沙条愛歌に憑依物語   作:TYPE-HAMELN

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四話

完成した人形。

 

オレが作成した人形を見て感嘆する。

 

自画自賛だと思うかもしれないが、とても感動している。

 

オレの目の前には沙条愛歌がいた。

 

触れてみる。とても人形とは思えない。まさに人間だ。

双子かクローン人間のようだと思ってしまう。こんなものを自分が作れていまうとは、

根源の凄まじさに笑ってしまう。これは魔術師が根源を目指すのも無理はない。

 

そう思ってしまうほどにそれはよくできていた。

 

この人形は初めて作ったこともあり、その機能はシンプルだ。

「自分と何一つ変わらない人形」これに尽きる。

 

その用途は単純で、自身の身代わりでありスペアである。

最低限の安全の保証がほしかった。これから先にオレが行うことを考えれば必要なことだ。

 

時間は有限であり、そうでなくともオレがやろうとしていることを考えると、

 

余計なことをしている暇はないと思ってしまう。もっと多く安全策を用意しておきたい。

 

一刻も早く安全を確保したいと焦っている。それはオレが沙条愛歌という超越者とは違い、

 

ただそんな規格外に憑依してしまっただけの人間だという自覚が呼び起こす危機感だった。

 

オレは知っている。この世界の危険性を、この世界が空想の産物であることを知っている。

 

漫画やアニメや小説で、CDや映画やゲームで娯楽として楽しんできた。

 

カタログスペックだけではどうにもならないことがあることを知っている。

 

ある日突然前触れもなく世界が滅ぶ。それはこの世界では起こっても不思議ではない。

 

ありえる可能性なのだ。この世界はただの娯楽の上で成り立っている。

 

この世界の生命の価値は低い。次の一コマでは消えても死んでも滅んでも大差はないのだ。

 

この世界は二次元であり、三次元の存在からしたらそれは数ある作品群の一部である。

 

その作品のなかで何人死のうがどれだけ生命が失われようがそれはフィクションの出来事。

 

そんな世界にオレはいる。この世界がフィクションだとオレだけが知っている。

 

そのはずなのに、どうしてオレはここにいる?オレは何故二次元の存在になったんだ?

 

そんな疑問が頭をよぎるがさして重要なことでもない。何より今も根源により、

 

その三次元に干渉が可能なのだ。ならば二次元とか三次元とかそんなの関係ねえな。

 

第4の壁への干渉。そんなの今どき珍しくもない。

 

話がそれたが、オレはもっと安全を確立したいと思っているということだ。

 

それにも関わらず、オレは目の前の人形に夢中になっていた。

 

触れてみる。撫でてみる。抱きしめてみる。動かしてみる。

 

いつまでも遊んでいたいがそろそろ次へ移行するとしようか。

 

次は人形を使って世界の滅びから逃れられる場所の確保へ向かう。

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