何人欲しい?」

 

 

でもって、行き成り刀奈が爆竹投げる感覚で核爆弾を放り込んだ!一夏の嫁以外には如何でも良い内容ではあるが、逆に一夏の嫁ズからしたら、重要な事であると言えよう……世界初の男性IS操縦者である一夏の遺伝子を受け継いだ子供と言うのは可成り重要なモノだからね――尤も刀奈は、そんな事は考えずに純粋に聞いただけだが。

 

 

「一夏との子供か……理想は男女の兄妹だね。」

 

「さ、三人は欲しいですね。」

 

「一夏との子供なら何人でも構わない。」

 

「いっそ、サッカーチーム編成出来る位を狙ってみようか?」

 

 

うん、意外と嫁ズの皆さんは理想があるみたいね……グリフィンが相当だが、嫁ズが二人ずつ産めば出来ない事じゃないわな――此れも、一夫多妻だから出来る事だけどな。まぁ、愛があればきっと大丈夫だろう。子供ってのは、夫婦の愛の結晶だって言えるからね。

 

 

「……あの、なんか凄い話してません?」

 

「気にするな五反田蘭。刀奈達は大体何時もあんな感じだ。」

 

「そうなんですか……って言うか、何でフルネームなんですか?」

 

「此処にはもう一人の『ラン』が居るからな、区別する為だ。其れとも姉さんの様に『五反田妹』とでも呼んだ方が良いのだろうか?」

 

「確かにアタシと被るわね……よし!本音、彼女にあだ名付けてやりなさい!アンタそう言うの得意でしょ?」

 

「お~~、任せて!乱がランランだから、ダンダンの妹は~~、オルケで如何だ~~!」

 

「その心は?」

 

「蘭は英語で『オルケッド』って言うから~~♪」

 

「……まさかのあだ名ですけど、なんかお洒落なので其れでお願いします。」

 

 

そして蘭のあだ名がオルケに決まった。序に弾のあだ名も勝手にダンダンに決定した。果たして本音のセンスは良いのか悪いのかちょっと分からない。

それとは別に刀奈達の女子トークは続き、何故か『IS学園の寮の部屋を一週間の交代制にする』と言う事が決まった……現在は刀奈が一夏と同室なのだが、其れだと不公平だと思った刀奈が提案してそうなったらしい。

ロラン達は『法律制定前の既得権では?』と言ったのだが、『だとしても、朝と夜は完全に一人占め状態って言うのは不公平』との事で刀奈が譲らず、ロラン達も一夏と同じ部屋で暮らせると言うのは嬉しい事だったので最終的に新たな嫁協定として可決されたのだ。まぁ、IS学園在籍中限定だけどね。

まぁ、そんな感じで女子トークや雑談は続いていたのだが、一夏が買い出しから帰って来た事で其れは終わり昼食の準備となった。料理は一夏がメインでするとは言っても、食器を用意したりと手伝う事はあるからね。

 

 

「一夏、何を買って来たんだい?」

 

「中華麺と馬肉、それとユッケのタレだ。」

 

「あら、どんなランチが出来上がるか楽しみだわ♪」

 

「ま、期待してくれて良いぜ。」

 

 

自身満々に言うと、一夏はキッチンに移動して料理を開始。

中華麺を茹でる為の大鍋を火にかけると、それとは別に天ぷら鍋も油を入れて火にかける……麺料理と並行して揚げ物も作るとか、マジ料理スキル高いな。

油が丁度良い温度になった所で、朝仕込んでおいた大量の餃子を入れて揚げて行く。人数が多い場合は、焼き餃子よりも揚げ餃子の方が楽なのだ。

餃子を揚げてる間に、馬肉は細かく刻んでユッケのタレと和えて馬肉ユッケを作り、朝の内に茹でて冷蔵庫で冷やしておいたほうれん草、豆もやし、人参、ゼンマイを四色ナムルに仕上げる。

この作業中も同時進行で揚がった餃子を油きりのバットに移すと新たな餃子を油の中に放り込んで行き、続いて中華麺を茹で、茹で上がったら氷水で冷やし、良く水を切ってから刀奈達が準備しておいた器に盛り、麺の上に四色ナムルを乗せ、その上に馬肉ユッケを乗せて卵黄をトッピングして『ユッケビビン麺』の完成だ。

揚がった餃子も更に盛り付け、冷蔵庫で冷やしておいたささ身と冬瓜の冷たいスープも器に注いで本日のランチが完成!!

勉強会で使っていた和室に持って行き、ランチタイムスタートだ。

 

 

「「「「「「「「「「「「「「「「いただきます!!」」」」」」」」」」」」」」」」

 

 

先ずはメインであるユッケビビン麺。一夏が『ユッケとナムルと麺をよく混ぜてから食べてくれ』と言ったので、全員其れに倣って食べてみると、コシのある麺に、ユッケと卵黄の濃厚な旨味、食感が異なる四種類のナムルが絡んで何とも言えない美味しさだったようだ。

 

 

「予想していたが矢張り旨いな……と言うか、兄さんの料理スキルが更に上がってる気がする。」

 

「料理もISと同じでゴールなんてモノは存在しない……同じ料理でも作る度に色んなアレンジを思い付くモンだ。多分だけど、カレーだけで二十パターン位レシピあるんじゃないか?」

 

「カレーだけで二十種類ってインド人もビックリじゃないの其れ?

 それにしても本当に美味しい麺だわ此れ。台湾も麺料理が美味しいけど、こんなに美味しいのは初めて食べたわよ?次はこの餃子……だけど、タレ何処?」

 

「あぁ、其の餃子はタレ無しで食べるように作ってあるから其のまま食べてOKだぜ。」

 

 

続いて餃子。乱の言う様にタレが無かったのだが、タレ無しで食べるように作ってあるとの事なので、其のまま食べてみると……

 

 

「餡にしっかり味が付いてる!此れって、味噌?」

 

「ニンニクとニラもタップリ入ってるみたいだけど、臭いが気にならないのも不思議だね?寧ろ爽やかだ。」

 

「正解!餡を作る時に味噌と一味唐辛子でパンチのある味付けをしたんだ。

 で、餡には豚ひき肉に夏バテ防止としてみじん切りのニンニクと刻んだニラをたっぷり入れて、それ等の強烈な臭いを消す為に刻んだパクチーを混ぜてたんだよ。

 パクチーは単体だとクセが強いけど、こう言う強烈な臭いの具材に加えると、独特な風味で臭みを消して、逆に爽やかな味わいを演出してくれるんだぜ。」

 

「成程、巧い使い方ですね。」

 

 

味噌味の餃子だったみたいだ。

夏バテ防止にニンニクとニラをふんだんに使いながらも、パクチーで臭いを消して爽やかさもプラスするとは手間の掛け方がハンパない。何処までも、トコトンやる男であるのだ一夏は。

で、ビビン麺も揚げ味噌餃子も絶品だが、どちらも割としっかり味だったのだけど、其処はささ身と冬瓜の冷たいスープが見事にカバーしていた。

鶏出汁の優しい塩味にクセのないささ身と冬瓜をアッサリ味に纏め、添えられたミントの葉が清涼感を演出している……なんとも見事なビビン麺セットである。蘭が『普通にお店に出せるかも』と言ったのは決して過大評価ではないだろう。

そして其れだけなく、デザートにフローズンヨーグルトも作ってたと言うのだから驚きだ――まぁ、最高のランチタイムを楽しめたのだから文句はないだろう。

 

このランチでやる気が加速したのか、午後の勉強会も捗って全員が夏休みの課題を終わらせてしまいましたとさ……ドンだけランチでリミットブレイクした?

此れまでもちょくちょく消化していたとは言え、其れでも夏休みの課題を一日で終わらせるとか普通に有り得んでしょう?……いや、この面子が本気を出したら可能かも知れんわな。一夏チームの能力はマジハンパないんで。

まぁ、蘭が課題が終わった事に驚いてたのは当然だろうね。彼女は夏休み中に終わらせれば良いと考えて、毎日の配分も考えてた訳だからね――しかし、逆に言えば今日で課題を消化したと言う事は残りの夏休みは思い切り遊べると言う事なので、結果的には万々歳だったと言う事になるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

時刻は夕方になり、此れより本日のメインイベント!IWGPヘビー級選手権、六十分一本勝負を行います!――ではなく、夏祭りだ。

店の手伝いを終えた弾と合流した一夏達がやって来たのは、商店街にある老舗の呉服屋だ。夏祭り当日に浴衣を買いに来た訳ではなく、浴衣のレンタルに来たのである。

夏祭りと言えば浴衣なのだが、浴衣は水着とは比べ物にならない位に値が張る上に、一年で何度も着る機会はないので、買うよりもレンタルした方がずっと安上りだったりするのだ。

余談ではあるが、合流した弾が、蘭のあだ名を聞いて『蘭っぽくねぇな』と呟き、蘭に蹴りを入れられていた……織斑兄妹とは違い、五反田兄妹は基本的に妹の方がヒエラルキーは上なのかも知れない。

 

 

「なぁ一夏、女性の服を褒めるのって如何すれば良いんだ?」

 

「細かい事は考えずに思った事を素直に口にすればそれで良しだぜ弾。」

 

 

んでもって、野郎二人は浴衣はレンタルせずに女性陣が着替えてくるのを待っていた。一夏と弾は互いに名前呼びになっているが、何度か顔を合わせる内に自然とこうなっていた。

此れも野郎の友情の証かも知れん。浴衣はレンタルしない一夏と弾だが、ファッションはバッチリ決まっている。

一夏は黒のダメージジーンズにチェーンを付け、背に赤く『滅』と入ったグレーの袖なしシャツと言ったコーディネートで、弾はブルージーンズに黒い半袖のボタン付きシャツを合わせ、長い赤髪を一本に縛っているコーディネートだ。

 

 

「そのシャツ……一夏、お前殺意の波動に目覚めてないよな?」

 

「……我が名は一夏!殺意の波動に目覚めし者也!我は拳を極めし者、我と死合うモノは何処に……滅殺!!」

 

「目覚めてんのかーい!俺じゃなくて正義を滅殺してくれ。」

 

「否、アイツは滅殺する価値もねぇ。そもそも死合うに値しねぇ。」

 

「言われてみりゃ其れもそうだな。」

 

 

そんな事を言ってる間に、女性陣はレンタルした浴衣に着替えて一夏と弾の前に登場!

皆良く似合ってるが、一夏は嫁ズに、弾は虚に目が釘付けになった――全員分を紹介するとトンデモない事になるので一夏の嫁ズと虚に限定して紹介して行こう。

先ず一夏の嫁ズは全員が袖なしタイプの浴衣を選んでおり、露わになった肩がセクシーなのだが、刀奈とヴィシュヌとクラリッサはオプションである肘下に付ける袖を装備しているのに対してロランとグリフィンはオプションなしなのだが、其れが余計に夫々の魅力を引き出していると言えるだろう。

浴衣の柄も、刀奈は紺の地に月と笹が刺繍されたもので、ロランは赤字に金糸で京都の街並みが刺繍されており、ヴィシュヌは黒地に花火が彩られ、グリフィンは白地に川の流れと金魚があしらわれ、クラリッサはアニメの柄モノだった……クラリッサはこんな時でもヲタ趣味がぶれないらしい。其れは簪もだったけどね。

続いて虚だが、此方はベーシックな浴衣で、デザインも青紫を基調としたシンプルなモノだったのだが、其れが逆に虚の控えめな性格とマッチして虚の魅力を120%引き出していた。

それを見た野郎二人は……

 

 

「「……」」

 

 

――ガッ!!

 

 

無言で謎のガッツポーズを交わしていた……まぁ、其れだけテメェの彼女の浴衣姿が魅力的だったって事だろうな。――そして其れとは別に、夏姫が簪の浴衣姿を褒め、簪が少し照れていた。この眼鏡百合カップルも何か良い感じみたいである。眼鏡美少女の百合カップルってのも新しいな。

 

 

――カラコロ、カラコロ……

 

 

そして一行は夏祭りに繰り出した。女性陣の下駄の音が何とも軽快で心地良い。

夏祭りの会場は、『篠ノ之神社』だ……夏祭りではまず神楽舞が行われており、此れまでは箒が其れを行っていたのだが、今年はIS学園で謹慎生活なので無理なんだけど、其処は皆大好き束さんがピンチヒッターに名乗りを上げて見事に神楽舞を修めた。

素性がバレたら大変な事になるので、黒髪のウィッグを付けて、茶色のカラコンを入れて別人に成りすましてたけどな……だが、その神楽舞は完璧で、箒の其れを完全に凌駕して観客を魅了していた。世紀の大天才は神事も完璧に熟すらしい……取り敢えず巫女服の束は割と最強だった。

 

そんな神楽舞を堪能した一行は、夫々好きな様に夏祭りを回る事になった――一夏は嫁ズと、弾は虚と、簪は夏姫と、レインはフォルテと、そして円夏とコメット姉妹と乱と蘭と言った感じでだ。……まぁ、相手いる同士で別れたら、円夏達はこうなるわな。此の五人にも良い人が現れる事を願うばかりだ。……円夏は、一夏を越える男性が前提になるので可成りの無理ゲーかも知れないが。

 

 

さてと、夏祭りに限らず、祭りと言えば様々な屋台が出るモノであり、そんな屋台で食べ歩きするのも祭りの醍醐味の一つと言えるだろう。なので、一夏達も早速色んな屋台を巡って食べ歩きを開始だ。

 

 

「さてと、何処から行きましょうか?」

 

「定番の焼きそば、たこ焼き、フランクフルト、焼きイカは外せないよな?」

 

「暑いので冷たい飲み物も欲しいですね。」

 

「冷たい飲み物なら、私はよく冷えたビールが良いな。」

 

「あ~~~……クラリッサは飲めるからね。」

 

 

先ずは屋台の定番、焼きそば、たこ焼き、フランクフルトに焼きイカを購入。

流石に一人一つだとすぐにお腹が一杯になってしまうので、二つずつ購入してシェアする事にした。皆でシェアするって事を伝えたら、切り分けてくれたフランクフルト屋のあんちゃんと、焼きイカ屋の親父さんが優しい。

飲み物に関しては、これまた定番のラムネなのだが、クラリッサは二本目はビールだった。まぁ、本人も『この一本だけにするから』と言っているので問題はないだろう……余程アルコールに弱くなければ、350㎖の缶ビール一本で酔い潰れる事もないからな。

勿論其れで終わる筈もなく、その後も串焼き、じゃがバター、チョコバナナと言った定番をクリアしていく……可愛い感じに仕上げようとしたであろうチョコバナナは若干失敗してホラーな見た目ではあったが。

 

 

「ん?アレは何だい一夏?アプリコットのようだけけれど……」

 

「あぁ、アレはあんず飴だな。干したあんずに溶かした砂糖を纏わせてから固めたモンだ。」

 

「似たようなのでりんご飴って言うのもあるんだけど、りんご飴はリンゴを丸々飴で固めてあるから食べ辛いのよねぇ……浴衣も汚しやすいし。」

 

「そう言う点ではあんず飴の方が食べ易いな。折角だし買うか。」

 

 

今度はあんず飴を購入。作りたての飴が固まり切ってない奴の方が食べ易いので、『今作った奴下さい』と言って購入したのは中々に巧い買い方と言えるだろう。

あんず飴を買った一夏達は、今度は食べ物以外の屋台巡りを開始だ。

まず最初にやって来たのはヨーヨー釣りだ。金魚すくい、スーパーボールすくいと並んで、祭りの『三大捕獲(?)屋台』と言えよう。

難易度的には金魚すくいよりは低いが、紙を縒って作られた釣り糸は強度が低く、大物を狙うと案外簡単に切れてしまう為、即座に狙いを付け、そして素早く釣り上げるスキルが必要になる、中々に深いモノだったりするのだ。

だがしかし、そう言った微妙な力加減にはISの操縦で慣れている一夏達には大した問題ではなく、全員が見事に水風船をゲットしていた――その水風船の色が夫々の専用機のパーソナルカラーだったのは偶然ではあるまい。

 

 

「次は、射的やりましょうか?」

 

「射的やるのか?だったら俺は見てるわ。俺がやっても絶対に一個も取れないし。」

 

「一夏、貴方は近接戦に於いては無敵と言っても過言ではない位に強いのに、如何して射撃に限っては素人以下なのでしょうか……狙った的の一番外から、更に50cmも離れた場所に着弾すると言うのは逆に凄いのですが……」

 

「如何やら俺は、射撃の才能ってのを母さんの腹の中に置いて来ちまったらしい。そんでもって、俺が置いて来たモノを円夏がバッチリ回収したんだろうな。」

 

「微妙に否定出来ないね其れ。」

 

 

続いては射的。

射撃に関しては完全にポンコツな一夏は不参加だが、他のメンバーは勿論やった。

此処で大活躍したのは現役軍人であるクラリッサと、専用機が射撃・砲撃寄りのバランス型であるロランだ。この二人の狙いは正確で、次から次へと景品を落として行ったのだ――一発では落とせない景品は二人で狙って落とすと言う協力プレイも使ってな。

最終的には店のオッサンが泣きを入れて射的は終了となったのだが、イベント会場限定で売られている限定カラーの悟空のフィギュア(通常の超サイヤ人ブルーのフィギュアとは異なり、頭髪とオーラがメタリック仕様)をゲットしたクラリッサはご満悦だった。

その後もスーパーボールすくいやダーツなどを楽しみ、一夏がこれまた祭りの定番であるお面を嫁ズに買ってやったりと祭りを満喫した。因みに購入したお面は、刀奈が天狐、ロランが獣神サンダーライガー、ヴィシュヌがピカチュウ、グリフィンが仮面ライダーでクラリッサがウルトラマンだった。

そんでもって一夏達は現在ある屋台の前に来ていた。

 

 

「さぁ、このアームレスリングのチャンピオンに見事勝つ事が出来たら賞金十万円だ!次のチャレンジャーはどいつだ?」

 

 

其れは腕相撲の屋台。

ゴリマッチョの男と腕相撲を行い、見事勝てれば賞金が出ると言ったモノだが、此れは如何考えても勝たせる気がないだろう……アームレスリングのチャンピオンと紹介されてる男の腕周りは推定で60cmはありそうだから、馬鹿力だけはトンデモないだろう。

 

 

「凄い筋肉だが、アレはボディビルで作ったモノだな……馬鹿力だけは確かに凄いかも知れないが、戦う為の筋肉じゃない。カヅさんも『ボディビルで作った筋肉なんてモンはクソだ』って言ってたし。」

 

 

尤も、一夏達からしたらその筋肉は完全に無駄なモノなんだけどな……一夏が究極の細マッチョなだけでなく、一夏チームの女性陣は、全員が女性らしい曲線を保ちながらも必要な筋肉は付いてる、アスリートとモデルの良い所取りのプロポーションだからね。

だが、一夏の呟きは司会の男性に聞こえていたらしく――

 

 

「其処の貴方、チャンピオンに難癖付けるのならばさぞお強いのでしょう!ぜひ挑戦して頂きたい!!」

 

 

何とチャレンジャーに指名されてしまった。

面倒とも思ったが、指名されたのにやらないと言うのは格好悪い事この上ないので一夏はニューチャレンジャーとして挑戦する事に……『仕方ねぇな』と呟いてから一夏は席に座り、ゴリマッチョマンと手を組む。

 

 

「坊主、腕が折れても文句は言うなよ?」

 

「アンタこそ、負けた時に言い訳するなよ?」

 

「其れでは、レディゴー!!」

 

「「ふん!!」」

 

 

そして試合が始まり、先ずは互いに拮抗状態に!

開始状態から互いに微動だにしないが、一夏がまだまだ余裕なのに対してゴリマッチョマンの方は焦っていた……此れまでの挑戦者は秒で倒して来たのに、一夏を押し切る事が出来ないからだ。

 

 

「馬鹿な、俺が押し切れねぇだと!?」

 

「ボディビルで作った筋肉じゃ、俺に勝つ事は出来ないぜ!!」

 

「一夏、頑張れーー!!」

 

「ファイトだ一夏!君なら勝てる!」

 

「一夏、貴方が負ける相手ではありません!」

 

「世界初の男性IS操縦者の実力を見せてやれ♪」

 

「一気にぶちかませ!」

 

 

嫁ズの応援を受けた一夏は、此処で一気に力を入れてゴリマッチョマンを押し切る――だけでなくテーブルも破壊して勝利!!ゴリマッチョマンの腕が曲がっちゃイケナイ方向に曲がってしまったのはきっと見間違いではあるまい。

取り敢えず、一夏の究極の細マッチョに秘められたパワーはトンデモない事は確実だろう。

 

 

「取り敢えず、臨時収入があったから、もう少し祭りで豪遊するか。……と言う訳で、次はステーキ串行ってみよう!」

 

「「「「「賛成~~!!」」」」」

 

 

臨時収入を得た事で、更に祭りを満喫した。

型抜きの屋台では、コツを掴んだクラリッサが無双して、射的の時と同様に屋台の親父が泣きを入れる事になったのだが、其れもまた良い思い出だろう。屋台の親父にとっては苦い思い出だろうが。

 

そんな感じで祭りを楽しんだ後は一夏が別行動をしてるメンバーにLINEでメッセージを送って、ちょっとした高台に集合する。

 

 

「一夏、此処に何があるんだよ?」

 

「其れは、見てれば分かるぜ弾。」

 

 

弾の問いに一夏が答えた次の瞬間――

 

 

 

――パァァァァン!!

 

 

 

夏の夜空に大輪の花が咲いた。

そう、此処はこの夏祭りのフィナーレを飾る花火が最もよく見える場所であり、一夏が子供の頃に見付けた穴場なのだ。子供の頃は秘密にしていた穴場だったんだけど、この穴場を一人占めするのは悪いと思って皆を集めたって訳だ。

 

 

「此れは、絶景だな。」

 

「た~まや~~!」

 

「か~ぎや~~!」

 

 

そして、フィナーレの花火も存分に楽しんだ。お決まりの掛け声も忘れなかったからね――まぁ、外国組からは掛け声に関して質問されたが、其処は日本組が説明して何とかなった。

でもって、花火が終わった後は、祭りの終わりを告げる盆踊りに参加してターンエンド。今日と言う一日もまた夏休みの良い思い出になったのは間違いないな。

 

 

因みにその頃IS学園では――

 

 

「汚ねぇ花火だ。」

 

「「「「「⊂((。。⊂))」」」」」

 

 

問題児五人組が千冬にISを使った実戦訓練でシバかれていた……BT兵器を次々と切り裂き、衝撃砲を叩き斬り、AICを気合いで吹き飛ばし、挙げ句の果てにはトランザムを発動したダークダブルオーライザーに余裕で付いて行くとか、もう絶対改造人間だろ千冬は!?

この人の逆鱗に触れちまった陽彩は哀れとしか言い様がないが、だが此れも自業自得の因果応報だから、精々ブリュンヒルデ様からの有難い指導を受けるを良いさ。世界最強と言われてる千冬から直々に指導してもらえる機会なんぞ早々ない事だからな。

 

でもって、馬鹿共を扱き倒した千冬は、スコール、真耶と共に海岸で焼き鳥を肴に酒を楽しんでいた――本土の花火は見えないが、夜の海に浮かぶ月を眺めながらの酒も良いモノだからね。

馬鹿共を扱きながらも、千冬は千冬で夏休みを堪能している様だ――其の内一夏からペアの温泉旅行がプレゼントされるだろうから、その時を楽しみにしといて下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued 

 

 

 

 

 

 

 

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