流星の魔法少女   作:消火酵素

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契約なんてしなきゃよかった
プロローグ


都内、某高層ビル屋上━━━

 

 

 

一人の少女が高層ビルの屋上に立っていた。

 

 

 

この場に立つにはあまりにも異質過ぎる少女は、ともすれば紺と白を基調としたセーラー服にも見える服を着ていて、学校指定にも見えるローファーを履いている。ただセーラー服と違うのはその紺のスカートが非常に短いことと制服の上が臍が見えるくらいに短いこと、ローファーの両アウトサイドや首元や両腰に星形のオブジェクトが付いていることなどが挙げられる。

 

 

 

また、彼女は紺色の肩にかかるくらいのストレートヘアで前髪を星のオブジェクトが付いたピンで留めているが、それが幼さを醸し出している。

 

 

 

しかし何よりも彼女を異質足らしめていたものは黒いハーフフィンガーグローブを着けた右手に握られているステッキだろう。ステッキのグリップ部分は紺色、それ以外は金属質で先端には金に輝く星型のオブジェクトが付いている。

 

 

 

そのステッキを握りしめ、深い藍色の瞳の中に星形の瞳孔の入った、眠たげにも見える目を細めて、少女は街を睥睨する。

 

 

 

夜であってなお昼のごとき輝きを失わない一千万都市の光は田舎者の少女には眩しすぎる。

 

 

 

首をぐるりと回して確認すれば。

 

 

 

「...見っけ」

 

 

 

少女が纏う雰囲気が一変する。風が吹き上がり髪を揺らす。

 

 

 

「行くよ...杖子さん」

 

 

 

「了解しました、ご主人様」

 

 

 

スゥ、と息を吸って、言い放つ。

 

 

 

魔法少女式(マジカルマジック)私を星に(フライングメテオ)』」

 

 

 

ビルの屋上から、少女は飛び出した。

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

都内、ある路地裏━━━

 

 

 

ある女子高生が、路地裏で壁を背にして追い詰められていた。いつも近道として利用していた道だが、今日に限ってはそれは失敗だった。

 

 

 

少女の前には醜悪な姿をした、例えばRPG風のゲームでは「オーク」と呼ばれているような怪物がいる。

 

 

 

ほんの数ヶ月前から姿が確認されるようになった異形のモノたちの一体。

 

 

 

涎を垂らし、目を血走らせて一歩一歩近づいてくる姿には嫌悪感以外の何物も感じられない。

 

 

 

追い詰められてた少女は涙目になりながら助けを叫んだ。

 

 

 

「誰かぁ!誰でもいいから!助けて!お願いだから!」

 

 

 

怪物オークの手が彼女に触れるかと思われた、その時。

 

 

 

「...穿て、極小流星(メテオスナイプ)

 

 

 

キラ、突然と空が輝いた。

 

 

 

同時に凄まじい速さで何かが飛来し。

 

 

 

「ひっ」

 

 

 

オークの体を突き破り、無惨な肉塊に変えた。

 

 

 

血が飛び散り、怯える少女の前に人が降り立った。

 

 

 

「大丈夫ですか?」

 

 

 

手を差し出され、その手の主の姿を認識した時、少女は息を飲んだ。

 

 

 

目の前に立つ女の子は、まるで、創作物の中から出てきたような姿をしていて。

 

 

 

差し出された手を握りながら、思わず呟いた。

 

 

 

「魔法...少女?」

 

 

 

その声は少女に届かなかったのか、なんら反応が返されることはなかった。

 

 

 

「とりあえずは...何かされなかった?」

 

 

 

眼前の魔法少女(仮称)がそう問うてくる。

 

 

 

「はい...大丈夫でした」

 

 

 

「そ。なら警察呼んで。多分なんとかしてくれるはずだから。あと、私のことはちょっとぼかして話してね。あんまり知られたくないから」

 

 

 

そう言って「気を付けてね」なんて言いながら、魔法少女は飛び立っていった。

 

 

 

ぽかんとしながら飛び去って行った先を見つめていたが、一つ脳裏に思い起こされたことがある。それは、近頃出現し始めた怪物を狩り、市民を助けてくれるどこからともなくやってくる謎の少女がいるということ。実際に助けられた人もおり、都市伝説になっていた。

 

 

 

先ほど去った少女と助けられた人が語った特徴は全く一致していた。

 

 

 

紺のショートヘアーに星付きのヘアピン、セーラー風の服に超ミニの紺色のスカート、白いニーハイソックスに星型の付いたローファー、日曜朝の魔法少女のステッキ、惹き込まれるような深い紺の瞳の中の星の瞳孔。

 

 

 

何から何までが一緒だった。

 

 

 

しばらくして少女が呟く。

 

 

 

「...推そ」

 

 

 

そうして都民の間では「ピンチになると現れて助けてくれる美少女魔法少女」の噂がまことしやかに囁かれ、ファンを得ていくようになった。

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

これは期せずして星を降らせることのできる力を手にいれてしまった少女の奮闘を描いた物語である。

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