夏と刀と無限の空   作:吉良/飛鳥

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二学期か……燃やすぜBy一夏     ガンガン燃やして行くわよ!By刀奈     この情熱の炎に燃やせないものはないよByロラン


Episode42『二学期の始まり!全力で行くぜ!』

九月一日、二学期の初日である今日も一夏の日常は変わらない――当たり前の様に早朝に目を覚ますと、其のまま早朝ランニングを行って軽く汗を流す。ランニングの途中でシャドーボクシングも交えているのだが、一夏のシャドーは最早残像が残るレベルになっているので、間違いなく拳速はプロボクサーを凌駕してるだろうな……下手すりゃ、拳のスピードはマッハレベルかも知れん。

 

 

「おう、織斑の坊主じゃねぇか!毎朝毎朝精が出るねぇ?」

 

「おはようおっちゃん。此れ位のトレーニングは当然だって……俺は強くなきゃならないからな?――強くなきゃ、五人も居る嫁を守る事が出来ないし、強くなかったら、俺は『ISを動かせるだけの男』になっちまうからさ。

 其れに、鍛えて損って事はないだろ?」

 

「ガッハッハ!違いねぇ!持ってきな、今出来立ての豆腐だ。」

 

「おっと、此れは有り難く頂くぜおっちゃん。出来立ての豆腐……此れは冷や奴で食べるのが一番だな。」

 

 

そして、一夏の早朝ランニングは夏休み中に商店街の人達に目撃されており、同時に早朝に店の準備をしている人と挨拶を交わしていた事で、一夏は商店街のおっちゃんやおばちゃん達からの好感度が可成り高くなっているのだ。

なので、今日の様に開店前の店の店主から『プレゼント』をされる事も少なくない――豆腐屋からは、今回の様に出来立ての豆腐又は油揚げ、魚屋からは切り落としの刺し身の切り身、肉屋からは揚げたてのコロッケ、パン屋からは焼きたての食パンと言った具合にな。

まぁ、此れも一夏だからこそだろう……陽彩だったらこうは行くまい――そもそもアイツは一夏の様にストイックに自分を高めると言う事はしない上に、商店街の人とコミュニケーションを取る事もしないだろうからな。

 

さて、早朝ランニングを終えた一夏は、シャワーで汗を流すと自分の分を含めた六人前の弁当を作り上げた後に朝食を作る――本日の朝食は、弁当用に炊いておいた雑穀米、豆腐屋から貰った出来立て豆腐の冷や奴、そぼろ納豆(塩味)、アジの干物、ワカメと油揚げなめこの味噌汁、浅漬け(胡瓜、茄子、ズッキーニ)と言ったラインナップ……見事なまでの和食である。

 

そして、朝食の準備が出来た一夏は、お玉とフライパンを持って円夏の部屋に向かい――

 

 

「朝だぞ円夏!!いい加減、目を覚ませーー!!寝すぎると目が腐っちまうぞ!!」

 

 

 

――ガキィィィィン!!

 

 

 

フライパンの底にお玉を思い切りぶつけ、凄まじい音を発生させて円夏を強制的に起床させる!

……この目覚ましはギャグ漫画の世界のモノだと思ってたんだけれど、実際には結構使えるかもしれんな?どんな人間だって、頭上で金属同士がぶつかると言うトンデモなく甲高い音を聞いたら目が覚めるモノだからな。――目覚まし時計のアラームも、其れに近い周波数の音が出るようにしてるらしいからね。

 

 

「のわぁぁ!?……に、兄さんか!……し、心臓に悪いぞ!!」

 

「つっても、こうでもしねぇとお前起きねぇだろ?毎朝簪はどうやってお前の事を起こしてるのか可成り謎だわ。簪は、こんな力技を使うイメージがないから余計にな。」

 

「あぁ、其れは大丈夫だぞ兄さん。学園の寮ではちゃんと定時に起きている。私が寝坊をするのは兄さんと此の家にいる時だけだからな!」

 

「……お前、其れ堂々と胸張って言う事じゃないからな?間違っても俺以外の誰かに言ったりすんなよ?」

 

 

マッタクである。

此れはアレか、『寮でも家でも部屋は別々だが、家だとお兄ちゃんに甘えたくなる』って奴なのか?……高校生にもなって、実の兄に起こして貰うと言うのは少々を通り越して甘え過ぎと言うかだらしが無いと言うか、『ブラコンはお兄ちゃんに起こして貰いたい』と言う事なのか、何だか良く分からん。

まぁ、一夏の強烈な目覚ましで円夏も完全に目が覚めたみたいなので此れ以上は何も言うまい――その後は、普通に着替えて顔を洗って、リステリンでうがいをした後に朝食タイム。

……一学期の間、一夏の朝食を食べる事が出来なかった円夏は、夏休み期間中は一夏の朝食を堪能していたのだが、今日の朝食が終わったら二学期の間はまた食べられなくなるので、今日の朝食はメチャメチャ味わって食べているようだった。

 

そして、朝食を終えた後は制服に着替え、家の戸締りをしてから学園に向かうモノレールの駅に出発!その道中に五反田兄妹と出会い、途中までは同じ道なので一緒に行く事になったのであった。

別れ際に、弾が一夏に『嫁さん達に宜しくな~~』と言っていたのが、何と言うからしいと言えばらしいのかも知れないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏と刀と無限の空 Episode42

『二学期の始まり!全力で行くぜ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日から新学期と言う事もあり、学園行きのモノレールの駅は、当然の様にIS学園の生徒達でごった返している……なんて事はなく、人数は多いがだからと言って駅がパンクしそうなレベルではないのが今の状況だ。

 

当然と言えば当然だろう。

IS学園の生徒数は世界規模で見てもトップクラスの人数なのだから、新学期の混雑を避けるために学園に向かう唯一の手段であるモノレールの運行本数を増便して生徒が駅に溢れ返るのを防いでいるのだ。此れ位の処置は当然と言えるだろう。

また、全ての生徒が夏休み中に帰省していた訳ではないと言うのも理由としては大きいかも知れない。

所謂『海外組』の生徒の中にはロラン達の様にホームステイしていた生徒も居るのだが、その大半は一週間ほど帰国した後に日本に戻り、夏休みの残りの期間をIS学園で過ごしていたのだ――特に専用機を持たない競技科の二・三年の生徒は『生徒が少ない夏休みは練習が沢山出来る』との理由から学園に残る生徒が圧倒的に多いのである。

また、日本国内に住んでいる生徒も、一夏や刀奈の様に首都圏に住んでいるなら兎も角として、地方・遠方から上京してきた形の生徒は、お盆に帰省して二、三日実家で過ごした後は、また学園に戻ると言う生徒も多いのだ――以上の理由から、新学期ではあってもモノレールの駅は大混雑になって無い訳だ。尚、このモノレールはIS学園の生徒と教師は年間フリーパスである……其れ以外の人間は有料だが。(運営資金は国際IS委員会がISバトル興業での興行収入から出して居たりする。)

因みにだが、モノレールの移動時間、全ての生徒が一度でモノレールに乗る事は出来ない事を考慮して、IS学園の新学期の始業式は普通の高校とは違い午前十時からとなっている。可成り遅めの時間設定だが、此れも生徒の安全を考えての事だろう。

多くの高校で採用されている午前九時設定の場合、間に合うように駅に生徒が殺到して思わぬ事態が起こらないとも限らないからね……常に生徒の安全第一と言う事なのだ。

 

 

「刀奈、ロラン、ヴィシュヌ、グリフィン、クラリッサ、おはよう!」

 

「一夏、おはよう♪新学期も気合いれて行きましょう!」

 

「ふ、今日も良い朝だね一夏。新学期を君と一緒に登校出来るとは、幸せな事この上にないよ。」

 

「おはようございます一夏。二学期も頑張りましょうね?」

 

「おっはよー一夏!今日からまた学園生活を楽しもうね♪」

 

「Guten Morgen(おはよう)一夏。今日も良い天気だな。」

 

「……オイコラ私は無視か?」

 

「其れは違うよ円夏。刀奈達にとっては一夏が第一なだけ……そして其れは一夏も同じ。きっと私と円夏への挨拶はこの次になると思うけど、其れは裏を返せば其れだけラブラブって事だから、妹としては喜ぶべき。」

 

「……そう言うモノなのか?」

 

「そう言うモノ。其れと円夏はそろそろ兄離れした方が良い。過度のブラコンはちょっと引く。――そして、拗らせたブラコンは何れ兄から見放される事もあるから気を付けた方が良い。」

 

「恐ろしい事を言うな簪!兄さんに見放されたら、私は生きていけんぞ!」

 

「円夏は可愛いんだから彼氏見つければいいのに……って、理想が一夏だから彼氏のハードルが高すぎるか。」

 

 

モノレールの駅で一夏と円夏は更識姉妹&嫁ズと合流……円夏と簪の妹ズが若干のコントを繰り広げていたが、実に平和である。……簪のクールながらも的確な突っ込みは実に見事だ。漫才コンビとしてデビューしたら結構売れるかも知れないな。

他の一夏チームのメンバーの姿は見えないが、夏姫と虚は生徒会として新学期の準備があるとの事で三日前から学園入りし、本音と乱とコメット姉妹、レインとフォルテは昨日から学園入りしているのだ……コメット姉妹は、何か事情があるようだったが。

 

 

「はい、此れ今日の弁当。」

 

 

モノレールに乗る前に、一夏は手提げ袋から弁当を取り出して嫁ズに渡し、嫁ズも其れを受け取って鞄に……この光景を見た一部の生徒が嫉妬の炎を燃やしてバーニングソウルの境地に至ったとかなんとか。知らんけど。

因みに、一夏特製弁当は一般的な女子高生の弁当と比べると可成り大きめだ――グリフィンが標準の二倍の量であり、其れ以外の面子も標準の1.25倍と結構多目の量なのだ。

しかしこれは、彼女達がアスリートしての身体をしているからだ――IS競技者と言うアスリートの彼女達はアスリートとして必要な筋肉を備えている為に、所謂『燃える身体』になっているので普通の女子高生よりも必然的に食べる量が多くなるのだ。

ぶっちゃけた話、ISバトル競技者の一日の摂取カロリーは、アスリートの中でも最もカロリーを必要とすると言われていた水泳選手の平均摂取カロリーである4000~5000キロカロリーを上回る6000~7000カロリーと言われているのだから、食事の量が多くなるのは仕方ないのだ。

そして女子で此れなのだから、男子である一夏の弁当は更に量が多く、並の男子高校生の凡そ三倍……最早相撲部の部員レベルの量となっているのだ。にも拘わらず、体型には一切の変化がないと言うのだから世の女性からしたら羨ましい事この上ないだろうな。

 

其れは其れとして、一夏達はモノレールに乗り込み、そして無事にIS学園に到着……今更だが、何でモノレールなのだろうか?モノレールよりもリニアモーターカーを採用した方が移動時間が短縮出来る上に一度に乗車出来る人数も増えるので効率的だと思うのだが、其処は学園と国際IS委員会の事情があるのだろう。

 

 

「そう言えば、新学期って事はアイツ等の謹慎も今日で解けるって事だよな?……また、喧嘩吹っ掛けて来なきゃいいんだが、其れは期待するだけ無駄か?」

 

「悲しいけれど、その通りだと思うわよ一夏……四十日の謹慎期間で彼等が更生するとは思えないモノ――寧ろ、自分がやった事を棚に上げて、『今自分がこんな事になってるのは一夏のせいだ』とか思ってるかも知れないわよ?」

 

「……アイツ等なら其れ位は思ってそうだな。」

 

「ふ、仕掛けて来たなら非常に面倒ではあるが返り討ちにしてやれば良いさ。お義姉さんに扱かれたのならば多少はパワーアップしているかも知れないが、だが私達の敵ではない事は容易に想像出来る。

 無理矢理扱かれた彼等と、自ら進んで鍛錬を行っていた私達ではトレーニングの効果に雲泥の差があるからね。」

 

 

そして学園への移動中に一夏が気になったのは陽彩達の事だった……別に陽彩達の安否が気になった訳ではなく、二学期になったと言う事は夏休み期間中だった謹慎が解かれると言う事であり、謹慎開けの陽彩達がどんな因縁付けて来るか分かったモノではないからな。……刀奈の言った事が強ち間違いではないどころか、陽彩達は一夏達への憎悪を燃やしてたりするんだわ――全ては自業自得の結果なのに、寧ろ被害者である一夏に憎悪を募らせるとは、厚顔無恥を天元突破してるとしか言えないわ。

まぁ、仕掛けて来たら仕掛けてきたで、ロランの言うように返り討ちにしてやるだけだけどな。――この夏休みの期間に一夏達は更にパワーアップし、一夏の嫁ズは全員が戦闘力が暴走レオナレベルになり、一夏は暴走庵に匹敵するレベルになってるだろうからね。……何だこのチート夫婦。

 

 

「ホント、馬鹿な事をしたよね陽彩達は……僕は止めとけって言ったのにさ。」

 

 

此処で会話に入って来たのは、陽彩チームの一員でありながら、臨海学校の時に唯一陽彩に同調しないで旅館内で待機していたシャルロットだ――故に、彼女は謹慎を喰らわずに夏休みを謳歌したらしい。

 

 

「デュノア……そう言えば、お前は謹慎喰らわなかったんだっけ――アイツの誘いに乗らなかったのは正しい判断だと思うが、如何してお前はアイツに乗らなかったんだ?お前もアイツのパートナーなんだろ?」

 

「パートナーか……其れはちょっと違うよ織斑君。僕と彼は婚約関係にはなってないよ。現実にフランスは僕と彼の婚約を発表してないしね――僕が彼と一緒に居るのは、彼と彼の機体データを得る為だよ。

 本音を言えば織斑君、君のデータが欲しかったんだけど、君の周りはガードが固いから断念してターゲットを彼に変えたんだ――高いリスクを払って良いデータを採るよりも、低いリスクでソコソコのデータを採る方が割に合ってるからね。」

 

 

そして、シャルロットは矢張り黒かった。闇属性モンスターもビックリするほど黒かった。腹黒王子とは、彼女の為にある言葉かもしれない……女性なのに王子って矛盾してるかもだけどな。

まぁ、余りの黒さに一夏達も絶句して引き攣った笑みを浮かべる事しか出来なかったのだが……大抵の人はこの空前絶後の腹黒を目にすればこうなるだろうな。

加えて、『二次移行した彼の機体のデータも採取済み』と笑顔で言われたらマジでドン引きするしかないわな――一夏達は知る由もないが、シャルロットはデータを得る為に陽彩に自分を抱かせてる訳で、其れだけのコストを払ったのだから必要なデータを得たら陽彩を切り捨てるってのはある意味で当然なのかも知れんな。

 

んで、モノレールに揺られる事十五分、一行は四十日ぶりとなるIS学園に到着だ!!

 

 

「学園よ、私は帰って来た!!」

 

「クラリッサ、何言ってるんだ?」

 

「……いや、何となく言わなくてはならないような気がしただけだ。」

 

 

クラリッサが謎の電波を受信していたが。

此れから始業式なのだが、講堂には直行せずに先ずは寮に行って荷物を置いて来る事に……二学期中は二度も季節が変わる為、寮に置きっぱなしにしておいた夏物の他に秋物と冬物の服も必要になるので、実は結構荷物が多いのだ。

事前に学園に宅配便で送っておく事も出来るが、その場合は一度事務室に行って必要な書類を書いてからの受け取りになると、結構面倒なので、少し荷物が多くなっても自分で持って来た方が面倒はないのである。

 

 

「アレ、ヴィシュヌの部屋ってこっちじゃないよな?てか、刀奈は何で部屋とは別の方向に行こうとしてるんだ?」

 

「あら、言って無かったっけか?

 二学期から私達は一週間交代で部屋を代わる事にしたのよ。私ばっかり一夏と一緒の部屋って言うのは不公平じゃない?だから、その不公平を解消する為に交代で一夏と同じ部屋になる事にしたの。」

 

「そして、順番を公平にクジで決めた結果私が二学期一番目と言う事になったんです。ふふ、一週間宜しくお願いしますね♪」

 

「マジか……まぁ、全員が納得してるなら何も問題はないか。俺も、皆と同じ部屋で過ごす事が出来るってのは嬉しいしな。

 でもさ、勝手にそんな事しても良いのか?部屋を勝手に交代するとかなんか問題起きそうな気がするんだけど……」

 

「其れに関しては問題ないよ一夏。既に寮長であるお義姉さんと、生徒会長である夏姫女史には許可を貰っているから何も問題はないさ……お義姉さんが『そう言う事ならば、まぁ特例として許可しよう』と、割とあっさり許可してくれたのが少し意外だったけれどね。」

 

 

そして夫々の部屋に向かう途中で、『二学期からは一夏の部屋の同居人は一週間ローテーションで嫁ズが交代する』と言う事を一夏は初めて聞かされた……夏休みの前半戦で決めた事を、今まで知らせていなかったのは確実に刀奈が『どうせだからビックリさせちゃいましょう♪』ってな感じで仕掛けた『ドッキリ』なのだろう。

まぁ、其処には子供のイタズラっぽい所はあっても悪意はないし、一夏も一夏で『驚きはしたが、その内容は自分も嬉しい』事だったので特に問題はない――割とアッサリと許可された事に関しても、千冬と夏姫から信頼されている証だと思えば悪い気分はしないしな。

……夏姫が許可した背景には、生徒会長と言う身分でありながらこっそりと簪の部屋で簪と共に特撮・アニメのDVDのオールナイト上映会なんかをやってる事に対するちょっとした後ろめたさもあったのかも知れないが。……生徒会長も人の子だから、そう言う事をしたくなる事だってあるよな、うん。

 

クジで決めた結果、ローテーションはヴィシュヌから始まり、クラリッサ、グリフィン、ロラン、刀奈と言う順番になったのだが、実は刀奈だけはクジを引かず『一学期中は寮では一夏を独占しちゃったから、私は一番最後で良いわ』と言って最後の順番になったのだ――いやもう、一夏の嫁ズはホントに嫁協定がしっかり守られてる上に嫁同士の仲も良いってんだから一夫多妻の理想形と言えるわなマジで。特に刀奈が『自分が一夏の彼女だった』事を振りかざさないのが良い感じだわ……全員が一夏の嫁である以上は、其処に優劣は存在しない。『第一婦人』とかは存在しない訳である――てか、一夫多妻で嫁さんにランク付けするとか普通に失礼だと思う訳です。

 

 

「何でベッドがダブルベッドになってんだよ。」

 

 

で、荷物を置く為に部屋に入ったら二つのシングルベッドが何故か一つのダブルベッドになっていましたとさ。……夏休み前は間違いなくシングルベッドが二つ設置されていた筈なのに何故に夏休みが開けたら行き成りダブルベッドになっているのか些か謎である。

 

 

「え、元々ダブルベッドだったんじゃないんですか?……若しかして夏休み期間中に入れ替えたのでしょうか?……まさか、お義姉さんが?」

 

「いや、其れは無いだろうな。

 やるとしたら……多分束さんだ。束さんだったら、学園のセキュリティ突破して俺の部屋入って、二つあったベッドを一つのダブルベッドに改造する位は造作もないだろうからな。」

 

 

確かに、束ならば其れ位楽々出来るだろう。其れこそ朝飯前、いや朝飯前の歯磨きレベルの感覚で……『学園のセキュリティザル過ぎね?』と思う事なかれ、束はその気になればアメリカ国防総省『ペンタゴン』どころか超機密施設であるエリア51のセキュリティだって突破する事が出来る訳であり、束にしてみればドレだけ厳しいセキュリティをIS学園が施していたとしても突破するのは訳ない事なのだ。

だからと言って其れは悪用しないで、精々これ位の事をするだけなので特に問題はないし、何かヤバい事をしようとしたらその時は千冬がガチで止めに入るから矢張り問題は無いだろう。

 

 

「それにしてもまさかのダブルベッドとは……まぁ、別に問題はないか。」

 

「え、問題はないんですか?」

 

「だって、将来的に夫婦になる訳だし、同じベッドで寝る位は別に普通だと思うぜ?……まぁ、まだ暑い時期だからあんまりくっつかない方が良いかもだけどな。」

 

 

ダブルベッドになっていた事に突っ込みを入れつつも、一夏はダブルベッド其の物は特に問題はないと考えている様だ……いや、『将来は夫婦になるんだから同じべッドで寝ても問題ない。寧ろ普通』だって考えてるとか、もうマジでドンだけなんですかね一夏君は。

ヴィシュヌもヴィシュヌで、少し顔は赤くなっているモノの同じベッドで寝る事其の物は嫌ではないと言うか、寧ろ良いと思って居る様だ――尤も、其れはヴィシュヌだけじゃなく嫁ズ全員が同じだろうけどな。相思相愛とは良いモノである。

 

取り敢えず、一夏は週毎に同居人が入れ替わる事はOKだったので、夫々が自分の部屋に荷物を置いてから始業式が行われる講堂に。

……尚、夏休み中の謹慎を喰らっていた馬鹿共は、始業式まで懲罰房に入れられていたので一夏達がエンカウントする事は無かった。

エンカウントしたらしたで、間違いなく意味不明な因縁を付けて来たのは間違い無いだろうから、そう言う意味ではギリギリまで懲罰房に閉じ込めておくと言う選択したのは英断だったと言えるだろう……新学期初日から問題発生とかマジで笑えないからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

始業式其の物は恙無く終わった……校歌斉唱とかは普通にあったが、学園長の挨拶が『夏休みは楽しみましたか?二学期も夫々の目標に向かって頑張って行きましょう』と言う至極シンプルなのが印象に残った。

普通、学園長の新学期との挨拶となれば、最低でも十分はある上にやたらと『あ~』や『え~』が多い、中身の薄いモノなのだが、IS学園での学園長の挨拶は簡潔にして分かり易いモノだった訳だ……轡木十蔵学園長は色々と分かっておられるようである。――実際にこの短い挨拶を聞いた生徒の一部からは『良いぞ学園長よくやった!』、『流石学園長分ってる』、『IS学園学園長・轡木十蔵……見事だ』と好意的な意見が上がっていたからね。

と言うか、他の学校の校長・学園長も轡木学園長をマジで見習って貰いたいモノである……長ったらしい挨拶ってのは聞かされる生徒の方からすると冗談抜きにしてマジで拷問だから。そら、貧血でぶっ倒れる奴も出るってモンさ。長話で生徒をKOするなって話ですよ。

 

轡木学園長のナイスな挨拶のおかげで始業式は直ぐに終わり、そしてその後は各クラスごとにホームルームを行って本日の日程はお終いだ。――IS学園もまた始業式の日は午前中で終わりなのだ……なので、逆を言えば午後は丸々部活やISの訓練なんかに使える訳なんだけどね。

 

 

「屋上でのランチタイムも、随分久しぶりだな。」

 

 

ホームルームが終わった一夏チームの面々は全員が最早お決まりとなった屋上でのランチタイムに突入。

本日の一夏特製弁当のメニューは、雑穀米の上に『鮭フレーク』、『辛子明太子』、『釜揚げシラス』を乗せた三食海鮮飯、豚バラチャーシューとエビとパクチーのタイ風生春巻き、チェダーチーズのフリッター、カリーブルスト、ジャガイモの香味焼き、薄切り肉の野菜包み焼きブラジル風と、バラエティに富んだラインナップになっていた――夏休みに嫁ズの親への挨拶でドイツ、ブラジル、タイ、オランダを訪れた一夏はその土地の料理もバッチリ覚えて来たみたいである。

マジでコイツの主夫力マジパないわ。極上クラスのイケメンな上に腕っぷしも強く、そして家事はパーフェクトとかドンだけの完璧超人だってんだ!

矢張り、神に溺愛された真の主人公ってのは激強って事なんだろうな。異論は認めないわマジで。

 

 

「それにしても、まさかコメット姉妹とあの中国娘がクラスを入れ替わる事になるとはな……千冬姉、大変だろうな。」

 

「でも、此れはお義姉さんの方から学園側に申し込んだ事みたいよ?何でも『問題児は纏めて私が面倒を見る』って学園長に啖呵切ったとか……自ら問題児を受け持つだなんて中々出来るモノじゃないわよ?」

 

「義姉さんだからこその選択だね。」

 

 

んで、二学期からはコメット姉妹は二組になり、二組だった鈴が一組にと言う生徒交換が行われていた――此れは夏休み中に千冬が十蔵に申し入れた事であり、其れが了承されたからこその事だ。

陽彩チームの面々は揃いも揃って問題児(シャルロットは腹黒いが問題児ではないのだが……)である上に、夏休み中の謹慎をもってしても更生の余地が見込めないので、千冬が纏めて面倒を見る旨を十蔵に伝えて居たって言う訳である――其れによりコメット姉妹は陽彩の悪辣なオーラに当てられる事が無くなったって言うのだから結果オーライである。

 

 

「自ら問題児を引き受けるってのは千冬姉らしいけど、無理だけはしないでくれよって感じだな……まぁ、アイツ等が問題を起こしたら起こしたでその時は、間違いなく千冬姉が何とかするだろうからな。」

 

「義姉さんだと、確かに何とかしちゃいそうだね。主に物理的に。」

 

「出席簿でシバかれる様が目に浮かぶわね~~……と言うか、一学期に篠ノ之とオルコットとボーデヴィッヒが何度出席簿喰らったか分からないわよね?」

 

「少なくとも三十発は喰らってると思うよファニール。」

 

「まぁ、アタシにとっては嬉しい事ではあるわね此れは……此れで漸く鈴の面を毎日見なくて良くなった訳だからね。

 其れに、世界的に人気のあるアイドルと一緒のクラスとか中々ある事じゃないし――台湾の友達に自慢してやろうかしら?特に、コメット姉妹の熱狂的ファンの男子に教えてやったら発狂しそうよね~~♪」

 

「程々にね乱ちゃん?」

 

「分かってるわよ刀奈♪」

 

 

尤もだからと言って二組に移動になったコメット姉妹は勿論だが他の誰にも何の問題も無いだろう……精々鈴が常に千冬の監視下に置かれた事が彼女には不幸であるかもしれないが、此れまでは別のクラスだった陽彩と同じクラスになれたのだからプラマイゼロと言っても良いだろうしね。

ホント、何でシャルロット以外の四人は陽彩みたいのに惚れちまったのか謎だわ……ぶっちゃけて言うと陽彩が『にこポ』、『なでポ』と言った『洗脳系スキル』を使ったんじゃないかと思うレベルで謎だわ。

 

 

「時に兄さん、何で私の弁当は作ってくれなかったんだ!?何が悲しくて私だけ売店の弁当を食べねばならないのか!!」

 

「円夏、お前は家事スキル向上の為に自分の弁当は自分で作れって言っただろ?……其れなのに寝坊して作れなかったんだから其れは当然の結果だろ?

 大体にして、売店の弁当の中でも一番人気で売り切れ御免の『ワサビ庵』の『マグロキムチ丼』を運良く買えたんだから文句言うなよ……其れをゲット出来たのに文句言うとか、他の生徒からぶっ飛ばされるぞお前?」

 

「確かにワサビ庵のマグロキムチ丼は旨いけど、兄さんの料理には及ばないんだ……兄さんの弁当が食べたい!!」

 

「仕方ないわねぇ、なら生春巻き一つ上げるわ。」

 

「なら、私はチーズのフリッターを。」

 

「カリーブルストを一つどうぞ、円夏さん。」

 

「ジャガイモ一個あげるね。」

 

「野菜包み焼き、一つ如何だ?」

 

「義姉さん達が優しい!!」

 

 

取り敢えず本日のランチタイムも平和である様だ。――簪が手作りした弁当を夏姫に渡していたみたいだが、其れもまた一つの青春だ。愛に性別は関係ないのだよ!但し、百合はOKでも薔薇は受け入れられないのは俺が男故か……性差別は良くないけど、ダメなモノはダメなんだなとつくづく思う今日この頃である。

因みに簪の弁当は、某国民的あんパンキャラの『キャラおにぎり弁当』だった……キャラ弁ってのは実は食べて美味しいモノではないのだが、おにぎり弁当だと割と美味しく出来るのだ。

特にあのあんパン戦士の場合、ご飯に鰹節を混ぜれば茶色を表現出来るし、鼻の赤は梅干しで再現出来るし、中身の餡子はノリの佃煮でノープロブレム!更に副菜も鶏の唐揚げ、卵焼き、いんげんの胡麻和えと充実しているのだ……一夏ほどではないが中々の弁当であると言えるだろう。

簪も凝り性なので、割と弁当作家に向いているかもだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

ランチタイムから一時間ほど食休みを取った後はザッツ部活タイム!!

古武術部のメンバーは二学期初日から全員が参加すると言う気合いの入りっぷりだ……夏休みに行われた『全国高校生異種格闘技選手権』で一夏と刀奈がダブル優勝を決めた事が部員達のやる気を駆り立てたのだろう。

筋力トレーニングをはじめとした基礎トレーニング、ミット打ちやサンドバック打ち、スパーリングと練習内容は多様だが、全員が真剣に其れを行っており、同時に古武術での活動はIS操縦者としての能力も高められるため真剣さが増すのである。――IS操縦者、取り分けISバトルの競技者にはISの操縦技術だけではなくパイロットの肉体的な強さも求められる訳だから、其れを鍛える事が出来る部活は真剣にもなるってモノだ。

 

 

「オォォォリャァァァァ!!!」

 

「ていやぁぁぁぁ!!!」

 

 

そして、現在リング上でスパーリングを行っているのは一夏とグリフィンだ。

グリフィンの出で立ちは大会の時と同じだが、一夏の方は濃紺の袖なし空手着だ――まぁ、その空手着の背には見事に赤で『滅』って入ってるんだけどね。豪鬼じゃなくて『殺意の波動に目覚めたリュウ』ですね此れは。

 

一夏の猛攻に対し、グリフィンはブラジリアン柔術の『柔』の技で捌いて行くが、一夏の苛烈な攻撃の前に全てを捌く事は出来ずに、少しずつ被弾して行く……男女の筋力差もあるので、一夏の方が圧倒的に有利なスパーリングではあったのだが、ブラジリアン柔術黒帯のグリフィンが略完封とは、マジで一夏ハンパないな。

 

 

「此れで決める……行くぜ、龍虎咆哮絶乱舞!!」

 

 

そしてスパーリングを決めたのは、一夏の連続飛び蹴りからのジャンピングアッパーカットの連携技――タイを訪れた際にヴィシュヌの母親から伝授された技を一夏なりにアレンジした技だった。

ヴィシュヌの母、ガーネシア伝では『飛び蹴り二発からのジャンピングアッパー』だったのだが、一夏は其れをアレンジし、飛び膝蹴り、飛び後回し蹴り、ジャンピングアッパーにしたのだ――より正確に言うのならば、『飛び蹴りからのジャンピングアッパー』という基本の型を守りつつ、状況に応じて臨機応変な攻撃を可能にしたという感じだ。

ガーネシアの奥義は既に可成り完成された技だったのに、其れに更なる改良を加えて技を昇華させるとは実に見事である。

 

 

「まだやるかグリフィン?」

 

「いや、降参。強いね一夏?」

 

「当然だろ?お前達を守る為にも、俺は強くなきゃならないからな。……でも、此れでも俺はマダマダだぜ?今の俺でも、カヅさんに比べたらマッタク持って大したモンじゃないからな。カヅさんに比べたら、俺なんてまだまだハナクソレベルだっての。」

 

「一夏、其れは比較対象が間違ってるわ。」

 

 

さもありなん……稼津斗と比べたら大抵の人間はハナクソレベルだからな……其れこそ稼津斗の前では世界最強の千冬と天然のバグキャラである束ですら赤子同然ですからね……マジで何モンだ稼津斗は?

コイツに関しては最早その強さは真(神)・豪鬼レベルと言っても過言じゃないだろうな。

まぁ、其れは其れとして、午後の部活も充実した時間を過ごす事が出来た――陽彩達が現れなかったのが少しばかり不気味ではあるが、面倒事が何もなかったからよしとしておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

そして夜。

晩御飯は自室で摂った一夏なのだが、本日の晩御飯はヴィシュヌが作ったモノであり、其のメニューはタイ風焼きビーフンとシンプルだったが、豚肉、香菜なんかが良い感じで混ざった具が料理の質を引き上げており、主夫力がリミットオーバーしている一夏が『美味しい』と言うレベルだった。此れは誇って良いだろう。

 

でもって、食後の一夏とヴィシュヌはと言うと……

 

 

「ぐおぉぉ!効くな其れ……でも、少し痛いけど良い感じだぜ……筋肉の疲れが解されて行く感じだ――マジ最高だな此れは。」

 

「其れは良かったです。」

 

 

ベッドの上でヴィシュヌが一夏にタイ式のマッサージを施していた……『タイ式マッサージ』と聞いていかがわしい事を想像した者は、今すぐ豆腐の角に頭ダイブさせて逝っちまいなぁ!だな!!

ヴィシュヌのマッサージはあくまでも『癒し』が目的であり、巷の『癒し』を名目にした風俗マッサージとは違うのである!違うったら違うのだ!!そもそもにして、一夏とヴィシュヌは恋人同士なんだから、ベッドでのマッサージくらいは問題ないんだわ。

 

 

「ありがとヴィシュヌ……疲れが吹き飛んだぜ。」

 

「そうですか……其れは良かったです。」

 

 

マッサージが終わった後で、一夏はヴィシュヌを抱き寄せて『疲れが吹き飛んだ』と伝えると、其のままキスを落としてターンエンド……暑い夏にも関わらず互いに抱き合って寝る事になったのはある意味で当然だろう。

夢の世界に旅立った一夏とヴィシュヌは、とっても良い顔をしていたのを見る限り、きっと良い夢を見ていたのだろう……まぁ、夢見が良いってのは良い事だ。悪夢を見たとなったら、次の日のテンションは駄々下がりだからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

そして同じ頃――

 

 

「一夏……今度こそ、二学期こそがテメェの墓場だ!!――テメェをぶっ倒して、テメェのヒロイン達も俺が纏めて貰ってやる……!!

 もう一学期の時のようには行かねぇぞ!夏休みの期間中に扱かれまくった事でオレは強くなってるからな!!

 思い知らせてやるよ、誰が此の世界の主人公なのかって事をな!!」

 

 

陽彩は、一人『打倒一夏』の気持ちを新たにしていた……まぁ、其れも当然と言えば当然と言えよう――見習いとは言え神に転生して貰ったにも拘らず陽彩は此処まで一夏に連敗しまくっているのだからね。

だが、陽彩は固くなに一夏を認めずに己の力が絶対だと信じ切っている……最早救いようが無いだろう――取り敢えず確実に言える事は、近い内にまた陽彩は腰巾着達と一緒に一夏達に絡んで来るであろうと言う事だな。

 

尤も、絡んだ所で返り討ちにされるのが関の山な訳なのだが……まぁ、精々頑張るが良いさ見習い神の暇潰し――陽彩は所詮此の世界における異物であり、ドレだけ異物が頑張った所で一夏を越えるなんて事は土台無理な話だからな。

 

だが陽彩は其れに気付かない……だから、自分の事しか考えない――夏休み期間中に曲がりなりにも千冬に扱かれ、地力が多少は向上した事で満足しているから、一夏も夏休み期間中に大幅にレベルアップしており、力の差は縮まるどころか逆に開いていると言う可能性を全く考慮出来ていない。

陽彩の頭の中にあるのは、自分が一夏に勝利すると言う『捕らぬ狸の皮算用』とも言うべき妄想だけなのだろう……ある意味で幸せな脳みそをしていると言えるのかも知れないが。

 

 

「ククク……今度惨めな思いをするのはお前の方だ一夏。底上げされた実力にダブルオーライザーの性能があれば、もうお前なんぞに負ける事は無いからな!」

 

 

一つだけ言える事があるとすれば……夏休み期間中に千冬に扱かれまくったにも拘わらず、陽彩達にまったく精神的な更生は臨めないって事だろうな――本気で死に掛ける位に扱かれたと言うのにまったく懲りて居ないのだからね

まぁ、アレで懲りて真人間になるのならば最初に一夏に負けた時点で心を入れ替えて真面目にトレーニングして、チートに頼るのを辞めてるだろうからな……そしてコイツの腰巾着の連中も自分の今の地位にふんぞり返ってないで努力をして上を目指してる筈だからね。

結局の所、陽彩+αは元々性根が腐り切ってるって事なんだろうな。

 

 

「ククク……テメェは必ずぶっ殺す!ぶっ殺してやるぜ一夏!!」

 

 

そんな中で陽彩は吼える……或は決意表明なのかも知れないが……『ぶっ殺してやる』ってのを大声で言うのは流石に問題だろう――なので陽彩は二学期早期に寮官室に呼び出され、千冬から『寮の中で物騒な言葉を堂々と叫ぶな大馬鹿者が!』と説教を喰らう羽目になった訳である。うん、アホだ普通に。

 

其れは其れとして、二学期初日は一夏達は平和だったと言えるだろう。

陽彩に絡まれる事もなく、部活もISの訓練もバッチリ行う事が出来たのだから……初日から少しエンジン上げ過ぎにも思えるだろうが、一夏達には此れ位が普通なのだから問題は無いだろう。

陽彩が珍しく絡まなかった事が不気味でもあるが、絡んで来たら絡んで来たで何とか出来るので特に問題はないのだが……何もないと、逆に其れは其れで『何か企んでるんじゃないか』と思ってしまうけれどね。まぁ、何か企んでいたとしても、その時はその時で対処出来るのが一夏達な訳だがな。

 

一年の中で最も長い二学期は、学園祭に体育祭、修学旅行にキャノンボールファストとイベントも盛り沢山だから、可成り充実した学園生活を送る事が出来そうだ。

……がしかし、体育祭は一夏と陽彩の扱いをどうするのか少しばかり気になる事ではあるな?普通に参加させたら、男子の居る一組と四組が特定の競技では絶対有利になっちゃうからね――得点に直接関係ないイベント競技でも用意するのだろうか?まぁ、其処は教師陣と生徒会が巧くやるだろう、多分。

 

 

尚、寮官室で千冬に説教喰らっていた陽彩が解放された頃には既に時計の針は日付が変わっていた……自業自得なので同情はしないが、此れは明日は寝不足間違いなしだろう。タップリ説教喰らったせいで完全に目が覚めてしまい、今からベッドに入ってもなかなか寝付く事は出来ないだろうからね。

 

 

「クソが……何だって俺がこんな目に遇うんだよ。ぜってーに一夏をぶっ倒して、千冬にも俺の方が上だって事を思い知らせてやる……そうすれば、もう俺に偉そうに説教なんざ出来なくなるだろうからな。」

 

 

はい、何処まで行っても脳味噌パーぷりんの脳足りんですね。チート特典として『冷静な頭脳』も貰っておいた方が良かったんじゃなかろうかコイツはマジで?

取り敢えず、部屋に戻った陽彩は案の定寝付く事が出来ず、結局眠りに付いたのは午前三時が過ぎた頃だった……うん、此れは確実に寝不足だな。明日……否今日の授業中に寝落ち仕掛けて千冬の出席簿を喰らうのは略確定した未来だと言えるだろう。

なんか二学期初日から一夏と陽彩の差が出た、そんな感じの一日であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued 

 

 

 

 

 

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