インフィニット・ストラトス2~人と機械の紡ぐ心~   作:サウス零

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続き、出来ました。


EP15 超躍・俺達の居場所

 扉を抜けた先は、宮殿のような一軒家。士音と一夏は内部に侵入し室内を歩いていた。

 

「何だか、凄い豪華な家だな……となるとここにいるのはセシリアでしょうか?」

 

 防護マスクを外して辺りを見渡す一夏はそう話しかけてくる。

 

「かもな、こんな豪華な装飾を好むのは彼女ぐらいだ」

 

 やたら大きいドアを開けて指差す士音の言葉に従い、ドアの先を見ると、豪華なシャンデリアが階段を照らしていた。

 

「さてと、俺は外に戻って番人を迎え撃つ、一夏少年はオルコット嬢を助けに行ってくれ」

 

「二人で探すのはダメなんですか?」

 

「単純に探すだけでならいいが、この世界はちょっと特殊な状況になっている。彼女達を目覚めさせるのはおそらく君だけだ」

 

「なんでわかるんですか?」

 

「長年の勘って所かな、んじゃ作業開始!」

 

「長年って……」

 

 士音は玄関から外に出てく、残された一夏は少し納得できない感じではあったが救出を優先するため室内へと向かうとした。

 

 

 

 

 状況の変化はすぐに起きた。

 

『ワールド・パージ、異物混入確認……排除シマス』

 

 黒いブルーティアーズを纏った全身黒づくしのセシリアが降下してくる。

 

「名前を付けるとすれば『ブラック・ティアーズ』かな……」

 

 スプライナーを構えた士音が出迎える。

 

 

 

「ゲッドレディ!!」

 

GETREADY!!

 

 

 VRアーマー・テムジンへと変身し、ダッシュブーストからのライフルをブラック・ティアーズに撃ち込んだ。

 

 ブラックティアーズは距離を取りつつ回避し、出現させたスターライトmkⅢを撃つ。

 

「そうくるなら!」

 

 サイドステップでレーザーを抜き去って、スライプナーのビームソードを展開して、ブラック・ティアーズに斬り込む。

 

 咄嗟に近接ブレード《インターセプター》に武装チェンジ、士音の攻撃を受け流した。

 

 さらにレーザービット四基を射出、ビーム攻撃を始める。

 

「ビットか!」

 

 連続のバックステップで回避することで地面が焦がし、ビームの乱舞が続いて接近するブラック・ティアーズ。

 

「このまま叩き落す!!」

 

 距離が縮まる中、士音はスライプナーを水平に構えるとライフルのバレルが二つに分かれ、さらに巨大化。

 

 ターゲットスコープが立体モニターとして出現、トリガーを半押し状態となり、銃口にエネルギーが集まっていく。

 

 

 

 

 

 

「ラジカル・ザッパー、GO!!」

 

 

 

 

 

 

 放たれたビームが巨大な槍の形となり、ブラック・ティアーズを貫通。

 

 

「ピィィィィ!! ……ガガガガガガ!!」

 

 

 全てのビットが粉々になり、各種アーマーパーツもひび割れてスパークが起き、やがてブラック・ティアーズは倒れて爆散するのだった……。

 

 スライプナーのモード可変を元に戻し、一息ついて辺りを見渡すと屋敷の空が暗くなり多数のヒビが入る。

 

「ふぃ……ん?」

 

 それはまやかしの世界が終わりを示す合図だった……だが。

 

 

 

 

 

『あなたは……いったい何のために、《ここ》にいるのですか?』

 

「っ!?」

 

 不意に声が聞こえたが周りには何もない。

 

 

 

 

 

 セシリアの夢世界を脱出し玄関口の森に戻ってきた士音が目にしたのは何故か腰を抜かして座り込んでいた一夏である。

 

「……おい」

 

「えっ!?」

 

「何をやっているんだ? オルコット嬢はもう脱出したのか?」

 

「は、はい……確認しますけど月彩さんですよね?」

 

「ああ、そうだ」

 

 一夏にはテムジンの姿をまだ見せてなかったので、士音の声がするまで分からなかったようだ。

 

「あの……やっぱり、一緒に助けれませんか?」

 

「どういうことだ?」

 

「助けようとしても俺のニセモノが邪魔して……その上に状況が状況でして……」

 

 セシリアを助ける際に何かあったのか、しどろもどろになる一夏。

 

 どうやら、救助する場所に何か問題があったのだろうかと思った士音は次から同行することにした。

 

 その際は次の救出者はシャルロット、一夏は奇抜な仮面と『怪盗』の衣装を着させ、ドアの中へと向かった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 士音は一夏の言っていた『状況が状況』という言葉の意味は大体理解できた。

 

 シャルロットの夢世界は先ほどのセシリアの夢世界にあった豪邸ほどではないが、なかなか高級な一軒家が建てられており、

 

 家の中にはニセ一夏がメイド服を着たシャルロットがイチャついていた。さらにニセ一夏に対してご主人様呼びをしている。

 

 行動は完全にライン越えのハラスメント、その割には当のシャルロットは頬を赤らませて嬉しそうな表情である。

 

「つまり、オルコット嬢ともあんな状況だったわけ?」

 

「は、はい……」

 

 本当はここより過激だったのだが、さすがに口にはできず同意した。

 

 二人を追いかけて、着いた場所は寝室らしい場所。

 

 中には天蓋付きの大きなベッドが配置している。

 

 だんだんシャルロットがメイド服を脱ぎ、過激な姿へとなった。

 

「仕掛ける。君はデュノア嬢を説得しろ」

 

「は、はいっ!!」

 

 ドアをスライプナーで粉砕し中へ突撃した。

 

 

「警察だ!! 両手を上にあげろ!!」

 

 

「なっ!?」

 

 

「け、警察!?」

 

 

 乱入者に気づいたニセ一夏とシャルロットが見たのは『奇抜な怪盗』と『バーチャルなロボット』だったので、一瞬呆気に取られていた。

 

 

「お前を『拉致、監禁、その他諸々』にて連行する!!」

 

 

 ニセ一夏の頭を掴み、ドアと一緒に吹き飛ばした窓から投げ飛ばした。

 

 

「い、いちかぁぁぁぁ!!」

 

「落ち着け、シャル!」

 

「気安く呼ばないで!!」

 

「一夏は俺だ。ここにいる!!」

 

「えっ……?」

 

 追いかけようとしたシャルロットを変装を解いた一夏が止める。

 

 その姿にシャルロットはしばらく固まっていた。

 

「い、一夏なの……?」

 

「話は後だ。シャル、脱出するぞ!」

 

「う、うん……」

 

 正気を取り戻したが、状況が理解出来てないシャルロットは一夏にお姫様だっこで世界を脱出するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

『ワールド・パージ、異物混入確認……排除シマス』

 

 士音に投げ飛ばされたニセ一夏は目の色が変わり、姿もラファール・リヴァイブ・カスタムⅡを装着したシャルロットに変わった。

 

 しかし、その色は色鮮やかなオレンジとは遠い深い紫色になっていた。

 

「さしずめ『ダーク・リヴァイブ』……だなっ!」

 

 PICの機能で浮遊し、士音の姿を探すダークリヴァイブだが……。

 

 ヒュン……

 

 

 

 ドッカァァァァァァァン!!! 

 

 

 

 

 ダークリヴァイブの上空から球体が飛び込んで大爆発を起こし、装甲にダメージが入る。

 

 そこから、ブーストダッシュで円を描くように回り込んでビームを連射、その後に急接近の上で銃口を突き刺して零距離での連射。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガガガガガガ……ピィィィィガガガガガガ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 スパークを起こし、爆散するのであった。

 

 撃破を確認できた士音は着地し、一息ついた時であった。

 

 

 

 

 

『あなたは……この世界の《何なの》ですか?』

 

 

 

 

 また聞こえた誰かの声に振り返ったが電脳世界に人の気配はあるはずがない。

 

 そう思っていた士音だが、妙にイラつきを覚えてしまう……

 

 だが、救出者がまだいるのでそれを考えるのは後にして世界を脱出するのであった。

 

 

 

 森の玄関口に戻ると一夏が何処かお疲れ様な状況であった。

 

「大丈夫か?」

 

「だ、大丈夫です……はい」

 

 空元気にも見える一夏を心配したが、のんびりできる時間はない。

 

 次の世界はラウラがいる。

 

 一夏には次の変装データは銀色の甲冑を使わせた。

 

 

 

 ラウラの夢世界は新築の一軒家の中から始まった。

 

 彼女は新婚2か月目の『嫁』を愛する『新郎』となっている。

 

『嫁』はやはり一夏、エプロン姿は違和感がなく家事をこなす主夫であった。

 

 ここでも何やら、ラインオーバーなイベントが発生する。

 

『裸エプロン』などとトンでもワードが飛び出した。

 

「だから、なんでこんな夢ばっかり見ているんだよ、皆は!?」

 

「まあ、『夢』だからな……『理想の』……ね」

 

「どういう事ですか?」

 

「考えるのは後だ。行くぞ!」

 

 ぱしーんとドアを開けて士音と一夏は部屋の中へ突入した。

 

 

 

 

「な、何者だ、貴様は!?」

 

 ラウラが手の届く場所にあった出刃包丁を、甲冑姿の一夏に投擲する。

 

 ガチィンと激しい音を立てて鎧の胸部に包丁が突き刺さった、が……ダメージは薄い。

 

「こ、こ、殺す気か!」

 

「当然だ。私と一夏の邪魔をするものは死んでもらう!」

 

 ニセ一夏の抱擁から抜け出し、ラウラは身を低くして甲冑一夏の前に迫る。

 

「はっ!」

 

「ッ!」

 

 必殺のかかと落としが甲冑一夏の鎧の隙間を狙うが……、テムジン姿の士音が片手で受け止めた。

 

「な、もう一人いたのか!!」

 

「悪いがこんな悪夢は破壊させてもらう!!」

 

「何だと!」

 

「がんばれ、ラウラ!」

 

 スライプナーをニセ一夏に向けて発射する。

 

 閃光はニセ一夏の胸部を貫通、しかし血は出ない……当然である。

 

「こんのぉぉぉ!!」

 

 甲冑一夏が腰の刀を抜き、ニセ一夏の胸部を突き刺した勢いで壁に叩き付ける。

 

 そこからの刀を真上に引き上げ、頭部を真っ二つにした。

 

「ガンバレ、ラウラ。ガンバレ、ラウラ。ガンバレ、ラウラ。ガンバレ、ラウラ。ガンバレ、ラウラ。ガンバレ、ラウラ」

 

「タタカエ、ラウラ。タタカエ、ラウラ。タタカエ、ラウラ。タタカエ、ラウラ。タタカエ、ラウラ。タタカエ、ラウラ」

「タタカッテ、タタカッテ、タタカッテ……」

 スライプナーが可変して、テムジン士音と甲冑一夏が互いに持つ。

 

「その前に……」

 

「ここから……」

 

 

「「ここから、出ていけぇぇぇぇぇ!!!」」

 

 

 ラジカル・ザッパーを発射すると、ニセ一夏の残骸は木っ端みじんに消し飛ばす。

 

 今回は番人の出現を無効化することが出来たようだ。

 

 

 

 

 

 

 ラウラの夢世界を脱出した三人は、森の中で一息入れていた。

 

 一夏に抱きかかえられたラウラは草原の上で今は眠っている。

 

「まるで眠り姫だな」

 

 つんとラウラの鼻先に触れる。

 

「こうして見てみると可愛いもんだ」

 

 そう言いながら、ラウラの隣に座り、空を見上げる一夏。

 

「でも、なんでどれもこれも俺が出てくるんですかね?」

 

「それはだな……」

 

「お答えしましょう」

 

 ガサガサっと茂みから簪が出てきた。

 

 しかも、士音と一夏の間からなので二人とも驚きで一歩下がってしまっている。

 

「びっくりするからやめてくれ……」

 

「君って、時々積極的な事するよね、ホント……」

 

「ご、ごめん……」

 

 こくんと頷いて、茂みの中から出てくる簪。

 

「で、頭に葉っぱがついているし……」

 

 ひょいひょいと頭に付いた葉っぱを取ってあげる士音、簪は頬を赤くして俯いた。

 

「それで、敵さんのこの状況の仕組みは掴めた?」

 

「うん。おそらくだけど……敵は対象者の精神に直接アクセスして、

 

 その心の奥底の秘めた願望……渇望する夢を見せることで外界と遮断、

 

 精神になんらかの影響を与えるという攻撃みたい……」

 

「なるほど……つまり、私が望む『一夏との理想未来』って所か……でも、なんでわざわざ?」

 

「その意図は……」

 

 言葉を続けようとする簪を遮って、ラウラが飛び上がるように起きた。

 

「な、な、な、何を言うか、貴様ら! わ、わたっ、私の望みだと!? い、い、いい加減なことを!」

 

 

 

 

『お前は私の嫁にする。決定事項だ。異論は認めん』

 

 

 

「んなこと、ほざいたのはどこのどいつなんだろうな……?」

 

 士音がラウラを思いっきり睨みつけていた。

 

「なっ!?」

 

「こんなこと言っても、そんな態度じゃ。何を言っても伝わるわけない、全くもってな……本気で想っているのか?」

 

 士音の殺気混じりの言葉を聞いたラウラが膝をついて何やら呟いていた。

 

「違う、違う、私は……いや違わなくて……」

 

「ラウラ」

 

 ストップ、と一夏が声をかけて頭を優しく撫でる。

 

「今はゆっくり休め」

 

「あ、あ……うむ……」

 

 さらさらな髪を撫で上げ、しばし感触を堪能しているような一夏。

 

 そこへ割り込むように、士音は声をあげた。

 

「簪、彼女を頼む!」

 

「う、うん……」

 

 一夏の手がラウラから離れて、簪がそばに付き添う

 

「い、一夏。戻ってきたら話がある」

 

「ん?」

 

「と、とりあえず今は忘れろ! 命令だ!」

 

 ズビシィ! と一夏を指さすラウラに敬礼をして、この場を別れるのだった。

 

 

 

 

「さてと、あと一つ!」

 

「あの……さっきのラウラに対して言葉が厳しいんじゃないですか?」

 

 

 最後の扉へ行く前に一夏は士音の発言が気になって聞いてきた。

 

 

「一夏、今回の件。お前とて例外じゃないんだからな?」

 

「えっ?」

 

「今まで、あいつ等の世界を見てどう思った?」

 

「どうって言われても……みんな、俺であんな妄想していて恥ずかしいって……」

 

「……変装データ転送」

 

 

 一夏の答えに士音は敢えて聞かないで、一夏の外観を変身させた。

 

 その姿は白袴の剣道着である。

 

 

「次の相手は俺が先制を取る。お前は隙を付いて、箒を奪還しろ」

 

「は、はい……でも、どうして急に?」

 

「その相手はかなり手強いだろ……他のやつらと違って、数年分がこもっているからな」

 

「数年分……?」

 

「最後に一つ。終わったらよく考えてみろ。お前が……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前が本当に守りたのは『誰の笑顔』なのかを……なっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 士音はテムジンのヘッドパーツを装着して最後の扉へ突入した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 別の電脳世界には銀色の長い髪をした少女が一人がある目的地にたどり着いていた。

 

(ここがシステム中枢……)

 

 上下左右の感覚がない。宇宙空間にも似ているが何も感じられない空間であったが、行き着いた先に見つけた。

 

 この世界の中心となる『氷漬けの少女像』である。

 

(これが……束様の言っていた……)

 

 空間に浮かぶ巨大な氷の塊を見て、少女は呟いた。

 

 

 

「織斑千冬専用機。『暮桜』のコア……」

 

 

 

 それと同時に……

 

 

 

「こんなところで何をしてるのかな?」

 

 

 

 少女から見て左下方向にテムジン……士音がここにいた。

 

 

 

 

 

 

 数秒前、士音は困惑していた。

 

 先ほど扉に突入した士音だったが、入った場所は箒の世界ではなく、この無重力空間であった。

 

 だが、テムジンのレーダーからエネルギー反応をキャッチしてその場所に向かうと……

 

 そこに見つけた巨大な氷の塊。そして見上げた瞬間に少女姿を見つけるのだった。

 

 容姿から見て、学園の関係者ではないと判断。

 

 手には杖のようなロッドを持っており、さしずめ『盲目の少女』だ。

 

 そんな少女がこんな空間にいるはずがない。

 

 士音はスライプナーを構え、少女に話しかけた。

 

 

 

「こんなところで何をしてるのかな?」

 

 

「あなたは……データ確認、まさかあなたとお会いするとは思いませんでした……『月彩士音』様……」

 

「ほう、僅かなサーチで俺の名前を割り出したか、君……『災害ウサギ』の手先でしょ?」

 

 士音の挑発ともとれる発言に少女は眉間に皺が寄った。

 

「……」

 

「沈黙は肯定の証だぜ、お嬢ちゃん?」

 

「……申し訳ございませんが、こちらの任務を優先させていただきます……」

 

「させるかっ!!」

 

 少女が何やら動作をする姿に士音は慌てて仕掛ける。

 

 

「……起動していないセンチネル・ドールを使わせてもらいましょう……」

 

 

 少女の手から二つの球体が放たれる。

 

 球体はバラバラのブロックになり、それから人型へと変化。

 

 その姿は黒く染まった『紅椿』と『シュヴァルツェア・レーゲン』である。

 

 

「敢えて言うなら『闇椿』と『ドゥンケルハイト・レーゲン』ってところだな……」

 

 

 両者、ブーストダッシュで同時に激突する。

 

 士音は最初にドゥンケルハイト・レーゲンに集中させた。

 

「これで抑え込む!」

 

 左手に持ったパワーボムを投げ込み、Do・レーゲンに向かってダッシュする。

 

 転がり込んだパワーボムが爆発、閃光により動きを止まったレーゲンの背後に回り込み、スライプナーのビームライフルを撃ち込む。

 

「からの!」

 

 スライプナーをビームソードに可変し、右上から左下への斬撃、剣先を裏返してからの横一閃がDo・レーゲンに炸裂した。

 

「はっあぁぁぁ!!!」

 

 Do・レーゲンが吹き飛び、闇椿が入れ替わるように『空裂』と『雨月』の二刀流で仕掛けてくる。

 

 振り込んだ二刀はテムジンのスライプナーで受け止めた。

 

 そのまま、剣戟戦に繋がっていく、テムジンが振り込むソードウェーブを闇椿は空裂とエネルギー刃をぶつけて無効化。

 

 直接ぶつかり合っては互いに弾かれては、またぶつかり合う……

 

 復帰したDo・レーゲンも参戦してワイヤーアンカーを飛ばしてくる。

 

 猛攻はしばし続いていく中、両者の均衡はここから崩れていく……。

 

 Do・レーゲンと闇椿は自分たちの不利を感じたのか、バラバラに攻撃をする事をやめて互いに合流を果たす、すると……。

 

 

 

「ギゥガガガガガガ、ピィィィィ!!」

 

 

 

 なんと、Do・レーゲンと闇椿が互いに融合を行い、大型のメカに変貌したのだ。

 

 その形状は闇椿をベースに追加アーマーにDo・レーゲンの武装パーツが組み込まれた様な姿である。

 

「んなろっ!」

 

 スライプナーを突き状態に構え、突入するが、Do・レーゲンの両腕が展開、AICを発動。

 

 本来のAICは搭乗者がかなりの集中力を用いて発動させる兵装ではあるが、

 

 二機のISが合体してレーゲンが攻撃のみを集中できるため、結束力がオリジナルのレーゲンを越えていた。

 

 その隙を闇椿はテムジンに二刀流乱舞を叩き込む。

 

 レーゲンの束縛により、防御態勢も取れなかったので直撃を受けてしまったので、テムジンの装甲が大破してしまった。

 

「し、しまった……」

 

「……戦闘能力を破壊、残念でしたね……」

 

 粉々になった装甲、手に残っていたのは武器のスライプナーのみである。

 

「……束様に敵対する貴方をここで仕留めておきましょうか……」

 

「……ぐっ!」

 

 少女が手に持っている杖を士音に向けることで合体大型ISが空裂と雨月を構え、

 

 さらには大型のレールガンを展開、砲塔に電磁力が走り、発射体制となっていた。

 

 

 

 歯を食いしばった士音は腹をくくり、いちかばちかの賭けに出る……。

 

 

「君達に勝利の美酒を……飲ませるか!!」

 

 

 スライプナーを変形、ラジカル・ザッパーを発射する士音。

 

 

「スクランブルコード!! フェイタル!!!」

 

 

GET READY!!

 

 

 士音にフェイタルアーマーが転送、装着された。

 

「まだそのような……」

 

「こういう時の備えってやつさ……」

 

「……しかし、この空間で姿を維持できる容量に限界があるはずです……」

 

「それを知っているなら、これがどうなっているかわかるんじゃない?」

 

「なっ!?」

 

 

 

「ここからはサドンデス勝負だ! 三分で決める!!!」

 

 

 

 士音の手に大型双剣武器『モーントリヒト・デーゲン』を構え、ブースト全開で突入した。

 

 今度は士音が早く仕掛けれた。

 

 合体大型ISはレーゲンのアーム展開をすると、二つに分離したデーゲンが突き刺さる。

 

 これにより、AICの発動が完全に封じ込められた。

 

 武器を無くした士音は横で漂っていたスライプナーを掴み、投げ飛ばすと……

 

 スライプナーは巨大化、大型のサーフボードを思わせる形へと変わった。

 

 同時に士音は投げ飛ばしたスライプナーに飛び乗り、スライプナーは持ち手部分からブースターが噴射する。

 

 

 

 まさにその姿は大波に乗ったサーファーのようになった。

 

 

「プラズマリング!」

 

 

 両腕部に展開した光の千輪が放たれ、合体大型ISの持つ空裂と雨月を弾き飛ばし、

 

「ブルースライダー!!」

 

 巨大スライプナーのソードアタックを上下左右と連続で突撃を繰り出す。

 

 そして、天高く上りあがり……

 

「一撃必殺……」

 

 そのまま落下速度によりと共に加速して、合体大型ISへ向かっていく……。

 

 

 

 

「グライディング・ラァァァァムゥッ!!!」

 

 

 

 

 元の大きさに戻ったスライプナーを持ち構え、渾身のダイビングアタックで合体大型ISを貫いた。

 

 爆散した合体大型ISはそのまま、粉雪のように消え去っていた。

 

 残ったのは少女と士音の二人だけとなる。

 

 先ほどの黒い無重力空間が白い砂浜と蒼い海原に変化していた。

 

 士音は先ほどの猛攻に体力を消耗し、アーマーも解除され私服姿に戻り、肩を動かして呼吸をしている。

 

「落とされましたか……。しかし、任務は終えました……」

 

 

 

 

「ラウラ……か?」

 

 砂浜にいた少女の近くに一夏がいつの間にか現れていた。

 

 一夏に声をかけられた少女がゆっくりと振り向く。

 

 両目は閉ざされたままで……。

 

「お初めにお目にかかれます。私の名前はクロエ。クロエ・クロニクル。此度はこれにて退場いたします」

 

 そう告げると少女は影に沈んで消えてゆく。

 

「お、おい。待てよ!」

 

 しかし、一夏が呼び止めるのも空しく、少女は去ってしまった。

 

「どうしたらいいんだよ……って、月彩さん!?」

 

 士音を見つけ、近寄る一夏。

 

「大丈夫ですか!?」

 

「パワーダウンしただけだ。直接なダメージはない、だが……」

 

 士音の体から金粉が舞い上がる。

 

「一体、何があったのですか?」

 

「これ以上、この空間にいられそうにない……。先に退散させてもらう」

 

「ええっ、俺はどうやって戻ればいいんですか!?」

 

「それは百合達にナビゲートしてもらってくれ、少しばかり……無茶をした……先に行く……」

 

 そう言い残し、士音の空間から離脱するのであった。

 

 

 

 

 

 

「ええ……そりゃないですよ……」

 

 取り残された一夏は空を見上げながら呟くのだった。

 

 

 

 

 

 

 数時間後……

 

「ぐっ!?」

 

 オペレーションルームの奥にある簡易ベッドから起き上がった士音。

 

「ショウ。戻ってきたわね?」

 

 出迎えた百合の話を聞くと……。

 

「ちいっ!!」

 

 すぐさまに部屋を飛び出す。

 

 先ほどの侵入者らしき少女が通ってきたサイバー空間のルートを逆探知に成功し、場所がIS学園から少し離れたとある場所に反応を掴んだ。

 

 篠ノ之束とドクターゼロ一味達の居場所に繋がる手がかりが見つかったのだから……。

 

 格納庫へと向かい整備を終えた竜と鳥獣の二体のお供が出迎えるように鎮座していた。

 

「士音!」

 

 声を聞こえ、やってきたのはロボまる。

 

「僕も行く、何だか嫌な予感がして……」

 

「……わかった。グリフィードに乗ってくれ」

 

 二人は格納庫から目的地に向かって出撃するのであった……。

 

 

 

 

 

 

 目的地のポイントに到着したファルシオンとロボまるは周囲を見渡すとある音声が二人の耳に聞こえた。

 

 ビークルをロボまるに任せて、移動するシオン。

 

 場所は高級ホテルのレストラン。

 

 相手は篠ノ之束、しかも亡国機業が何やらもめているの気配の会話を交わしていた。

 

「まあ、その話は後にして、ごはんを一緒に食べよう…………と言いたいけど。思ってたより遅かったね?」

 

 束が振り返った先にはシオンがいる。

 

 束以外の面々は思わぬ訪問者に驚きを隠せなかった。

 

「ようやく会えたな……『災害ウサギ』」

 

「やれやれ、相変わらず血の気が多い奴だねぇ~」

 

「……お前ほどじゃないさ、いくぞっ!!」

 

 スラスターを噴かせ、束に閃光の拳を叩き込むが、片手で受け止める束。

 

 衝撃が周囲のインテリアを弾き飛ばし、火花を散らす。

 

 

「二心……閃光!!!」

 

 空いた左腕にも閃光が宿り、それを束に叩き込むと、二人の火花が更なる大きさに変化した。

 

 そして、爆散。

 

「ちっ、より頑丈になりやがったか?」

 

「やっぱり、束さんの『解体』は効いてくれなかったか……」

 

 更なる攻撃を仕掛けようとしたが、先に束が構えを解いた。

 

「んっ!?」

 

「残念だけど、まだ束さんはやることがいっぱいあるから、今日はおしまいだよ~」

 

「なにっ!?」

 

「でも安心して、君の相手はこっちの人達がしてくれるから……じゃ、後はお願いね~みんなも行くよ~」

 

 立ち去っていく束を追いかけようとしたが、ビームが二発飛んできて、シオンの追跡を妨害。

 

 妨害した相手の正体を探すシオンはレストランの外から更なる客人が登場する。

 

 現れたのは、以前、ブラジルに出会った青肌の人型サイボーグであったが、一部の装甲が黒色になっている。

 

「お前はカーマイス!?」

 

「ふっ、わたしの名は『ノワール・ドゥ・ム・ザーン』。ドクターゼロの命により、貴様を葬らせていただく……」

 

 ノワールの背後に見知らぬ大型メカが出現、そのままノワールと合体、その姿はまるで魔神のような仰々しい姿をしていた。

 

「では、かかって来るといい……」

 

 右手をシオンに向けて指先を上げる。まさに闘いモノにある『挑発』のポーズだ。

 

「はっ、あぁぁぁぁっ!!!」

 

 挑発に乗り、全力でノワールに攻撃を叩き込む。

 

 そのまま、レストランから飛び出し、追跡。

 

 回り込みながらライフルを連射。ザンバーを展開、連続斬りへと繋いでいく……。

 

 決め手の『プラズマリング』のステークを構成、そのまま……。

 

 

 

 

 

「桜花ァ! 炸裂ぅ!!」

 

 大量の爆発音が響いた。

 

 

 

 

 

「シオン!?」

 

 爆発音を聞いてロボまるはビークルと共に合流する。

 

 煙が晴れていく中、シオンとロボまるの緊張感が集まっていく

 

 

 

 

「それで終わりかね……?」

 

「「!?」」

 

「この『レクス・グラビタティオ』には貴様の攻撃など通じぬのさ……」

 

 ノワールはまったくダメージを受けていない。

 

 しかも装甲にはヒビ一つさえも入っていないのだ。

 

「そこの強化アイテム共も使わせん」

 

 ロボまると背後にあったバハムートとグリフィードのビークルに重力バリアが生まれて完全に稼働を封じられた。

 

 さらにシオン自身にも同じ重力バリアが展開されている。

 

「ワーム……グレイバー……」

 

 シオンの周囲にワームのような形をした光の塊が多数現れ、シオン目掛けて突撃する。

 

 身動きが取れないため、防御もできず大ダメージとなった。

 

 そして、胸部ハッチが観音開きで展開、そこにあった大型の砲塔にエネルギー反応が起こる。

 

 今度は大規模な重力エネルギーが収束されていく……。

 

 その形はまるで『ブラックホール』に見える。

 

 

 

 

 

 

 

「……『ブラックホール・デストラクター』!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 エネルギーの沸点が解放され、周囲を吸い込み始める。

 

 シオンはもちろん、ロボまるにバハムートとグリフィードが引き込まれブラックホールの中に消えていった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




NEXT…

シオンとロボまるはブラックホールに飲み込まれ、たどり着いたのは異国の場所…。

そこで助けてもらった人物の名前と共に驚愕の事実を知ってしまった。

そして、更なる出会いのプレビューが待っていた。


次回「異国・俺達の再青春」
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