楽しく地獄を作っていく。予定。
評価、感想をいただけると逆立ちして喜びます。
それではどうぞ
「クソっ、持ってかれた!」
南雲ハジメくんはしばらく粘着され続けたトリックスターと名乗る魔神族(自称)の手によってまんまとドンナーを奪われてしまいました。
「……死んで!」
ハジメハーレム筆頭のユエさんから始まる攻撃はすっかり貧弱なトリックスターをまるこげにしてしまいます。
「いてて、僕ちゃん黒こげ。どうしてくれんだよおお!」
黒こげのトリックスターは一瞬で体表を極彩色に彩ると、足を中心にドリルとして回転を始めました。
「何だ!?」
気持ちの悪いトリックスターに一同目を見開いてしまいます。特に女性勢からはゴミを見る目です。
「バイバーイ、はじーめーくーん!!!トソノオマケ」
「逃さねえ!!」
ハジメくんの言葉と攻撃も虚しく、地面に形成した渦に巻き込まれるようにしてラッキーなトリックスターは魔王南雲ハジメくんから流れたのでした。
南雲ハジメのハーレムメンバーが最後の言葉で、トリックスター次会ったら絶対殺す……と決めたのもその日だったそうです、知らんけど。
ドリドリドリ(ドリルの擬音)
「ただいま!」
ニコニコ顔のトリックスターは土塗れ。みんな嫌そうな顔をしています。
「あのなあ……土塗れでこっちくるなってあれ程言ったのに……」
トリックスターの
「で、ブツは取ってきたのか?」
「はーい、これだよ」
「毎回思うが、どうして持ってくるものには土がついてないんだ?」
「4次元回転のパワー」
無視して早速ゲンジくんはお得意、というかそれくらいしか取り柄のない解析魔法でドンナーと呼ばれる銃器を隅から隅まで解析してしまいました。
「すげえな、誰でも使えんのかよ」
完成度は高いこのドンナーにゲンジくんは何かを感じたようです。
「描くか……」
設計図をさらさらと粘土板に描き起こしました。紙は高価なので気安く使えないし、粘土板の方が材料もそこら辺にあるし、何より安価だったみたいです。
「お前ら、作るぞー」
その一声でゲンジくんによって集められた集団、キュクロープスがぞろぞろとこちらの大部屋に来ました。
「なにやんの?」「早く作らせろ!」
ワイワイとしていますが、ゲンジくんが設計図を見せた瞬間、押し黙ってしまいました。
「まず、これの通り作る。それから改造だ」
ウオオオオオオオオオオオオォォォォ!!!!
最近は暇していたキュクロープスの面々は大地を揺るがすほどの叫びを上げています。うるさいなあ。
一ヶ月も有れば全く同じドンナーが完成しました。カラーリングは真逆の純白です。ついでに弾薬も作りました。こちらの方が時間がかかったそうです。
ドパァン、ドパァンと今日もいい音が鳴っています。
「にしても、考えた奴は天才だな。あり得ないくらいに便利すぎる」
そんな事を言っているゲンジくんですが、既に新しい試作品を大量に作っています。
「アダマス第三百二十一号はどうなった?」
キュクロープスの一人、常識人のサイクルくんがそれに答えました。
「もう少しで完成ですが……威力強すぎません?」
「あれがオーダーだったし、お前らが魔改造したんだろうが」
「まあ、やり過ぎた感はありますけど……」
偶々やってきた魔神族の幹部をうっかり再起不能にしてしまった事でもう作れなくなるのではないかという懸念がサイクルくんにはあったのです。
「どうせ、トリックスターがうやむやにしてくれるから大丈夫でしょ」
「そっか……そうですよねーははは……」
サイクルくんは考えるのを、やめた。
サイクルくんがふらふらと出ていた後にトリックスターがやってきました。
「豆粒できてる?」
「ああ、あれね」
トリックスターの依頼で作られたノミくらいに小さい癇癪玉。何故か豆粒よりも小さいのに「豆粒」と呼ぶことに謎のこだわりを持っているのでした。
「ありがとう!」
「いつも何に使ってんの?」
「ハジメくんの背中に入れて遊んでる」
「えぇ……」
ゲンジくん、ドン引きです。
「ハジメくんの彼女ズには謎勘でバレちゃうんだよなあ。ハジメくん優しいからさ、癇癪玉を背中に入れさせてくれるんだよ」
「うん、違うなそれ」
真面目なゲンジくんはキッパリと間違いを指摘しますが、そんなこんなで時間は経っていくのです。
翌朝ーー
「勇者、誘拐してきた」
「は!?」
「貰ったぜ☆」
「いやなにが貰ったぜ☆だコノヤロー!!」
清水幸利と呼ばれた少年を何処かからさらってきたみたいですね。
「……ちょっと待ってろ」
ゲンジくんはそのままにしておく事も出来ず、彼を近くのベットに横たえておくことにしたみたいです。
「面白いの見つけたから見せるわ」
「何だ?」
トリックスターの目からピカーと光ると地球で工場と呼ばれる場所の映像が投射されたのです。一体どうなってんですかね?
「これは……」
「凄いよな、大量生産やろうぜ!」
トリックスターの一言であっという間に突貫工事して工場をいくつかこしらえてしまいます。
工場はじゃんじゃんドンナーやその派生兵器を製造し、様々な所に売りつけました。
儲かったお金でまた新しい工場があちこちに次々と建てられていったみたいです。
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「危険因子か?」
神の使徒の一人、アハトはある地帯で強力な物体が生産されているという眉唾な噂と怪しい気配を調べるために降り立ちました。
神の使徒は暇なんでしょうか?兎にも角にもこの場所は不自然なくらいに静まり返っています。
「なんなんだ、この音は?」
彼は知る由もないが、キュクロープスによって製造された「記念すべきアダマス第三百号」の発射実験が行われていたのです。爆音すぎるために魔法でかなりの騒音軽減がされているが、聴力が異常に優れたアハトはその音を聞き逃さないのは当然と言えました。
「飛ぶか」
ふわりと羽で空を飛ぶ。
「ばあ!」
「!?!?」
変な顔が目の前に出現して、ぶつかりたくないアハトは急停止しました。
トリックスターだ。今も顔が2秒毎に変化し続けています。
「危険因子と認定、排除する」
意識を強制的に引きつけるというトリックスターの能力にアハトは気づきません。それどころか彼?だけしか目に映りません。
「ぐえ」
よって、記念すべきアダマス第三百号から発射された弾丸で神の使徒であるアハトは修復不可能なまでに破壊されてしまいました。
肉塊が重力に引かれるままに深くて暗い穴に落ちていきます。残念ですね。
「うーん、隠蔽をしっかりしなくちゃね」
意味もなく足を十五本に増やして、翼を翻し、空を駆けました。
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「知らない天井だ……」
誘拐された哀れな
「ようやく起きたな?勇者サマ」
金槌を引っ提げて一人の男が現れます。
「……あなたは?」
「俺はゲンジ、よろしく」
手を差し出したゲンジに鬱陶しさを感じながらも一応手を差し出しました。
「お前さ、突然だが手伝ってくれないか?」
「……???」
「ま、きてくれや」
促されるままについて行くと、清水くんは唖然とします。
「な……何で銃器が……」
「凄いだろ?今は他にも作って大量生産用に工場が立つ予定だ」
「おかしい……おかしいだろ!」
ゲンジに洗脳をかけて全てを聞き出そうとしますが、耐性が高いので全てが弾かれてしまいます。
「……最後まで話を聞かんか!」
ゴチン!と擬音がでそうな痛い一撃を脳天に食らいます。痛そうだ。
「痛っーー!!!」
一応冷静になったみたいで話を聞いてくれる事になりました。心なしか清水くんはすっかりした顔をしています。
「お前、工場長してくれよ」
「え?」
「面白い武器とか作れるし、金も手に入る。いいんじゃないか?」
なんかよくわからんが、清水くんは脳ではなく感覚的に理解したみたい。明るい夢のある顔です。
「俺……俺、やります!」
脊髄反射よりも速い返答。
「いい返事だ」
ここに清水工場長の誕生だ。
楽しんでいただけたら、幸いです。