夏と刀と無限の空   作:吉良/飛鳥

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平和な日常は大事だぜBy一夏      平和な日常は何物にも代えられないからねBy刀奈


Episode2『IS学園の学園生活満喫中』

「ん……もうこんな時間か。」

 

 

時刻は午前五時……春先の今はまだ薄暗い時間帯だが、一夏は目を覚まして素早くトレーニングウェアに着替えた――我等が織斑一夏の朝は、極めて早いのである。

早朝ランニングで10kmを走り込み、その後は真剣と同じ重さの木刀を使っての素振りを三百回行い、腕立てと腹筋を百回ずつ熟して筋肉の剛性を高めた後は、筋肉の柔軟さを保つ為にヨガを応用した入念な柔軟運動を行って、筋肉の剛性と柔軟性を保持しているのである。

朝っぱらからハードなメニューだが、中学時代から此れを続けて来た一夏にとって、此れはハードなメニューではなく、やらないと落ち着かない日課になっているのだ……此れが日課と言う点で、可成りとんでもない感じがするのだが、其れが日課であるのならば仕方あるまい!

日課は熟さないと、逆に気持ちが悪い感じがするのだからね。

 

 

「刀奈は、まだ寝てるよな……ったく、可愛い寝顔だぜ。」

 

 

日課となっている朝トレーニングに出る前に、刀奈のベッドを見ると、刀奈はまだ夢の世界らしく、規則的な寝息を立てている――その寝顔が笑顔であるのは、きっと良い夢を見ているのだろう。

 

 

「ちょっと朝トレ行って来るぜ刀奈。」

 

 

そんな刀奈の前髪を一撫ですると、一夏は朝トレに繰り出した――但し、目を覚ました刀奈が、自分が居ない事を不安に思わない様に『朝トレに行ってきます』のメモ書きを刀奈の枕元に置いてだが。

 

恋人に要らぬ心配を掛けない為の配慮も万全とか、どんなイケメンですか此れ?一夏は確かに、イケメンの部類ではあるけど、容姿だけじゃなく、精神面でもイケメンとか反則だろ其れは!完璧超人かよ!超人強度2800万なのかよ!ドンだけ神に溺愛されてんだお前は!!

しかも、髪を撫でるだけじゃなく、頬にキスを落とすとかドンだけ気障だお前!でもって、其れがまた絵になるからトンデモないんだわマジで!!

 

 

「行ってらっしゃい、一夏……マッタク、気障なんだから。」

 

 

でもって、刀奈は実は起きてたっぽかった……否、寝たふりをしていた訳ではないのだ、一夏にキスされた時に偶然目が覚めてしまっただけなのだ。

一夏にキスを落とされた頬を一撫でして真っ赤になるとか、マジで可愛いなオイ。……まぁ、時間が時間だけに、刀奈は二度寝してしまったが、先程よりも幸せそうな寝顔だったのは、一夏のキスの効果なのは間違いない。――此れ位の事は出来ているのに、マウス・トゥ・マウスのキスに邪魔が入るのは嫌がらせか何かなのか、其れとも単純にタイミングが悪いだけなのか。

何にしても、一夏と刀奈がお似合いのカップルであるのは間違いない!断言する!!何を隠そう一夏と刀奈は中学時代、文化祭での『ベストカップルコンテスト』を連覇し、新聞部が行った『校内ベストカップルアンケート』でも堂々の一位に輝いているのだから。……尤もそんな事でもなければ、友人達だって『夫婦』とか呼ばんだろうしね。

取り敢えず、一夏と刀奈のIS学園で迎える最初の朝は、とっても平和であった。

 

 

因みに転生者の陽彩はと言うと、同室の箒に『朝練に付き合ってくれ』と起こされ、早朝から全国大会女子の部の覇者である箒の竹刀打ち込みに付き合うハメになっていた。

その際に、確りと『昔よりも太刀筋が良くなった』、『剣を振るう箒は綺麗だな』と言って箒の好感度を上げる事も忘れなかったのは見事……じゃないなうん。

何だって、転生者ってのはこう言う事『だけ』は病的に巧いんだろうね?……原作知識でキャラの性格を知ってるからさ!攻略本片手にギャルゲーやってる様なモンだからな此れ!

男としても漢としても、一夏と陽彩では雲泥の差があるのだ……そう、真の主人公と自称オリ主と言う絶対的な差がな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏と刀と無限の空 Episode2

『IS学園の学園生活満喫中』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝トレを終えた一夏は、シャワーで汗を流すと、今度は部屋に備え付けられたキッチンに向かう――朝トレ前にセットした炊飯器には、『炊飯器のCMに使用出来るんじゃないか?』と言うレベルのツヤッツヤの白米が炊きあがっている。

其れに鮭フレークともみ海苔とゴマを混ぜた一夏は、フライパンを火に掛けると、其処に油を引き、下拵えをした材料を投入して何やら作って行く……片栗粉を付けた鰺は軽く揚げ焼きにした後、スライスした玉ネギと一緒にポン酢に漬け込み、フライパンに残った油を使って、だし巻き卵に金平ゴボウと、次から次へと総菜が作られ、其れは傍らに用意された弁当箱に詰め込まれていく。

もうお分かりだろう、一夏は自分と刀奈の弁当を作っているのだ。

趣味が料理と言うだけあって、一夏の料理の手際は非常に良く、一部の無駄もなく弁当が作り上げられていく――総菜を詰め終わったら、最後に特製の鮭の混ぜご飯を詰め、最後に彩りに小口切りにしたアサツキを散らしてターンエンド。栄養バランスも確りしている上に、見た目も完璧な弁当の完成である。

 

 

「あふ……おはよ、一夏。」

 

「起きたのか?おはようさん刀奈。顔洗って目を覚まして来いよ。」

 

「うん、そうする……」

 

 

此処で二度寝していた刀奈が再び目を覚まして、朝の身支度だ。

顔を洗うだけでなく、朝シャワーを始めた刀奈の為に、脱衣所に替えの下着と制服を用意してやった一夏は準備が良いと言うか何と言うか――普通に替えの下着を用意するなって?

甘いな……甘すぎる!ボディが甘いぜ!お留守だぜ!がら空きだぜ!燃えろぉぉ!

一夏はISを起動したあの日から、更識ワールドカンパニーで存在を匿われる事になったんだが、『もしも』の事態を考えて、中学時代は円夏共々更識ワールドカンパニーの社員寮で暮らしており、刀奈と簪も其処で暮らして居た上に、一夏と刀奈が交際するようになってからは、更識パパと更識ママの計らい(と言う名の陰謀?)で、一夏と刀奈は同室となってしまい、結果としてホント自然とこう言う事が出来るようになっちまった訳さ!

そもそもにして、一夏は姉と妹に挟まれた長男であるので、女性物の下着に触れるのとかは自然と耐性が出来ているから全然平気なのだ。

 

 

「ふぅ~~、サッパリした~~……時に一夏、良い匂いがしてたけど何を作ってたの?」

 

「俺と刀奈の弁当だよ。腕によりをかけて作ったぜ。」

 

「其れは楽しみね?……因みに今日のメニューは?」

 

「其れは弁当箱を開けてのお楽しみってな――其れよりも朝飯食いに行こうぜ?みっちりと朝トレやったから腹減ってんだ俺。」

 

「アレだけハードなトレーニングをしてるのに、決して太くならずに理想的な体型を維持してる……アウターマッスルじゃなくてインナーマッスルが鍛えられてる成果かしら?

 服を着ると分からないけど、一夏って脱ぐと凄いのよね……実は腹筋割れてるし。」

 

「刀奈、その言い方誤解を招くからな?」

 

 

『私脱ぐと凄いんです』って、二十五年前のCMで聞いた事があるなぁ……まぁ、一夏は実際に脱ぐと凄いのだが、今は詳細を割愛しよう。特別重要な事ではないからね。

尚、一夏を『脱ぐと凄い』と言った刀奈だって、女性的なプロポーションは一切失わずに必要な筋肉がついている、女性アスリートとして理想的な体型である事を併せて記しておこう。

勿論円夏と簪もね。

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

で、食堂での朝食は一夏と円夏の織斑兄妹と、刀奈と簪の更識姉妹の相席になっていた――尚、円夏と簪は寮で同室だったりする……一夏と刀奈が同室で、円夏と簪が同室と言うのは、此れはもう寮長である千冬が手を回したと見て間違い無いだろう。――千冬は一夏と刀奈の事を優先してくれたのだ。

教師としては大幅にアウトかも知れないが、姉としてはGJである。寧ろよくやったといえるだろう。……まぁ、欲を言うのならば一夏と刀奈の部屋の壁と窓硝子は完全防音仕様にしてほしかったけどね。――だって完全防音なら……

 

 

 

――最上級特殊能力・ソウルエナジーMAX!

 

 

 

さーせん調子に乗り過ぎました。だから攻撃力∞でのゴッドハンドインパクトは勘弁して下さい……そんなの喰らったら、幾ら俺でも宇宙のモズクならぬ宇宙の藻屑と化しちゃうからね、

まぁ、其れは其れとして、本日の一夏達の朝食は……

 

 

・一夏:納豆、焼き魚(鯖の塩焼き)、お新香、味噌汁の和セット

・刀奈:一夏と同じ和セット(但し焼き魚は、サバの塩焼きから鰺の干物にチェンジ。)

・円夏:ハニーバタートースト、コーヒー、フルーツヨーグルトのセット

・簪:ホットサンド(コンビーフ&チーズ&チリソース)、カフェオレ、コールスローサラダのセット

 

 

と言う感じ。

和洋の違いはあれど、栄養バランスが取れた朝食であると言えるだろう――尚、『一夏が朝飯作っても良いんじゃね?』と思った人が居ると思うが、流石の一夏でも、弁当を作りながら朝食も用意するってのは結構な無理があるんだよ実は。

そもそもにして、朝食と弁当を同時に作れとか可成りの無理ゲーだから!それを熟してる世のお母さん方はマジで凄いと思うわ!冗談抜きのガチでね!!

そんな母親に不平不満を漏らす世の連中は、母の偉大さを知って土下座しろマジで。母とは偉大なんだよ!

其れは其れとして、一夏達の朝食風景は実に平和だったのだが――

 

 

「陽彩には私が教えます!私は、篠ノ之束の妹ですから!」

 

 

そんな声が聞こえたので、一夏達は思わず声がした方に視線を向けたのだが、其処に映ったのは二人目の『男性IS操縦者』になった陽彩と箒、そして上級生と思われる生徒が居た。

まぁ、多分『噂の男性操縦者』に声を掛けて来たのだろう……なんで一夏の方に来なかったのかとも思うだろうが、一夏のテーブルには刀奈、円夏、簪が居るのに対し、陽彩と一緒に居たのは箒だけ……どっちが声を掛けやすいかなんて一目瞭然だろう。

序に言っとくと、容姿に関しては陽彩の方が一夏よりも若干イケメン度が高いので、其れに釣られたとも言えるだろう……まぁ、陽彩は顔『だけ』は良いからね。

 

 

「ねぇ一夏、あの子って確か去年の剣道の大会の男女混合個人戦の決勝で戦った子じゃない?」

 

「あぁ、そうだよ……篠ノ之箒、束さんの妹だよ。……IS学園に来てたのかアイツ。」

 

 

箒の姿を確認した一夏は、あからさまに面倒くさそうな顔になる……其れこそ『お前何で此処に居るし、つーか面倒な奴が居るなぁ』と言った感じの顔であって、漫画やアニメならば後頭部だけ映って居る状況だろう。所謂一つの『主人公が絶対にしちゃいけない顔』ってやつだ。

だがまぁ、一夏からしたらそんな顔になってしまうのも致し方ないのだ……昔から男勝りだった箒は、同級生の男子から『男女』とからかわれる事が多く、時には髪を縛っていたリボンを強引に取られると言う、虐めみたいな事までされていて、見かねた一夏が其れを助けた事があったのだが――以来箒は、一夏に依存するようになり、学校でも剣道場でも一夏に付き纏うようになり、挙げ句の果てにはストーカー紛いの行為をするまでに至ってしまったのだ。って言うか小学生でストーカーになるって大分ヤバいよね、うん。

まぁ、最終的には箒が転校する事になって一夏はこのヤバめのストーカーから解放されたのだが、そんな事をしていた奴に良い感情なんぞある訳がないだろう……千冬にアイアンクローをブチかまされた上で琴月 陰を叩き込まれたにもかかわらず、未だ付き纏っていたその根性にはある意味で感心したが。

 

 

「何だあのポニテ、アレだけ兄さんに固執してたくせに、今は二人目にお熱なのか?女心と秋の空とは言うが、こうも簡単に心変わり出来るとは驚きだな。」

 

「束博士の妹だったんだ……なら、ISにも詳しいのかな?」

 

「いや、其れはないぜ簪。

 アイツはどっちかって言うと、ISを嫌ってた感じだからな……天才の姉に嫉妬してたって所なんだろうが、そうであるにも拘らず、自分の都合の良い時に束さんの名を使うとか、割と最低だな。

 まぁ、アイツの興味の対象が俺から二人目に移ったってんなら其れは其れで大助かりだぜ……悪いけど、二人目のアイツには箒のお守りを任せるよ。」

 

「あらあら、中々の塩対応ね一夏?」

 

「俺からしたら『ガキの頃に同じ学校と同じ剣道場に通ってた仲』でしかないからな……正直なところ、アイツが誰と仲良くしようが知らぬ存ぜぬだっての――俺達になにかしてこない限りはな。」

 

「……もしも私が彼女に襲われたら?」

 

「ウェスタンラリアット喰らわせた後に、ローリングジャーマンスープレックスをブチかましてから餅つきパワーボムに移行して、タワーブリッジで思いっ切り絞めあげてから垂直落下DDTに繋いで、ガトリングアタックからナパームストレッチ、追い打ちのフラッシュエルボーでフィニッシュだな。」

 

 

って、容赦ないな一夏君よ?

だがまぁ、未だコンボの中に超必殺技を組み込んでないだけマシなのか?トドメをファイナルアトミックバスターか、ウルトラアルゼンチンバックブリーカー、或いは地獄極楽落としにした場合は間違いなく十割コンボだけどね!

取り敢えず一夏の中で『刀奈を傷つける奴は滅殺』であるらしい……だが、それで良いと思うよ?手前の愛した女を守れずに何が男か!漢か!漢であるのならば、愛した女を命懸けで守ってなんぼだ!命懸けであっても自分が死なないようにしてな!

 

 

「もう、一夏ったらやり過ぎは駄目よ?」

 

「お前に手を出した輩に手加減なんぞ必要ねぇだろ?……稼津斗さんに瞬獄殺教えて貰おうとすら思ってんだ俺は。」

 

「ふふ、其れだけ大事に思って貰ってるって言うのは、彼女冥利に尽きるわね♪……貴方が私の彼氏で良かったわ一夏。」

 

「其れは俺もだぜ刀奈?お前が俺の彼女で、本当に良かった――此れだけ美人の彼女が居るとか、俺は果報者だぜ。」

 

 

でもって、あっという間にラブ空間発生!円夏と簪は耐性が出来ているので全然平気だが、耐性のない者にとって、このラブ空間は劇薬でしかない訳で、中学時代はこのラブ空間で多くの生徒をKOしていたのだ一夏と刀奈は。――まぁ、ブラックコーヒーを摂取する事でKOを回避出来るんだけどね。

 

 

「貴方が織斑一夏ね?」

 

「ん?」

 

 

そんな中で一夏に声を掛けて来た生徒が居た――明るめの茶髪をサイドテールにして、翡翠色の瞳は少し生意気で、しかし強い意志を宿している少女だ。

このラブ空間にやられずに声を掛けて来たとは、大したモノであると言って良いだろう。

 

 

「えっと、君は?」

 

「アタシは凰乱音。台湾の代表候補生よ。

 本当はまだ中学生なんだけど、飛び級でIS学園に来たって訳――噂の男性操縦者がどんな奴かと思って来たんだけど……アンタ、結構出来るわね?」

 

「へぇ、分かるのか?こう見えても俺は、ISの稼働時間三千時間超えてるんでな……国家代表と同レベルの実力が有るって自負してるよ――実際に、日本の代表である刀奈と円夏と簪と互角以上に戦えるからな。」

 

「マジで?其れは普通に凄いと思うわ。

 アタシは台湾の代表候補だけど、稼働時間は五百時間くらいだから……って言うか、三千時間以上ってどんな生活してたの?」

 

「学校以外は殆どIS漬けってか?

 結構きつかったけど、だけど充実してて楽しかったぜ俺は――其の中で刀奈と付き合う事になった訳なんだけどさ。」

 

「はいはい、御馳走様だよ、彼女さんは大切にしなさいよ――まぁ、其れは其れとして、アンタは二人目とは格が違うわね?……二人目のアイツは確かに顔は良いけど、それ以外はからっきしでしょ絶対に?

 だけど、根拠のない自信があるみたいで嫌な感じがするのよね……自分が最強だと思ってる感じがするのよアイツは。」

 

 

声を掛けて来たのは、台湾の代表候補生である凰乱音……本来ならばこの時期には居る筈のないアーキタイプブレイカーのキャラだが、この世界では始めからIS学園に所属しているようだ。――まぁ、一組にはコメット姉妹が居たのだから、此れも当然と言えば当然だろう。

って言うか、国家代表候補であるのならば最初からIS学園に所属してないとおかしいのだ――ぶっちゃけて言わせて貰うのならば、原作での鈴とラウラとシャルロットの転校とか普通に無いわ。

機体の事情があったとかにしても、先ずはIS学園に入学させるのが最優先でしょ?機体は、後で送れば良い事なのだから……そうであるにも拘らず、代表候補を機体と共にIS学園にって、非効率すぎるわ。――時代は、効率化が求められているのだから、非効率な方法は其れだけで排斥対象だってんだよ、このスットコドッコイが!

 

……と、若干暴走したが、如何やら乱音(以降は乱と表記)は本能的に陽彩に秘められた邪悪性に気付いたのだろう――まぁ、陽彩はガチで外道のクズであり、バーサーカーソウル滅多切り対象だから仕方ないのかも知れないけどね。

……と言うか、神(見習い)は何だってコイツを転生させたのか激しく謎である。エジプトのピラミッドはどうやって造ったのかと同じ位に謎である。ホントどうやって造ったんですかねアレ。

 

 

「根拠のない自信、ね……自分がISを動かす事が出来るからって、特別な存在だと勘違いしちまってるのか?」

 

「その可能性は大いにあると思うわ……現状、世界で二人しか存在しない男性のIS操縦者なのだから、自分が特別だと思っても仕方ないんじゃない?」

 

「俺は別に自分が特別だとは思ってないけど?」

 

「其れは性格の違いってやつだと思うぞ兄さん。」

 

 

うん、性格の違いだね其れは。

まぁ、一夏と刀奈が思った事も間違いではなく、陽彩は確かに自分が特別だと思っている――但し其れは、ISを動かせると言う事ではなく、自分が転生者であり、自分が所謂『オリ主』だと思ってるからだ。

神(見習い。ゴッドフェニックスのお仕置きで全治一年)に特別にこの世界に特典付きで転生させて貰った自分は神に愛された存在だ、最強のオリ主だ、此の世界は俺の為に存在してるとか考えてやがるんですよ、此のズベ公は……お前みたいな顔が良いだけで、内心では『此のイケメンフェイスで女子達を惚れさせて、一夏ハーレムと言わずに学園の女子を俺の物にしてやるぜ!』とか考えてるクズが主人公な訳ねぇだろ、身の程を弁えろスットコドッコイが。

 

 

「簡単に言えば、彼は自意識過剰?きっと何処かで盛大に失敗するタイプだと思う。」

 

「バッサリ言ったわねぇ?我が妹ながら容赦が無いわね簪?」

 

「刀奈だったら容赦するの?」

 

「すると思う?」

 

「思わない。寧ろ私よりもザックリとバッサリと行くと思う。」

 

 

取り敢えず陽彩については、簪がバッサリ切って捨てた事でお開きとなった。個人的には、言葉だけでなく物理的にバッサリ斬っても良いんじゃないかと思ったが、其れは其れで問題になるからやらなくて正解だろう。

 

 

「奴が自意識過剰なのは間違いなかろうな。」

 

 

其処に現れたのは、世界最強のブリュンヒルデこと織斑千冬先生。吉田沙保里や伊調馨と並んで『霊長類最強』と言われる女性……千冬さんの場合は、霊長類最強じゃなくて生物界最強でも良いんじゃないだろうか?

ぶっちゃけてこの人に勝てる人間が存在するのだろうか?居るとしたらそれはもう地球人じゃなくてサイヤ人だよ。其れも超サイヤ人になれる奴。

 

 

「稼津斗ならば私に勝てるだろうな……尤も、奴は女性には手を上げない主義だから確かめる術はないのが悔やまれるが。」

 

「千冬姉、何言ってんだ?」

 

「気にするな一夏、少しばかり送られて来た電波に返信しただけだ。」

 

「何だか良く分からないけど分かった……で、アイツが自意識過剰なのが間違いないってのは如何言う事だ?」

 

「昨日クラス代表を決める時に、正義が推薦され、其れを不服に思ったらしいオルコット――あぁ、オルコットはイギリスの国家代表候補生だ。

 其れが異議を申し立てて、自分の有能さと日本が後進的な国だと色々御高説を並べ立ててくれてな……度が過ぎるので鉄拳制裁してやろうとした所で、奴がオルコットを逆挑発してくれてな――結果としてクラス代表を争ってISバトルと言う展開になったのだ。

 其れならば白黒つけやすいと思って、私も承認したのだが、正義は自分が負ける筈が無いと豪語した挙げ句、オルコットにハンデを付けてやると言い出す始末でな……ISを動かしたばかりの素人であるのに、何処からあの自信が湧いて来るのか若干頭が痛くなったよ。……顔は良いが頭は馬鹿か?」

 

「馬鹿だろ?」

 

「馬鹿じゃないか?」

 

「馬鹿で間違いない。」

 

「確認不要よお義姉さん♪」

 

「確認不要……早い話がつまり馬鹿って事よね。」

 

 

おめでとう正義陽彩、君は今この瞬間、一夏達の満場一致で『馬鹿』である事が認定された!――いやまぁ、ダブルオーライザーが専用機として来ると思ってる奴からしたらセシリアに勝てると思うのは無理ないと思うけど、だからって自分が勝つってのを大っぴらに言うのは間違いだと思うぜ?普通に考えたら、ISを動かしたばかりの素人が専用機持ちの代表候補生に勝てるわけがないんだからさ。

取り敢えず陽彩は、一夏達の中で『根拠のない自信に満ち満ちた、ヤバめな奴』との認識になった……まぁ、実際にコイツの脳内はヤバいからな。

そんなこんなで朝食は終わり、一夏達は教室に向かって行った――尚、一夏の護衛であるオータムは、食堂には入らずに、食堂の外でブリトーサンドの朝食を済ませた後にタバコで一服していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

授業は特別な事は何もなく、IS関連の授業も、一般の授業も恙なく進んで行った――まぁ、唯一突っ込むところがあるとしたら、四組の担任のスコールの服装が今日はNIKEのジャージだった事だろう。

昨日はパロディ製品で、今日はブランド製品……きっとスコールの中ではパロディ製品もブランド製品も大差はなく、自分が気に入ったデザインならば、パロディでもブランドでも如何でも良いのだろう。

そんな彼女には是非とも『PUMA』のパロディの『KUMA』をお勧めしたい!ロゴの一部が北海道の形に切り抜かれてる、結構凝ったデザインだからねアレ。

 

まぁ、スコールの服装センスはさておき、午前中の授業が終わって今は昼休み。つまりランチタイムなのだが、ランチタイムは食堂で学食の生徒と教室で弁当の生徒に分かれる。

其れは四組も同じで、半数の生徒が食堂に向かい、残る半分が教室と言った感じだ――尤も、教室組の全員が弁当を作って来たと言う訳ではなく、多くは食堂で売られているパンやおにぎりと言った感じなのだが。

 

で、此のランチタイムはクラスメイトとの親睦を深める良い機会なので、一夏の周りには自然と人が集まっていた――クラスに一人だけの男子と仲良くしたい女子は少なくないのだ。

そんな中で、一夏と刀奈は弁当をオープン!

一夏特製弁当のメニューはと言うと……

 

 

・鮭と海苔の混ぜご飯

・鰺の南蛮漬け

・ダシ巻き玉子

・金平ゴボウ

 

 

と言った和食のテイスト。

特にダシ巻き玉子は、甘みにハチミツを使って鮮やかな黄色を演出すると共に、ハチミツの焦げやすさを逆利用した渦巻き模様が食欲をそそる一品となっている……渦巻き玉子は如何やったら巧く出来るのかご教授願いたいですマジで!

 

 

「うわ、美味しそうなお弁当!しかも同じメニューって……此れは若しかして愛妻弁当ってやつ?」

 

「ん~~……残念ながら、愛妻弁当じゃなくて、此れを作ったのは一夏なのよね……愛妻弁当ならぬ愛夫弁当?」

 

「えぇ、此のお弁当織斑君が作ったの!?……織斑君って、女子力高いの!?」

 

「女子力かどうかは兎も角として、兄さんの主夫力は可成り高いぞ?

 炊事に掃除に洗濯と、家事全般を完璧に熟すからな兄さんは……中学時代は、其れこそ調理実習のたびに女子のハートをバッキバキに折りまくってたからな……正にパーフェクトなんだよ兄さんは。」

 

「お前と千冬姉が家事が壊滅的だから、俺がやらざるを得なかったってのもあるけどな。」

 

 

でもって、刀奈が『この弁当は一夏作』だと言う事をカミングアウトした事で教室に残っていた女子達には大層な衝撃が走った――ドレ位の衝撃だったのかと言うと、サンダーボルトが禁止から制限復帰したのと同じ位の衝撃だ。……ノーコストで相手フィールドのみを壊滅させる極悪大量破壊魔法を如何なる理由で制限復帰させたのか、KONAMIにはちょっと問い詰めたい感じだ。

尚、極悪大量破壊魔砲の場合は、スターライトブレイカーとルビを振ってくれると助かる。

 

まぁ、衝撃は走ったモノの、この一件でより一夏の株が上がったのは間違い無いだろう――イケメンでユーモアもあり、其れでスポーツ万能で勉学も優秀な上に家事も完璧と来たのだから非の打ち所がないってモンさ。

 

 

「イッチーは、完璧超人だね?」

 

「よせよのほほんさん、俺は完璧超人なんかじゃねえって……其れに、俺はどっちかって言うと悪魔超人の方が好きなんだよ。バッファローマンとか、ザ・ニンジャとか、悪魔将軍とかカッコイイのが多いからな。」

 

 

うん、其れは分かるぞ一夏。悪魔超人は人気者も多いからね。

だけどまぁ、個人的にはキン肉マンと悪魔将軍が実はめっちゃ遠いけど血縁関係が有るって事が衝撃だったわ……キン肉マンの祖先のシルバーマンの兄であるゴールドマンが悪魔将軍だからね。

 

と、また話が逸れたが、此のランチタイムで一夏がクラスメイトとの仲を深める事が出来たのは間違いない――特にのほほんさんこと布仏本音、鷹月静寐、相川清香、谷本癒子と言う、原作に於けるネームドモブとの仲を深める事が出来たのは大きいだろう。

尚、此のランチタイムでの一件は、癒子によってクラスラインで四組全員に知られる事となり、一夏の株は更に上がる事になったのだった。

因みに、一夏が千冬の食生活のバランスの悪さを知って、自分と刀奈の分だけでなく、千冬の弁当も作るようになったのは御愛嬌と言った所か……一夏は家族思いなのだから其れは当然だったのかも知れないけどね。

 

余談として、女子トークが開催されて、一夏と刀奈が交際するに至った経緯が刀奈によって暴露された事を記しておく――まぁ、一夏と刀奈の様な馴れ初めってのは滅多にあるモノじゃないと言うか、先ず無いものだから、女子達が多いに喰い付いたけどね。……何だってJKってのは人の色恋沙汰に興味津々なんでしょうねぇ?ちょっとオジサンには理解出来ないわ。皆さんは理解出来ますか?出来る人は挙手よろしく!!

 

まぁ、そんな感じで平和な日々を過ごしながらも、一夏と刀奈は円夏と簪、そして一学年上の虚を巻き込んで『古武術部』を新設し、一夏と刀奈がトレーニングルームのリングで凄まじいスパーリングを行って他の生徒の注目を集めたりしたりと色んな事をやって、充実した日々を過ごした。

そして、そんな日々はあっという間に過ぎて、入学から一週間――遂に、クラス代表決定戦の日がやって来たのだった。

 

 

「遂に来たなこの日が……やるからには、負ける心算はないからな俺は――覚悟しとけよ刀奈、円夏、簪。」

 

「其れは私も同じよ一夏……貴方は確かに強いけど、私達に簡単に勝てるとは思わない事ね。」

 

「今度こそ勝たせて貰うぞ兄さん……負けっぱなしと言うのはあまり良い気分ではないのでな。」

 

「負けない、刀奈にも一夏にも円夏にも……!」

 

「おし、俺も含めて気合は充実ってな!――手加減不要の全力バトルと行こうぜ?誰が勝っても恨みっこなしってな!異論はあるか?」

 

「「「異論なし!」」」

 

 

で、クラス代表を争う織斑兄妹と更識姉妹は、しかし闘気は満ちているが雰囲気は和やかだった――一夏の言うように、誰が勝っても恨みっこなしと言うのが大きいのだろう。

クラス代表云々よりも、此の四人にとっては全力バトルの方が重要だったみたいだ。……なので、四組のクラス代表決定戦は間違いなく白熱したモノになる事だろう。

まぁ、四組の代表決定戦の前に、一組の代表決定戦って言う特別重要でもない前座試合があるんだけど、まぁ、前座は前座として、精々会場を盛り上げてくれる事を期待しよう。

前座試合が盛り上がれば、自然とメインイベントも盛り上がるモノだからね。――前座試合、取り敢えず頑張れよ陽彩。お前の試合結果なんぞはぶっちゃけ可成り如何でも良いけどな。

だけど、ガンダムエクシア使って負けたら末代までの恥だから、其れは念頭に置いとけよ。――まぁ、言った所で聞いてるかどうかは甚だ謎だけどね!

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、IS学園の遥か上空に佇む二体のISがあった……全身装甲の其れは、知る人が見たら『フリーダムガンダム』と『ジャスティスガンダム』と言っただろう。

 

 

「アレがこの世界の一夏と……」

 

「この世界の私って事ね……まさか一夏君と交際してるとは思わなかったわ。」

 

「あぁ、正に予想外だったよ……だが、こんな世界もあるんだね。」

 

「そうね……それで、如何するの夏姫?」

 

「暫くは静観だな……とは言っても、アタシ達が出張る事はないだろうから、暫くはこの世界を楽しもうじゃないか刀奈――そして見届けよう、この世界が如何なる未来を選ぶのかをな。」

 

「其れが、私達の使命でもあるわね。」

 

 

其れだけ言って自由と正義は去って行った……蓮杖夏姫と蓮杖刀奈――其れはきっと、この世界では絶対に知られる事のない存在なのだろう。不死者である彼女達は、この世界の行く末を見守る事にしたようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued 

 

 

 

 

 

 

 

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