インフィニット・ストラトス2~人と機械の紡ぐ心~ 作:サウス零
今回は一話で完結させました
ロシアから帰還し、次に向かうブラジルの気候に適した装備を準備する士音。
ブラジルは日本とは反対で南はより寒く、北は温かい気候なのである。
バハムート・チェイサーのトランクに2~3日分の服を積み込んでいた。
「ブラジルはここと同じような学園があるのか…」
前もって渡された資料を見てそうつぶやく。
「しかし……ブラジルといったら……アレだよな」
「あれって?」
不意に声の聞こえる方を見ると百合とロボまるはいた。
「おおっ、作業は終わったのか?」
「ええっ、バッチリと出来てるわ、あのメカをご覧あれ!」
と百合が指し示した方向にあるのは、数機の飛行メカが並んでいた。
「あれが、ロボポン用のビークルか?」
「そう、一台で最大二人は乗れるし、プラティナのサイズでも乗れる優れものよん♪」
「名称はあるのか?」
「うーん、強いて言うならば…」
しばらく考え込む百合が何かひらめき…
「『ド・ダイくん』でどーだい?」
「……」
「……」
ヒュゥゥゥゥゥ~
室内なのに何故か風が吹いた……
「ぶっ!!」
「ええっ!?」
「ぶはははははは!!!ど、ドダイで、ハハハ、ど、どーだいって、プッははははは!!!」
士音がゲラゲラと笑い転げてしまう、その姿にロボまるは唖然としていた。
「将にいって、昔っから笑いのツボが浅いの。あっ、ロボまる今の解説できる?」
「いや、解説も何も『どだい』つがなりの駄洒落じゃないですか…」
「ダメでしょ、そんなあっさりとしたら!もっと、細かく、正確に~!」
「えええええ~!」∑(-Д-;)
まさかのダメ出しにロボまるは…
何処かのドラマでIT企業の社長兼お笑い芸人とギャグに弱い用心棒とのシーンを思い出すのだった。
翌日…
IS学園の授業が始まる頃、士音達はブラジルに上陸していた。
「たとえ南国でも寒い所は寒いみたいね…」
冬服を着込んだ百合が上空を見てふとそう呟く。
「まあ、この場所はどちらかと寒い方よりだからな……ここにはIS学園とほぼ近い施設がある。俺達が逢う専用機持ちもそこに属している」
一同が向かった先は士音が言ったように、ブラジルの国で行っているIS技能教習所といったパイロット養成の施設である。
厳重に見張られた入り口にいる警備員にIS学園のデジタルエンブレムを見せて、内部へと案内された。
アポイントは出発前日に学園長と経由で取ってもらっていたので待つ時間はそれほど無かった。
案内されたのは広めの部屋、机と椅子が体よく並べられているのでおそらく会議室。
そこには、女性二人が士音達を出迎えた。
「グリフィン・レッドラム」
専用機「テンカラット・ダイヤモンド」を駆るブラジル代表候補生
持ち前の運動神経が相性がよく、世話好きな姉御肌の少女。
もう一人は「アレクシア・マーティン」
グリフィンの専属指導官であり、元代表候補生だった女性である。
「あなた方がここに訪れてくれた事は我々にとって幸運かもしれない…」
「幸運?」
「ああ、昨日彼女の機体である『テンカラット・ダイヤモンド』の最終調整が終わり、今日の午後から稼働テストを行う予定だ」
「つまり例の隕石騒動が絡んで?」
「そのとおりだ、各国の被害報告を聞いて我がブラジルのISを一時稼働を一斉停止を行い、その場を切り抜けようとしたが…」
アレクシアはそう言いながら、ノートパソコンのモニターを士音達に見せる。
そこには、格納庫にある実践稼働中のISが謎の隕石部隊の昆虫メカに破壊されてゆく様子が映されていた。
「すでに居場所を把握している機体は見事に破壊され、機体のコアも寛大なダメージを覆っており、動けるのは彼女の機体のみとなった…」
「コアにダメージ?もう使えないのですか?」
「わからない、ただ僅かな反応を残してコアは繭のように白く固まって数日、我々からは何らかの解析を試みたが……何も成果がない」
「そうですか……」
「大したもてなしが出来ず申し訳ないが、時間までゆっくりと休んでくれ」
「でも教官、ここで休める場所って他にないと思いますけど…」
「そうだったな……警戒の為に一部の施設は人が入らない様に封鎖していたか……」
「なら、うちの客室が開いているはずです…」
「頼めるか?」
「はい、任せてください!」
そんなこんなで、士音達はグリフィン案内の下、ある場所へとやって来る。
「ここは?」
「私が住んでる孤児院です、経営しているビアンカ院長はアレクシア教官と親友の間柄なんです」
ドアを開けて、中に入ると一人の女性が出迎えた。
彼女の名は「ビアンカ・フェヘイラ」
「おかえりなさい、グリ。確か今日は稼働テストを行う日よね?」
「うん、あ、紹介します、ここの院長のビアンカ院長です」
「初めまして、ビアンカ・フェヘイラと申します」
ビアンカが丁寧にお辞儀をするので、慌てて士音達もお辞儀ををする。
「こちらはファルシオン・ロボテック社のシオンさんとユリさんにロボまる。今日の稼働テストを手伝いに来てくれたんだ」
「まあ、それはそれは」
「時間まで、客室に休んでもらおうって来たんだけど、大丈夫かな?」
「ええ、大丈夫よ。」
「よかった~」
「じゃあ、私は飲み物を用意するから、案内お願いするわね」
「は~い」
士音達はそのままグリフィンに客室へと向かい、ビアンカからもてなされた紅茶を飲み終えて、しばらく休んでいると…
「ん?」
「ロボまる、どったの?」
百合がそう問いかけるが、トテトテと窓の外を見ると…
「……」
「……(イヒッ!)」
外にはかなり大きい岩があると思っていたが手足に顔を持つ石の鎧を纏ったロボットがこちらをジッとと見ていた。
さらに頭の上に妙な笑みを浮かべたイソギンチャクのような物体が一緒にいる。
「わぁぁぁぁ!!!……って!ストーンさんにキュータさんじゃないですか!!」
「やっぱり……ロボまるだった……」
「おおっ、マジかよ、こいつはビックリだぜぇ~(イヒッ!)」
「キュータさん?ですよね!?」
「おーうよ、こうでもしねぇとオレサマの存在感ねぇからな…(イヒッ!)」
「そ、そうですか……」
なんと出会ったのはロボまるの仲間である石型ロボポン「ストーン」と球体型ロボポン「キュータ」であった。
時刻は正午を過ぎ、IS用の訓練設備にやってきた一同はISを装着するグリフィンを待っていた。
「まさか、あの2体があなた方のロボポンと呼称する存在だとはな……」
「ええ…俺達もビックリです、いつからいたのですか?」
「確か夏休み前にグリフィンが連れてきた。院の子ども達が騒いでいたが、歓迎されていたから特に気にはしなかった」
「みんな…よろこんでいた」
「そうそう、最初は怖がっていたやつもいたけど今では仲良しになったぜ!(イヒッ!)」
「そっちは平和ムードだったみたいで楽しそうね…」
「あはは…」
その頃の状況を思い出した百合は皮肉な表情を浮かべていた。
そこにアレクシアに通信が入り、グリフィンが機体の起動を確認しこちらに来るとの連絡が入った。
それから数分後、空からグリフィンが愛機「テンカラット・ダイヤモンド」を纏い着地した。
「お待たせしました」
「来たな…では、配置に付け!」
「了解!」
グリフィンが所定の場所に到着すると、バトルフィールドとなった広場に仮想敵が出現する。
最初は飛行し、仮想敵の周囲を回り機動運転を行うと、仮想敵が攻撃を仕掛けた。
グリフィンは旋回など、微調整した回避機動で攻撃を回避していく…
「武装テスト、開始…」
「了解、まずはこれで!!」
テンカラット・ダイヤモンドに装備されている大型のリングが動き、手のような形となり仮想敵に突撃した。
一つ目の武器が「ダイヤナックル」である、
「どことなく、プラズマリングに似てる?」
「威力はあっちが上だろうな…こっちは防御寄り武装だからな」
「うん、見事な鉄拳だわね…」
リング状の武器にロボまる、百合と士音がそう話し込む。
敵機が撃墜されると、次の仮想敵が出現する。
今度は3体だ…
「いくよ!!」
テンカラット・ダイヤモンドの次の武装は、肩部に浮遊している何かの頭部を思わせる物体が動きだした。
その一部から銃口が展開され、一斉射撃「ストーンレイン」を行った。
「ブルーティアーズ!?」
「むしろ、ガンバレルポッド!!」
「不可能を可能にしたのか!?」
「驚いてくれるのはいいが……君たちは何が言いたいのだ?」
ロボまる、百合、将と順にまたもやの反応にアレクシアは呆れた表情になる。
そんな中、撃ちこぼれた一体が鈍い動きで止まったと同時に、テンカラット・ダイヤモンドの青い宝石のような装甲が光り輝き…
一気に敵機へと突撃する技「ルミナスブレイク」で撃破した。
「敵機撃破、稼働テスト完了!」
グリフィンが士音達の観戦場所へと移動して着地する。
「「「「「おお…」」」」」
思わず拍手を送る士音達に照れ笑いを浮かべるグリフィン。
「ご苦労、稼働テストはこれにて終了、明日の朝までに稼働データの集計とレポートを提出するように」
「わかりました」
そんな時だった…
「こちら、訓練ポイントどうした?………何!?例の隕石怪物が? 何だと!!」
通信で応対していたアレクシアの表情に緊張が走る。
「わかった、直ぐに応援を向かわせる」
通信を切り、士音達を顔を見ると、士音達にも緊張の感覚が伝わった。
「今の通信は?」
「ああ、私設の北西から多数の機械生物が接近している情報が届いた。だが…南東からも未確認の機種が接近しているとの事だ」
未確認の機種と更なる情報に士音達も困惑な表情が浮かぶ。
「例の機種が多数出現した。現場の部隊に対応しているが、防戦一方だ。しかも、更なる未確認機種が複数出現した」
「未確認機種?」
「まだ公にはしてないが、その機種は君たちロボポンと同型の反応を持っている…」
「何!?」
「それって!!」
彼女の口から出た言葉は敵に『ロボポン』…
文化祭の際に出現した士音達の知らないロボポンの存在…
それが何を意味しているのか…
「俺達が行きます!」
「よろしく頼む。グリフィン、お前も同行して迎撃に当たれ、隕石怪物はISを狙う、それを利用して戦え。」
「はい。グリフィン・レッドラム、出撃します!」
現場に到着した一同は接近してきた昆虫メカを迎え撃つ…
隕石から出現した昆虫メカはグリフィンが囮になることで動きを惑わせて、
シオンとサレナが強襲を仕掛け撃破していく。
その合間に、ロボポンチームが戦闘不能となった部隊を避難誘導を進める。
「これで…ラースト!!」
最後の昆虫メカはグリフィンが自身で撃破完了となり、残っているのは…
「こいつらは不明なロボポン軍団か……」
すると、一つの人影は歩いてくる。
現れたのは、青肌の人型サイボーグであった。
「お前はレッド…?」
サイボーグの姿にロボまるが反応する。
「確かに似てはいるがオレの名は「カーマイス」だ。ファルシオン・エデンシスよ、オレと勝負だ。『合心!!』」
カーマイスはそう言いながら浮遊すると周りに青い粒子が集まり、何かが転送してくる。
転送されたのは、大型の赤いドラゴン…。
赤いドラゴンはそのままカーマイスと合体し人型メカに変化した。
「メイルギア!?……カスタムモデルか!?」
「その通り、これはメイルギア・クリムゾンドラゴン…オレ用に強化された鎧だ」
「ちいっ!」
胸部の火炎弾が一斉照射でシオン達に襲い掛かる。
「シオン!」
「お前の相手はオイラシャッ!!」
その場から離れていくシオン達を追いかけようとしたロボまるだが、
一体のロボポンが多数のロボポンを率いて、立ちはだかる。
「き、君は!?」
「オイラはバイオード、勝負ッシャ!!」
「何処かで合ったような……」
「何をごちゃごちゃ言っているッシャ!!」
頭の片隅に覚えがあるロボまるだったが、バイオードが問答無用で先手を仕掛けてくる。
「この場所ならファイアでも!!」
「あたるかッシャ!!」
バイオードは手持ちの弦の鞭を伸ばして地面に突き刺さり、その勢いで移動してロボまるの攻撃を避ける。
「っ!?こんのっ!!」
直接攻撃に切り替えて攻撃するロボまるだが、鞭に叩かれ攻撃が決まらない。
「どうすれば…」
置いてきぼりのグリフィンとサレナが行動に戸惑っていた。
「グリフィン、アレを使え!!(イヒッ)」
横から現れたキュータがそう発言する。
「でも、あれはまだ未完成の技だよ!」
「大丈夫…ボクらを信じて…」
隣に立つストーンが頷く。
「わかった。行くよ!ストーン!キュータ!」
グリフィンが上空に浮遊して腕部のクリスタルの結晶が光を放ち、ストーンとキュータを包み込む。
すると、ストーンとキュータのボディがクリスタル状態へと変化した。
「ヨッシャ!!サレナの嬢ちゃん、オレ達をグリフィンに向けて投げ飛ばせ!!(イヒッ)」
「マジでっ!?」
「マジ…」
キュータの指示に驚き戸惑うが、意を決してクリスタルキュータをグリフィンに向けて投げ飛ばした。
「ターゲット、敵ロボポン!!(イヒッ)」
「これ以上、あんた達の好きにさせない、ダイヤモンド・ドライブシュート!!」
掛け声と同時に蹴り飛ばしたキュータが激しく回転をしてバイオードに突っ込む。
「わっ!?」
「シャッ!!?」
ドケシッ!!!
ドケシッ!!!
ドケシッ!!!
激しく激突したバイオードが空高く飛んで行った……
咄嗟に逃げたロボまるは空を見上げて呆然としていた。
「まさかこれが本場の超次元サッカーなの!?」
「んなわけあるかぁぁぁぁぁ!!!」
キラーン…☆
「もう一つ!!サレナさん!!」
「ガッテン!!承知の助!!!」
グリフィンの声を聞いて、クリスタルストーンを両手で持ち上げ、大振りでぶん投げた。
「オーバーヘッド、ダイヤモンドシュート!!!」
今度はオーバーヘッドキックでストーンが一直線でシオンとカーマイスの元へ飛ぶ。
「くっ…」
「どうした。お前のギアはどうした?出し惜しみをしてもオレは倒せんぞ?」
「かもな…ならば!……ん!?」
シオンは何かの反応に気付く、その場所から飛んでいたのはクリスタル状態のストーン。
ドケシッ!!!
ドケシッ!!!
ドケシッ!!!
収納していた両腕を展開して、カーマイスを殴り飛ばすと、カーマイスは見事に吹き飛ばされた。
「ゴォール!!」
見事に命中した結果を見てグリフィンはガッツポーズを決める。
隣に着地したストーンとキュータも並んで決めポーズをした。
「「ウソーン…」」
その光景にシオンとロボまるは呆然としてしまった。
「ぐっ……まさか余計な割り込みを受けるとはな」
遠くへ飛ばされたカーマイスは装甲を解除して森の中を歩いていた。
そこへ通信の音が鳴る…
「はい、カーマイスです……はい、そのデータは取れました……はい、これより帰投します……ゼロ様」
通信を切り、空を見上げて不敵な笑みを浮かべるカーマイス
「今回は挨拶みたいなものだ……我々が本格的に介入する時が来るまでその命、預けておこう、ファルシオン・エデンシス」
そう言い残し、カーマイスはその場から消え去っていくのであった。
その後、グリフィンの住む孤児院でお世話になった士音達は子ども達とふれあい一日を過ごした。
そして、『キャノンボール・ファスト』の当日の朝を迎えた。
「では、我々はここで」
「ああ、君たちのおかげで被害を食い止められた。ありがとう」
帰還用の転送ゲートを展開して準備を整える士音達。
グリフィンとアレクシア、それに孤児院の子ども達が見送りに来る。
「あの、ストーンとキュータをこのままにしてよかったのですか?」
「構わない、いずれIS学園に来るならパートナーロボポンとして君に預けておく」
「ストーンさん、キュータさん、また会いましょう」
「うん…」
「おう、皆によろしく言っておいてくれ!(イヒッ)」
「はい!!(キュータさんの変わりようにみんな驚きそうだけど…)」
子ども達の声に見送られ、士音達は転送ゲートをくぐり、IS学園へと帰還した。
NEXT…
『キャノンボール・ファスト』当日に間に合った士音達は会場で一夏達専用機メンバーと合流する。
開始された競技では、脅威の敵が攻めてくる。
脅威の敵は今の士音には苦戦を強いられてしまう、いよいよ、これの出番が回ってきたのだった。
次回EP09「融合・俺達の合心」
「まさか…?」
「そう、これが俺の『IS』と言っておこうか…」