インフィニット・ストラトス2~人と機械の紡ぐ心~ 作:サウス零
ロボポン達は今回出番なし…
楯無撲滅撃破から二日後、士音は千冬から呼び出されて職員室にいた。
「それで、織斑の特訓は更識が指導していると?」
「ええ、つまらん事をしたら『ハリセン一発』と釘を刺しておきました」
「あの更識がね…」
「俺はISの知識は素人レベルです、ISの操縦となれば彼女が上ですからね」
「ISでなくとも、戦闘の知識なら、あなたも教えれるのでは?」
「少年と俺では戦い方は全く異なります。中途半端な知恵を持ち、いらぬ危険性を招きたくまありませんね」
話題は学園唯一の男子パイロットである織斑一夏についてである。
撃破後、気が付いた楯無に文句を言われるが、仕事について話を返すと怒りのオーラはあっさりと萎ませる。
その場で一夏と自己紹介を交わし、それからのことを話していく。
楯無の行動について理由を尋ねるが「弱い」とか話の根本を話そうとしなかった。
やむ追えず、士音は嘗ての戦いを思い出し、一夏に楯無に指導を受けさすように諭す。
「どうしてですか?」
「少年が『誰かを守りたい』事を成すためだ」
そう、彼がISを纏い戦う一番の理由が『自分に関わる大切な人たちを守りたい』事だ。
「この世界はまだ少年の知らないISや戦いがある……君の機体が強化されても技術が追いつかなければ君自身の命が危ない」
「でも……」
「誰かを守りたいのなら、まずは自分自身を守れ、自分の命を軽く見てる奴に本当の勝利は掴めないぞ……」
「!・・・・・・・やります、掴んで見せます!」
「その意気だ」
笑みを浮かべ、互いに握手を交わす二人なのであった……
「なるほど、そこまで交流が進んでいるのであれば問題なさそうだな」
「何の話ですか?」
「月彩社長、学園の警備と併用に私個人のご依頼を申し込みたい」
「依頼?」
「はい、あなたに………専用機持ち達を見守ってほしいのです」
「見守るって、俺に保護者代わりをやれと?」
具体的に説明を始める千冬。
話を大まかに言うと夏休み前の臨海学校で事故が起きて弟である一夏が生死をさまよったとの事。
士音はそれが『福音の暴走事件』である事はすぐにわかった。
最も、この世界では士音は関わってはいないので、彼ら自身が自力で解決させたようだ。
千冬は自分には学園の教師として生徒達を守る義務があり、一夏達に気をかける時間があまりにもなく、
彼らの心情を理解してやれるか自信を無くしてしまったと…
特に弟である一夏は姉に余計な迷惑は掛けたくはないといった感じでふと世間話をするように聞いても…
「大丈夫」「問題ない」
と返すのでこれ以上に踏み込めない自分が悔しく思っているとの事であった。
「今の私では一夏の本心を聞き出すことが出来ない。だが、あなたが間に入ってもらえれば出来るかもしれないと…お願いできますか?」
お願いしますと頭を下げる千冬に士音は迷ってしまう、彼女からそんな依頼をしてくるとは思わなかったからだ。
そこへ、携帯電話の着信音が入った。
相手は一夏だ。一件のメッセージが届いている。
「至急の連絡ですか?」
「ええ、織斑先生。その件は後日改めて回答してもいいですか?」
「はい、できれば早いお返事を頂きたいのですが…」
「わかりました。では失礼します」
軽く礼をして、職員室を後にする士音であった…
向かった場所は学園生徒用の一年生寮の1025号室、つまり一夏が生活している部屋である。
「あっ、月彩社長こっちです。」
士音を手招く一夏は何故か自室のドアから距離を開けた場所にいた。
「どうしたんだ少年。『タスケテー』なんてメッセージが来たから驚いたぞ、何があったんだ?」
「実は俺の部屋に楯無先輩がいて、裸エプロンみたいな格好で俺を待っていたんです」
一夏の説明にハイ?と呆然としてしまう士音は、1025号室の表札を見てみるが『織斑』の字が確認できた。
士音は取り出したロープを片手に持ち、意を決してドアを開けてみると……
「お帰り、私にします? 私にします? それとも、わ・た・し♪」
一夏の言うとおり、楯無が裸エプロンという奇怪な姿で出迎えた。
しかし、楯無は目の前にいるのが士音である事に気付いていない。
「そうだな、お前とお前と、オ・マ・エ!! を貰おうか………?」
「やだ~一夏くん、意外とニ・ク・ショ・ク~♪」
「いや、何を言っているんですか、楯無先輩」
「あら、どうしてドアの向こうに一夏くんが? じゃあ、私の前にいるのって……」
楯無はゆっくり顔を上げてみると、不敵な笑みを浮かべた士音と目が合った。
「よう、おかえり。ワガハイにする? ワレにするか?
それとも………O・RE!!」
学生寮の空間がビシビシとひび割れていくような音が聞こてえた……
士音の手にはロープを広げて楯無を捕縛する体制についている。
「ピッ、ピギャァァァァァァァァァァァ!!!!!」
どこか聞いたことのある雄たけびが響くのであった……
楯無に制服を着させて、生徒会室へと連れ戻す士音。
「出たな、タテナッシー・ヤッホー!!」
「『ヤッホー』って何なのよ!?」
「特に意味ない、悪いが生徒会室に行くぞ、折り入った話がある」
そう言うが、動かず渋る彼女に対してロープで運ぼうとしたで、慌ててこちらの指示に従ってくれた。
「んで、どういうつもりだ?」
腕を組み入り口のあたりの壁にもたれながら問いただす士音だが、楯無は無言を貫いている。
「警備の内容には織斑一夏との同棲生活を自ら行うなどと、事前の計画書には記されていなかったようだが、何が狙いだ?」
「月彩社長、我々生徒会には生徒会の準備を備えているのです。例え合同業務のお相手であっても機密事項がございます」
書類作業を進めていた虚も話に参加してくるが、士音は楯無だけを睨み付ける。
「日本政府直属の対暗部用暗部……それが更識家の裏の顔だろ?布仏家もまたそれに仕える存在…だな?」
士音がそう発言すると、楯無と虚はおどろいてしまう。
彼女達は自分達の事を一切語っていないのにも関わらず、自分達の正体を暴いたのだ。
「俺達の依頼者は
さらにギクリとアクションを起こしてしまう楯無、虚もわかりやすい反応をしてしまった主に呆れてため息をつくのだった。
IS学園に派遣する前後の日、こそこそ見慣れる男たちが多数FR社の様子を窺っていた。
直接的な被害は生まないが毎回コッソリを観察されてはいい気分ではない。
「率直に聞く……お前たちは俺の事を信じていないだろ? 俺だけじゃない、ロボポン全員も疑っている。」
またもや沈黙をする楯無だが、観念したか口を開くのであった。
「詳細はまだ言えませんが、我々はある秘密組織を追いかけています。従者の手に入れた情報でその組織に見慣れない戦闘ロボットの存在を確認しました」
「その戦闘ロボットがロボポンと酷似しているからか?」
「はい、ロボポンを保有し、開発できる技術をもつ民間企業はFR社のみ、世間ではISのフレーム部品会社として認識されているあなたの会社が裏で販売した可能性が最も高いと考えました」
「その証拠となる物は?」
「今は政府の機密情報として預けております」
「全く、とんだ濡れ絹だな?」
「学園長の事は信じておりますが、私は常に最悪な状況に想定し調査してきました」
睨みをやめない楯無は完全に士音を敵対する態度になっている。
虚も楯無ほどではないが警戒心を見せていた。
「無関係であるという証拠がない以上私は更識の長として生徒会長としても学園の生徒を守る義務があります」
「わかった……だが、俺達が受けた依頼はあくまで学園長からだ。身の潔白を証明する為に、こちらも独自に動かせてもらうぞ」
「構いません。それで情報が入手すれば良し、こちらも調査に進展が出来るでしょう……ただし、今度開催する学園祭の警備は我々の指示に従ってもらいます、よろしいですね?」
「いいだろ。ただ有事の際はこちらも行動する……邪魔したな」
そう言い、生徒会室を後にする士音。
「お嬢様、よろしいのですか?」
立ち去る士音を見送る虚は心配して訊ねる。
「ええ、証拠がないのはこちらも同じ……それに、あの男にはまだ大きな秘密を隠しているわ」
「秘密とは?」
「FR社レスキュー隊のリーダー『ファルシオン』の存在、こいつだけはロボポンとは全く構造が違うのあの会社の秘密を見つける重要なキーパーソンになるわね」
立ち去った士音を睨み付ける楯無は心の奥にある正義の炎を燃やすのであった……
士音は職員室に戻り、書類作業をしていた千冬を見つけ話を進めた。
「織斑先生、さっきのご依頼、引き受けさせてもらいますよ」
「本当ですか、しかし先の時間からそんなに経過していませんが?」
「ええ、弟さんが厄介事に巻き込まれ体質じゃないかと思いましてね」
「一夏がそんな……いえ、私にも少々心当たりがありますね。」
「では、自分は会社に戻り警備の計画表を練り直します」
「ありがとうございます、一夏と専用機持ち達をよろしくお願いいたします」
互いにお辞儀を済ませ、士音は職員室を後にするのであった……
NEXT…
NEXT…
いよいよ、学園祭の当日の日がやってきた。
一夏の催し物は『ご奉仕喫茶』
女子生徒はメイド服を、誰かさんは燕尾服を…
そんな中、士音達FR社は警備役のロボポンを配置し、スポロ博士の新型警備システムを起動。
しかし、楯無の計画により事態は想定以上の混乱を招くのだった
次回 「EP03 和音・俺達の灰被り姫」
「てめぇ、何モンだっ!?」
「俺は、最近巷で有名なレスキュー隊さ!!」