最強の半人が幻想入りしたらしい   作:怒鳴る怒

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どうもただの謎存在です。

この間体育の授業でこけて右手の筋をやりました。めっちゃ痛いです。
さて、今回は悪霊の想起編ですので。



では、本編どうぞ。


第二十八話 想起之時 絶望の記憶

昔、とはいっても時間の流れが違い、時間は今とそう変わらなかったとき、ある所で一人の赤ん坊が生まれた。少女は赤穂と名付けられ、父親がいない事以外はなんの変哲もなく、普通の女の子として生活していた。が、四歳頃、異変が訪れた。

「?赤穂、何やってるの?」

 

「うん?お勉強!」

 

「そう。…おお、全部合ってるじゃない!」

四歳、小学校にも行っていないのにも関わらず、足し算をし始めた。まだ数字どころかひらがなすら知らないはずの年代だ。が、母親がまあ言ってしまえば能天気な感じだったため、すごい賢い子、としか考えていなかった。

 

 

「それっ!」

 

「うおっまてぇー!」

七歳、女の子、というよりは男の子に混じって体を動かすのが好きでよくサッカーなどをしていたが、身体能力がかなり高く、普通とは思えない動きをし始めた。小2で50m走を6秒で走って見せたり、鉄棒で逆上がりをぐるぐる回って見せたり、そういうことだった。流石におかしいと思った赤穂の両親は彼女を病院等に連れていったりして、何が起こっているのか調べようとした。が、分かることはなく、その異常な状態を受け入れるより他無くなっていた。

 

そして、人間は不可解なものを拒絶することで自らを保つことを選んだ。

 

 

九歳、あり得ないことが起こる赤穂の事を周囲は悪霊、妖怪、化け物、等と呼び、社会そのものから拒絶した。そうすることで()()を最上に置くことにした。

今まで好意的に接してくれていた友人たちも手のひらを返したように虐めるようになった。

 

「まてー!」

 

「おら()()!退治してやるよ!」

後ろから三人ほど、男の子が棒を振りながら走ってきている。勝手に体力は増えてはいくが、もう一時間ぐらい逃げている。あの男の子達で十組目だ。

 

「はぁ…はぁ…」

 

「おら、捕まえたぞ!」

 

「や、やめて…」

 

「おら!」

 

──────────

 

「うう…」

ボロボロになった服で赤穂は何とか起き上がった。

腕や足は怪我をしていたが、もう治りかけている。家に帰るまでには完治しそうだ。

 

「…服…破れちゃったな…」

所々穴が開いていた。破かれたのか破れたのか。

 

「、君。」

 

「っ、(逃げなきゃ)」

三十代前半位の黒髪で長身の男の人が赤穂の方に来ていた。また何かされる、そう思った。

 

「大丈夫かい?」

 

「え、」

 

「いや、服も汚れてるし、怪我とかしてないかな、と思ってね?」

 

「え、あ、いや、」

変な人だった。もしかすると赤穂の事を知らないのかもしれない。いや、そうなのだろう。普通の人なら赤穂が怪我をしたところですぐに治るのも知っているだろうし、そもそも心配なんかしない。

 

「…?どうかしたか?」

 

「あ、いえ、何でもないです。ちょっと転んじゃっただけなので、じゃあ」

タッ

 

赤穂はその人に背を向けて家に向かって走った。

 

 

 

 

「……いやいや、その歳の子はそんな敬語使わないだろう…転んだにしても走れるか?…まあ…、元気そうで良かった…のかな?」

 

 

 

 

十歳、髪の色が異常だと気付く。

赤穂の髪は白に赤い毛が混じっている感じだ。普通人の髪は黒髪か、行っても茶髪だと思われているため、余計に周囲からの拒絶、人外の認識が高まった。子供だけでなく、大人からも諫めの言葉を投げられるようになっていた。ただ、学校には行き続けた。何故か。彼女の本当に数少ない理解者、母親を心配させたくないと思っているからだ。

彼女なりに母親には迷惑をかけたくないと意地だったのかもしれない。まあ、気づかない方がまあ珍しいのだろうが。

 

「……………」

 

十二歳、中学に。

赤穂は地元からかなり離れた中学校に進学した。

この頃に、ようやく、自身の能力が、[周囲の人の力をコピーする能力]だと気づいていた。まあ、全てではなく、一部、行っても一、二割程度であることもだ。

そのため、学力は問題なかった。それよりも問題は、中学では赤穂のことを知っている人はそういないだろうが、いずれバレるであろうということだ。

そして案の定、バレた。というかすごい早かった。まさか入学から一週間でバレるとは思わなかった。

 

「何か言いなさいよこの───」

パチン

 

……痛い。思ったより痛い。いや、棒で叩かれたり石を投げられたりしていた為、ビンタされるぐらいどうってことないはずだ。が、今までのどんなものより痛かった。

 

「はぁ…こんな気持ち悪い髪して気持ち悪い力して…とっとと消えてくれない?」

……何でだろうか。今は叩かれてない。何もされてはいない。なのに、どんどん弱っていく気がする。

どんなものより辛い。

 

「…………」

 

「あーあー、泣いちゃったよ。全く…こんなので泣くなんてほんとにどうかと思うわ。」

 

「あ、もうチャイム鳴る。」

キーンコーンカーンコーン

 

 

 

 

「……はぁ……」

いつも通り電車で近くの駅まで帰り、そこから歩く。どうも本当に参ってるのか気づいたらため息をついていた。

 

「…おや、いつぞやの?」

 

「?」

明らかに自分に向けられた言葉だと察し、周りを見回す。

 

「ありゃ、やっぱりだ。もう何年前か分からないけど、ここまで特徴的なのは覚えてる。あの時は名前も聞いてなかったけどね。」

三年前、一瞬しか会っていなかった例の変な人とまた会った。

近くのあらゆる人の記憶力もコピーしてしまっているため、忘れたくとも忘れれない状態である。だから覚えていた。が、相手も覚えているとは思っていなかった。

 

「……さようなら。」

何を言えばいいか分からず、赤穂はそのまま帰ろうとした。

 

私、化け物ですから。

 

「でも、僕と同じ人間だろう?」

聞こえていたのか当然のように返す人。

 

「いえ……周りから浮いてることぐらい分かってるんです。人ならざる能力を生まれ持って、人外として生きてる。そりゃあ拒絶もされますよね。」

もちろん強がりだった。ただ、早めに離れた方がいいかも、と思ったのだ。が、返答は赤穂の予想とは反して、

 

「うーん……僕はそうは思わないけどなぁ。」

 

「え?」

思わず振り向いていた。

 

「僕も君も、強がっても所詮は脆く弱い人間。そこは変わらないだろう。下手に同族の中に境界線を引くなんてのはどうかと思うよ、周りの人も、君も。そもそも、君は周りと違うことがおかしい、と思ってるみたいだけど、それは違う。君は周りの人よりも優れた、特別な人であり、周りの希望にもなれる。……まあ、中年期のおじさんの独り言だよ。綺麗事だと思ってもらって構わない。」

…全くもってその通りであった。

拒絶されたくなかったのに、無意識中に自分と周囲との間に境界線を作ってしまっていたのだ。

 

「…変わってますね。」

感謝も込めての言葉だった。

 

「ハハ、そりゃあどうも。」

とても良い人だった。良い人だったのだが……その人は死んだ。自殺だったという。会社内での暴言等のストレス(パワハラというのだろうか)から、だったらしい。

なぜ知っているかって?

…分からない。誰かから聞いたのかもしれないし、ニュースか何かで見たのかもしれない。そもそも、この人の名前すら覚えていない。何故かは分からない。でも、一つ言うなら…

 

 

彼女はまた、理解者を一人失った。

 

 

十五歳、終わり、そして始まる。

 

彼女の理解者は母親だけになっていた。

「…ごめんね、赤穂。」

ある日の夕食の時、突然母親から言われた。

 

「何で母さんが謝るのさ。」

 

「…親なのに…何にもしてあげられないなって…思って…」

泣いていた。赤穂にはほとんど見えない程、少し。

 

「ううん。母さんはずっと私といてくれたんだもん。それだけでも助けてもらってるんだよ。」

 

「…ごめんね…そんな体に産んじゃって…」

 

「…良いの。母さんの子供でいれてるだけで十分。」

本心だった。そこら辺の無責任な大人達よりずっと良いと思った。

その時、

 

ピーンポーン

 

チャイムがなった。

赤穂は瞬間的に何か嫌な予感を察知していた。が、動けなかった。

母親はそのまま立ち上がり、ドアに手を掛け…

 

「…はい……っ赤穂!逃げ」

パァン

一瞬だった。

 

破裂音と共に母親が倒れた。

スローモーションのように、ゆっくり倒れていった。

床に赤い水溜まりが出来る。

誰か入ってきて扉が閉められた。

相手の手には黒い筒が曲がったような形のもの…銃だ。相手は赤穂にそれを向けた。が、赤穂はそれどころでなく、

 

「はぁ…はあ…はぁっ…はあっ…」

頭の中がどす黒い物で支配されていく感覚。

視界は狭まり、音が消え、感覚がなくなり、上下、前後、左右、全く分からなくなる。

ただ、頭の中にあるのは何が起こった、ということ。理解はしている。母親が撃たれた。誰かも分からない人に、唯一の、母、親、唯一、の理解、者、を…

 

「ふふっ」

笑った。何故か?分からない。気づいた時には…

 

「や…やめ…」

ザクッ

 

()()()の心臓を貫いていた。

 

「ははっ…ははは…」

何度も、何回も刺した。もう原型も留めなくなったとき、

 

「ふふふふっ…」

ザクッ

また笑った。笑って、自分の心臓もナイフで突いた。

 

 

 

 

 

 

 

「………ん…」

起きた。森の中。家ではない。そこで記憶が戻った。

 

「ウッ…かはっ……はぁ…はぁ…」

猛烈な目眩と吐き気が赤穂を襲い、座り込んだ。

何度か戻してしまったが、何とか持ち直した。が、母親は、死んだ。そして、自分も死んだはずだった。なのに生きている。生きて見覚えのない森の中にいる。そして、一つ違和感。

 

「…?…霊力が…ない?……妖力?」

いつぞや、陰陽師か何かからコピーした能力だろうか。普段感じていた赤穂の霊力がなくなり、代わりに妖力が出ていた。

赤穂は、ふふっ、と笑い、

 

「…そっか。そういうことか…これはチャンスか…これで…この力で人間を…この世界中の人を殺し尽くせって事か…ふふふっ…ふふふははは…」

 

笑った。狂喜、刹那、殺伐、怒り、悲しみ、恨み、憎しみ…狂気──、

「あははははははははははははははは!!!」

 

頭の中でなにかが叫ぶ──。

『全て…全て憎い…憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い!

殺せ…全て殺せ…殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「人間なんか…卑怯で弱くて貪欲で傲慢な化け物…私なんかよりずっと…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      「イキルカチガナイ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、世界を崩壊させては世界線を飛び、別の世界を崩壊させていた。まあ、そんな簡単に世界を崩壊させられる訳もなく、そのために100年ほどかかることもあった。

短かった髪は怨霊になってから後ろの地面に着くほど長く、目も黒から赤になっていた。

そして、がむしゃらに世界を壊していた間に一つ、考えが浮かんだ。

 

 

 

「**の平*世界*壊し*ら、人*も*も、*に**れる*うな

 

 

 

***でも*ろう*な…」

 

 

誰にも心を開かず、

ただ一人で暴れつつ、

鎖に閉ざされながらも悪霊らしくない考えに笑えてしまったが。




あとがき

リュウ「し、シリアス…?」

有森「うーん?」

星「………」

主「色々と大変なんですよ。皆。」

有森「お前は主に右手首だろ。」

主「よく分かったね。」

星「筋やったんですよね…」

リュウ「冒頭に言ってたからね。何してた…」

主「ふざけて後ろ向きに走る→こけて笑わせようとする→思いの外手をつく位置が外だった→グキッ」

有森「…自業自得だ。」

リュウ「…ああ。誰にも非はねえ。あるとするなら主だな。」

星「…フォローできません……」

主「…もうちょっと慰めてくれても…」

リュウ「乙」

主「メンタルブレェイク!」
チーン

有森「あ、死んだ。」

主「こ、心の痛みが…」ピロリン♪

星「…えーと、頑張ってー…」

リュウ「無理に応援しなくても良いと思うよ。いつもこんな感じだし。…シリアスブレイクもいいところだったな…さて、そろそろ〆るか。」

主「は、はい…さ、最後まで読んで頂き…ありがとうございました…!」
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