リタ・ロズィーアン。
魔眼蒐集列車の支配人である「ロズィーアンの家名を持つ上級死徒」
死徒二十七祖。その内の五百年単位で後継者に座を譲る血族のような祖。
祖の死期が近付くと警告の予言を送り後継者作りを促す薔薇の予言者。
それこそがオレの目的の相手である。それは今、城にあった。
そこは彼女のホーム。その場所に人形が一人顕れた。
そうオレだ。そして目の前には一人の女性がいる。
「見つけた」
それは先程のマーリンとの出来事の再現だった。
場所が違う。相手が違う。状況が違う。それでもすることは同じだった。
相手は仮にも預言者と呼ばれる存在だ。
祖の死期が近付くと警告の予言を送り後継者作りを促す薔薇の予言者。
預言者という概念。それはオレの障害となりえる因子を確かに感じさせるものだった。
故に縛る。その生命。その全てを掌握する。
この内の全知全能を持ってして彼女を支配する。
そのためにオレはここにいる。ついでにありあわせの魔眼ももらう。何だ完璧じゃないか!
「薔薇の予言者。リタ・ロズィーアンね♪」
―根源でリタ・ロズィーアンの場所を確認して空間転移で背後を取る。
―まず「統一言語」で五感を封じこめる
それは人が人に話しかけるのではなく、世界そのものに話しかけて意味を決定させる言語。
人々が分かれる前にあったとされる「真理」のようなもの。
存在論的なヒエラルキーとして、モノが世界に存在する時には、
「世界に存在するモノ」がモノの上に位置する。
世界に意味を伝える統一言語によって
「世界に存在するモノ」に話しかけられ意思を伝えられると、
「それに否定する」ということが「世界に存在することの拒否」になるため、
抗うことができない。故に「言語絶対」。オレの言葉はそのまま真実となる。
―次に投影した「愛の霊薬」を無理やり飲ませる
霊薬に長ずる一流魔術師のナイジェル・セイワード。
霊薬生成の術式にはナイジェル自身の起源「執着」を組み込んでいる。
それ故にサーヴァントにすら効果がある霊薬となる反面、
ナイジェル自身にしか生成出来ない霊薬となっており、その継承もほぼ不可能。
故に継承でもなく生成でもない。投影したものを利用した。
―「触手」で全身を拘束する
それはサーヴァントを容易く殺害できるほどの殺傷能力を持った触手だ。
根源接続者である沙条愛歌が原作で使用していたものだ。その強さは折り紙付きだ。
―「精神操作」をかける。
他者の精神に干渉する魔術は、物質的な代償を要しない代わりに術者の精神にも影響を与える。
人を呪わば穴二つ。とはいえ既に神代の魔術師すら超える力を有しているオレの魔術だ。
その影響は影響たり得ない。
―「結果」薔薇香る甘美な女性は今、ビクリビクリと四肢を震わせる。
足が震えて立ち尽くしている。思考と肉体が一時停止する。
動けない。体も心もあっけないほどにすくんでる。
震える唇から声さえ出ない。
その姿にドキドキする。こうなることはわかっていた。強い既視感を感じる。
これは先程の再演。対策を練り、その方向で成功する未来を見つけた。
こうなる未来へと可能性を改変した。
それでも、オレを超えてくるかもしれないと思ってしまう。
それが杞憂だと断言するには、世界はとても不思議で満ちているとオレは知っているからだ。
ワンパターンだった。それは成功体験の追従。失敗を避けるための繰り返しだった。
この世界では概念は力を持つ。成功した体験。失敗した体験。それは世界に確かに残される。
それを利用する。成功した体験という概念を強化する。それは繰り返すほどに力を増す螺旋だ。
そしてこの状況はオレの望んだ未来であり、そして訪れた現在だ。オレは彼女に語りかける。
「お友達になりましょう?」