独立先導者の成り上がり~盾の勇者は、ここからだ!!!~   作:やいさほー

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最近すごく忙しくてupするのが遅くなりました。まだ忙しいので亀更新になりそうですが暖かい目で見守ってくださると幸いです。






これからの進路

3人が檻から出ると、ゲバルは

暖かく3人を迎え入れた。

 

 

「……さて、代金だ。受け取ってくれ。」

 

 

ゲバルは代金の90枚の銀貨を

奴隷商人に渡す。

 

 

「……お代金、ですか。良いのですかな?

私に金を払って……」

 

 

少し自虐気味に笑う奴隷商人に

ゲバルは肩をすくめる。

 

 

「君に罪がない、という訳じゃないけど

奴隷商人をしないと生活出来ないなら、

それまで奪う気は無いよ。

……その代わりこれから俺が来た時には、

また他の人達を外に解放して欲しい。

勿論、その時も金は払う。」

 

 

 

「貴方様は不思議な方ですなぁ。

そこまで奴隷という身分が嫌いならば

私を殺してでも皆を解放すれば

良いでしょうに、お優しいというか

甘いというか…」

 

 

「俺があくまで許せないのは

この制度を黙って見過ごしている

1番上のお偉い方だ。椅子にドカッと座って、

権力も持っているのに何もしない…

そんなお偉い方がね。

……長く話しすぎたね、さぁ、行こう。」

 

 

ゲバルは3人の肩をポンポンと叩き、

そのテントの外に出た。

 

 

「あの…ありがとうございます。

命令があれば、なんとでも……」

 

 

ウサギの男が口を開くと、ゲバルは

それを停めさせた。

 

 

「命令は無いよ、仲間なんだからね。

もう君は奴隷じゃないんだ、勿論2人も。」

 

 

リザードマンとラフタリアの方にも向けて、

ゲバルはそう言った。

 

 

「…さて、改めてもう一度言っておこう。

君達には自由がある。

戦わずに普通に暮らす事も出来るんだ。

暖かい場所でゆっくりと

家族のように過ごすことも許される。

それを望むなら、俺は全力で叶えよう。

…それでも戦いたいのなら、そう言ってくれ。

それもまた、全力で叶える。」

 

 

彼がこだわったのには訳がある。

 

 

親からの厳しい戦闘教育、

海賊になって強奪までしないと

支えられなかった貧しい民達の生活、

そして最後は犠牲者を出しての軍隊の結成……

 

 

ゲバルに選択肢は、用意されてなかった。

ひとつしか道がなかったのだ。

 

 

だが、彼らは違う。自分が辿った厳しい道を

わざわざ往かせる必要は無いのだ。

選択肢を与えられる。

 

 

「…その、ゲバル様、俺は……

強くなりたいです……ダメ、ですか?」

 

 

 

「俺はそれを全力で支えるよ。

それで後悔がないならね。」

 

 

ゲバルが含みある笑顔でそう言うと、

ウサギの男は嬉しそうにした。

 

 

「良いんですか!ありがとうございます…!」

 

 

「…あの!私も、そうしたい…ゴホ、ゴホ……」

 

 

そこに割って入るようにラフタリアが

同じ道を歩むことを決めた。

 

 

「そうか…大変だよ、本当に後悔はない?」

 

 

「は、はい!」

 

 

ラフタリアが精一杯元気よく返事をすると

ゲバルはニコリと笑った。

 

 

「良し!…んじゃあ、君はどうする?」

 

 

リザードマンの方にゲバルが声をかけると、

彼は無言で頷いた。

 

 

「そういう事、だね?」

 

 

そう言うと、彼は少しだけ頷いた。

戦いに連れて行ってくれ、という返事なのは

言うまでもなかっただろう。

 

 

「じゃ、じゃあよろしくお願いしますッ!」

 

「わ、私も……!」

 

 

「そうだね、それじゃあ…おっとその前に、

ひとつ言って置くことがある。」

 

 

急に3人に対し険しい顔をしたゲバル。

彼らが身を固めると、ゲバルはこう言った。

 

 

「様付けはしないでね♪堅苦しいよ、仲間なのに…あだ名でも良いくらいだけど、

呼びにくいならボスって呼んでくれ。」

 

 

ウサギ男とラフタリアは、

豆鉄砲を食らった鳩のような顔をした。

リザードマンはなおも寡黙だったが、

少し可笑しそうに口の端を上げた。

 

 

そして各々が決意表明を終えたあと、

ゲバルは彼等の服を変える為に武器屋に寄った。

 

 

「……アンタ……」

 

 

ゲバルと連れの3人を見て、

店主は何を言うべきか

分からなさそうな顔をした。

 

 

「3人の服と防具が欲しいんだ。

これからずっとこれで過ごすなんて

酷な話だからね。」

 

 

「…まぁ、何があったのかは聞かない。

そうだな、防具はすぐ用意できるが…

服は流石に売ってねぇ。店を紹介するから

そこに行ってくれ。」

 

 

「…ありがとう。じゃあ、動きやすい

防具を3人分お願いするよ。」

 

 

「3人とも……って、リザードマンと

ウサギ耳の兄ちゃん2人組はともかく、

その子供にまで戦わせるのか?」

 

 

「ウン、強くなりたい、戦いたいって

言ったからね……俺はその意志を無視しない。」

 

 

ラフタリアは小さく頷いた。

 

 

「……そうか。とりあえず、

3人分の防具を用意するぞ。」

 

 

そう言って、店主は奥に入っていく。

しばらく経ったあと、

彼は防具をいくつか持ってきた。

 

 

「値段だってあるからな。色々あるから

考えて買ってくれ。少しなら値引きもするぜ。」

 

 

「アリガトウ、ミスター。

…さて、じゃあ買おうか。」

 

 

「…感謝します。」

 

 

「あ、ありがとうございます!」

 

 

リザードマンも深深と頭を下げる。

 

 

そのまま3人に合う防具を選び、

装備させる。代金は銀貨50枚程度だった。

 

 

「皆良い格好だ。ミスター、

お代を受け取ってくれ。」

 

 

ゲバルは店主に金を手渡し、

そのまま店を出る。

 

 

そして3人で服を買い、体を清潔にした後

街に向かい、そのまま飯屋に寄る。

飯を終えたあとは、3人で

泊まれる様な準備をして草原に向かった。

 


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