沙条愛歌に憑依物語   作:TYPE-HAMELN

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九話

渇望。

 

薔薇の予言者。リタ・ロズィーアン。死徒二十七祖であり、今はオレの「お友達」だ。

 

彼女はオレの「お友達になろう」という問いに肯定した。

 

干渉魔術。支配、魅了といった魔術を織り交ぜながらオレは彼女を誘導する。

 

言葉を連ねる。魔術を重ねる。体を重ねる。

 

どこまでも深く彼女と交わる。

 

オレの言葉に肯定するよう誘導する。それをわかっているのだろうか?

言うまでもない。わかっているに決まっている。

それでも彼女は、オレの思いのままになっていく。

 

それは「命令に従う」という問いに肯定する。

 

オレはどんどん自分に都合の良いような言葉を投げかける。

 

その全てに彼女は肯定していく。彼女の動きは辿々しくとてもまともな状態には見えない。

 

この光景は先程見た。知っている。そして結果も定まった。

 

前世での記憶から知る知識にある彼女。その肩書、その実力の不明瞭さに警戒心を煽られた。

それ故に全力。流石にマーリンよりは格下だろうとの思いもある。

だが慢心故に足をすくわれるのは避けたい。油断はしない。そんな心構えをする。

 

さらにオレは言葉を続ける。理解者の顔をして話しかける。

 

 

「あなたは退屈に支配されているのね」

 

 

典型的な、貴族的吸血鬼。それでいて風聞の悪い趣味の持ち主。

酒池肉林の日々を過ごしているふた○り趣味の快楽主義者。

 

 

「快楽にふける日々を過ごしているのでしょう―――それでもあなたは満たされていないわ」

 

 

やりたい放題なくせに、根が歪んでるためか、満たされずに退屈に支配されている。

 

 

「その渇望、私なら癒やしてあげられるわ♪」

 

 

―彼女は「セルフギアス・スクロール」にサインする。

『自己強制証明』(セルフギアス・スクロール)

それは権謀術数の入り乱れる魔術師の世界において、

決して違約不可能な取り決めをする時にのみ使用される、最も容赦のない呪術契約の一つ。

自らの魔術刻印の機能を用いて術者本人に掛けられる強制の呪いは、

如何なる手段を用いても解除不可能であり、たとえ命を差し出したとしても、

次代に継承された魔術刻印がある限り、死後の魂すらも束縛される。

 

制約が破られるなどした場合は魔術刻印が自動的に反応し、違反した魔術師の体を内側から蝕む。

たとえ契約者本人に抵触する意思がなかったとしても、

「契約違反である」と見做された時点で問答無用で呪いは発動する。

その行為が中止されない限り呪いは持続し続け、

最終的には目や口から血を溢れさせた苦悶の表情で死に至る。

 

この証文を用いての交渉は魔術師にとって最大限の譲歩を意味し、

魔術師の間では滅多に見ることのできない代物である。

 

 

「これで私たち、本当のお友達ね♪」

 

 

 

 

――それでも彼女はこの呪術契約を結んだ。

 

 

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