鬼殺語   作:風船

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泥中のコイ

 それは人間の欲望と怨念渦巻く街『吉原』での出来事。

 通りには満開の桜並木が美しく、吉野に負けない景色を作り出す季節のことだった。

 

 夜の帳が下り見世が建ち並ぶ通りの街頭に橙色の灯がともる頃、芸妓が軽やかな清搔を鳴らし、三味線に合わせて唄が鳴る。そしてそれに合わせるかの如く、張見世には欲望にまみれた男たちが群がっていた。

 

「やっぱりこの見世は良いな!華と品のある娘ばかりだ」

 

 格子の向こう側で楽しそうに遊女を品定めしている男たちは、遊郭を訪れる程度には洒落ていて身綺麗な格好をしているが、その本質を知る遊女たちからすれば涎を垂らし舌なめずりする獣と大差ない。

 

 そして、そんな男たちに愛想を振り撒き自分を買ってもらうのが遊女の仕事だ。客を取れない遊女の行く末は悲惨極まりない。どんなに嫌だとしても男の興味を惹く様に振舞うしかなかった。

 

 それは身分の低い遊女、即ち張見世の端に座る者。つい先日突出しを終えたばかりの、馴染み客を増やす必要のある自分こそ積極的に行わなければならないのに気分は憂鬱で、叶うのならばこんなところ逃げたしてしまいたいと常々思っていた。しかし足の病で十分に働くことができなくなった故郷の両親のためにも自分は稼がなければならない。

 

 仕方なしに“男が喜ぶ顔”をすれば見世に群がっていた獣たちは気色の悪い笑みを浮かべて、色めき立つ。長年仕込まれてきたとはいえ、この程度で動揺してしまう男のなんと単純なことだろうか……無論、顔には出さない。

 

 ところが、その夜は少し変わったお客が混じっていた。遊女の客引きにまるで興味を示さないどころか不愉快そうに口元を歪めて、張見世から少し離れた位置で所在なさげにしている男だった。

 

「おい、いつまでも不貞腐れてないでお前もこっちに来い」

 

「俺はいいよ……もう帰っていいか?」

 

「いいわけないだろ!俺の面子を潰す気か?」

 

 その男は腰に手を当ててそっぽを向いていたが、彼を連れてきたであろうからそう言われると仕方なしに格子へと近づいてきた。すると、暗がりではよく見えなかった彼の外見に露になる。

 

 上背は六尺に届くであろう巨躯、衣服の上からでも分かる均整の取れた体つき、透き通る空を思わせるかのような青い目。顔のつくりも眉目秀麗とまではいかないが、それなりに整っていた。

 

 一部の遊女は彼の外見を目にした途端そわそわし始める。理由は様々だが、このような体格に恵まれた者の相手をした次の日は大抵身体がだるくて仕方がないので指名されたくない。自分以外を指名してほしいといった理由を持つ者がほとんどだ。

 

「…………」

 

 彼は遊女たちを黙って見廻すと、軽くため息をついて目を反らす。その様子からすると、おそらく無理やりこの場所に連れてこられたのだろう……こういう手合いの人間はたまにいる。

 

 『廓遊び』という普段は手の届かない贅沢が出来るとなれば大抵の男は意気揚々と遊郭に足を運ぶだろうが、女を金で買うこと自体を下種のやることだと思っていたり、女を買うのはモテない男のやることだと馬鹿にしている者にとっては、遊郭は嫌悪の対象だ。けれども、彼はそのどちらとも違うように見える……ならば何故こんなにも不機嫌そうなのだろうか。

 

「ほらほら、好きな娘を選べ!」

 

 先ほど彼を呼びつけた男が、黙ったまま何もする気配が無かった彼の背をパンッと音が鳴るほど豪快に叩いて急かす。すると彼は、とうとう観念したかのように大きなため息をついた後にスッと人差し指を上げて格子の中を示した。

 

「……なら、そこの俺と同い年位の娘がいい」

 

 彼の指が示す先……選ばれたのはよりにもよって大して男の扱いも分かっていない自分だった。普段可愛がってくれていた姉女郎からは同情の視線が向けられるが、基本的に花魁以外は客の指名は断ることが出来ないので受けるしかない。

 

「確かに可愛いもんな!楽しんでこいよ」

 

 急かした男は楽しそうに笑いながら彼を送り出すと、さっさと遊女の品定めに戻ってしまう。一方で送り出された彼はようやく解放されたとばかりに小さく安堵のため息をついて番頭に部屋へと案内されている最中だった。

 これで三度目のため息。いくら乗り気でないといっても流石に失礼ではないだろうか。

 

 そして彼の失礼な態度は座敷でも変わらなかった。

 

「鯉夏と申します。どうぞよろしくお願いいたします」

 

「ああ、よろしく」

 

 三つ指をついて挨拶をすると、自分を指名した男はこちらを見向きもしないで軽く返事をしただけで、仕出し料理に黙々と口をつけていた。

 そんな様子の客でも何もしないわけにはいかないため、男の近くに寄ってお酌をする。

 

「ごちそうさん。なあ、あんた鯉夏さんだったっけか?」

 

「鯉夏、と呼び捨ててくださいませ」

 

「分かった。呼び捨てにするよ。俺の名前は王葉だ。今日は乗り気じゃないのに遊郭につれてこられて辟易してたから、あんたに手を出す気ないよ。適当に添い寝でもしてくれ……」

 

「え?」

 

 食事を終えてようやくまともにこちらを見て口を開いたかと思えば、彼から放たれたのは驚きの言葉だった。

 

 遊郭で女に添い寝だけ頼むなんて今まで聞いたこともない。

 

 酒に酔って“そういうこと”に至る前に眠ってしまうお客はたまにいるが、この王葉という男はどう見ても酔っているとは思えない。

 

「仕事のせいで疲れていてさっさと寝たいんだ。遊女は年中寝不足って聞いたことあるし、あんたもずっと嫌そうな顔してたんだから問題ないだろ?添い寝も嫌なら俺が寝ている間に他の客のところを好きに回ってくれればいいさ」

 

 王葉の言っていることは正しい。

 

 遊女は仕事柄、年中寝不足で満足も眠れることなどほとんどない。だから王葉が本音から添い寝だけを希望していて、しかも他の客のところを回っても気にしないのであればとても助かる。しかし今はそれ以上に気になることがあった。

 

「嫌そうって……」

 

 確かに見世に出るのは嫌だったが、昔から“自分を隠すのが上手い”や“人のあしらい方を心得ている”等と褒められて過ごしてきたので、隠し通せている自信があった。その証拠に張見世で自分が笑いかけた男たちは皆一様に色めきだっていたのに──

 

「あんた分かり易過ぎる。ある程度年取った奴ならすぐ分かりそうな程度には嫌だって顔に書いてあったよ……」

 

 まさか初対面の、それも廓遊びなんてしなさそうな相手から見破られた鯉夏は思わず黙り込む。しかも王葉からの言葉から今まで鯉夏の敵娼となった客も何人かはこのことを見抜いている可能性があるということに気付かされた。

 

 正直顔から火が出そうなほど恥ずかしいが、客に醜態を見せるわけにもいかない。

 

 そんな鯉夏の心中を察したのか、王葉は気まずそうに頬をかきながら言葉を続けた。

 

「あと出来れば、その作ったような表情も二人きりのときはやめてほしい。他の客は喜ぶかもしれないけど、俺は嫌なんだ……正直無表情でいてくれた方がまだ良い」

 

 王葉のとどめの一言に、鯉夏は今度こそ顔をひきつらせた。この男、客だとしても失礼過ぎ……だが、このまま黙っているのも癪に障る。

 

「承知いたしました。それでは遠慮なく止めさせてもらいます」

 

 そう断りを入れて、目を閉じそっぽを向く。我ながら子供っぽいとは思うが、こんな失礼な人にいつまでも客引き用の顔をしていても疲れるだけ……と思っていたのにその後に聞こえてきたのは微かに噴き出す音と、くつくつとした笑い声。

 

 視線だけを王葉に向けて様子を伺ってみれば、彼は巨躯を丸まらせて震えていた。

 

「……あんた可愛いな」

 

 やがて、ぽつりとそう言うと王葉は身体を起したが、その言葉は女にではなく幼子に向けて言うかのような雰囲気をまとっていて、間違いなく子供扱いされていた。

 

 ここまで馬鹿にされては、流石の鯉夏も腹が立つというもので言葉と同時につい手が出てしまった──が、簡単に避けられた上に王葉はますます笑いに拍車がかかってしまい、ついには目元に涙まで浮かべる始末。

 

「もう!貴方本当に失礼です!」

 

「わ、悪い……つい、ぶふっ……!」

 

 思わずムキになってぽかぽかと王葉の胸を叩くが彼はどこ吹く風でずっと笑い転げている。

 

 その夜はそんな戯れがずっと続き、他に鯉夏を指名する者も現れず、気が付けば二人仲良く布団で寝て終わるという何ともまあ色気の無い形で終わった夜だったが、この話を姉女郎と遣り手に話したら、そんな良い客が来ることは滅多に無いのだと驚かれた。

 

 いくら疲れていたとはいえ、遊女に何もせずあまつさえ他の客の部屋を回ってもいいと初回から堂々と言う若い客なんていない。言ったとしても、それは遊女の気を引くためのフリで本当に他の客のところを回ろうとする素振りを見せるだけで面白くなさそうな顔をするものだ。

 その客は本心からそのようなことを言っているように見えたのか、と。

 

 王葉が本心からそんなことを言っていたかは、鯉夏には分からない。

 あの夜は王葉のからかいに頬を膨らませていた記憶しかない、と正直にそう答えれば、なら直ぐに誘いの手紙を送って確かめろと返された。

 フリならば直ぐに登楼するだろうし、本心からなら音沙汰がない筈だ。前者の場合は太客にする絶好の機会だから、とも言われた。

 

「あの人に手紙……?」

 

 太客は欲しいし王葉の本心にも若干の興味はあるものの気が進まない。なんとなく王葉にはそういうことをしたくない……初めての逢瀬があまりにも子供っぽかったので自分から誘うのは少々気恥しいのもある。

 

「でも、もう一度会いたい」

 

 最初は王葉の態度に大人げなく怒ったりもしたけれど、彼と過ごしたあの夜は久しぶりに気を張らずにいられたし、結局最後は楽しんでいた……もしあんな夜をまた過ごせるのだとしたらそれはとても嬉しい。

 そんな生娘みたいな心持ちで鯉夏は王葉へと手紙を書くことを決め、送った。

 

 

 ところが待てど暮らせど王葉から手紙の返事は無く、また妓楼へと訪れることも無かった。

 

 王葉からの音沙汰がないことに最初は気落ちしていたが、手紙を送った直後あたりから鯉夏の人気が上がり馴染み客も徐々に増加し始め、周囲は一気に活気づくことになる。

 

 

「ときと屋の鯉夏って遊女が最近売り出し中だって?」

 

 東京観光がてら吉原見物に来た男がニヤニヤしながら張見世の中を覗き込む。

 

「見た目も中身も可愛らしいが、偶に見せる憂い顔がたまらねえんだ」

 

 そんな田舎者に自慢げに鯉夏のことを語る男の目尻は垂れ下がり、口元はだらしなく半開きの状態。

 

「それだけじゃない。琴も三味線も大したもんらしい」

 

 見世の前に来るだけで一度も遊んだことのない者も話だけには入ろうと食い気味に身を乗り出す。

 

「いやいや鯉夏と言ったら舞だろ!『静の舞』なんて見せられたら、しばらくまともに仕事出来ねえよ!」

 

 すっかり鯉夏に惚れ込み馴染み客となった男はのぼせ上がった顔で夢のひとときのことを語っている。

 鯉夏はそれらの客をぼーっと眺めながら、夜見世が始まる前の出来事を思い出していた。

 

「馴染み客の増え方が尋常じゃない。二日に一度は登楼する客もいるくらいだ」

 

「昼見世から満員御礼なんて凄いじゃないか!この調子ならすぐに座敷持ちになれるよ。頑張りな!」

 

 日ごとに増えていく鯉夏目当ての客に遣手と楼主はうきうきと算盤をはじいて激励してくれたが、客が何を望んでいるかがここ最近で分かるようになってしまった鯉夏にとって、頑張れることは三味線や唄などの芸事の腕を磨くことくらいしか思いつかない。

 

(何を考えているのかが分からなかったのは王葉さんだけだったな……)

 

 逆に嫌々見世に出ているのを簡単に見透かされた。

 あの後それとなく馴染みとなった客に探りをいれてみたところ、王葉の言った通り大店のご隠居等は鯉夏の心情を見抜いていたことが分かり更に恥ずかしい思いをした。

 

(でも遊女が簡単に本心を見抜かれてはいけないし、早めに言ってもらえてよかったのかもしれない)

 

 王葉のあの言葉は失礼だったとはいえ、自覚したことでお客様への表情と態度により気を遣うようになったし、それに伴って馴染みも増えた気がする。それに王葉にも失礼な自覚はあったからこそあんな気まずそうな顔をしていたのだとも思う。

 

(そう、いま目の前にいる人のように……ってあれ?)

 

 いま格子の向こう側に王葉の姿が見えた気がする。

 

「この前の娘いるじゃないか良かったな鑢!今度こそ男見せて来いよ!」

 

 気のせいではない。確かに王葉がそこにいて、初めて見世を訪れた時と一緒にいた男に背中をばんばんと叩かれて項垂れている。

 

「勘弁してくれよ……」

 

 王葉はげんなりとした様子で見世に上がっていったが、その理由を考える余裕は今の鯉夏には無い。なにせもう一度会いたいと心を込めた手紙を送っても音沙汰のなかった相手がそこにいるのだ。

 

 鯉夏が急ぎ部屋へと向かうと、そこには気まずそうに胡座をかいて頬杖をつく王葉の姿があった。

 

「よお、久しぶり」

 

「もう来ないと思っていたのに、どうして?」

 

「俺もそのつもりだったけどよ。今日もいたあの騒がしい奴のお節介のせいで来ることになった」

 

 王葉の背を叩いていたあの男は彼の先輩で、普段から女っ気のない王葉に対してそれでは男の甲斐性が云々だのと余計な気を回すらしい。

 初めて『ときと屋』を訪れた時も、“仕事ばかりでは気が滅入るだろう、奢ってやるから廓遊びでもして気を晴らせ”と言われ、疲れていたので断ろうとしたら遠慮していると勘違いされて無理に連れて来られた。なら指名した遊女に訳を話してさっさと寝てしまった方が早いと結論に至り、この前のようなことを鯉夏に言ったらしいのだが、問題はその後だった。

 

「あいつ散々あの夜のことを聞き出そうとしてきた上に、あんたからの手紙を読まれてな……この前のことが露見したんだ」

 

 

 王葉は、鯉夏からの手紙を読んだものの返事をすべきか決めあぐねているうちに仕事の忙しさに追われ、どこに置いたかも忘れてそのままにしていたら、いつの間にかあの男に手紙を読まれていた。そして“遊女からこんな手紙を貰っておいて放置するなんて何を考えている!男を見せて来い”と怒られ、無理やり連れて来られたのだと疲れた様に言った。

 

「大まかな説明はこんなもんだよ。あいつの思惑に乗るのは癪だし、悪いけど今回もまた話相手になってくれないか」

 

「それは、構いませんが……」

 

「悪いな、ありがとよ……それと今回は一応土産持ってきた」

 

 王葉から可愛らしい風呂敷の小さな包みを渡される。

 

「ありがとうございます。何ですかこれ?」

 

 包みからはほのかに甘い香りが漂ってくるが、匂いからして食べ物ではなさそうだ。

 

「湯舟に入れるための生薬だよ。包みの中にいくつか布袋が入ってるから、それを煎じて湯舟に入れて使うんだ。冷えや肩のこりによく効く。簪やら着物を渡すのが一般的って聞いたんたが、あんたの好みとか知らないし流行もよく分からないから貰っても困らない物にした。いらなかったら捨てるか誰かにあげるかしてくれ」

 

 王葉は苦笑いして言うが、そんな失礼なことしない。むしろ心を込めて選んでくれたのであろうことが分かって嬉しい。

 

「ありがとうございます。こういった贈り物は中々頂けないので見世の皆と使わせてもらいます」

 

「そうか?なら良かった」

 

 鯉夏が心からのお礼を述べると、それを聞いた王葉も嬉しそうに微笑んだ。

 

 この時点で既に良い雰囲気でそのまま事に及んでもおかしくはないのだが、その日も何も起きることなく二人で寝こけて終わった。

 

 これが王葉との二回目の逢瀬。

 

 何も起きなかったのは、王葉が最初に言っていたように鯉夏に手を出すと誰かの策略に嵌ったようで癪というのが主な理由だろうが、現在になって思い起こしてみると鯉夏の気を惹くための王葉の戦略だったような気がしなくもない。

 

 何故なら翌朝になって王葉を見送った際に名残惜しくて王葉の服の裾を掴んだら一瞬だけ、ふっ、と笑ってから“また来るよ”とだけ言って鯉夏に触れることなく去り、その後から王葉はときと屋に通う様になったのだ。

 

 

 

 

 

「これが私と王葉様の出会いよ」

 

 鯉夏はそういって話を締めた。

 昨日のことのように色鮮やかに蘇る大事な思い出。

 

「王葉さまは鯉夏花魁のカミサマなのね!」

 

「そんな素敵なことがあったから花魁は王葉さまが来ると嬉しそうのね!」

 

「王葉さまも花魁に会えたときは嬉しそうよ!」

 

「それに王葉さまの贈り物はいつも素敵!他の旦那さまは藤の花の香水なんてくださらないわ!」

 

 王葉との馴れ初めを聞かせてとせがんだ鯉夏の禿たちは、きゃあきゃあと囃し立てる。

 おとぎ話のような二人の出会いは、異性を意識し始める彼女たちにとって格好の退屈しのぎだ。

 

「今日は久しぶりに王葉さまがいらっしゃるせいか、花魁いつも以上に素敵よ」

 

「王葉さまったら、仕舞をつけるばかりでちっとも鯉夏花魁に会いに来ないのだからイケズよね」

 

 吉原という場所で育ってきたせいもあり、マセている禿たちは久しぶりに王葉が登楼すると、朝から気分が上向いている鯉夏を揶揄い始める。

 

「こらっ、揶揄わないの!もうすぐいらっしゃるのだから仕度を手伝って」

 

「はあい、花魁!」

 

 このまま放っておいたらいつまでもはしゃいでいそうな禿たちに用事を申し付け、鯉夏は無理矢理話を終わらせて仕度を始める。

 今日は久しぶりに王葉が登楼する日なのだから、いつも以上に気合い入る。

 

「王葉、私のはじめてのひと……はやく逢いたい」

 

 ぽつりと呟いた鯉夏は本当に幸せそうだった。

 

 

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