沙条愛歌に憑依物語   作:TYPE-HAMELN

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二話

全知全能になった。

 

オレはその事実に歓喜する。それはそうだろう。だって凄いじゃん!

 

まるで神様みたいだ。人間なのに神様に近い絶対的な力。これは嬉しい。

 

ものすごく興奮する。最高だ。今までの人生の中でもトップクラスの出来事だ。

 

人は老い衰え病に苦しみ尊厳を失いながら汚物に塗れ死んでしまう。

 

それはそれは残酷な運命だ。それはヒトに限らず生命体の定めのようなもの。

 

そのはずだった。しかしどうだ。オレは今そのような定めからおさらばできる空想の住人だ。

 

全知全能。それは老いを克服し、衰えずに、病に苦しむことなく、尊厳を保つことができる。

 

そもそも汚物とも無縁になれる。そう根源さえあればね!

 

アイドルはトイレなんていかない!そんなファンタジーが現実になるという事実。

 

将来を思って不安になる必要すらない。何故なら将来とは自分の思い通りになるのだから。

 

もちろんこれは極論だ。アラヤやガイアといった抑止力の存在もある。

 

不可能に等しい奇蹟をも可能にできるが、

魔術回路の数が少なく規模と回数にある程度の制限がある。

 

今の状態ではまだまだ付け入る空きがある。全知全能とはいえ無敵ではない。

 

しかしどうだ。空きがあるなら埋めればいい。そのための力がオレにはある。

 

何よりもこの世界が滅んでも別の世界線、好きな時間軸を行き来できる。

 

欲しい物だって何でも手に入る。これで喜ばずに何で喜べというのだろうか?

 

根源接続者はその気になれば未来も予知でき、事象を編纂して未来と可能性を改変できるが、

その多くはヒトのままでいる意味も感じられず、生命活動すら止めようとしていた。

 

けれどもそれはオレには当てはまらない。

そもそもヒトのままでいる意味を感じないからといって、

生命活動を止める事自体に意味を感じない。

 

別にヒトのままでもいいじゃないか。意味なんて感じなくてもいいじゃないか。

 

生きるのに理由がいるのか?まあ、それだけ感情を希薄にしてしまうということなんだろうが、

もともと全能ではなかった身の上のオレからすれば関係ない。

 

あるいはそれこそが、オレがこの「全知全能」に憑依した理由なのかもしれないな。

 

ともあれ、オレには喜びこそあれ感情が希薄化していくことはなかった。

 

とりあえずやることは決まった。

 

不殺の誓いを立てよう。ヒトとしての人道的な観点からであり、

同時にアラヤという抑止力へのとりあえずの対策としてでもある。

なによりもそれが可能な力がオレにはあるのだ。ならばオレの手を汚す必要はないだろう。

 

それから不可能に等しい奇蹟をも可能にできるが、

魔術回路の数が少なく規模と回数にある程度の制限があるというこの「制限を超越」する。

 

ヒトは脆弱だ。殴れば死ぬし刺されても死ぬ。空気がなくても死んでしまう。

 

この世界は死が近い。そして死ねば救われるとも限らない。それをオレは理解している。

 

だからこそ、限りなく不滅に近い存在になろう。これはそのための礎である。

 

これこそがオレの直近の目的だ。

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