夏と刀と無限の空   作:吉良/飛鳥

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夏の格闘技の祭典って……嘗てのKOFか?By一夏     若干否定出来ないわねBy刀奈     取り敢えず、全力で行きましょうByヴィシュヌ


Episode38『夏休み其の参~熱闘格闘技大会~』

夏も真っ盛りな本日、首都東京の日中の最高気温は40℃に達すると言う酷暑日に、一夏チーム……ではなく、IS学園の古武術部の面子が訪れていたのは格闘技の聖地である日本武道館だ。

古武術部のメンバーは、この日本武道館で行われる『全国高校生異種格闘技選手権』に出場する為にやって来たのだ――とは言っても、古武術部の部員全員が参加する訳ではなく、参加するのは一夏、刀奈、ヴィシュヌ、グリフィンの四人だ。

日本武道館で行われるのは本戦であり、本戦に出場する為の予選は、北海道地区、東北地区、関東A地区、関東B地区、中部地区、東海地区、近畿・大阪地区と中国・九州・四国・沖縄地区で行われており、IS学園の古武術部の部員は、関東A地区の予選に出場したのだが、女子の部で予選を通過したのは刀奈、ヴィシュヌ、グリフィンで、男子の部で通過したのは一夏だったのだ。

女子の部では、ロランや円夏、乱も善戦してベストエイトまでは勝ち進んだのだが、ベストエイトの相手がロランはヴィシュヌ、乱はグリフィン、円夏は刀奈と言う時点で予選落ち確定だっただろう。

ロランは圧倒的に格闘の経験が足りないし、乱はグリフィンとは相性が悪く、円夏は生身での格闘では一度も刀奈に勝った事が無かったのだから――尚、予選はベストフォーが出揃った時点で終わりになるので、刀奈、ヴィシュヌ、グリフィンの力関係については予選では測定出来ていない。

 

 

「うわぁ、まだ大会は始まってないのに凄い熱気だな?」

 

 

本戦の会場である日本武道館の内部は、既に熱気がマシマシ状態だ。

各ブロックからの出場選手は、ベストフォーまで勝ち進んだ四人なので、本戦出場選手は男女合わせて六十四人なのだが、出場選手以上に観客の熱気が物凄いのだ。

と言うのも、この『全国高校生異種格闘技選手権』は、高校野球全国大会の『甲子園』と並ぶ夏の風物詩になっており、この大会からプロの道に進む高校生も存在する上、プロの世界とは違って本当の意味での『異種格闘技』が見れるとの事で、格闘技ファンからすれば垂涎のイベントだったりするのである。

其れに加えて、出場選手の出身校からは応援団も来てるのだから、会場の熱気が上がるなと言うのがそもそも無理な話だろう。

尚、大会日程としては、一日目が女子の部、二日目が男子の部となっている。

 

 

「ホント、凄い熱気よね?

 なのに、如何して一夏は大会のある日にお義姉さんに温泉旅行をプレゼントしたのかしら?」

 

「仕方ないだろ?千冬姉の休暇と、カヅさんが日本に居る期間が重なってるのって此処しかなかったんだから……この時期を逃すともう後他にはないんだよ。」

 

「そっか、其れじゃあ仕方ないわね。」

 

「まぁまぁ、この大会は全国放送されているのだから、千冬義姉さんも旅館のテレビで観戦してくれている筈さ。」

 

 

んでもって、如何やら千冬は大会の応援には来ておらず、稼津斗と共に一夏からプレゼントされた温泉旅行に行っているらしい……会場で応援出来ないのは残念ではあるが、旅行を満喫しながらテレビ観戦で応援してくれる事だろう。

因みに一夏の嫁ズは、全員が千冬の事を『義姉さん』と呼ぶ様になり、千冬の方もプライベートでは全員を名前で呼ぶ様になっていた。将来的には家族になるのだから、此れ位は当然かもしれないが。

 

 

「其れじゃ初日の女子の部、気合入れて行くわよ!表彰台は私達で席巻しちゃいましょう!」

 

「となると、準決勝までは当たらない組み合わせになる事を祈らないとですね?」

 

「其ればっかりは自分のくじ運を信じるしかないでしょ?……大丈夫、きっと良い感じにばらけると思うからさ♪」

 

「三人とも頑張れよ!」

 

 

そんなこんなで一行は会場入りし、大会に参加する一夏、刀奈、ヴィシュヌ、グリフィンの四人は開会式に参加する為にアリーナに移動し、其れ以外のメンバーは観客席へと移動して応援の準備に。

程なく開会式が始まり、式の最後で選手宣誓が行われ、暑い夏をも上回る『高校生最強』を決める熱闘の火蓋が切られたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏と刀と無限の空 Episode38

『夏休み其の参~熱闘格闘技大会~』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

開会式後に行われた、女子の部の組み合わせ抽選会にて、刀奈は十七番、ヴィシュヌは一番、グリフィンは三十二番を引き当てて本当に準決勝までは当たらない組み合わせになった様だ。この強運も彼女達の強みと言えよう。

 

さて、武道館のアリーナにはリングが四つ設置されているのだが、先ずはこの大会のルールから説明して行こう。

参加資格は現役高校生であれば年齢は不問だが、必ず何かしらの格闘技の経験がある事が必須条件――其れはそうだ、全くの素人が格闘技経験者に挑むなんてのは危険極まりないからね。

使用する格闘技については、徒手空拳であれば何でも良しであり、普通の高校総体ではお目に掛かれないレアな格闘技を見る事が出来るのも此の大会の魅力と言えるだろう。

リングが四つあるのは、一回戦だけで十六試合もあり、一試合ずつ行っていたのでは時間だけが掛かるので、四試合ずつ行う為であり、リング一つに一人のレフェリーと三人のジャッジが付いている。

試合形式は十五分一本勝負で延長はなし。KO(TKO含む)又はギブアップで決着。時間切れの場合は、三人のジャッジによる判定によって勝敗が決まる。目潰しと凶器攻撃、金的(男子の部のみ)は反則であり、偶然の反則攻撃ならば減点で済むが、故意である場合は即反則負けとなる。

因みに参加選手の服装は自由であり、自分が使用する格闘技の正式な試合ウェアを着用しなくても良いってのも此の大会の特徴と言えば特徴だろう……『それって格ゲー』とか思ってはいけない。

 

其れでは早速試合の方を見て行くとしよう。

女子の部の一回戦第一試合である四試合に登場したのはヴィシュヌだが、実はヴィシュヌは今大会注目の選手の一人だったりする――タイのIS乗りの国家代表候補生と言う肩書もそうだが、彼女の格闘スタイルであるムエタイがその大きな理由であった。

参加する選手の格闘スタイルは柔道と空手、レスリングが大多数を占め、他にはボクシングやテコンドーなんかが存在するのだが、ムエタイはヴィシュヌしか居ない為注目されているのだ。

日本ではキックボクシングと混同されがちなムエタイであり、日本では本格的なムエタイの試合が行われる事は無いと言うレア度も注目されている要因と言える。

だが、其れとは別にヴィシュヌの格好も注目の的だった。

ヴィシュヌが試合用に選んだのは、身体に密着する黒いスパッツタイプのハーフパンツに、これまた身体にジャストフィットするタイプの白いタンクトップ――大晦日に放送されている総合格闘技の番組でも、此れと似た格好の女性格闘家が戦っているので、それほど珍しい訳ではないのだが、こんな身体の線がバッチリ出る服装をしなやかなダイナマイトボディの持ち主であるヴィシュヌが着ると破壊力がハンパないのだ!!特に白のタンクトップは、エキゾチックな褐色肌とのコントラストがマジ素晴らしいです!観客席の野郎共が目を奪われるのも仕方ないだろう……まぁ、ヴィシュヌを不純な目で見た野郎共は、一夏の『人の嫁を変な目で見てんじゃねぇぞ?』、円夏の『将来の義姉さんを視姦するとは良い度胸だな貴様等?』と言う無言のプレッシャーを受けて、直ぐに自重する事になったのだが。無言の圧力だけで黙らせるとは、千冬の弟と妹なだけあるな。

 

観客席でそんな事が行われてるとは知らないヴィシュヌは、試合前に最後の準備運動をしていた――前述した格好の他に、ヴィシュヌは手にはオープンフィンガーグローブを、足にはバンテージを巻いている。

ムエタイは本来はボクシンググローブに酷似したグローブ(ボクシンググローブと比べると大分肉が薄い)を使うのだが、異種格闘技戦で組み打ちになる事も想定して五指が自由に動かせるオープンフィンガーグローブを選んだのだろう。

 

 

「それでは、試合開始!!」

 

 

此処で試合が始まり、一回戦の第一試合四試合が開始!

ヴィシュヌの一回戦の相手はレスリングを使う選手で、オーソドックスなアマレスタイツにアマレスシューズと言った出で立ちだ。

一般的に、立ち技で打撃オンリーの格闘技に対して、レスリングや柔道と言った格闘技は、投げと寝技があると言う点で有利であると言われている。立ち技打撃オンリーの格闘技をやって来たモノは、投げ技や寝技の経験がないので、組み伏せられたら弱いと思われているからだ。

なので、ヴィシュヌの対戦相手もタックルを狙ってじりじりと間合いを詰めて来る……レスリングの選手のタックルの一瞬のスピードは物凄いモノがあり、霊長類最強の女と言われている吉田沙保里のタックルは亜音速とまで言われているのだ。

 

 

「…………」

 

 

無論ヴィシュヌとて、相手がタックルを狙っている事は分かって居るのでタックルに入る隙は見せない……それだけに少し膠着状態となったのだが、先にヴィシュヌが動いて牽制のローキックを放つ。

が、相手は其れをステップで躱すと一足飛びのタックルでヴィシュヌの懐に飛び込み、一気に押し倒す――

 

 

「く……重い!?」

 

「打撃に対するカウンターのタックルは想定済みですよ。」

 

 

事は出来なかった。ヴィシュヌは、腰を落としてタックルを受け止めていたのだ。

『タックルで倒されてグラウンドに持ち込まれたら圧倒的に不利になる』と言う事は、此れまで古武術部の活動で嫌と言う程思い知らされて来たので、徹底してタックルへの対策はしていたのだ。

そして、此処からがその対策の真骨頂である。

 

 

「そして、ムエタイは単純な立ち技打撃ではありません。」

 

「!?」

 

 

タックルして来た相手を首相撲に取ると、チャランポー(首相撲での膝蹴り)を叩き込む。

日本では『タイ式キックボクシング」と言われるムエタイだが、一般的なキックボクシングと違うのは、ムエタイでは首相撲を始めとした組んだ状態での打撃もOKだと言う点だろう。

一般的なキックボクシングでは組んだ状態になるとレフェリーがストップをかけ、離れた状態で試合が再開されるのだが、ムエタイでは組んだ状態になっても試合は継続される――故に、ムエタイは『尤も打撃の種類が豊富な格闘技』と言われているのだ。

更に、ムエタイの膝蹴りはプロレスのニーパットやニードロップとは違い、尤も鋭く硬い部分をぶち当てるので、喰らわされた方からしたら堪ったモンじゃないのだ。

現に、其れを喰らった相手選手は膝が入るたびに苦悶の表情を浮かべてるからね。

 

 

「此れで終わりです!」

 

 

チャランポーの連打を終えたヴィシュヌは、首相撲を解いて、そして相手にジャンピングハイキックを一閃!!その一撃は側頭部に突き刺さり、其れを喰らった相手は白目を剥いて失神!カウントの必要もない完璧なKO勝ちだった。

 

 

 

試合は続き、今度は一回戦の第三試合。刀奈の出番だ。

刀奈もまた注目選手の一人だ――中学時代に『中学女子最強』の名を欲しいままにしてきた刀奈が高校の異種格闘技選手権に出て来たんだから注目するなってのが無理な話だわな。刀奈の格闘スタイルが『天神真楊流柔術』ってのも関係してるだろうけどね。

世界最強と言われているグレイシー一族の『グレイシー柔術』の元となった『ブラジリアン柔術』の源流となった格闘技ってのは注目されて然りだろう。

 

そんな刀奈の出で立ちは柔術らしく袴姿なのだが、袴は赤で上半身の胴着は黒と言うのが印象的だ。

刀奈の相手は柔道で、今年の高校総体で全国優勝もしている猛者である……そんな強者を前にしてもマッタク怯んだ様子がないのは刀奈の度胸があればこそだろう。そら、千冬の威圧にも屈しない刀奈が高校生レベルの強者に怯む事は無いわな。

 

 

「ふふ、かかってらっしゃいな。」

 

 

試合が始まっても、刀奈は普段の人を喰ったような態度は崩さずに、笑顔で相手を煽る!挑発!!とっても良い笑顔なのが相手からしたらムカつく事この上ないだろうが、全部計算ずくでやってるのがマジトンデモないわ。

組んで投げようと間合いを詰めて来た相手に対して、刀奈はカウンターとなるアッパー掌打を叩き込んで先手を取ると、仰け反った相手の襟を強引に掴んで引き寄せて、引き寄せた勢いを利用して殆ど手を触れないで投げ飛ばし、追撃に飛び蹴りを叩き込む!

立ち技打撃オンリーの選手が投げと寝技に弱いと言うのならば、殴られる経験がない柔道家には打撃が最も有効と言えるのだ――だから、刀奈はその飛び蹴りだけでは終わらず、相手がリングに落ちるより先にリングに降りると、両手掌底→後回し蹴りのコンボを叩き込み、其処から肘打ち→掌底→踏み込み正拳突きの連続技を叩き込む!!

この連続技を喰らった相手はコーナーポストまでフッ飛ばされて、其のまま失神してしまい、レフェリーが試合続行不可能と判断してTKOに!

 

 

「一から修業をやり直して出直してらっしゃいな♪」

 

 

――【完全勝利♪】

 

 

勝利した刀奈は、胸元から扇子を取り出すと、KOFの不知火舞よろしい勝利ポーズを決めてくれた。――扇子に文字が書かれているのが刀奈クオリティなのだろうけどな。

 

 

そして、一回戦の最終試合に登場したのはグリフィン。

グリフィンの格闘スタイルは『ブラジリアン柔術』なのだが、ブラジリアン柔術に決まった試合着は存在せず、その時々で柔道着であったりバーリトゥードスタイルであったりするのだ。

そして今大会に出場したグリフィンは、柔道着のズボンに黒帯を締め、上は迷彩柄のタンクトップ、両手にはオープンフィンガーグローブを装着すると言った出で立ちである……何だか、格ゲーのキャラに居そうな服装だな。

少しばかり奇妙な組み合わせではあるが、其れでも似合っているのだから不思議だ。

勿論、この特異な服装は注目されているのだが、注目されている理由はグリフィンが穿いている柔道着のズボンが赤である事も大きいだろう――カラー柔道着ってモノは存在しているが、柔道の大会で使われているのは青だけなので、其れ以外のモノはお目に掛かる機会がないのだ。

だが、柔道の道場に通う女の子の中には柔道着にもオシャレを求める子も居るので、青以外のカラー柔道着も実は密かに需要があり、数は少ないが作られてはいるのだ……グリフィンもまた、そんなオシャレな柔道着を買っていたと言う事なのだろう。

 

 

「悪いけど、初っ端から本気で行くから。」

 

 

グリフィンの相手は空手家の少女――それも、寸止めではなく実際に打撃を当てる『実戦空手』の使い手だ。

試合開始と共に両者接近すると、相手の少女は強烈な前蹴りを繰り出し、グリフィンは其れをギリギリで避ける――が、相手は身体を捻って、前蹴りで伸ばした足を其のまま横に振って来た。まるで、片手平突きを避けられた際に横薙ぎで追撃するかの如くに。

 

 

「やるね……」

 

 

その追撃をグリフィンはガードするが、普通に脇を絞めてガードするのではなく、寧ろ肘を立ててガードする……いや、其れはもうガードではなくカウンターの肘打ちと言った方が良いだろう。

人体で膝と並んで堅くて鋭い肘が蹴り脚に突き刺さると言うのは筆舌に尽くしがたい……其れを喰らった相手は激痛に顔を顰めているからな。

天神真楊流柔術が根幹にあるブラジリアン柔術ではあるが、其処には独自のアレンジが加えられており、こう言ったケンカで使われるようなテクニックも融合されて居るのだ。かのアントニオ猪木氏が『ブラジル人はケンカが好きなんです』とコメントしたのは、あながち間違いではないのだろう。

 

このエルボーガードによるカウンターで相手の出足を挫いたグリフィンは、其処から目にも止まらぬ大外刈りで相手をダウンさせると、流れる様なスムーズな動きで腕十字固めを極める!

シンプルなサブミッションだが、それだけに一度ガッチリと極まった腕十字から脱出するのは難しい――実際にプロレスでも一度決まった腕十字から脱出するにはロープブレイクするしかないとすら言われているのだ。

だが、此の大会にロープブレイクのルールはないので自力で外す以外の選択肢はない――寝技と関節技がない空手の選手である相手には其れは難しいだろう。

なので、相手はタップアウトしてギブアップの意を伝えて試合終了!

グリフィンも危なげなく一回戦を突破だ。

 

その後も試合は続き、刀奈、ヴィシュヌ、グリフィンの三人は全ての試合を三分以内で決着すると言う大会始まっての高速決着を続けて、遂に準決勝だ。――準決勝前に昼休みが入り、ランチタイムだったのだが、本日のランチは一夏特製の『おにぎり弁当』だった。『簡単に食べられる方が良い』との事で、この弁当になったのだが、試合の事を考慮して量は少し小さめのおにぎり二個と玉子焼きと腹八分目の量と言った感じだ。満腹で動くのは良くないからな。其れでもおにぎりの具には、明太高菜とツナマヨならぬサバマヨが使われている辺りに一夏の拘りを感じるが。

 

そのランチを堪能した三人はいざ準決勝に!

ヴィシュヌの準決勝の相手は、在籍校の『プロレス同好会』にでも所属してるらしい女の子で、ヒールの女子レスラーみたいな恰好であり、準決勝までの全試合をジャーマンスープレックスで相手をKOして来た猛者なのだが、其れでもヴィシュヌの相手ではなかった。

ジャーマンを仕掛けてもヴィシュヌの方から飛んでダメージを軽減され、サブミッションを掛けてもヨガで得た柔軟さでアッサリと抜けられてしまい、逆にチャランポーを喰らわされてからDDTを叩き込まれ、ダウン復帰後は拳打と肘打ちを折りませたラッシュ打撃を叩き込まれた後で飛び膝蹴りが突き刺さり、其処からジャンピング踵落としが炸裂して相手をリングに叩きつける!!……ハリケーンアッパーこそ使ってないけど、爆裂ハリケーンタイガーかかとだ此れ。

此れを喰らった相手は、失神はしなかったモノの十カウント以内に立ち上がる事は出来ずにKO!先ず決勝戦の椅子は、ヴィシュヌが獲得した。

 

そしてもう一つの準決勝は刀奈とグリフィンの試合だ。

天神真楊流柔術と、其れを源流とするブラジリアン柔術の試合は、序盤から互いに一歩も譲らない展開となり、打撃の打ち合い、投げの打ち合いと言った激しいモノとなっていた。

刀奈もグリフィンも技のキレは鋭いが、防御と受け身の技術も高いので、互いに決定打を与える事が出来ない状態になっているのだ……実力が拮抗している故の事だろう此れは。

既に試合開始から七分以上が経過しているが、決定打となる一撃は互いに入れる事が出来ないのだから。――とは言え、此れ以上時間を掛けるのは互いに良い事ではないだろう。試合は此れで終わりではなく決勝戦が残っているのだから。

ヴィシュヌは相手を略秒殺したのでスタミナが充分に残っている事を考えると、試合を長引かせて消耗するのは得策ではないのだ――だから、刀奈とグリフィンも次の一撃で決めるとの思いを固めて互いに相手を見やる。

 

 

「「…………」」

 

 

しばしの沈黙。

そして次の瞬間に互いに飛び出して、相手を掴む!――と同時に、グリフィンが雷光の大外刈りを繰り出す!決まれば必殺だろう。

だが、それに対して刀奈は身体を反転させるとカウンターの背負い投げ一閃!!そして、其処から寝技に持ち込み袈裟固め……ではなくアナコンダバイスでグリフィンを絞め上げる!!

変則の袈裟固めに見えるアナコンダバイスだが、腕と首の両方を一気に極められるので、実は結構きついサブミッションだったりするのだ。

 

 

「ギブ!ギブアップ!!」

 

 

なので、此処でグリフィンがギブアップ。

アナコンダバイスはその性質上、極められてない方の腕だけで何とかするしかないのだが、ロープブレイクがないルールでは腕十字と同様に外すのが極めて困難なので、逃れるにはギブアップしかないのである。

 

 

「はぁ、負けちゃったか……強いね刀奈?」

 

「貴女も充分強いわよグリフィン……正直な事を言うと、貴女が大外刈りを出してくれたから私は勝てたと言えるモノ。大外刈り以外の技が来てたら、多分私は負けていたわ。」

 

「謙遜するね……でも、次は負けないよ?」

 

「えぇ、また戦いましょう。」

 

 

で、試合が終わった後は確りと握手。

此れは刀奈、ヴィシュヌ、グリフィンの三人が此れまでの試合全てで行って来た事であり、相手が失神してしまっていた時は相手のセコンドに握手を求めてたのだ。

互いの健闘を湛える為の握手は必要であり、其れは武道家の礼儀だからな。

 

そんでもって、十分間のインターバルの後に行われた三位決定戦を経て遂にやって来ました決勝戦!!

高校女子最強の座を争うのは刀奈とヴィシュヌ……此の大会において決勝戦に駒を進めたのが一年生と言うのは初めての事だったりする。尚、三位決定戦はグリフィンが試合開始直後のタックルからマウントを取ってマウントパンチを叩き込んでTKOしました。バーリトゥードは矢張り強いね。

 

 

「三位決定戦はグリフィンが勝ったから、私達で表彰台を席巻するって言う目的は果たされたけど……だからと言って、この試合を適当に流しはしないわよ?」

 

「勿論ですよ刀奈……全力で行きます!!」

 

 

そして始まった決勝戦!

先ずはヴィシュヌが飛び蹴りで仕掛け、刀奈は其れを避けるが、其処から飛び膝蹴り→ジャンピング踵落とし→飛び横蹴りと、ヴィシュヌは飛び蹴りをメインにした攻撃を行っていた。

一見すると隙が大きく見える飛び蹴りだが、実はカウンターが取り辛いと言う側面がある――と言うのもカウンター、特に投げカウンターは『相手が地上に居る事』を前提にしている為、飛び蹴りの様な空中殺法に対してはカウンターが極めて取り辛いのである。

ヴィシュヌは刀奈に勝つには空中殺法しかないと悟って、徹底して飛び蹴りをメインとした立ち回りをしていると言う訳だ。

 

 

「成程、考えたわね……だけど、空中殺法で封殺出来る程、天神真楊流柔術は甘くないわ!」

 

 

だがしかし、刀奈も防戦一方と言う訳ではなく、ヴィシュヌのラッシュを防御する中でラッシュの隙を見付けると、その隙に身体を滑り込ませて渾身の浴びせ倒しでダウンを奪うと速攻で膝十字固めを極める!

極めた足にダメージを与える膝十字固めは強烈で、これまた一度完璧に極まったら脱出する事は出来ないと言われている技だ……だが、其れもヴィシュヌは持ち前の柔軟性で抜け出すと、再びラッシュ打撃に出るのだが……

 

 

「……(思う様に足に力が入らない!?)」

 

 

足に思う様に力が入らなかった。

僅かな時間ではあるとは言え、一度完璧に極まった膝十字は、ヴィシュヌの腰と足に確りとダメージを与えていたのだ――地味な技の膝十字固めだが、シンプルなだけにダメージは高いのだろう。シンプルな技ほど威力が高いとはよく言ったモノだ。

其れでもヴィシュヌはラッシュを仕掛けて行ったが、本来の力を出せなくなったラッシュは刀奈には通じず、カウンターで投げられて関節を極められる――のだが、其の度に脱出して完璧には決めさせない。

其の内にヴィシュヌもダメージが回復して来たのか、ラッシュに鋭さと重さが戻って行き、刀奈も簡単にカウンター出来なくなり、互いに一歩も退かない激闘が繰り広げられている……取り敢えず、美少女が本気で戦う様ってのは一種の芸術だと思うわマジで。

そして――

 

 

「タイムオーバー!」

 

 

此処で時間切れとなり、此処からはジャッジの判定になる。

そのジャッジだが、一人目は十五対十二で刀奈を、二人目は十三対十四でヴィシュヌを支持し、決着は三人目のジャッジに託された!

 

 

「ジャッジ山本、ヴィシュヌ・イサ・ギャラクシー十三、更識刀奈十五!よって、勝者更識刀奈!!」

 

「やったぁ!!!」

 

 

最後のジャッジが刀奈を支持した事で刀奈の判定勝ちが決まり、此処に本年の高校最強女子が決定した。――負けたヴィシュヌは少しばかり悔しそうではあるモノの、その悔しさよりも刀奈を祝福する気持ちの方が大きいらしく、負けても笑顔だった。

 

 

「良い試合でした……ですが、次は負けませんよ?」

 

「あら、其れは私もよ?中学から続いて来た、連続KO、TKO、タップアウト記録を止めてくれた貴女から、今度は完全勝利を奪わないとですもの♪」

 

「完全勝利させて貰うのは、私です。」

 

 

試合後は、互いの健闘を称える握手をしながらも、少々の軽口が出るのもまた仲が良い証拠と言えるだろう――取り敢えず、会場からは二人の熱闘に対し歓声が上り、惜しみない拍手が送られていた。

そんでもって、全国高校生異種格闘技選手権の女子の部はIS学園古武術部の面々が表彰台を独占したのであった。

 

 

「兄さん、何か一言。」

 

「俺の嫁達は最強だぜ?」

 

「うん、過不足ない答えを如何も……予選落ちしたとは言えロランもそんじょそこ等のJKよりは圧倒的に強いし、クラリッサは言わずもがなだからな。」

 

 

此れで大会一日目は終了し、IS学園の古武術部の面子は、学園が予約してくれていた会場近くのホテルで一夜を過ごした――翌日試合のある一夏以外の面子が夜通し遊び倒したのはある意味当然と言えば当然だなわな。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日の大会二日目。

組み合わせの抽選会で、一夏は一番を引き当てて、一回戦の第一試合からの登場と相成った――一夏は、中学時代に、出場した剣道大会全てで優勝するって言う前人未到の記録を打ち立てている上に、世界初の男性IS操縦者となった事で注目の的になっているのは仕方あるまい。

加えて一夏が注目されているのは嫁ズ同様にその格好も原因だ――一夏が着て居るのは袖のない空手着なのだが、色が普通の白ではなく本気モードの何処ぞの拳を極めし者の如き青紫!!そして、背には赤で『天』と入ってるからガチで真・豪鬼だ此れ。

 

それはさて置き、此の大会の男子の部には女子の部には絶対に存在しない格闘技が存在する……それは、日本の国技であるSU・MO・Uである!!

女人禁制の相撲は男子の部にのみエントリーがあるのだ……高校生の相撲部ともなれば、本格的に角界入りを目指している者の居るので可成りの実力者が居るのだが、一方で角界入りした後は他流試合は出来ないとの思いから、己の相撲がドレだけ強いのかを知る為に此の大会出場する者も少なくないのだ。

 

そして、一夏の一回戦の相手は、そんな相撲取りだった。

高校二年生にして身長は191cm、体重は150kgと言う、体格だけなら関取クラスの相手だ――身長は20cm近く上で、体重は二倍以上と一夏の方が圧倒的に不利なのだが、そんな状況でも一夏は不敵な笑みを浮かべていた。

 

 

「来いよウスノロ。」

 

 

試合開始と同時に、ぶちかまして来た相手を難なく避けた一夏は、手招きして相手を煽り、突進を華麗に避けては挑発して煽る……力士と真正面からぶつかっても勝ち目は薄いので、一夏は相手を挑発して動き回らせてスタミナを奪う事にしたのだ。

力士の怪力と一瞬のスピードは格闘界でも最強と言われているが、相撲は基本的に秒の勝負なので長期戦には向いていない――なので、一夏の様に動きチョコマカと動き回られるとあっと言う間にスタミナ切れを起こしてしまうのだ。

 

そして、読み通りにスタミナ切れを起こした相手に対し、一夏は懐に潜り込むと……

 

 

「行くぜ!昇龍裂破!!」

 

 

三連続のジャンピングアッパーカット……昇龍裂破を叩き込んで完全KO!滑る様な動きで二発のショートジャンプアッパーを叩き込んだ後に、抉り込むように入ったジャンピングアッパーは完全に顎を打ち抜いたのだから、そら力士でもKOされるわ。

何ぼ力士が頑丈で、他の格闘技の打撃は通じないとは言っても鍛えても鍛えようのない顎を的確に打ち抜かれたら堪ったモノではない訳だ。

そして、これを皮切りに一夏は二回戦以降は、決勝までの全ての試合を三分以内で決めた……まぁ、普段のトレーニングが物凄く、鍛え方が違うのである。余程の相手じゃない限り一夏の敵では無いだろう。

加えて観客席では嫁ズが応援してくれてるのだから一夏が負ける筈がない。嫁ズの応援によって一夏の戦闘力は通常時の五倍にはなってるのだから。

 

 

「刀奈達の応援を受けた兄さんならば、姉さんにも勝てるかも知れんが……しかし決勝戦の相手、奴は本当に高校生か?そもそも人間か?」

 

「其れはアタシも思ったわ円夏……ドレだけ少なく見積もっても、一夏より頭四つ分はデカいわよね。」

 

 

そして決勝戦の相手なのだが、円夏と乱が言っていたように物凄くデカい!

一夏の身長は172cmで、其れよりも頭四つ分大きいのだ……日本人の頭頂部から顎までの直径は大体平均22cm位であると言われているので、決勝戦の相手は一夏より88cmも大きい事になる。

172+88=260……いや、普通にバケモンだろ此れ!!

余りのデカさに、一夏もちょいとばかり怯んでいるように見えるわ。

 

 

「織斑一夏……俺は貴様を許せん!」

 

「は?行き成りなんだよ……何処かで会った事が有ったか?」

 

「会った事は無い……だが世界初の男性IS操縦者であり、それ故に『男性操縦者重婚法』によって男の夢であるハーレムを合法的に実現出来る貴様を、俺は非モテ代表として許す事が出来んのだぁ!!」

 

 

いや、行き成り一夏の事を許せないとか言って来たと思ったら、完全に私情入ってた此れ。

一夏は好きでISを動かした訳じゃないし、ハーレムもとい一夫多妻に関しても、男性操縦者重婚法が制定された事で一夏に一夫多妻以外の選択肢はなくなった訳なんだけど、こう言う手合いに其れは言うだけ徒労なんだろうね。

 

 

「何よりも、貴様の様な爽やか系イケメンは一番気に入らんのだ……その顔ボコボコにしてくれる!!」

 

「う~ん、此処まで意味不明な敵意を思いっきりぶつけてくる奴は逆に感心するぜ――だが、お前に俺は倒せないぜ?お前の様な、図体だけの筋肉達磨に負けるなんて柔な鍛え方はしてねぇし、何よりも嫁さん達の前で無様は晒せないからな。」

 

「ぶちのめす!!」

 

 

此処で試合開始が宣言され、相手は一夏に向かって一気に間合いを詰めると渾身のパンチを叩き込む!

一夏は其れをギリギリで避けるが、避けられた拳は其のままコーナーポストに突き刺さり、そしてコーナーポストを真っ二つに圧し折ってしまった……ロープが止められている支柱は無事なのだが、其れでもショック吸収能力と剛性の両方を併せ持つ硬質ウレタン製のコーナーポストを圧し折ると言うのは凄まじいパワーだ。

だがそれでも打撃は巨体過ぎるだけに大振りで、避けるのは難がなかったのだが、一夏が最も警戒したのは捕まる事だ……この巨体に捕まって力任せに関節技を極められたら其れこそ堪ったモノではないからだ。

なので、一夏は相手の攻撃を躱しながら、膝を中心に関節を狙って打撃を当てると言った戦法を取る事にした――相手は背が高いだけでなく、横幅もあるが、其れは全て筋肉による厚みであり、その筋肉が鎧となっている為に普通なら必殺となるボディブローも通じないので、筋肉の鎧ではカバー出来ない関節部を狙っているのである。

此のまま行けば、KOは出来なくとも確実にポイントになる打撃を入れているので判定勝ちには持ち込めるだろう。

 

 

「鬱陶しいわ!!」

 

「え?」

 

 

何度目かの膝への蹴りに対し、相手は足をカチ上げて対応すると、体勢を崩した一夏を捕まえて其のまま力任せのパワーボムを炸裂!そして、その一発では終わらず、何度も一夏をパワーボムでリングに叩きつける、所謂『餅つきパワーボム』でダメージを与えて行く。

こうも何度も背中から叩きつけられたら、如何に受け身を取ったとしてもダメージは蓄積されていくだろう――そして、何度目かのパワーボムの後、トドメのデスバレーボムに移行――

 

 

「それを待っていたぜ!!」

 

 

しようとした所で一夏が動き、身体を捻って拘束を振り解くと、相手の頭に両手を付いて其処からまるで体操の鞍馬運動の様に回転を始める!

 

 

「カメハメ五十二の関節技、グローバル・ブレイン・スピン!!」

 

 

其れは、漫画『キン肉マン』の主人公であるキン肉マンの師匠であるカメハメの百の必殺技の中における五十二の関節技であるグローバル・ブレイン・スピン!此れを喰らった相手は、首の筋肉だけで一夏の体重を支えなくてはならないだけではなく、鞍馬運動の度に脳天に掌底が叩き込まれるので頭部に可成りのダメージを受けるのだ。

その証拠に相手の体制は徐々に崩れ、そして遂に膝を付く。

そして其れを一夏が見逃す筈もなく、相手の頭から降りると、間髪入れずに鍛えても鍛えようのない喉笛にウェスタンラリアートを叩き込み……

 

 

「此れで決めるぜ……一撃必殺!!」

 

 

腰の入った正拳突きを叩き込む!!

この正拳突きは只の正拳突きではなく、インパクトの瞬間に正拳突きに使われる関節八カ所を同時に固定し、己の全体重を拳に乗せた一撃なのだ――つまり、相手には一夏の体重57㎏が其のまま突き刺さった訳であり、其れは57㎏の鉄球がぶち当たったのと同じだ。

いかに筋肉の鎧を纏っているとは言え、60㎏近い鉄球をぶちかまされたら堪ったモノではないだろう――一夏の渾身の一撃を喰らった相手は派手に場外までふっ飛ばされてKOだ。

 

 

「やったぜ!」

 

 

見事に優勝した一夏は、観客席の嫁ズに勝利のVサインを送り、嫁ズもVサインを送り返して其れに応える。――でもって、今年の全国高校生異種格闘技選手権は男女ともIS学園の生徒が制覇するって言う結果になったのだった。

特に男子の部は、今注目の一夏が優勝したと言う事もあり試合後にはスポーツ紙や雑誌のインタビューが殺到したのは仕方のない事だろう……其れでも、其れを全部熟した一夏は大したモノだけどね。

 

んで、一夏への取材が終わった後、一行は食べ放題の焼き肉屋に直行して大会後の打ち上げを楽しんだ……食べ放題でも最高ランクのモノにしたので、全てのメニューが注文出来るって言う豪華な食べ放題だったけどね。

取り敢えず、暑い夏の熱い戦いは一夏達が圧倒的な強さを見せつける結果になったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃――

 

 

「一夏達は順調に強くなってるみたいだな?日々の鍛錬は欠かして居ないと見える、感心感心。」

 

「一夏だけでなく、刀奈達も日々の訓練は欠かさんからな。」

 

 

千冬は一夏からプレゼントされた温泉旅行を稼津斗と楽しんでいた。

ペアチケットと言う事で同室なのには驚いたモノの、稼津斗と同じ部屋で過ごすと言うのは此れが初めてではないので、別分緊張はなかった――まぁ、露天風呂で鉢合わせた時には流石に狼狽えたがな。

 

 

「しかし、夕食に蟹が出るとは、一夏め大分奮発したな?」

 

「だろうな……でも、姉の為に惜しまず奮発できる弟ってのはそう居るもんじゃないと思うぜ?良い弟を持ったな千冬さん。」

 

「マッタクだ。

 時にカヅ、此の蟹を食べる時に使うスプーンの様なモノはなんて言うのか知ってるか?知っていたら教えて欲しいのだが……蟹スプーンとかではないよな?」

 

「あぁ、此れね?此れは、蟹甲殻類大腿部歩脚身取出器具って言うらしいぜ?」

 

「長いな……と言うか、まさか知ってるとは思わなかったぞ?」

 

「ハハ、こう言うトリビア的雑学を調べるのも趣味でさ……割としょうもない事なら色々知ってると思うぜ俺は?」

 

「ふむ……では、公園にある鉄製の格子を球状にしてくるくる回るあの遊具は?」

 

「グローバー・ジャングル。」

 

「パンの袋とかを止めるプラスチック製のアレ。」

 

「バッククロージャー。」

 

「商店街の福引とかに使われるガラガラ。」

 

「新井式回転抽選機。」

 

「非常口の案内とかに描かれてるあの人間は?」

 

「アレは、ピクトさんって言うらしいぜ。」

 

 

……何だか良く分からんが、取り敢えず千冬はこの温泉旅行を楽しんでいるのは間違い無いだろう。だって彼女は、この旅行中は終始笑顔だったのだから。

因みに、交際を始めて三年になる千冬と稼津斗は、未だにキスより先には進んでいないのだが、この旅行で泊った温泉の女将さんが気を利かせて(?)スッポン料理を振る舞ってくれた事で精力が限界突破して、つまりはそう言う事になったみたいであった。

まぁ、そっちに関しては弟の方が先に卒業してる訳だから、取り敢えずおめでとうと言っておこう――目を覚ました時に、恥ずかしさのあまり稼津斗をブッ飛ばしてしまったのは、御愛嬌って奴だろうな♪

 

取り敢えず、熱い夏はまだまだ続く!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued 

 

 

 

 

 

 

 

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