夏と刀と無限の空   作:吉良/飛鳥

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クラリッサが『禅を体験したい』とか言わなくて良かったBy一夏     禅はキッツイからねぇ……By刀奈    禅は『無』になる事が大前提ですのでByヴィシュヌ


Episode54『班別行動、名所も穴場もフルコンだ!』

修学旅行二日目の朝、一夏は何時ものように早朝に目を覚ました。

日々の早朝トレーニングが日課になっている一夏は、修学旅行中でも誰よりも早く目を覚ましてしまったのだ――習慣になっているモノと言うのは、修学旅行の最中であろうとも関係ないみたいだ。

 

 

「マッタク持って可愛い寝顔だこと。」

 

 

目覚めた一夏は、隣で寝る刀奈を起こさないようにベッドから出ると、きっと良い夢を見ているであろう、良い寝顔の刀奈の頬にキスを落とすと、何時もの朝練を行う――事は出来なかった。

現在の時刻はAM5:00の早朝……この時間では旅館の正面玄関の鍵は掛かっているので勝手に外に出たら旅館に迷惑が掛かるし、だからと言って旅館内には、スポーズジム的な施設がある訳でもないので朝練は無理なのだ。

尤も、一夏はそれを見越して、修学旅行中もトレーニングが出来るように、束に頼んで作って貰った『見た目は普通のリストバンドと変わらないけど、実は重さ5kgのパワーリスト』と、『見た目は普通のスニーカーだけど、実は重さ5kgのパワースニーカー』を持って来ているので問題はないだろう。合計20㎏の重りを付けての修学旅行と言うのも色々と凄い気はするが。

 

 

「二度寝するって気分でもないから、朝風呂でも浴びて来るか。」

 

 

早朝トレーニングは無理なので、一夏は着替えを持って朝の露天風呂に。この旅館の露天風呂は、二十四時間解放されているので、宿泊客は好きな時間に使えると言う訳だ。何時でも温泉に自由に入る事が出来ると言うのは、宿泊客にとっては有り難い事だろう。

 

 

「露天風呂を一人占めとか、贅沢この上ないよな。」

 

 

身体を洗ってから湯船に浸かると、何とも言えない贅沢感を一夏は感じてしまう……広い風呂を一人でと言うのは、学園の大浴場と変わらないだろうとも思うかも知れないが、屋内と露天と言う違いはあるし、学園の大浴場だと高確率で嫁ズも入って来るので、実は広い風呂を一人占めってのは中々無いのだ。と言うか、監視役のスコール先生はもっとちゃんと仕事……してると言えばしてるか。嫁ズ以外の女子が入って来る事はない訳だから。

 

 

 

――ガラガラ……

 

 

 

そんな訳で、一人朝風呂を堪能していると、脱衣所の扉が開く音が。

其の音を聞いた一夏は少し『嫌そうな顔』になる。

何故かと言うと、この旅館は現在IS学園貸し切りとなっている上、旅館の従業員が露天風呂を使う事はないので、入って来たのは間違いなく学園の関係者だからだ。

そして、一年の担当教師に男性は居ないので男湯に入って来る人物となると、陽彩一択なので一夏も『嫌そうな顔』になってしまったのである……学園祭の後、スッカリ大人しくなり、突っかかって来る事もなくなった陽彩だが、此れまでの事があるので『一緒の風呂』ってのは良い気分ではないモノだからね。

 

 

「何だ、お前も朝風呂か一夏?」

 

「千冬姉!?」

 

 

だが、扉が開いて、入って来たのは千冬だった。……陽彩じゃなかった事にホッとする間もなく、一夏は逆に驚く事になってしまったが。

 

 

「いや、『朝風呂か?』じゃないだろ千冬姉!此処男湯だぞ!?」

 

「なんだ、知らないのか一夏?この旅館の露天はな、午後十時から翌朝の午前六時までは、男湯と女湯の区別がなくなり、どちらに入っても問題はないんだぞ?」

 

「はいぃぃぃ!?」

 

 

千冬は決して間違って入って来た訳ではなく、この旅館の露天風呂はそもそも午後十時から翌日の午前六時までは、所謂『混浴』になるらしい……一体如何してそんな決まりになってるのかは良く分からないが、恐らく『夫婦や恋人同士で露天を使える様に』とかそう言う事なのだろう。

千冬が男湯に入って来たのも、旅館はIS学園の貸し切りであり、陽彩は千冬と同室な上まだ寝ているので、男性が入っていたとしても其れは100%一夏だからだ。家族なら一緒に風呂に入っても問題無いのだからね。

……只の家族ではなく、教師と生徒と言う関係でもある事を除けばな。

 

 

「なんだ、別に恥ずかしがる事でもないだろう?昔はこうして一緒に入ったじゃないか。」

 

「十年以上前の話だろ其れ!?ってか、せめてタオルで隠せって!!」

 

「……自分の嫁達とする事しておいて、今更姉の裸を見て照れるでもないだろうに。それとも、現役を退いてピークを過ぎた身体では、見るに耐えんか?」

 

「いや、そう言う事じゃないから!って言うか、千冬姉、如何して知って……」

 

「気付かないと思ったか馬鹿め。

 女性と言うのはな、男を知って少女から女になると色香が増すモノだと言う事を覚えておけ。そして、其れは若ければ若い程良く分かる……お前達が一線を越えたと言う事に気付いてるのは私だけではないと思うぞ?」

 

「マジか!?」

 

 

更に千冬さんは続けて爆弾を投下!いやまぁ、確かにそう言う部分が有るとは言うが、恐らく刀奈達の変化に気付いてるのは千冬だけだろう……だって、他の教師が気付いてたら、職員会議で問題として取り上げられそうなモノだからね。

尤も、問題として持ち上がったとしても、一夏と嫁ズは夫々の国が公認した婚約関係にあるので、『不純異性交遊』には該当せずに不問にされるのだろうけれど。

 

で、結局一夏は押し切られる形で千冬と露天風呂に入る事になり、普段の早朝トレーニング後の心地よい疲れとは異なる、精神的疲労を味わった修学旅行二日目の朝になるのだった。

まぁ、其れでも入浴後には確りと千冬の髪をドライヤーでブローして整えていたのは褒めるべきだろう。……千冬の『タオルで拭いただけで済ます』と言う、女性の髪に対する暴挙とも言うべき行為を見過ごせなかったってのもあるかもだけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏と刀と無限の空 Episode54

『班別行動、名所も穴場もフルコンだ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

精神的に非常に疲れた朝風呂を終えた一夏が部屋に戻ると、刀奈と簪と円夏は起床して身支度を整え、そしてソロソロ起床時間だと言うのに未だに夢の世界にドップリと浸かっている本音を起こそうと悪戦苦闘している所だった。

が、本音の寝起きは非常に悪く、刀奈が耳元で叫ぼうが、簪が頬っぺたを抓ろうが、円夏が足4の字固めを掛けようが全く目を覚まさない!熟睡した本音はバケモノと言っても過言ではあるまいて。

 

 

「……おーい、のほほんさんそろそろ朝ごはんだぜ?早く起きないと、俺がのほほんさんの分まで喰っちまうぞ?

 今日の朝ごはんには、のほほんさんの大好きな納豆もあるんだけどな~?しかも只の納豆じゃなくて、卵黄と鰹節をトッピングしたやつだぜ?のほほんさんが起きないなら、此れも俺が貰っちゃおうかな?」

 

「卵付き納豆は絶対に譲れないよイッチー!!」

 

 

だがしかし、一夏が耳元でこんな事を言ったら此れまでの熟睡が嘘のように飛び起きた!いや、ドンだけ自分の食欲に忠実なの此の子?

 

 

「アレ?」

 

「よう、おはようのほほんさん。朝飯は此れからだから、先ずは顔を洗って目を覚まして、そしたら着替えような?」

 

「うん?うん、分かったよイッチー♪」

 

 

果たしてこの件は、食欲に忠実な本音を凄いと言うべきか、其れとも本音の特性を逆に利用して目覚めさせた一夏を凄いと言うべきか……多分、後者だろうと思う。だって、一夏が来るまで本音を起こそうと悪戦苦闘してた刀奈と簪と円夏が『其れでいいんかい!』ってな表情を浮かべていたからね。

そして、学園の寮ではこんな本音を毎日の様に起こしている同室の相川清香は、実はとっても凄い人なのかも知れない。

 

でもって朝食。

昨日の夕食とは変わって、本日の朝食はご飯と味噌汁、焼き魚に納豆と漬物と言うシンプルなモノだったが、味噌汁は白こし味噌を使った京風で、焼き魚も『キンキの西京味噌漬け』と京風のモノと拘っていた。――納豆には卵黄と鰹節がトッピングされていたが、その鰹節も京都で百年続く老舗の鰹節問屋から卸したモノだと言うのだから驚きだが。

因みに、前にも言ったが、海外組の一夏の嫁ズは納豆は平気なので本日の朝食も美味しく頂きました……カナダの双子や、ギリシャの百合っ娘は納豆がダメでクラスメイトにヘルプして貰ったみたいだがな。納豆を食べる事が出来ないと言うのは、日本での生活を三割は損してると思うので、是非とも納豆を克服して欲しいモノだ。

 

朝食が終わったその後は、修学旅行二日目の楽しみである班別行動だ。

クラス別行動とは違い、班毎に夫々の班で決めた場所を回る事が出来るので、修学旅行の一番の思い出になると言っても過言ではない日であるのだが――

 

 

「はいどうも。ISを動かしてしまった事で、実は女性なんじゃないかと言う疑惑を掛けられている織斑一夏です。

 本日は修学旅行二日目で、班別行動の日なんですが、同じ班の円夏と簪とのほほんさんは、『嫁さん達と楽しんでね』と言って、別行動になって、グリフィン以外の俺の嫁ズが全員集合してます。如何言う事此れ?」

 

 

修学旅行二日目の生配信を始めた一夏だったが、班別行動が始まった瞬間に円夏と簪と本音は一夏と刀奈とは別行動をとり、その代わりのようにロランとヴィシュヌとクラリッサが一夏と刀奈に合流していたのだ。

 

 

「いやぁ、私とヴィシュヌのクラスメイトはとても空気の読める子達ばかりだったらしくてね、私とヴィシュヌに『折角の修学旅行なんだから、織斑君と楽しんで来て』と言ってくれたんだよ。

 嗚呼、何と言う粋な計らいか。クラスメイトの気遣いに、私は感動を覚えずには居られないよ。」

 

「確かに、彼女達の心遣いには感謝ですね……お陰で、こうして一夏と一緒に京都観光が出来るのですから。」

 

「私は、義姉さんに『お前は一組の生徒ではないし、どの班にも属して居ないのだから一夏と楽しんで来い』と言われたので、遠慮なく其れに甘えさせて貰った訳だ。」

 

「……お義姉さんは勿論として、空気を読める子は意外と多いみたいね?」

 

「だな。尤も、そうじゃなかったら昨日の夕食の時に、俺が皆と食事するなんて事は出来なかったかもだけどな。」

 

 

其れは円夏と簪と本音、三組の生徒と千冬の心遣いの結果だった。

二日目の班別行動ならば、一夏と嫁ズだけの思い出を作る事が出来るだろうと考えて、一夏と嫁ズが一緒に京都観光が出来るように粋な計らいをしたって訳で、逆に言うなら、一夏と嫁ズは多くの生徒から祝福されてるって事だろう。そうじゃなかったらこんな事にはならないだろうからな。

 

 

「あ~~……まぁ、其の何だ。それじゃあ、このメンバーで二日目の京都観光をするって事で良いか?」

 

「「「「いいとも~~!」」」」

 

「と言う訳で、学園祭二日目の班別行動を開始したいと思います!っと、イキナリの赤スパチャありがとうございます!」

 

 

一夏チャンネルの修学旅行生配信の二日目もスタートし、イキナリの赤スパチャが投げられた模様!……その赤スパチャを投げたユーザのユーザー名が『一夏LOVE@錦糸町の女装ホステス』だったのには目を瞑っておくとしよう。まぁ、そっちの人達からしたら、一夏は極上の物件なのかも知れんけどな。

 

 

それはさて置き、一夏と嫁ズの京都観光が始まり、先ず一行がやって来たのは『三十三間堂』だ。

本堂には、全て手作りされた無数の千手観音像があり、全て手作りである事から『一つとして同じ物はない』と言われており、其れが強調された結果、『自分と同じ顔をした千手観音像がある』と評判になっている場所であり、京都の名所の一つだ。

 

 

「凄いな、これ全部手作りなんだよな……一体彫るだけでも大変なのに、其れをこんな数彫るとか凄いとしか言い様がねぇよ。此の千手観音が作られた時代には、CGモデリングとなんて物は無かったんだからさ。

 何て言うのかな……此の千手観音像からは、『魂の力』ってのを感じるんだ。当時の仏師が像に込めた思いが伝わってくるぜ。」

 

「そうね、其の通りだわ。」

 

「タイも仏教国ですが、日本の仏教は独自の発展を遂げたのだと知りました……タイの仏教では、仏陀が最高神であり日本では如来とされてる仏も仏陀だけなのですが、日本は更に仏を細分化して、夫々の分野のエキスパートにしたと言う訳ですね。

 此の千手観音も、タイの仏教には存在して居ませんので。」

 

「深いねヴィシュヌ。

 だが、其れは其れとして、一夏、『千手観音』と言う名前は詐欺ではないかな?今し方、中央にある一番大きな千手観音像の腕を数えてみたが、八十六本しかなかったぞ?……百本に満たない腕の数で『千手』を名乗るのは些か詐欺ではないだろうか?」

 

「いや、其れを数えたお前に驚きだぜロラン。

 それと、『千手』ってのは、『千本の腕がある』って事じゃなくて、『腕が千本あるんじゃないかって思ってしまう位に良く働くって事だから、其処を間違えるなよ?」

 

「成程、そう言う事か。」

 

 

その観光も、一夏と刀奈がガイドを務めた事で実に充実した時間を過ごす事が出来た――三十三間堂に安置されている『阿修羅像』を見たクラリッサが、『此れがリアルのアシュラマン!』と感激していたが、阿修羅とアシュラマンは全く別物だ。阿修羅は神の一柱だが、アシュラマンは悪魔超人だから……後に正義超人になってるんですけどね。

 

まぁ、そんな感じで三十三間堂を後にした一行がやって来たのは『八坂神社』だ。

此の八坂神社は『縁結び』の神社としても有名で、結婚を考えているカップルが年間を通して、其れなりの数が訪れている場所であるだけでなく、此処に参拝した男女の凡そ八割が結婚まで行っているとの事なのだ。

八割と言うのは、多少誇張が入っているのかもしれないが、其れでも御利益と言うのは確かにあるのだろう。――少なくとも此処に参拝して結婚まで辿り着いたカップルにとっては、『八坂神社にお参りした御利益があった』と感じるだろうしね。

 

 

「三十三間堂は、内部撮影禁止だったので、二ヶ所目の八坂神社から生配信再開だぜ。

 縁結びの神社って事で、やっぱりカップルの姿が結構見受けられますが……それと同じ位、全身から『彼女欲しい』オーラ出してる野郎と、『彼氏欲しい』オーラ全開となってる女性がいますねぇ?

 でもって、気のせいじゃなく『彼女欲しい』オーラ出してる野郎から濃密な殺気を向けられてる気がします……正直、ちょっとコエーんですけど。」

 

「其れはまぁ仕方ないんじゃないかしら一夏?

 自分で言うのもなんだけど、此れだけの美女を四人も侍らせてたら、其れは彼女居ない暦=年齢の男性からは殺気の一つや二つ向けられちゃうわよ♪」

 

「一夏に嫉妬と羨望が大量に含まれた殺気をぶつける位ならば、先ずはモテるようになる為に自己研鑽をしろとも言いたくなりますが……」

 

「ふふ、君の言う通りだなヴィシュヌ?

 だが、彼等が如何に己を磨こうとも、しかし一夏を越える事は相当に難しいと言わざるを得ないとは思わないかい?――家事スキル、戦闘能力、容姿、性格と分野別で見れば一夏を越える男性は居るだろうが、一夏のように全てで九十点オーバーと言う男性は居ないだろうからねぇ?」

 

「義姉さんの彼氏も、戦闘力は一夏よりも圧倒的に上だけれど、容姿と性格は五分五分で、家事スキルは負けているからな。」

 

 

『縁結び』の御利益がある八坂神社を訪れるのはカップルだけでなく、縁を求めている者も多く訪れるらしく、『彼女いない歴=年齢』の男性参拝者から一夏は、嫉妬と羨望が混ざった殺気を向けられていた……モテない男性にとって、極上級かつタイプの違う美女を四人も連れている一夏は普通に敵認定されている訳だ――グリフィンも一緒だったら殺気は五割り増しだったかも知れん。

実は嫁ズにも、一人者の女性から殺気は向けられていたのだが、一夏に向けられる野郎の殺気に搔き消されていたりするのだ……やっぱり、美女四人を侍らせてる一夏の方に向けられる殺気の方が強いんだな、うん。

だが、一夏を羨む暇が有ったら、ヴィシュヌの言うようにモテるように自己研鑽をすべきだろう!先ず、自分が何故モテないのかを考え、モテないマイナス要素って言うのが何かを洗い出し、其れを改善していくべきだろう!太っててモテないのなら痩せろ!見た目がダサくてモテないのなら見た目から改善しろ!オタクでモテないのならオタクを辞め……ずに同じ趣味の人を見付けましょう!

オタクってのは敬遠されがちかもしれんけど、ある意味では趣味が合えば意気投合出来るからモテない男性&女性の中では一番相手を見つけやすいかも知れん。実際にヲタの簪だって(同性とは言え)相手が居るし、クラリッサに至ってはヲタじゃない一夏って言う相手が居る訳だからね。要は、オタク趣味に理解が有るか否かが大じって事なんだろうね。

 

 

 

――閑話休題(其れは兎も角)

 

 

 

一夏達も本殿でのお参りをしていた。

婚約関係にあるとは言え、此処で改めて縁を結んでおくと言うのも良いモノだし、元々良い縁が紡がれていた所で縁結びの神社でお参りすれば、更にその縁は深く強いモノになるだろうからね。

 

 

「改めて縁結びの神様にお参りしたけど、私達って本当に良縁に恵まれてるわよね?

 一夏と結ばれたって事だけじゃなくて、私とロランとヴィシュヌとクラリッサ、そしてグリフィンも良い縁だと思うのよ――全員が一夏の嫁で、だけど『誰が一夏の一番なのか』って争う事もなく平和に過ごせているんだから。

 夫人に順位のある一夫多妻ではこうは行かないと思うわ。」

 

「確かにそうだね……だが、其れは刀奈が率先して『平等』を意識してくれるからだろう?君が居なかったら、私達は一夏を取り合って争っていたかも知れない――嗚呼、だからこそ私達もまた良縁と言う事か。」

 

「そうですね……この縁は、奇跡であるのかもしれません。」

 

「其れは違うぞヴィシュヌ。起きないから奇跡、起きた事は現実だろう?」

 

 

そして、参拝した後で嫁ズは中々に深い事を言ってくれた。

刀奈の言うように、一夏と結ばれただけでなく、一夏を巡る争いが起きない嫁ズが集まったのも奇縁と言えるだろう……何度も引き合いに出して申し訳無いと思うけれど、陽彩ハーレムでは陽彩を巡る争いが起きていた訳だからね。……その時の陽彩は『モテる男はつらいぜ』ってな感じで自分に酔っていたのだから、本気と書いて『マジ』ってルビを振るくらいに救えんわな。実際に陽彩は救われない状態になってる訳だけどね。

 

さて、参拝を終えた後は社務所に立ち寄ってお土産品を見るまでが神社参拝のテンプレであるので、一夏達も御多分に漏れずに社務所を訪れて居た。

社務所で売られているお土産品は、各種御守り、破魔矢、御札と言ったモノの他に、最近ではアニメとタイアップした商品も少なくなく、『京都アニメーション』が制作したアニメとタイアップした商品もあるのだ。

『涼宮ハルヒの開運守り』、『らき☆すたの破魔矢』、『けいおんの願望成就守り』とかな。……Kanon(京アニリメイク版)の『秋子さんの謎ジャム饅頭』ってのは、流石に如何かとは思うが。

 

 

「ふむ、様々な御守りがあるが、ドレが良いのか教えてくれるかい一夏?」

 

「何が良いのかってのは一概には言えないけど、今の自分に一番必要なモノは何かを考えれば、必要な御守りが分かると思うぜ?若し分からなかったその時は、『無病息災』か『健康長寿』の御守りを買っておけば間違いないさ。」

 

「なら、私は此れね?」

 

「『安産祈願』って、流石に気が早いだろ刀奈?高校生で母親になる心算かお前は?」

 

「「「え?」」」

 

「って、ロランとヴィシュヌとクラリッサもかーい!」

 

 

此処で嫁ズが『安産祈願』のお守りを選んだのは御愛嬌って所だろう。将来的には必要になるかもしれないが、今は未だ気が早いからね――なので、『無病息災』と『健康長寿』の御守りを購入した。

一夏は自分の分だけでなく、グリフィンへのお土産も購入しているのだから抜かりはない――こう言った細かい気遣いが出来るってのも、一夏が人を惹き付かせる要因の一つなのだろうな。

 

御守りを購入した一行は、最後に絵馬を購入して其処に願望を書いて奉納してから八坂神社を後にした……絵馬に書いた願いが、『ずっと一緒に居られますように』と言うので一致したのは、其れが全員の本心だったからだろうね。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

三十三間堂と八坂神社を回ったところで、そろそろランチタイムに良い感じの時間になったので、一夏一行もランチタイムなのだが、何を食べるかで迷っていた。

昨日のクラス別行動では、夫々が奈良の名物グルメを堪能したのだが、本日の班別行動はメインの京都観光なので、京都の名物グルメを堪能したいのだ――が、京都の名物グルメは、奈良の名物グルメ以上に多種多様なのでついつい目移りしてしまうのである。

更にプラスアルファとして、一夏と刀奈は日本人なので『ちょっと変わった京都グルメを堪能したい』と言う思いがあるのだが、海外組のロランとヴィシュヌとクラリッサは『京都の伝統的な味を堪能したい』と言う思いがあるので、ちょいと難航しているのである。

 

 

「此のままじゃ埒が明かないな……それじゃあ、こうしようぜ。

 サイコロの1が『京都ラーメン』、2が『湯葉料理』、3が『ニシン蕎麦』、4が『きんし丼』、5が『鱧料理』、6が『牛カツ』にして、ダイスロールをやって出た目の店に行くってのは如何だ?完全な運任せなら文句はないだろ?」

 

「天運に任せるか、其れも良いね。」

 

「神頼み、ですか。」

 

「そぉら、神頼み、神頼みぃ!!」

 

「クラリッサ、何時から貴女は闇のデュエリストになったのかしら?」

 

 

此処で一夏がダイスロールで決めようと提案して、嫁ズも其れに同意したので、一夏は制服のポケットからサイコロを取り出すと其れを高らかに放り投げて、運命のダイスロール!!……『何でポケットにサイコロが入ってるんだよ』と言うなかれ!

移動中のバスや、旅館での部屋でボードゲームやカードゲームが行われるだろうと予測していた一夏は、その時に必要になるであろうサイコロを持って来ていたのである!もっと言うなら、持って来たサイコロは『悪魔のサイコロ』カラーである。攻撃力の差が二百ポイント以内の場合の『天使のサイコロ』と『悪魔のサイコロ』のコンボは、最低でも相討ちが狙えるので実用的コンボですね。

 

で、一夏のダイスロールの結果は6!なので、本日のランチは牛カツに決定!

ぶっちゃけ、京都とはイメージがかけ離れたメニューではあるが、実は京都こそが牛カツ発祥の地であり、牛カツも『京料理』と言えなくないのだ。

 

と言う訳で、一夏達は牛カツの店でランチタイムに。

此の店は大正から続く老舗の牛カツ屋だが、基本の赤身の牛カツだけでなく、肉の部位を指定する事が出来る店だ――元々は、赤身の牛カツのみを提供していたのだが、時代のニーズに合わせて赤身以外にも対応しているらしい。伝統を守りながらも時代に合わせて臨機応変な対応が出来る店ってのは時代が変わっても生き残る事が出来るってもんだ。……頑固一徹に伝統を守ってる店も、其れは其れで生き残ってるけどね。

 

 

「オーダーお願いします!えっとね、牛カツ定食をご飯大盛り肉はモモを200gが四つで300gが一つで。」

 

 

ランチのオーダーは一夏が纏めて行ったのだが、全員が定食のご飯大盛りな上、女子は肉200gで一夏は300gと可成りのボリュームだ……グリフィンが居たら、グリフィンのオーダーは肉が1㎏だったかも知れんがな。健啖家のグリフィンならば、牛カツ1kgくらいは楽勝で平らげるだろう。嘗て地元ブラジルで開催された『ステーキ早食い大会』で、十分間に400gのステーキを六枚完食して優勝したのは伊達ではないのだ。

 

其れは兎も角、オーダーしてから十分後には、美味しそうな牛カツ定食が一夏達の前に運ばれて来た。

牛カツってのは、言うなれば『衣を纏ったステーキ』なので、揚げる時間はトンカツと比べて遥かに短いので、スピード提供出来ると言うのも牛カツの特徴だ。極論ではあるが、パン粉に火が通ってサクッとすれば其れでOKなのである。牛カツはレア提供が普通なのだから。

そして関東の牛カツとは違い、京都の牛カツは、山葵醤油や山椒塩、おろしポン酢と言った和風のタレで頂くのが基本だ。勿論ソースも有りだが、折角の京風牛カツなので、一夏達は当然和風のタレだ。

 

 

「カツを山葵醤油でと言うのは、新しい感じだけれど美味しいわね♪」

 

「山葵醤油も良いけど、おろしポン酢も中々にイケる。ステーキとは違った旨さがあるな。」

 

「山椒塩も、お肉のジューシーさと衣のサクサク感を際立たせてくれます……!!」

 

「出汁醤油と辛子のコンボも盲点だったね。レアに仕上がった牛カツに、これ程までに出汁醤油と辛子が合うとは思わなかったよ。嗚呼、此れが旨さのビックバンか。」

 

「七味唐辛子とポン酢の組み合わせも美味しいな?七味唐辛子の複雑かつ多様な味わいが、ポン酢の爽やかさとベストマッチだ。」

 

 

そんな訳で、ランチタイムの牛カツは夫々堪能したようだ。タレと薬味が被らなかったので、一切れずつ交換するって事もしたけどな。――一夏が、店の店主に『牛カツを巧く揚げる方法』を聞いていたのは、ある意味驚きだ。教えた店主の方にも驚きだが、店の味に伝統はあれど門外不出ではないと言う事なのかも知れんな。

修学旅行先で自分のレシピのレパートリーを増やす事にも余念がないとは、その自己研鑽力には普通に脱帽ですわな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

大満足のランチタイムを終えて向かった先は、東山慈照寺、通称『銀閣寺』だ。

修学旅行の定番と言えば金閣寺の方なのだが、金閣寺は定番だけに最終日の全体行動で訪れる事が決まっているので、金閣寺は最初から除外なのだが、だからと言って高校の修学旅行の、其れも班別行動で銀閣寺を選ぶ生徒と言うのはそう多くはないだろう。

普通の高校生なら、もっと派手な観光名所に行きそうなモノだし、実際にIS学園の生徒の多くはSNSで『映えそう』な観光地に行ってるのだから。――其れでも銀閣寺を選んだのは、静かで荘厳な雰囲気を味わいたかったと言う事+海外組の嫁ズにワビサビの浪漫を感じて欲しかったって事なのだろう。

生配信のチャット欄でも『銀閣寺とは渋い!』、『玄人好みの銀閣寺……通だな!?』、『渋いねぇ、アンタ本当に渋いぜ!!』と言ったコメントが寄せられているので、銀閣寺を選んだのは正解だったと言えるだろう。

 

 

「此れは、何とも厳かな雰囲気だね?

 派手さはないが、この落ち着いた雰囲気はとても良いモノだと言うのは分かる……煌びやかな観光地が華やかな主演俳優だとしたら、此方は華やかさには欠けるとしても演技に味がある助演俳優と言った感じかな?」

 

「あら、中々に的確な表現ねロラン?確かに、銀閣寺は派手さはないけれど、味のある美しさが特徴なのよ♪」

 

「刀奈の言う通りだな。

 銀閣寺が建てられた足利義政の時代は、金閣寺が建てられた足利義満の時代とは違って、幕府の財政はそれ程余裕がある訳じゃなかったってのもあるけど、足利義政は、東山文化の真髄の簡素枯淡の美……言うなれば『質素な美しさ』を追及して此の場所を作ったんだ。」

 

「質素な美しさ、ですか?」

 

「金を掛ければ凄いモノが出来るのは当然だ。其れだけ上等なモノが使える訳だからな。

 だけど、本当の美しさってのは金を掛ければ作れるってモンじゃない――金閣寺にしろ、秀吉の黄金の茶室にしろ、あんなモノは金持ちが財力にモノを言わせて作った道楽で、真の美しさとは尤もかけ離れてるモノだと俺は思ってる。

 料理やお洒落だって同じだろ?金掛ければ良い食材が買えるから旨い料理が作れるし、服だってブランド品を買えば其れなりに映えるファッションになるからな。

 でも、料理もお洒落も、安い素材を如何に上手く使ってやるかってのが楽しいし、出来上がったモノだって只高級なモノを使ったモノよりも味があるだろ?」

 

「確かに、其れは言えてるかも知れないな……質素な美しさ、其れこそが真の美しさか。」

 

 

一夏の言う事は確かに一理あると言えるだろう。金を掛ければ凄いモノが出来るのは至極当然、金を掛けずに工夫して造ったモノにこそ真の美しさがあるモノだから。

そう言う意味では、銀閣寺は京都文化における『真の美』の究極系と言えるのかもしれない……質素でありながら、しかし確かに其処にある美しさと言うのは、日本人だけでなく、海外からの観光客も感じる事が出来るモノだから。

 

 

「それじゃ、銀閣寺を背景にして記念撮影と行きますか!ちゃんと三脚も持って来たからな!」

 

「ちょっと待って一夏、其の三脚何処から持って来たの?」

 

「銀龍騎の拡張領域に入れて持って来た。いやぁ、ISの拡張領域って便利ですね。」

 

 

……一夏が銀龍騎の拡張領域に入れていた三脚を使って、銀閣寺を背景に記念撮影をして、銀閣寺観光はターンエンド。拡張領域が、某青色猫型ロボットの腹部便利ポケットみたいになっているのには突っ込み不要だろう。

三脚に一夏のスマホを固定して、タイマー機能で写真を取ったのだが、一枚目は一夏が中央でKOFの京の『俺の勝ちだ(99Ver)』を決め、左隣では刀奈が扇子片手に不知火舞の『日本一!』のポーズを決め、右隣ではヴィシュヌがZEROシリーズのサガットの『トライアゲイン』のポーズで、一夏の後ではクラリッサがハイデルンの『次はお前だ』のポーズを決め、ロランが庵の『月を見るたび思い出せ』のポーズと、見事に全員が格ゲーキャラの勝利ポーズだった。

其れだけでも、結構濃い写真なのだが、二枚目は何故か『黒蠍団招集』のポーズだった……ギニュー特戦隊のポーズじゃなかった所に何かしらの拘りを感じずには居られないが、多分特に大きな意味はないのだろう。

 

 

銀閣寺を後にした一行は、清水寺を訪れた後で京都の老舗の和菓子屋にやって来ていた。

海外組の希望で、『京菓子と言うモノを味わってみたい』との事だったので、其れを味わえる店にやって来た訳だが、ロランもヴィシュヌもクラリッサも京菓子の美しさには驚いていた。

京菓子は芸術品とも言われる位に造詣が細かいのだが、その造形の深さは脱帽レベルだったのだ……色を付けた餡を伸ばして切って葉っぱを作り、別の色の餡を使って花を表現し、細かく刻んだ寒天で朝露を表現した『紫陽花を模した菓子』とか、本気で凄すぎるからな。

無論海外にも芸術性の高い菓子は存在して居るのだが、京菓子のそれと比べたらレベルが違うのだ。海外の芸術的な菓子がレベル4以下のバニラ最強の『アレキサンドライド・ドラゴン』だとしたら、京菓子はバニラ最強の『青眼の白龍』って所だからな。

 

まぁ、其れは其れとして、ロランとヴィシュヌとクラリッサは気に入った菓子を購入し、一夏と刀奈も菓子を購入して、店内の飲食スペースで京菓子を堪能しただけじゃなく、本格的な抹茶も堪能した。

此の店では、飲食スペースを利用する客には無料で宇治の抹茶が提供されるのだ……何とも太っ腹である。

 

そんな感じで、班別行動は実に充実したモノとなり、あとは旅館に帰るだけなのだが……

 

 

「きゃー!!誰かその男を捕まえて!ひったくりよ!!」

 

 

旅館に向かって居た一夏達の前で、ひったくり事件発生!

被害に遭ったのは着物を着た妙齢の女性……恐らく、華かお茶の教室の帰りなのだろうが、其処で不運にもひったくり犯に目を付けられて鞄を奪われてしまった様である。

女性は直ぐにでも追いかけたかったのだろうが、着物で追いかけるのは難しいだろう。

 

だが、女性にとって幸運だったのは、此の場に一夏達が居た事だ。

一夏達は正義のヒーローではないが、だからと言って目の前で起きた悪事を見て見ぬ振りをするような下衆でもない……言うなれば一夏達は、正義のヒーローじゃないが、悪は許さないダークヒーローなのだ。だから、ひったくり犯を逃しはしない!!

 

 

「おぉらぁ!!!」

 

「ペギャラッパぁ!?」

 

 

全速力で逃げるひったくり犯に、一夏がカウンター気味の喧嘩キックをぶちかますと、ヴィシュヌが追撃の膝蹴りをぶちかまして体勢を崩し、其処に刀奈がかのジャイアント馬場氏が一年に一回使うかどうかと言う超必殺技のランニングネックブリーカードロップを喰らわせてダウンを奪い、ダウンしたひったくり犯は、ロランが『キャメルクラッチ真打』を、クラリッサが『逆エビ固め』を極める……キャメルクラッチと逆エビの同時攻撃ってのは背骨が大分危険信号だが、適当に加減をしていたのでひったくり犯の背骨が粉砕される事はなかった。玉砕して大喝采しても一切問題はなかったと思うがな。人のモノをひったくる手癖の悪い外道は、いっそ半身不随になった方が世の為かも知れんからね。

その後、KOされたひったくり犯は駆けつけた警察官によって逮捕されたのだが、ひったくり犯をKOした一夏達は、その場で簡単な事情聴取を受けてお終いだった。駆けつけた警察官は、一夏達の服装を見てIS学園の生徒だと気付き、『修学旅行で来たのだ』と言う事を察して、一夏達を拘束しなかったのだろう。こう言う気遣いが出来るお巡りさんは素敵ですね。

 

 

 

 

そんな事があって旅館に戻って来た一行は、部屋で一休みした後にクラス別に入浴だ――初日は一組からだったので、二日目は四組からだ。……昨日とは違い、今日は……

 

 

「刀奈、胸大きくなった?確実に大きくなったよね?」

 

「ちょ、ダメよ簪……あん♡」

 

 

簪が刀奈に何かやってるっぽかった。……取り敢えず此れは、姉妹のスキンシップと言う事にしておこう。姉妹故に、スキンシップも濃密なモノになってしまうのだろう。

 

 

 

 

 

そして、全クラスが入浴を終えた後には夕食タイムなのだが、昨日の夕食よりも更に豪勢なメニューになっていた。

刺し身の盛り合わせには新たに鱧の刺し身が追加され、小鉢には『落とし鱧の梅和え』、天婦羅には鱧の天婦羅が追加され、一人一つの小鍋も『鱧の鍋』の『鱧尽くし』だったのだからね。

高級魚である鱧を、惜しげもなくふんだんに使った本日の夕食も絶品だった。

 

 

そんでもって夕食後は、班ごとの部屋に戻っての自由時間だ。就寝時間と言うモノは設定されていても、修学旅行ってのは就寝時間をガン無視して夜更かしするのが基本であると言えるのだ!夜更かし上等だ!!

 

 

「ちょ、待て簪!真・昇龍拳ぶちかました後のお手玉コンボは対戦では御法度だろ!?こんなんやったら、リアルファイトに発展するぞ冗談抜きで!対人戦でそのコンボはダメだろ!!」

 

「一夏、勝負って言うのは非常な物……時には、批判されるのも覚悟で戦う必要がある。」

 

「其れらしい事言って嵌めコンボを容認するんじゃねぇ!」

 

 

一夏達の部屋では、部屋のテレビを使ったゲームで盛り上がっていた――幾つかの格ゲーを持って来たのだが、格ゲーでは簪が悪辣な嵌めコンボを披露して、トンでもない連勝記録を達成したのだが、パズルゲームでは一夏が一撃必殺の大連鎖を披露して簪を完全にKOして見せた。

でもって、其処からゲーム大会が開催され、日付が変わる頃まで大いに盛り上がった。

 

 

「あふ、そろそろ良い時間だな……明日もあるし、そろそろ寝るか。」

 

「そうね。って言うか、円夏ちゃんと本音と簪はもう寝てるみたいだわ……此の寝つきの良さには脱帽ね。」

 

「はは、マッタクだな。

 ……お休み刀奈、良い夢を。」

 

「うん、一夏もね。」

 

 

そして、ゲーム大会が終わった後は、一夏と刀奈は同じベッドに入ってターンエンド……『良い夢を』と言った後で、刀奈の額にキスを落とす一夏は問答無用にしてマジのイケメンですわ。ドンだけ彼女を愛してるとしても、こうもナチュラルにデコチュー出来る奴なんぞ早々居ないだろうからね。

取り敢えず、修学旅行二日目は、ちょっとしたハプニングはあったが、良いモノだったと言えるだろう――因みに一夏は、生配信を行いながら、グリフィンにもLineでメッセージを送って現状を報告していた。学園に置いて来た嫁へのフォローもバッチリと言う訳だ。……其れを見事に熟してしまう一夏は、矢張り凄い奴なんだろうな。

 

まぁ、なんにしても修学旅行二日目も、思い出に残るモノになったのは間違いないだろう特に一夏組は、普通の修学旅行では絶対に体験出来ない経験をしたからな。

そして明日はいよいよ修学旅行最終日……何が待っているのが、実に楽しみであると言わざるを得ないと言うモノだが、最終日もきっと良い思い出になる事だけは間違いないだろうね。

 

因みに、本日の班行動の間、全身に20㎏の重りを付けて動いていた一夏の身体能力は確実に向上したと言う事を追記しておく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued 

 

 

 

 

 

 

 


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