エルネスティ・エチェバルリア。
小人族、16歳。
魔法大国アルテナ出身。両親は健在。
7歳時に飛び級で学園の高等部に特別入学するも実験の最中に失敗し爆発事件を起こす。人的被害はなかったものの物損被害が酷く、その前にも色々やらかしてしまっているエルネスティはアルテナを追放される。
魔法大国アルテナを追放となったエルネスティは迷宮都市オラリオを訪れ、鍜冶大派閥である【へファイストス・ファミリア】に入団しようとするが偶然居合わせた破天荒と傍迷惑の権現『ロキ』と遭遇、エルネスティを見た瞬間に『可愛い~!?萌え~~!?』と雄叫びを上げながら脇に抱え拉致る。
【ロキ・ファミリア】の本拠地である『黄昏の館』のロキ自室に連れ込まれた後、服を脱がされ問答無用に血を与えられ眷族となり、魔法種族と呼ばれるエルフより強力な魔法力と奇跡が使える事が発覚。リヴェリアの弟子となり現在に至る。
朝食のパンを食べながら聞いていたベル・クラネル。
僕、ロキ・ファミリアを訪れた時は門前払いだったんですけど。その他の派閥も断られ続けて10連敗以上しましたよ。
田舎出身で前職農民、あげく武器なんかも持たず手ぶら。見ただけでファミリアに寄生する気満々の世間知らずの田舎者に見えたベル・クラネル。
更に『容姿端麗であり魔法に秀でたエルフ』『力に優れ下位のモンスターとなら恩恵なしでも渡り合えるドワーフ』『闘争心の塊であるアマゾネス』『鋭い五感を持つ獣人』は優遇される傾向にあるが、『ヒューマン』と『小人族』は他種族と比べて見劣りするといわれている。
エルさんに聞くとエルさんの持ち物は武器などは持っておらず参考書や書き貯めた設計図や筆記具等をサポーターが背負うようなバックパックにパンパンになるまで詰め込んだ巨大なバックを背負っていただけらしいけど。
え?その可愛いらしい外見だけで都市最大派閥である【ロキ・ファミリア】に入れたんですか?
「あの、エルさんは何で【ロキ・ファミリア】を辞めたんですか?はっきり言って【ヘスティア・ファミリア】は貴方のような、本物の英雄がいるべき場所じゃないですよ。同じ探索系のファミリアですけど、団員は僕一人ですし、神様にバイトさせてしまうほど経済的にも、本拠地だって廃棄された教会の地下部屋ですし、」
Lv.7となりオラリオの頂点である【王者】と肩を並べた【銀凰】エルネスティ・エチェバルリアがオラリオ最弱のファミリアと言ってもいい【ヘスティア・ファミリア】に入団するのは世界にとって損失以外にないのでは。
「僕は悲願を達成するために動き出すのですよ。そう!浪漫を追い求め!遂に!遂に!それを成し得るスキル、魔法を手に入れました!全てのピースが揃ったならヤるしかないでしょ!今ヤらなきゃいつヤるんですか!今でしょ!」
近い!エルさん顔近い!
突然恍惚の笑みを浮かべ舌舐めずりをしながら、ある種の色気を撒き散らしながら椅子に座っていたベルの上に跳び乗ってきてキスされるかと思うほどにベルの顔に近づけ力説するエルネスティ。
うわっ!何か良い匂いが!クラクラしてきた!あ、下半身が反応しちゃてるんですけど!男相手に反応しちゃてるんですけど!悲しくなるんですけど!
エルネスティは自身のお尻に何か硬いモノが当たってるのに気付いたが知らんとばかりに気にせず話を続ける。
「男の浪漫!ロボットを作ることです!」
ロボットとは?
男であるエルネスティに欲情の念を抱いてしまったことがバレないように、誤魔化すために、時間を稼ぐために何気なく発したベルの一言によりエルネスティは爆ぜた。
「よくぞ聞いてくれました!ロボットとは人の形を模した鋼鉄の巨人の事です!僕はそれを創るだけに人生を捧げる覚悟があるんです!理屈ではないのです!その力強さに!その格好良さに!ロキ・ファミリアにいた頃はダンジョンの中では実用性がないと費用がおりず、仕方がなく自身の稼ぎで研究する日々。毎日事務仕事、ダンジョン探索、研究の繰り返しの毎日!しかし!もう我慢出来ません!できないのです!ロボット開発に必要な物がほぼ揃っているというのに開発に乗り出せないほどの毎日の激務!僕はロボットを愛してるんです!いや!僕はロボットしか愛せないのです!今までは試験機としてパワードスーツ型『幻晶甲冑(シルエットギア)』で我慢してきましたが、もうやり尽くしました!やはりロボットは3m以上なければなりません!人が乗り込むコックピットがなければいけません!ベル・クラネル!貴方もハーレムという男の浪漫を追い求めているのなら僕の気持ちをわかってくれますよね!さあ、共に男の浪漫を追い求めていきましょう!!!???」
その頃、【ロキ・ファミリア】の本拠地『黄昏の館』。
「うわわわわわわわわん!エルくうううううん!私のエル君があああああ!私のエル君があああああ!」
「うるさいわよバカティオナ!もう諦めなさい!エルは自分の意思で出て行ったのよ!」
「エルくうううううん!エルくうううううん!何でいないのおおおおお!私、エル君の事好きだったのにいいいいいい!」
「別に亡くなったわけじゃないでしょ!オラリオにはいるんだから会いに行けばいいでしょ!」
「もうエル君なしじゃ眠れないよおおおおお!エル君抱き枕がないと眠れないよおおおおお!エル君!エル君!エル君!私も改宗するううううう!一緒じゃなきゃヤダヤダヤダヤダ!」
「子供かっ!駄目に決まってるでしょうが!」
正式にエルネスティ・エチェバルリアの改宗が決まった日から泣き喚き自身も改宗すると駄々をこねるティオナ。
「レフィーヤ、頼みがある」
「はい、何でしょうかリヴェリア様」
「街に私が病床に伏したと噂を流してくれないか」
「は?」
「母親の私が病気で倒れたと知ったら必ず心配して戻ってきてくれるはず!エルは優しい子だから!」
「いやいや、何言ってるんですか!リヴェリア様の種族はエルフですから!兄弟子のご両親は小人族ですから!ご存命ですから!」
「何を馬鹿な!私がお腹を痛めて産んだんだぞ!アイツが赤ちゃんだった頃におっぱいをあげたり、おしめも私が、」
「何を言ってやがりますか!兄弟子がオラリオに来たのは7歳くらいの時でしょ!記憶を捏造してんじゃないですよ!あとそんな噂を流したら街中のエルフの方々がパニックを起こしますよ!」
「エルが横にいない世界なんて滅びればよいのだ。というか私が直々に滅ぼしてやろうか?」
「リヴェリア様!?」
正式にエルネスティ・エチェバルリアの改宗が決まった日から自室に篭る【ロキ・ファミリア】の副団長リヴェリア。
「ガレス、僕は、頑張った、かい?」
「おう、立派じゃったわ!今はゆっくり休め!あとは儂がやっておく!」
「ありがとうガレス・・・リヴェリアは、まだ怒っているかい?」
「ん?アヤツはお前を痛め付けた後は自室に引き篭っておるわい」
「不甲斐ない僕に愛想尽かして出て行ったかと思ったよ」
「すまんな、止めてやれなくて。割って入ろうとした瞬間に死が見えたんでな」
「ははは、僕は今生きてるのが不思議なくらいだよ」
正式にエルネスティ・エチェバルリアの改宗が決まった日、リヴェリアにダンジョン17階層に完全装備で一人で来いと真っ赤な血文字で書かれた文が団長室のドアの隙間に挟まっており、親指が疼くどころか痛みを感じる警告レベルの勘が働くも大人しく向かうフィン。ダンジョンに向かうフィンの姿は、ティオネ曰く死刑台に上がる罪人のような後ろ姿だったらしい。17階層で瞳から光沢が消えて焦点が合わずに虚ろ目になっている状態のリヴェリアが待ち構えていたおり、『お前がランクアップすればエルは私の元に帰ってくるはず・・・だからフィン・・・今すぐ限界を越えろ』と決闘となった。
心配になりフィンの後をつけていたガレスは隠れて決闘の様子を見ていたが、隠れていた場所から途中で止めようとするも一歩も動けず、その時のリヴェリアから畏怖、種族としての、個体としての隔絶した力の差。絶対的な存在としての隔てり。
間違った母性本能を全開にしたリヴェリアは、まるで迷宮の孤王のように見えたらしい。
結局フィンはランクアップできはしなかったが、リヴェリアとの決闘でLv.6であるはずのフィンが得た能力値熟練度、驚異の上昇値トータル300オーバーを叩き出したが、代償も大きくフィンは未だベッドの中で休息を余儀なくされていた。復活するとまたリヴェリアに襲われる危険性があったためだ。