インフィニット・ストラトス2~人と機械の紡ぐ心~   作:サウス零

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お待たせしました…こればっかりだな…

あと次回予告のセリフ止めますね…


EP13 条件・俺達の新たな切り札

タッグマッチトーナメント当日の朝を迎えた。

 

自室の洗面所で顔を洗い。冷水で自身の眠気を払い飛ばして眼鏡をかける簪。

 

「……」

 

今日はがんばらないと……と改めて考える。

 

姉と比較対象にされてしまう周りの目を見返す為に一人、専用機を組み立てて数か月…

 

夏休みを迎えるまでに行われたイベントも参加できずに苦しんでいた時

 

士音達とのまさかの再会を果たし、相棒であったロボポン『コジロウ』から貰ったデータが愛機『打鉄弐式』完成へと繋がり…

 

ようやく、今この時を迎えた。

 

(トーナメント表は、開会式に発表されるから…相手はその時に…)

 

勝ち進めてゆけばゆくゆくは楯無とぶつかるであろう…

 

ふと、起きる直前に見ていた夢の内容を振り返る。

 

内容はまさにタッグトーナメントの試合をしている時だった。

 

タッグを組んでいた一夏や、試合相手である楯無と箒が謎の巨大ロボットになぎ倒され、残されたのは自信のみ。

 

弐式の武器も全て使っても、まともな効果が無く大破寸前である。

 

(もう駄目だ…あの人でもあっさり負けてしまった……私なんかじゃ…かないっこ…ない……)

 

下唇を噛み締め、目じりには涙が浮かんでいた。

 

――――ヒーローがいてくれたなら

 

アニメや特撮に出てくる存在、颯爽と現れて自分を助けてくれる完全無欠のヒーロー。

 

強く優しく真っすぐさがとってもカッコいい正義の味方。

 

「……うん」

 

現れたその姿はファルシオン・エデンシスとロボまるである。

 

今年の秋に始まった仮面のヒーローは『二人で一人』のヒーローだったのがなおさら近い形をしていたのだ。

 

だがそれでも、苦戦を強いられてしまい万事休すかと思った時である。

 

――――――見せてやる。正義の力を!!!

 

シオンがそう叫んだ瞬間、二つの物体が一つに重なり、眩い光がアリーナを包み込んだ――――――

 

と、まさにここで『次回に続く』が如くで夢から覚めてしまう

 

(もしかしたら、あるのかな? 今度聞いてみよう……)

 

気になる気持ちを抑えて、準備を終えて部屋を出るのであった。

 

 

 

 

 

「それでは、開会のあいさつをミント・ウィルゲイル生徒会長からしていただきます」

 

司会役の虚が司会用のマイクスタンドから一歩下がる。

 

その後ろには生徒会メンバーが整列していた。

 

「皆さん、おはようございます。今日は専用機持ちのタッグマッチトーナメントですが、

 

 試合を通して生徒の皆さんにとっても勉強できることがあります。自分の技術に取り込めるようにしっかりと見学してください」

 

凛とした声が言葉と共に場内を響かせており、この場に静寂な時を刻み込む…

 

「それでは、今回の対戦表を発表します!」

 

空中投影ディスプレイがミントの後ろに現れる。

 

ピンッと表示された文字は……

 

 

第一試合

 

ダリル・ケイシー&フォルテ・サファイア

 

        VS

 

ファルシオン・エデンシス&ロボまる

 

 

第二試合

 

セシリア・オルコット&凰鈴音

VS

 

シャルロット・デュノア&ラウラ・ボーデヴィッヒ

 

第三試合

 

織斑一夏&更識簪

VS

 

篠ノ之箒&更識楯無

 

 

えぇぇぇぇ!!

 

生徒達がその文字を見て騒ぎ出す。

 

またしても、シオン達の参戦に誰もが予想できない展開が始まるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり、そう仕掛けてきたか……」

 

試合会場のアリーナのピットに控えていた士音はFR社のロボポン達に警戒態勢を命じてモニターを見ていた。

 

「やっぱりって?」

 

一緒に見ていたロボまるがそう問いかける。

 

「このトーナメント表を見て見ろ。まず俺達は二年と三年のペアに勝って、第二試合の勝利ペア戦う、対して簪たちは勝てば決勝戦」

 

「これって……」

 

「ああ、奴らは俺達に連戦を、簪にはタテナッシーと戦わせて条件を封じる……あの約束を守る気はない話だ」

 

「そんなのズルいよ!」

 

「心配するな、そんな時のために対タテナッシー用の戦法を教えている。けど……俺には奴にとって約束は形だけじゃないかと思ってる」

 

「どういう事…?」

 

「わざわざ妙な条件を付ける理由がない、元々メリットが奴らになさすぎるんだ」

 

「つまり、その人にとってどうなっても関係ないってこと?」

 

「ああ……問題は奴にとっての本命が何かだ……。ちいっ、何を企んでやがるんだ……」

 

 

 

 

ズドォオオオオン!!!

 

 

「「!?」」

 

地震のような揺れがピット内に震え上がらせる。その後に乱発されたような爆撃音が伝わってきた。

 

爆発が収まると同時にピット内の電灯が赤色に変わるとさらに『非常事態警報発令』の文字を浮かべたディスプレイが一斉に展開。

 

『全生徒は地下シェルターへ避難、繰り返す、全生徒は―――キャッ!?』

 

緊急放送してた女性職員の声がかき消された。

 

今度は遠くから爆発音が聞こえる……。

 

「あら、これは大変なことになったわね……?」

 

ふらりと現れたのは『ジリリウム・フェノメノン』

 

赤いコートを羽織って意気揚々と士音達の前に立っていた。

 

「ジリリウム・フェノメノン…」

 

「どうかなさったのですか、私をそんなに睨み付けて?」

 

「何を狙っているっ!?」

 

「狙っているとは?」

 

「とぼけるなよ、今回のトーナメントで示した条件はあんた達の方が分が悪いはず。そんな時にこの襲撃、……何かがあると考えるだろう?」

 

士音の言葉にジルは不敵な笑みを見せて高笑いを起こす。

 

「やはり、一度は我々の祈願を妨げた事はあるわね、ファルシオン・エデンシス…否、アーシェス!!」

 

「お前、まさか!?」

 

「ええ、貴方が破壊したはずのアレを回収し、それと同時に記憶も継承したのよ。そして、ドクター・ゼロとは一応の同盟関係ね」

 

「くっ……」

 

「何が狙いと言っていたわね。いいわ、答えてあげる。私の目的は変わらない、次元を越え「母胎想観」に帰り咲く事」

 

ジルの手から、母胎想観の立体映像が映す。

 

映し出された母胎想観は少し装甲の形状が異なっており、従来のメカメカしさから禍々しい姿をしていた。

 

「そして、この世界の魂を喰らい尽くし「真・母胎想観」へと進化するのよ!!」

 

言い終えたと同時に不敵な高笑いを士音達に見せつけた。

 

「それに、これは貴方にとっても悪い話じゃないわよ?」

 

「どういう意味だ?」

 

「この世界に蔓延る悪意が満ちた全ての権化はあのISであるのは貴方も理解しているはず」

 

ジルはそのまま語る…。

 

母胎想観を完全進化させ、全てのISを破壊しこの世界の争いの種を無くす事で人間は争う力を奪い、戦いの無意味さを思い知らせる。

 

そして、自分達へと降服……平和への道へとつながるだろうと…

 

「そうすれば、貴方もこの世界に救う理由が無くなるわ」

 

「それは違う、権化はISで世界を支配する力に使う人間の負の心だ!!そして、なにより……」

 

士音は右手に取り出した『S・ガントレット』を左腕に装着した。

 

同時にガントレット後部から『チェンジ・カードチップ』が引き出され右手に取る。

 

 

 

 

 

「人の心を! 人の命を!!」

 

 

 

 

 

カードチップを装填、ガントレットに青白い光が集まっていく…

 

 

 

 

 

「そして、ロボポンとISをお前達のような、己の『支配するための力』にさせてたまるかぁぁぁ!!!」

 

 

 

 

振り込んだガントレットから光の壁が現れ、士音は光の壁を自分の元へ引っ張り、潜り抜けていく…

 

現れたファルシオン・エデンシスに普段にはない青いオーラの輝きがボディを包んでいた。

 

そして、ジルに向かって駿足のストレートパンチを叩き込む。

 

だが、その行動は予想されており、ジルはそっと掲げた右手で受け止める。

 

そのまま、薙ぎ払った衝撃がシオンにぶつかり、後ろに弾き飛ばされた。

 

ジルがシオンのマッハナックルを容易く受け止めれたのは、ジル自身に強力なバリアが展開されていたからだ…。

 

「ぐっ!?」

 

「ふふふ、その支配したい心は貴方にもあると私は思うけれど?」

 

「俺はそんな事考えてない!! 俺にとって…ISもロボポンも『次世代の人類の友』になりえる存在だ!!」

 

右腰に備えた銃『DDC』を持ち三連射を叩き込むが、ジルはバリアを展開、容易く攻撃を受け流す。

 

「その言葉、これからの戦いで見せてもらいましょう。今日の所はここで失礼するわ、では…」

 

「逃がすかっ!!」

 

「私一人に構っている暇はあるのかしら? 今頃、ドクター・ゼロが面白いショーを始めている頃ね」

 

「何っ!?」

 

「あなたの使命は、『私を倒す』……ではないはずよ?」

 

ジルの言葉を信じる気はないシオンだったが…

 

「その人の言葉は本当だよ。」

 

ロボまるが間に割り込み、人が話している間に真耶から連絡が受けた内容を話す。

 

襲撃者はかつて襲ってきた無人機『ゴーレム』の強化型『ゴーレムⅢ』。

 

機体数は5機、超高速降下で各アリーナに待機中だった専用機をメインターゲットになっているらしい…

 

襲撃を受けた専用機持ち全員はそれぞれ迎撃に向かっているがさらに上空からドクター・ゼロのロボポン軍団&量産無人機の増援に現われていた。

 

こちらは職員部隊とFR社のロボポンチームが引き受けているが、数の差で誰も専用機持ちの援護に向かう事が出来ない。

 

何とか打開策を打たなければ、避難している非戦闘員である生徒や学園スタッフに多大な被害が起きる。

 

「ぐっ…………。行くぞロボまる。」

 

「う、うん…」

 

ジルに対して背を向けたシオン。

 

「ジル、お前がいくら有能な駒を揃えても、勝利の女神はお前に微笑みはしない……」

 

振り返ったと同時に…

 

 

「今回もその野望、俺が……たたっきる!!!」

 

 

咆哮のような、宣言を言い残し、外へと向かうシオンとロボまる。

 

一人残ったジルも不敵な笑みを浮かべながら、この場を立ち去ったのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

「あー……どうすっかなぁ」

 

シオン達がいるアリーナの試合フィールドでは三年生のダリル・ケイシーがやる気のない声をあげていた。

 

専用機『ヘル・ハウンド・ver2.5』を展開しているが武装はしていない。

 

「お先どうぞッス、先輩!」

 

そう言いながら、ガッツポーズをするのは二年生のフォルテ・サファイア。

 

完全に襲撃してきた無人機を押し付ける気満々であった。

 

証拠に専用機『コールド・ブラッド』を展開しているものの、戦闘をしないでPICの浮遊機能で空中に寝転がっている。

 

「てめー、フォルテ。それが先輩に対する態度か!?」

 

「なんですとー!それが後輩に与える優しさッスか!!」

 

そんなやる気のない態度の二人の前ではゴーレムⅢは超高度密度圧縮熱線を主軸に攻撃を仕掛けていた。

 

「あれ、熱そうだな。おい、どんだけ熱いか確かめてみろ」

 

「いやッス。確かめてみたければ先輩が行くっスよ、もしかしたら先輩の褐色肌に磨きがかかれるかもしれないッスよ?」

 

回避、防御、撃ち落とし、逸らし、受け流し、止め……

 

二人の喧騒している姿とは裏肌に、鉄壁の防御を展開していた。

 

コンビネーション名『イージス』互いの得意能力を使って、

 

二人で一人の生き物のように動き回り、一切の攻撃を通さないという凄い技能である。

 

ゴーレムⅢの猛攻を避けていく中、状況に変化がないことに気付いた二人がようやく反撃と体勢に取ったときであった……

 

アリーナのピットから何かが飛び出し、二人の間を割り込んでゴーレムⅢの腹部を激突する。

 

そして、そのまま壁際に滑り込んでフェンスに激突、砂煙を巻き起こした。

 

「「なっ!?」」

 

巻き起こった砂煙から飛び出してきたのはシオンである。

 

ダリルとフォルテはシオンの存在は把握しているが直接接触したのは今日が初めてだ。

 

それ以前に接触をしようとしていたが、ロボポン達には会えたがこのファルシオン・エデンシスだけが未だに会えていなかった。

 

「おいおい、そいつはオレたちの獲物だったんだぜ?横取りは無いんじゃないか?」

 

だが、シオンはそんな二人の軽口に付きあう気が無かった。

 

「いつまでも遊ぶな、敵機はこれだけじゃないんだぞ…」

 

「わかってるッスよ、今から反撃しようとしていたところなんッスよ!?」

 

「だったらこのまま学園の前に行くか?、外には量産型ゴーレムがたらふくいる……お前達には100機は相手してもらわないとな」

 

「ひ、100だと!?」

 

「いくらISでもそんなに数は無理ッスよ!!」

 

「強化型であれだけこなしてたなら問題ない、楽勝だ」

 

「い・ま・な・ん・と!!?」

 

「だったら、急いで他のアリーナにいる後輩達の援護に行け、敵は直ぐに来る。外の100機分は俺達が全て落とす」

 

「……その言葉、当てにしていいんだな?」

 

「ちょっ、先輩!?」

 

シオンの横暴に近い命令に抗議するフォルテを留めてそう発言するダリル。

 

「当然だ。それにうちの社員も対応している。頼めるな?」

 

「いいぜ、こいつが終わったらあんたには色々と答えてもらうぜ?」

 

「ふっ、ゆっくりと語る時間があればな……」

 

背中のスラスターが展開し、アリーナの外へと飛んで行くシオン

 

「先輩、いいんッスか?あんな奴の言いなりになって!?」

 

「言いなりじゃねーよ。適材適所ってヤツさ…」

 

「で、でも~……あれ?先輩、あの無人機の残骸が無いッスよ」

 

先程まで戦っていたゴーレムⅢの姿がないことに気付き。

 

慌てて、ハイパーセンサーでゴーレムⅢを捜索するが、機体の姿どころかパーツの欠片さえも見つからなかった。

 

「どうなっているッスか?」

 

「オレが知るか!行くぞフォルテ、さっさと後輩助けてオレ達の実力をアイツに見せつけてやるぞ」

 

「わーん。待ってくださいッスよ~!」

 

撃破されたはずのゴーレムⅢが喪失するという謎が残したがこのアリーナの戦いは終わりを告げるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「ファイア・ナックルっ!!」

 

場所は変わって学園外の空地にて、先にアリーナから外へ向かっていたロボマルスが最後の敵対ロボポンを撃破した。

 

撃破したロボポンは光の粒子となり消えていく……。

 

「大丈夫か、ロボマルス?」

 

そこへ、コジロウ、タンサン、マーシャル、プラティナと合流する。

 

「ぼくは大丈夫です、コジロウさん達は?」

 

「多少の損害は出たが、戦闘不能機は無い、今ナースがチームを率いて修理してくれている」

 

「よかった~」

 

「なあ、ゼロのロボポン達、今回ちょっとおかしくないか?」

 

「おかしい?」

 

「テキ倒したら、ヒカリになって、消えた…」

 

「ああ、私もそれを疑問に感じていた…何故、ドクター・ゼロのロボポンが撃破すると消えるのかだな?」

 

「そう言えば、確かに妙だったね……殴ってもどこか歯応えが無かった気がする」

 

タンサンの言う『おかしい』とは今までドクター・ゼロのロボポン軍団を倒した時は爆発するか、そのまま朽ち果てる状況だったのだが…

 

今回はそのまま光に包まれて消え去ってしまったのだ。

 

倒したロボポンの残骸も一切残さずに…。

 

(そう言えば、さっきあのジルって女の人が『ドクター・ゼロが面白いショーを始める』って……これに関係あるのかな?)

 

先程のジルから聞いた言葉を思い出すロボマルスだがトリペルから通信が全員に入る。

 

内容は敵の第二波がレーダーに探知し、まもなく島の領域に到達しようとしていた。

 

やってきたのは量産無人機「ゴーレム改」約100機の襲来。

 

ロボマルス達は即座に展開し、陸上で待ち構えることにした。

 

 

IS・Connect…Blue Tears

 

 

 

 

しかし、飛んでいるゴーレム軍団の一角が爆発を起こしている。

 

爆風の中から、何かが飛び出す、その数は四つ…

 

ブルーティアーズのビットだ。

 

「あれはセシリアさんの!?」

 

多角形を描くようにレーザーを放ち、ゴーレム改を束縛する。

 

その瞬間、ゴーレム改にスターライトmkⅢが突き刺さった。

 

さらにブルーティアーズの装甲を纏ったシオンがスターライトmkⅢを掴み薙ぎ払い、銃口からロングビームサーベルを起動。

 

別のゴーレム改へ回り込んで一刀両断を決めた。

 

「今戦っているのは士音なのか?」

 

「そのようです、ISコネクトを使っているみたい」

 

「それって、以前に使ったてんこ盛りのやつかい?」

 

「はい。でもあの時とは違って、シオン単独なので出力は落ちていますが、無人機相手に負けません」

 

「ならば、我々は取りこぼしの機体を迎え撃とう」

 

コジロウの提案にそれぞれ戦闘配置についたロボポン達。

 

 

 

 

IS・Connect…Schwarzer regen

 

 

 

 

その合間にシオンのISアーマーがシュヴァルツェア・レーゲンの形状に変わる。

 

背部ユニットから6本のワイヤーブレードが射出。

 

突き刺さったワイヤーブレードに2機のゴーレム改が捕縛された。

 

「でぃええぇぇぇぇりゃあぁぁぁ!!!」

 

ワイヤーの部分を掴み、そのまま勢いよくジャイアントスイングで振り回し、他のゴーレム改に巻き込んでは回り、ぶん投げる。

 

飛ばされた先に目掛けて右肩の大型レールカノン砲を速射。

 

と、次々とゴーレム改を撃破するシオンだが、ダメージを与えきれず墜落したり、隙を突かれて島に上陸を許してしまうが、

 

管制室との連携で降下先に配置していたロボポン達によりそれ以上の進行は食い止めることが出来た。

 

残りは専用機持ち達と戦っているゴーレムⅢだけだ……。

 

 

 

「いえーい……」

 

第三アリーナで奮戦していたのは一夏、箒、簪、楯無の4人が最後のゴーレムⅢを撃破した瞬間だった。

 

彼女のISに搭載されている『アクア・クリスタル』生成した塊を一夏に託し、箒と簪の援護を受け、

 

ゴーレムⅢのコアとパーツに生成した塊を挟み込む。

 

先の戦闘にて貧血を起こし意識が朧気な状態だが一夏の行動を確認し、そのトリガーを引く。

 

その瞬間、ゴーレムⅢが内部から大爆発を起こし跡形もなく消滅させたのだ。

 

だが……

 

その光景に一夏も、箒も、簪も……呆然としてしまった。

 

なんとゴーレムⅢが5体がアリーナ上空に浮かんでいる。

 

「まだ残っていた…?」

 

呆然と見ていた一夏達を確認したのか、ゴーレムⅢが動きを見せる。

 

それが、さらなる壮絶な展開が起きた……。

 

5体中の4体のゴーレムⅢが右腕、左腕、右足、左足、と見るからにわからない変形を行い。

 

残りの1体に合体、その身長はISの3倍は越えていた。

 

「う、嘘だろ……?」

 

「一夏!!」

 

ピット入口から、ラウラ、シャルロット、鈴音、セシリアが、反対のピット入口からダリルとフォルテが合流する。

 

「ラウラ、あれは一体!?」

 

「私にもわからん。最初に襲撃した無人機は落としたのだが、増援が来たと思えば急にこの場へ向かっていったのだ」

 

「合体するなんて、あんなIS見た事ないよ」

 

一夏の問いに眉をひそめるラウラ、シャルロットも現われなゴーレムⅢの姿に唖然としていた。

 

「ふんっ、同じのが一つに固まったからってただでっかくなっただけじゃないの?」

 

「油断禁物ですわよ、相手はISだけではなくロボポンを使役していたのですから…」

 

未知なる相手に慎重なセシリアに鈴音も合わせて武器を構えた。

 

合体ISと専用機持ちオールメンバーとの戦闘が始まる……。

 

しかし、結果はまさかという状況だった。

 

専用機、代表候補生、と肩書きを持つISがあっという間に戦闘不能に追い込まれてしまった。

 

だが、その理由は敵の合体ISが各ISのシールドバリアを容易く貫通する出力に絶対防御システムのジャミングである。

 

その為、ゴーレムⅢに対して優勢であったダリルとフォルテでも合体ISのバリア貫通攻撃で最初に落とされてしまった。

 

『IS学園の諸君、私の作品はいかがかな?』

 

アリーナに突如声が聞こえてくる。

 

合体したゴーレムⅢの頭部に光学ウインドウが開かれ、口元が包帯にまかれた一人の男が現れた。

 

『お初にお目にかかる。私の名はドクター・ゼロ、この『スーパーゴーレムⅢ』を開発した科学者だ。』

 

「あんたが今回の襲撃した犯人か!一体何の為にこんなことをするんだ!?」

 

何とか立ち上がった一夏が最初に問いかけた。

 

『何の為?ハハハ、科学者にとって自分が開発した機体の性能を見る基本は実験であろう?』

 

「だからって、戦うことが出来ない生徒や先生たちまで巻き込ませるなんて」

 

『私の作品を認知してもらう為だよ、データは改ざん出来ても大勢の人間の記憶は簡単ではないからな。』

 

「そんな身勝手な!!」

 

『身勝手なのはどちらかな? 都合の悪いことは直ぐに消したがるのがこの世界の人間の悪い癖だ』

 

「だけど、俺達には仲間がいる!!あの人達がお前の身勝手な実験を止めてくれる!」

 

『いいのかね、その男に助けてもらって?』

 

「?……どういう意味だ?」

 

『言葉通りだ。君が自覚しているかい?君がISという力を持つ意味とISの存在理由を………おや、もう来たようだね?』

 

「えっ?」

 

 

IS・Connect…Shenlong

 

 

 

破損したアリーナにバリアの穴からシオンが甲龍アーマーを装着、双天牙月を二刀流で飛び込んできた。

 

その攻撃にスーパーゴーレムⅢが回避、続けて衝撃砲を一斉砲撃でその場から少し後退して一夏達から距離をとる状況になる。

 

「ファルシオン・エデンシス?」

 

一夏が声を掛けるが、首だけを動かしたが直ぐにスーパーゴーレムⅢの方に向かって歩いていく。

 

代わりに来たのはロボマルスだ。

 

「イチカ、大丈夫?」

 

「俺はなんとか、だけど白式が完全に止まってしまった」

 

そう言うと同時に白式は力尽きたように解除され、ISスーツのみの一夏だけとなった。

 

周りを見ると、他のメンバーも全員解除されたようだ。

 

「きっとISがぼく達が来るまで頑張ってくれたんだと思うよ…」

 

「そうかもしれない、ありがとな白式……」

 

待機状態となった白式をそっと撫でながら礼を言う一夏。

 

「さあ、ぼく達は後退しよう」

 

でも……と言おうした一夏だが、今回は機体の機能も停止している。

 

前のような無理が出来ないと理解し、ロボマルスとアリーナから後退することになった。

 

 

 

IS・Connect…Rafale Revive Custom Ⅱ

 

 

 

 

後退する様子を確認したシオンはすぐ様にISアーマーをリヴァイブ・カスタムⅡに換装。

 

アサルトライフルとショットガンを手に持ち、スーパーゴーレムⅢに接近しながら連射する。

 

対して、スーパーゴーレムⅢは泡のようなバリアフィールドを展開した。

 

爆発音が響き。煙がスーパーゴーレムⅢとシオンの全身を隠れてゆく……。

 

煙が晴れ行く前にシールドを構えたシオンが突撃開始。

 

その行動に反応したスーパーゴーレムⅢは内蔵された拡散弾を砲撃してゆく。

 

「っ!」

 

防いでいるシールドをパージし、奥に装備されたパイルバンカー・グレースケールが露呈。

 

スラスターを全開にしてイグニッション・ブーストを発動、懐に飛び込み先端の杭を打ち込んだが……

 

「ちっ」

 

『捕まえたぞ。やれっ、スーパーゴーレムⅢ!!』

 

スーパーゴーレムⅢが咄嗟に己の右腕を盾にして杭を突き刺される。

 

それにより、シオンの勢いが止めて直ぐに空いた左手で捕まえたのだ。

 

頭部のセンサーが光を放つと左手に内蔵された超密度圧縮熱線・連射砲を放つ…。

 

細かく連射られた熱線の砲撃をまともに喰らってしまい、シオンは爆発音と同時に飛ばされてしまった。

 

「シオン!?」

 

倒れた専用機持ち達から先に軽傷の手当てを済んだ簪がアリーナのモニタールームで戦況を見ている。

 

崩れたアリーナの瓦礫からシオンが抜け出た。

 

シオンのISアーマーは完全に大破し残っているのは左腕のパイルバンカーだけになってしまう…

 

『いい格好だなファルシオン・エデンシス。頼みのシールドバリアもこのスーパーゴーレムⅢの前では展開できまい?』

 

「シールドバリアが展開できない?そんなもの俺達には関係ない!!」

 

残った左腕パーツも引ん剝いて、明後日の方向に投げ飛ばす。

 

『ほう、ならばどうする?』

 

「判って聞いているのだろう?……だったら、見せてやる。俺達の更なる『切り札』をな!!」

 

右手を天に向かって突き上げると上空から二つの飛行体が舞い降りる。

 

バハムート・チェイサーとグリフィード・ガルーダだ。

 

「バハムート・チェイサー、グリフィード・ガルーダ……」

 

 

Soul Evolution

 

シオンがバハムート・チェイサーと一体化、『ファルムート』となり、グリフィード・ガルーダが強化アーマーに変形・合体してゆく。

 

「こ、これって……!」

 

夢の内容と今の状況が酷似した光景を見た簪はそこから先の状況を見守る。

 

光りが収まり、ゆっくりと降下してきたのは……

 

 

 

 

 

「超越合体……『リヴァティ・ファルシオン』!!!」

 

 

 

 

スーパーゴーレムⅢと同等の等身となり、鮮やかなトリコロールに白と黒の装甲に包まれたファルシオンが着地した。

 

『フハハハハハッ!!ようやく本気を見せたか』

 

「……」

 

『さて、お手並み拝見と行こうか。やれっ、スーパーゴーレムⅢ!!』

 

スーパーゴーレムⅢの右腕が換装され、折りたたまれた超大型ブレードを展開、ブースターを噴かせて接近する。

 

「リヴァティソード!」

 

シオンもまた大型のブレードを構えて迎撃した。

 

ぶつかり合う剣の音が互いの力比べに繋がっていく…。

 

『ふっふっふっ…』

 

「はぁぁぁぁ…はあっ!!」

 

力比べはシオンの勝ちとなった。

 

 

 

「真・三段斬り!!」

 

 

 

天に掲げた剣に光が増幅してリヴァティソードが超ロングビームサーベル状態になる。

 

それを振り回し……

 

 

 

斬!

 

 

 

左上から右下に…

 

 

 

斬!!

 

 

 

右上から左下に…

 

 

 

斬!!!

 

 

 

右上に向けて薙ぎ払った。

 

次の瞬間、スーパーゴーレムⅢは爆散。

 

合体したゴーレムⅢもろとも木っ端微塵に吹き飛んでしまった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

ここはIS学園の地下特別区間……。

 

教師でさえ一部の人間しか知らない秘密の区間で真耶は回収された無人機とスーパーゴーレムⅢをずっと解析していた。

 

「少しは休憩したらどうだ?」

 

「あっ……織斑先生」

 

部屋に入ってきた千冬が手に持っていた缶飲料二つの内一つを真耶に手渡す。

 

受け取った差し入れのロイヤルミルクティーを口に付けながら、真耶はディスプレイに解析結果を表示させた。

 

解析結果を説明する真耶、今回襲撃したのは以前に襲撃した無人機の発展型。

 

さらにロボポンが相手した無人機もその量産型。

 

そして、スーパーゴーレムⅢもその改造機である結論が出た。

 

今回の戦闘で回収できたのはゴーレムⅢの二個分……その他は戦闘中破壊、量産型は撃破しても破片が一切無い。

 

スーパーゴーレムⅢにいたってはシオンによって完全に消滅させたのだ。

 

改修したISコアの扱いをどうしようかと尋ねる真耶に千冬は『政府にはすべて破壊した』と報告するよう指示した。

 

理由は明確、世界にとってISのコアは喉から手が出るほどのお宝、みすみす渡してしまったら新たな争いの種になりかねないのだから…。

 

だが、この虚言がバレてしまえば学園が危険にさらされる意味を持っていた。

 

真耶の重い沈黙に対して、千冬はワザと明るい言葉を言う。

 

「おいおい、私を誰だと思っている? これでも元世界最強だぞ」

 

「そ、それはそうですが……」

 

真耶の不安な表情が晴れない、争いの種はもう一つある。

 

スーパーゴーレムⅢと同じように合体する新たな存在『リヴァティ・ファルシオン』だ…。

 

「月彩社長から何か連絡は?」

 

「私達の状況が落ち着くまで別行動を取るとのことです」

 

「別行動? ロボポン達は?」

 

「警備や医療担当のロボポンは派遣としてこのまま学園に預けると指示を受けたようです、あと……」

 

「あと?」

 

「『真実は全員揃った時に話す』と伝言を受けました……」

 

「………そうか」

 

しばしの沈黙の後、そう一言を呟く千冬だった……。

 

 

 

 

 

真っ暗な闇にような空間に包まれた室内は、多数のディスプレイを明かり代わりにしている。

 

この部屋の主は篠ノ之束であった。

 

「ふーむ……。やっとシステムの稼働率が上がってきたね」

 

ディスプレイに表示された情報を眺めながらそう呟く。

 

鼻歌交じりでいじっている機械は何とISのコアだった。

 

新たに増えたISは全て束が作り出したもの。コアは束しか作れないのだから……。

 

そして、今回の襲撃犯は束であり、その理由は赤椿に乗った箒を戦わせて戦闘データを得る事。

 

入手したデータを反映させ箒のパーソナルデータを更新、赤椿を更なる成長を誘う為だったのだ。

 

しかし、予想外な展開は数点あった。

 

まず、大規模で襲撃したのにもかかわらず指揮官でもある千冬が出撃する事が無かった。

 

代わりに出てきたのは……

 

「あのヤローめ……あんな秘密兵器持ちこんでくるなんて、ちーちゃんの出番なくなったじゃんかー!」

 

『やれやれ、私の予想通りだっだろ? タバネ』

 

「あ、ゼロっちじゃん」

 

強制的に起動した通信機から現れたのはドクター・ゼロ。

 

今の二人は同盟関係となっていたのだ。

 

「そう言えば、あの合体ISだけどあれだけ傑作って言ってたけど、あっさりあいつに壊されたじゃん。なにやってんの?」

 

『どんな傑作にも最初は失敗が多い、そのおかげで更なる戦闘データが入手して本命の機体に繋がるのだよ』

 

「ふーん。まあゼロっちが何をしたいのか束さんには興味ないからいいけど、次にやる事見つけたからじゃあねぇ」

 

『ふっ、何か必要なものがあれば連絡したまえ、See You Again』

 

通信を切り、束は今一緒にいる一人の少女にあるお願い事を頼む……。

 

「それで使いというのは?」

 

「うん、届け物をしてほしいんだよね」

 

「はい、場所はどこでしょうか?」

 

尋ねる少女に、束は『それはね』と一言止めて笑顔で……

 

 

 

 

「IS学園、地下特別区間―――――」

 

 

 

 

これが、現実とは異なる戦いの舞台が展開するのであった。

 

 

 




NEXT…

無人機の襲撃を退き、士音は学園とはしばし別行動を行っていた。

専用機の修復作業が続く中、学園のシステムが異変に襲われてしまう……

その戦いの舞台は……


次回「幻影・俺達の電脳空間」
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