インフィニット・ストラトス2~人と機械の紡ぐ心~   作:サウス零

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やっとできました

そして7周年おめでとう…

サージュ・コンチェルト


EP09 融合・俺達の合心

ここは臨海地区…

 

市のISアリーナ…

 

この日、この会場は大勢の人々が集まり、盛り上がっていた。

 

ここで行われるのはISを使用したスピードレース「キャノンボール・ファスト」

 

時折、花火が数発撃ちあがり始まりのカウントダウンのように音を響かせる。

 

「おー、よく晴れたな~」

 

秋晴れの空を見上げて、手で日差しを遮りながら一夏は会場の様子を見ていた。

 

レースのプログラムは大きく四つに分かれて行われる。

 

最初はIS学園二年生、次に一年生専用機メンバーが…

 

その次に、一年生が訓練機でのレースを進めて、最後に三年生がエキシビションレースと

 

なかなか規模の大きいイベントであり、見学者の中にはIS産業関係者に各国の政府関係者が含まれている。

 

その分、会場の警備も普段より厳重な人数が配置されていた。

 

「一夏、こんな所にいたのか。早く準備に入れ」

 

箒が一夏を見つけて準備を催促する中、見学者席の方を見上げている一夏。

 

誰かを探しているようだったが、箒に耳を引っ張られて強引にピットへと連れていかれた…。

 

 

 

「ええっと、Fの45…Fの45……」

 

携帯電話を見ながら自分の席を探す、一人の少女が歩いてきた。

 

彼女の名は「五反田蘭」

 

一夏の親友「五反田弾」の妹で兄を通じてでの付き合いのある少女であり、一夏に恋い焦がれる一人である。

 

一週間前の買い物中に一夏と偶然出会い。しばし共に過ごした中で、一夏から招待券を貰ったのだ。

 

どんっ!

 

「きゃっ!?」

 

「あら?」

 

画面を見たままなので人とぶつかってしまう。

 

慌てて顔を上げて、頭を下げる蘭。

 

「ご、ごめんなさいっ」

 

「いえ、いいのよ気にしないで」

 

相手は20代後半ぐらいの女性。なびかせている金髪が大人の女性としての色気を醸し出している。

 

豪華な赤いスーツをまとい、シャープなデザインのサングラスと掛け、僅かにはみ出た豊満なバストにくびれたウエストと引き締まるヒップと…。

 

現役のトップモデルにも引けを取らないスタイルの持ち主だ。

 

そんな彼女に姿に見とれてしまい、自分の容姿を比べてしまい委縮してしまった。

 

「怪我は無いかしら?」

 

「は、はいっ。すみません!」

 

「そう、よかった。それじゃあ気を付けてね」

 

「は、はいっ」

 

そう言いながら、女性は小さく手を振って蘭の横を通り過ぎていく。

 

そんな立ち振る舞いを蘭は呆然として見送ったのだった……

 

女性がしばらく歩くと対面上から一人の男性が通りかかる。

 

男性もまた金髪にサングラスを掛け、白いスーツに身を包んでいた。

 

「『ミス・スコール』状況はいかがですな?」

 

「全く問題ないわ、すべて順調にね……」

 

「そうですか、では…我々は予定通りの行動させていただきましょう」

 

「ご自由に…でももしもの助力は期待しないでね、私達は同盟を組んだけど、貴方達を信頼したわけじゃないわ」

 

「それはそれは手厳しい……ま、確かに互いの干渉は不要でしたね、では健闘を祈りますよ、ミス・スコール」

 

「貴方もね……『ドクター・ゾロ』」

 

スコールと呼ばれた女性はそのまま横切り立ち去っていく、その姿を見送り、ゾロと呼ばれた男性は…

 

「さて、私達も始めましょう。『あの戦いの続き』を」

 

僅かに口を歪ませた笑みを浮かべ空を見上げるのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さあ!キャノンボール・ファスト、第二レースがもうすぐ開幕するぞ!!』

 

アリーナ中央のスタートポイントには何と月彩百合がレース実況を担当していた。

 

服装は何故か、星が二つがデザインされたジャケットに肩と膝にプロテクターが装着している。

 

『第二レースは、一年生専用機メンバーの登場! メンバーは以下の通り!今年の専用機は豪華絢爛だぁ!』

 

百合の言葉と同時に野外モニターには一夏を始めとした名前、機体名、顔写真が掲載されていた。

 

『おおっと、ここで速報だ!本レース限定のサプライズ参戦選手の登場だぁ!!その選手はこちらだぁ!!』

 

モニターが切り替わり、ピットの奥から人影が浮かび歩いてくる……

 

その正体は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ファルシオン・エデンシス!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

変身した士音である。

 

シオンの前には見慣れないレースカーが鎮座していた。

 

ええええええ!!?

ワァァァァァ!!

 

片や驚き、片や歓喜

 

歓喜は男性観客が多く、驚きは女性観客がそれぞれ多い割合を出していた。

 

レスキュー隊の隊長である彼がこのイベントに参加するとは誰も思わなかっただろう…

 

その声は準備していた一夏達も届いている。

 

「どうして、あの人が?」

 

「あたしに聞かないでよ!?」

 

「やはり、皆さん驚きますよね?」

 

「山田先生はこの事をご存じでしたの?」

 

真耶はそのいきさつをこう語るのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は開催数時間前…

 

真耶は教師陣を始めとした関係スタッフとアリーナのビットで準備を進めていた中、

 

ふと気になるスペースを見つけて近づいてみると…

 

『ファルシオン・ロボテック社』を文字が刻まれている看板に大きく黒いシートカバーに包まれたものが鎮座していた。

 

「こ、これって…?」

 

「おっ、ここだな」

 

真耶が声のする方に向くとファルシオン率いるFR社一同がやってきた。

 

「あ、おはようございます、皆さん」

 

「おはようございます、山田先生」

 

真耶の声にロボまるが代表して答える。

 

「今日はどうしてこちらに?」

 

「強いて言えば、『売られたケンカ』を買いに来たかな?」

 

シオンのツインアイを光らせてそう答える。

 

「ケンカ……?」

 

話をスポロから聞いたのは、ブラジルの出撃時の合間出会った。

 

突然、通信を受けた相手は何とIS委員会のメンバーから『キャノンボール・ファスト』の招待だった。

 

様々な救助活動をこなしてはTVで有名となり、今はIS学園の警備として大活躍するFR社のメンバーに是非ともこのイベントに参加してほしいとの話…

 

今まで…いや、何故委員会からそんな依頼が飛び込んできたのかが不審に感じたシオンだがスポロはあっさりと『罠』だと断定。

 

曰く…

 

 

ISとロボポンの力量差を民衆に見せつけるための布石だろう

 

 

との事。

 

「だから、『売られたケンカ』ですか…?」

 

「そういう事じゃ、お主らには悪いが圧倒的に勝たせてもらうつもりじゃ」

 

スパナ片手にスポロが二人の会話に入る。

 

「博士、状況は?」

 

「うむ、極めて重畳じゃ」

 

シオンの問いに不敵な笑みを浮かべてスポロが答える。

 

「これぞ、次世代レーシングカー型ロボポン『フォミュラーダ』じゃ!」

 

スポロが示した先に一台のレーシングカーが完成していた。

 

そのボディはジェット機のようなフォルムを持ち、背部には大型のブースターらしきものが備えられている。

 

「これ、本当にレーシングカーなのですか!?」

 

そのレーシングカーがロボポンである事に対して驚いてしまう真耶

 

「次世代レーシングカーと言ったじゃろ?」

 

「調子はどうだ『ヨンクー』いや『フォミュラーダ』?」

 

「うむ!この新型は我が魂によく馴染んでいる…」

 

シオンの声に反応してレーシングカーから明確な声が返ってくる。

 

「ホント、ロボポンって色んな形がいるんですね……?」

 

その様子をただただと見届けるしかない真耶なのであった……

 

 

「と、こんな内容です」

 

「ふーん、つまりはあのロボポンと本格的に競えるってこと、よね?」

 

「そうみたいだな…」

 

「これはよい機会かもしれませんわね、特にファルシオンさんの技量を…」

 

「だが、戦いは使用する機体で左右されるほど容易くはない」

 

「ああ、むしろ戦いは流れだ。全体を支配する者が勝者となる」

 

「それなら、全力で戦うね。皆!」

 

専用機メンバーがそれぞれ今回のレース用に換装が完了し、戦意を高揚して話が盛り上がっていく…

 

「はい…、了解しました。みなさ~ん。準備は出来ましたので、スタートポイント移動しますよ!」

 

真耶が連絡を受け、一夏達は誘導マーカーに従い、スタート地点へと移動するのであった。

 

しかし…

 

「「「「!?」」」」

 

その異変はセシリア、鈴、シャルロット、ラウラの四人…

 

同時に届いたメッセージを読み、顔をしかめてしまう…

 

メッセージの意図は一体何を意味するのであろうか…?

 

 

 

 

『ただいまより、キャノンボール・ファスト第2レース、一年専用機組のスタートします』

 

会場内にアナウンスの声が響く。

 

一夏達が各自位置に着いた状態でスラスターに火が灯る。

 

超満員の観客が見守る中、シグナルランプが点灯。

 

 

3!

 

 

 

 

 

 

 

2!

 

 

 

 

 

 

 

1!

 

 

 

 

 

 

 

GO!!

 

 

 

 

専用機が一斉にスタート加速で飛び出していく、だが…

 

『おっーと、どうした?ファルシオン選手のマシンが動いていないぞ!エンジントラブルか!?』

 

アナウンスが百合に代わり、最初の言葉に観客はまだ残っているシオンの姿に困惑する。

 

『コースデータ、入力完了。モニターウインドウに転送まであと30秒……』

 

『シオン、こんなにのんびりしてていいの?』

 

フォミュラーダに映る通信ウインドウごしで不安な表情浮かべるロボまる。

 

中には士音がドライバージャケットにレーシング用ヘルメットをかぶっている。

 

エントリーではファルシオンとして名乗っているが姿はヘルメットをかぶりマシンに乗れば隠せれるので問題はない

 

もっともアーマー装着のままではフォミュラーダに乗り込めないのが一番の理由であったが…

 

「ああ…ちょっとしたハンディキャップだ。ロボポンをナメ腐っている連中に圧倒的な勝利の文字を叩き込んでやる…」

 

 

 

その頃、専用機メンバーは早くも第一コーナーを通過、セシリアを先頭に列を作って進んでいく。

 

「一夏。お先っ!」

 

「あ、おいっ!」

 

最初の均衡を崩し仕掛けたのは鈴、前にいた一夏を抜き去ると、横に向けていた衝撃砲を前に展開、そのまま連射で撃つ。

 

砲撃を向けられたセシリアはロールでかわすがその隙をついて、鈴が爆発的な加速で抜き去った。

 

「くっ、やりますわね!!」

 

「へっへーん!おそーい!」

 

「―――甘いな」

 

鈴の背後に張り付いていたラウラがスリップストリームの効果を利用して、トップへとおとり出た。

 

「しまった!」

 

「遅いっ!」

 

慌てて鈴は衝撃砲を向けるが、ラウラの大口径リボルバーキャノンが火を噴くのが早い。

 

直撃は避けられたものの、高速機動状態での慣性の流れに逆らえずに鈴はコースから大きく離れてしまった。

 

さらに後方にいる一夏達にも牽制射撃を行い、距離を大きく伸ばすのであった。

 

「くっ、さすがはラウラだ。手強い…」

 

体勢を整えて一夏は加速して追いかけるが、コーナーのたびに差は広がる一方である。

 

ここでシャルロットが加速し、距離を詰めていく。

 

追いかけようと加速しようとする一夏に箒の赤いレーザーが妨害する。

 

大きく距離を取られた鈴とセシリアが合流、事態は接近戦と移り、大混戦への繋がっていく……

 

 

白熱するバトルレースは二週目に突入、しかし異変は起きた。

 

 

「…………」

 

突如、上空から飛来した機体がトップのラウラとシャルロットを撃ち抜く。

 

「!?」

 

「あれは………サイレント・ゼフィルス!!」

 

コースアウトして行く二人に誰も視線をやる事なく、現れた襲撃者は口元をにやりを歪ませた。

 

 

 

 

観客席では誰かの悲鳴と共に会場はパニック状態。

 

会場の主催者も避難対応に動くものの観客は大騒ぎになっている。

 

「落ち着いてください!みなさん落ち着いて避難してください!!」

 

スタッフの声が響くが、誰も耳を貸そうとせず、我先にと出口を進んでいく…

 

「きゃっ……!」

 

ドンっと腕にぶつかりよろけてしまうのは蘭であった。

 

そこへ優しく誰かの手が受け止める。

 

「あなた、大丈夫?」

 

「は、はい…」

 

手の主は楯無だった。

 

今日であった年上美人がもう一人現れたことに蘭はドキドキする。

 

「全く、参ったわね。混乱が収まるまで通路は避けたほうがよさそうね……」

 

そう言いながら、辺りを見渡すと…

 

「こっちに別の避難ルートがあるこっちに進んでくれ!!」

 

「こちらにも避難口がありますので慌てずに進んでくださーい!」

 

FR社のロボポン、タンサンとトリペルが避難誘導を行っていた。

 

「あなた達、いい所に!」

 

「おや、課長さん」

 

「その子も避難者か?」

 

「ええ、そうよ。悪いけどこの子をお願い出来る?」

 

「構いませんが…課長さんは?」

 

「ちょっと急ぎの用があってね」

 

「……襲撃者が誰なのか見当はついているのかよ?」

 

「ほぼ…だけど、今から会いに行くわ」

 

「……あんた一人だけじゃ不安だ。俺もついていくぜ、トリペルはその人の誘導を頼む」

 

「わかりました!さあ、こちらにどうぞ」

 

「は、はい…」

 

蘭はトリペルに連れられ、アリーナを抜け出す。

 

見送ったタンサンは楯無と共に移動を開始するのであった…

 

 

 

 

 

 

「大丈夫か!ラウラ、シャル!」

 

壁に激突したラウラとシャルロットの元へかけつけた一夏は何かを感じて左腕の武装『雪羅』を展開した。

 

それと同時にエネルギー砲が一夏にぶつかるが、展開した雪羅のエネルギーシールドで防いでいる。

 

「くっ…!」

 

「一夏さん! あの機体はわたくしが!」

 

「セシリア!?おい!」

 

「BT二号機『サイレント・ゼフィルス』……! 今度こそ!」

 

一夏の制止を聞かずに単機で襲撃者――サイレント・ゼフィルスに挑んで行く。

 

しかし、高速機動用の装備の為、今のブルーティアーズにはビットが使えない、

 

手持ちのライフルも大型に代わっているが、総合的に火力が不足していた。

 

セシリアが接敵すると同時に鈴が合流し補佐する。

 

二人が先手の砲撃を仕掛けるが、サイレント・ゼフィルスは不敵な笑みを見せて何かを展開してビーム上の傘を作り出した。

 

「やはり、シールドビットを……鈴さん、多角攻撃、一度に行きますわよ!」

 

「あたしに指示しないでよ!ったく、付き合ってあげるけどさあ!」

 

セシリアは鈴と共に連携攻撃を仕掛けると、サイレント・ゼフィルスも二人の行動に合わせて飛翔した。

 

それを見ている一夏の元にラウラが合流し、サイレント・ゼフィルスがイギリスから強奪された機体だと説明する。

 

そしてそのまま砲撃を放ったが、機動性は圧倒的上で捉えられない。

 

手をこまねいた所にシャルロットも合流、動けないラウラを彼女に任せて、

 

一夏は途中合流した箒と共に連携格闘へと持ち込んだ。

 

「うおおおお!!」

 

「……」

 

ライフル先端に取り付けたブレードで応戦するサイレント・ゼフィルス。

 

一夏は右に雪片弐型、左は雪羅のクロー収束ブレードで連続攻撃を行うが、

 

シールドビットを割り込ませて決定的なダメージを防いでいる。

 

「狙いは何だ!!『亡国機業』!」

 

「……茶番だな」

 

「何!?」

 

雪片弐型を受け流し、そのまま一夏を蹴りを浴びてしまう…

 

「ぐっ!」

 

「一夏っ!」

 

ライフルの零距離射撃をされかけたが、箒が間一髪の突進で逃れた。

 

しかし、ならばとサイレント・ゼフィルスはビームを放つが、ビームが急激に曲がり込み一夏に迫る。

 

「うおおおおっ!!」

 

雪羅をシールドモードに切り替え、その射撃をなんとか捌く一夏。

 

だが、勢いよく壁に激突をしてしまった。

 

「ぐはっ!?」

 

致命的な隙を作ってしまった一夏にサイレント・ゼフィルスが見逃すはずがない…

 

「死ね……」

 

砲塔が二つに分割、最大出力が一夏を襲う。

 

放電するエネルギーが溢れる限界を越えて、そのまま一夏に向かって解き放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、この場にいる誰もが忘れていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この事態を打開する存在がいることを……

 

 

 

 

 

 

「チェェェェストォォォ!!!」

 

高速エアドリフトで一夏の前に入り込んだのはフォミュラーダ。

 

『ディフェンサー・バリア、オープン!』

 

その言葉と同時にフォミュラーダのボディがクリスタル状のバリアが展開、先ほどの高出力ビームを吸収してしまった。

 

「敵の攻撃を防御、今だ!!」

 

フォミュラーダの声を合図にサイレント・ゼフィルスの懐には……

 

「なっ!?」

 

「ヘヘッ…」

 

ファルシオンがエネルギーをため込んだ両手の拳を振り構えている。

 

なんとか防ごうとするサイレント・ゼフィルスだが……

 

 

 

 

 

「遅すぎだぜ!!」

 

 

 

 

 

会心のブロー&ブーストアップ付のアッパーカットがサイレント・ゼフィルスの腹部に直撃、派手に吹き飛んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

「さすがは『エム』ね。あれだけの専用機持ち相手に、よく立ち回れるものだわ」

 

ファルシオンの強襲する瞬間より少し前に時は戻り、

 

サングラスをかけた女性『スコール』が襲撃者『エム』の戦闘を見ながら楽しそうに見ていた。

 

「しかし、たいしたことないわねぇ。もう少しがんばってほしいのだけれど……ふぅ」

 

ため息を一つこぼし、どうしようかと思っていると後ろから声が掛かる。

 

「あら、イベントに強制参加しておいて、その言い草はあんまりじゃないかしら?」

 

女性は振り返らない、その正体をすでに把握しているのだから…

 

更識楯無

 

生徒の身でありながら、自由国籍という特例を持ったロシア代表、候補生ではない現役の代表だ。

 

最近、生徒会長を解雇されたと情報が更新されたが特に気には留めていない。

 

その隣には、タンサン…

 

ロボットポンコッツという謎のロボットの情報があったが、例の『同盟者』によって詳細ははっきりしている。

 

相手は同盟者の敵対者である事も…

 

会話を交わし、目的を問う楯無だが、女性がナイフを投げ不意打ちを仕掛けるがISに装備されている蛇腹剣で防御。

 

「狙いは何かしら?」

 

「あら、いうわけじゃないでしょ、せっかくいいシチュエーションができたっていうのに…」

 

「無理やりにでも話してもらうわ!」

 

「それができるかしら?更識楯無さん?」

 

「やってみせるわ『スコール』!!」

 

更なる問いを詰めて武器をガトリング内蔵のランサーで攻撃を仕掛ける。

 

命中したが、楯無の表情は厳しい表情のまま…

 

晴れた煙の中から、スコールは金色の繭に包まれていて、弾丸を一発も通っていない。

 

「やめましょう?」

 

「……」

 

「あなたの機体では私のISを突破できない、わかっているでしょう?」

 

「それは…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、突破できる攻撃をご馳走してあげる!!」

 

声と共に仕掛けてきたのはサレナ、手持ちのライフルから光弾が飛びスコールの繭にダメージが発生。

 

その隙に一気に近距離に詰めて、ライフルをソード形態に変形、鞘を上空に飛ばして斬りと突きを繰り返し、スコールを追い詰める。

 

「これで撃ち抜く!ニーベルン・ヴァレッター!!」

 

投げ飛ばした鞘を装着、再びライフルに戻し、チャージした光弾が炸裂した。

 

直撃をまともに受けたスコールが派手に吹き飛び地面に倒れた。

 

「よっしゃー!直撃コース!」

 

「なっ!?」

 

ガッツポーズを決めるタンサン、となりで呆然としている楯無の前にゆっくりとサレナが降下した。

 

初めて見た楯無はその存在にわずかながら警戒の態勢になる。

 

「おいおい美味しいところ持っていきやがって、ずるいんじゃないか?」

 

「あっはっは、メンゴメンゴ、あんな風に挑発されちゃ黙っていられなくてね」

 

タンサンが友人のように会話に入る姿に、多少は警戒をとく楯無。

 

「ここでは初めましてかな、私はサレナ・アルテミス。FR社レスキュー隊の副隊長って所かな?」

 

「何ですって…パーソナル情報にはそんな…」

 

「まあ、その時は別の場所で活動していたからな、情報が無くて当然だ」

 

そういった瞬間、コトリと石が転がる音が聞こえ、その方向を見ると…

 

「やってくれたわね……」

 

吹き飛ばされたスコールが片腕を抑えてふらふらしながらも立ち上がる。。

 

「おや、やっぱタフだったのね、オ・バ・さ・ん・も♪」

 

「……あなた。どこまで知っているの?」

 

「さあ~どこまででしょうかね?」

 

「……せっかくのおろしたてスーツを台無しにしてくれちゃって、どうしてくれようかしら?」

 

「無駄な若作りで肌を出せるように着崩してるのにおろしたてもないでしょ、『無理すんな、BBA』

 

サレナのわかりやすい煽りにさすがのスコールも怒りを覚え、ナイフを投げ込んだ。

 

「させるか!!サンダーボルト!!」

 

タンサンが間に割り込み、電撃を飛ばしナイフを砕くがナイフが大爆発を起こした。

 

「煙幕!?」

 

「どうやら仕込み武器のようだ」

 

黒煙がもうもうと立ちこめる。

 

だが、それぞれが持つセンサーはこの程度の視覚障害は無いに等しいが、僅かな隙を突かれ逃げ道を作ってしまった。

 

「くっ……。これで二回連続で逃がすなんて」

 

サレナの不意打ちで防御力がかなり落としたのだが、相手は逃走に全力を注いだため逃がしてしまう…

 

人間なのだから全てが完璧とはいかない。

 

「なら、もう一つを叩きにいくだけ! 行くよ、タンサン!」

 

「おう!」

 

ならば、次に出来る事を考えるだけ…

 

サレナとタンサンはレースコースの内部に向かう、そこにいるもう一人の襲撃者を捕まえるために…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(はぁ……。私の事を置き去りにして……いいとこ無しじゃない、最近、一夏くんのことからかないわね)

 

完全に置いてきぼりにされた楯無はいつもの茶化した表情が無く、本気で悔しい顔になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだ貴様は!?」

 

立ち上がったサイレント・ゼフィルスが激昂して叫ぶ。

 

「俺か?俺は最近巷で有名なレスキュー隊さ!」

 

「ちっ、オータムが言っていた伏兵か……」

 

「さあ、どうする?このまま俺と踊り続けるか?」

 

そう言いながら、光学銃『DDC』を構えるシオン。

 

「……」

 

その問いに答えるかのようにサイレント・ゼフィルスはライフルを構えた……

 

 

 

 

 

 

「そろそろ、オレも混ぜてくれよ!!」

 

別の方向から、一体のロボポンが乱入してきた。デビクロウだ…

 

「デビクロウか!ん、装備が違う?」

 

「そう、今のオレは『デビクロス』だ!」

 

掲げた右腕の武装からビームが発射、それをそのまま振り込む。

 

超巨大ビームサーベルだ……

 

咄嗟に避けようとしたが、デビクロスの狙いはシオンではなかった……

 

「うう…」

 

「鈴!?」

 

一夏の近くにいた鈴がデビクロスの一撃に沈められた。

 

「くっ、一夏と思わせてハナからあたしを狙っていたのね……」

 

そのまま気絶してしまう、ISが致命的なダメージを負った際に操縦者の意識を失わせて起動する最終保護機能が働いたのだ。

 

「さて、お邪魔虫は追っ払ったぜ、後は勝手にやんな。今度はお前だトリコロ野郎!!」

 

デビクロスの乱入でシオンは足止めを食らった事で。一夏の守りが無くなってしまう……

 

「余計なことを……だが、まあいいトドメだ」

 

「くそぉっ!」

 

何とか立ち上がる一夏だが、雪羅のエネルギーが尽きかけていたために動きがまともに取れない。

 

再び、サイレント・ゼフィルスの攻撃が始まる時だった。

 

「やらせませんわ!」

 

発射直前に一夏とサイレント・ゼフィルスの間にセシリアが乱入、

 

だが盾になるのではなく高速移動パッケージの推進力を最大にして体当たりを敢行したのだ。

 

「セシリア!」

 

「一夏さんは今のうちに箒さんから補給を!それまでわたくしが引き受けましたわ!」

 

サイレント・ゼフィルスの両腕を押さえつけてそのまま飛翔し、アリーナのシールドバリアにぶつかる。

 

スラスターをもう一度噴かせて、何度も叩きつける事四回、バリアにヒビが入り割れた。

 

「ここからですわ、このBT一号機『ブルーティアーズ』の力、存分にお見せしましてよ!」

 

「ほう……見せてもらうか」

 

割れたことによりできたバリアの隙間から二機は飛び出し、市街地へと向かった。

 

 

 

 

 

「くっ!セシリア、俺もすぐに向かうからな……箒!」

 

見送った一夏はなんとかしないとと考えている中、箒が降下してきたことに気付く。

 

が……

 

「オラオラオラァ!!お前らの相手はオレなんだよ!!」

 

デビクロスの超巨大ビームサーベルが赤椿の飛行ユニットを切り裂き、箒はそのまま墜落してしまった。

 

「箒!!」

 

間一髪、一夏が箒を受け止め激突は避けられた。

 

「大丈夫か?」

 

「私は大丈夫だ……だが、赤椿にかなりのダメージを負った」

 

「それじゃあ『絢爛舞踏』は?」

 

「わからない、それに今の私では都合よく使えていないんだ」

 

そんな時に…

 

「先にお前らザコを潰してやるぜ!!」

 

デビクロスの超巨大ビームサーベルが再び叩き込まれようとしていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なら、キミの相手はぼくがするよ!」

 

「んなっ!?」

 

振りかざしたデビクロスの腕をロボマルスが片手で押さえつけて攻撃を止めていた。

 

「ナパーム……ナックル!」

 

空いたもう片方で爆撃をデビクロスにぶつけて、距離を取った。

 

「ロボマルス!」

 

「シオンはセシリアさんを追って!デビクロスとはぼくが引き受ける!」

 

「しかし…」

 

「いやな予感がするんだ。まだ襲撃者が他にいる……急いで!!」

 

「わかった。頼んだぜロボマルス!」

 

踵を返したシオンは急いでバリアの隙間を抜け、セシリアたちのいる市街地へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バーン」

 

手で作ったピストルを撃つ動作をするセシリア。

 

サイレント・ゼフィルスの猛攻に翻弄されてしまい、最後の切り札を使った。

 

高速移動のパーツを切り外し、ブルーティアーズビットを使っての一斉射撃。

 

決してやる事のない動作を自ら行った。最悪これで空中分解してしまう可能性が大きい。

 

今の彼女ができる最大限の攻撃がこれしかなかったのだ。

 

だが、搭乗者であるエムには容易く回避されてしまい、接近を行い銃剣をセシリアの二の腕を貫く。

 

もう駄目だと思った瞬間、心の中に蒼い雫が落ち、先の水面に波紋が広がり…

 

そこにエムの背後から四本のビームが貫いた。

 

「!?」

 

BTエネルギー高稼働率時にのみ使える『偏向射撃』

 

セシリアがずっとものにできなかった特殊技能がこの土壇場で習得できたのだった。

 

だが、超音速状態でバランスと推進力を失った機体は崩壊し落下する。

 

(これまでですわね……。でも、一矢報えましたわ…)

 

潔いあきらめの表情となるセシリアにサイレント・ゼフィルスのライフルが狙うが、別方向からリングが飛来。

 

銃剣を弾き、放ったビームが狙いとは別の方向へと飛んで行った。

 

その合間にセシリアを受け止めたのはファルシオンなのであった。

 

「大丈夫か?」

 

「うう…」

 

「来たのが一夏じゃなくて悪いな、伏兵にしてやられてしまった」

 

「そう……ですか…」

 

そのまま彼女は気絶してしまう、腕の傷はISの保護機能で止血している。

 

ファルシオンは降りれるビルの屋上に着地した。

 

(さて、どうしたものか……奴さんは逃がしてくれそうにないな)

 

見上げた先にいるサイレント・ゼフィルスが太陽を背にしてファルシオンを見下ろしている。

 

顔の表情は見えないがかなりの殺気を放っていた。

 

「シオン!!」

 

そこへサレナが合流する。

 

「サレナ、グッドタイミングだ。彼女を学園に連れて行ってくれ」

 

「わかったわ」

 

気絶しているセシリアをサレナに預けて、シオンはエムと対峙する。

 

「いくそ!!」

 

シオンとエムの攻防戦が始まる。

 

ビームザンバーとDDCで仕掛けるが、サイレント・ゼフィルスのシールドビットに翻弄される。

 

ダメージはシオンが少ないが、正確な射撃と偏向射撃に手こずってしまう…

 

「ふん、さっきは不意を突かれたが、しょせんはガラクタ……終わりだ!」

 

エネルギーと実弾を混合射撃を仕掛ける。

 

「お前に対する生死の遠慮はいらない……くらえっ!!」

 

「ぐぅぅ!!」

 

放たれたエネルギーは偏向射撃で正面からは実弾がシオンの四方を貫く、それにより背部のスラスターを破壊されてしまった。

 

「ちいっ、スラスターを潰されたか……このままでは」

 

そこへ通信が入った

 

『あっ、繋がった!シオン、大丈夫!?』

 

ウインドウに映ったのは『イオン』こと『イオナサル・ククルル・プリシェール』

 

本来は『結城寧』という名なのだが、FR社の活動中の際にはそう名乗っている。

 

「ああ、だがスラスターをやられた…」

 

『それなら、バハムートチェイサーを呼んで! システムのアップロードが完了したの』

 

「なっ!それはありがてぇ!!恩に着るぜ、イオン!」

 

『うん、頑張って!!』

 

通信を切り、落下している中、シオンは声を上げて……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バハムートチェイサー、ソウル・ユニオン!!!」

 

 

 

 

 

 

 

シオンに召喚されたバハムートチェイサーは可変し、ファルシオンの新たな装甲となった。

 

「まさか…?」

 

「そう、これが俺の『IS』と言っておこうか…」

 

シオンを包んだ装甲はかつての漆黒の装甲とは異なり、赤、白、青とヒーローロボットな配色に変更されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「敢えて名乗るなら、機竜王…『ファルムート』!!!

 

 

 

 

 

 

 

新たな戦士へと進化したファルシオンの反撃は始まる……

 

 




NEXT…


進化したファルシオンはサイレント・ゼフィルスの猛攻を容易く翻弄した。

だが、さらなる増援にロボマルスは感じていた嫌な予感が的中する……


次回「驚愕・俺達の強敵」


「久しぶりだ……というべきかな?」


「やっぱり、あなたなんですね…ドクター・ゼロ!!」
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