今日は座学、基地の一室を借りてやることになった
関係ないが、プロジェクターとかスクリーンとか凄い良い奴使ってるらしくノートの書き取りや画像の認識に苦労しないのはいいな
「それじゃ早速始めるよ、まずはそもそもこの部隊について話していくわね」
部隊の成り立ち、今までの行動記録等を話してくれるのは416ではなく45
どうやら戦術面では45が、技術的な面は416が担当するらしい
「そもそも私達404小隊は、表向きには存在しない部隊になってるって話はこの間聞いてるよね?」
「クルーガーさんが言ってたやつか」
「そうよ。だから、基本的にほかの戦術人形とかと接触した場合は、私達と会った記録を抹消してるの」
なるほど、存在しないなら記録にも残すのは駄目だしな
とは言え、戦闘になったら記録には残りそうだが
「戦闘記録については私が改竄してるから大丈夫よ。そこの許可も取ってるしね」
「さすが用意周到だな」
「ありがと、それで次行くわね」
スライドが入れ替わる
今度は今までの作戦について話すということか
「私達はブラックオプスも担当してるから、諜報から前線の偵察潜入もするわ。勿論、危険も伴う事になるけどね」
「ん?この人権主義者対策プロジェクトっていうのは?」
「これね。まぁ、私たちをよく思わない人やG&Kに危害を加えそうな奴を対象にしたプロジェクトよ。言わなくても察してるんじゃない?」
「おっけー理解した」
つまりはそういう事だろうな、人間も対象ってことね
「次に戦術的な事になるんだけど……」
次のスライドに移って陣形が分かりやすく表示される
「サブマシンガンの私とナインが前衛に出て陽動と撹乱を担当、416とG11がそれを倒していくって言うのが基本的になるわ」
「補足するわ。私たち戦術人形には、それぞれの相性みたいなものがあるの。だから45たちが前衛で、私とG11が後衛に当たってるわ」
「416の言う通り、サブマシンガンにはアサルトライフルに、アサルトライフルはサブマシンガンにお互い有利になるよう補正値がかかるようになってるの」
「そう聞くと404小隊ってお互いを補正値でカバーし合ってるってことか」
「その認識でいいわ、でも戦場じゃそんな理想の動きは出来ないの。時には前衛と後衛が入れ替わったりするわ、今からはその動き方について教えていくわね」
その後、午前中は45による戦術講座で終わった
午後からは416による技術的な座学に入る
「午後は私が担当するから、居眠りなんてしたら分かってるわね」
「勿論です、教官」
「だから教官って呼ばないでって何度も言ってるじゃない」
全く!と言いつつスライドを準備する416
「まずはこれを見てもらうわ」
そう言って映し出したのは416が射撃をしている様子だった
「今流してる映像はある任務に就いているときの映像よ、これを見ながらあらゆる戦闘技術について教えるわ」
「市街地戦闘か」
「ええ、山岳系についてはあなた得意でしょう。だから苦手な市街地に焦点を当てていくわ」
確かに市街地戦闘は訓練としてやった覚えが2回くらいしかない
久々に1から、いや0スタートだな
「レイブン、このシーンだけど何故前に出なかったと思う?」
「意図して敵が下がったから?」
「よく見てるわね、でもそれだけじゃないわ」
416は機材を操作し別のタブを表示した
表示されたのは地図と各人の位置が示してあるマーカー
「このときG11はリロード中で援護できる体制ではなかった。それに加えて、45やナインも位置につけてなかったの」
なるほど、味方の状況も掌握しておかないといけないのか
勉強になるな
「とは言っても、これは戦術人形だからできる事よ。今、貴方に対応したデバイスを発注してるわ。それが届いたら今話してることも出来るようになるから、この座学でしっかり理解しなさい」
「了解、ついでに聞きたいんだけど、そのデバイスってどういうやつなの?」
「聞いた話だけど何とかエックスのダブルなんとかって言ってた気がするわ。とりあえず次行くわよ」
その後、適度に休憩をはさみながら実施した
さすが特殊部隊、中身が濃ゆかった
ついでにデバイスが早く届いてほしい
次の日
俺宛に荷物が届いた
「話聞いて次の日に届くとは」
「これくらいの荷物ならすぐ届くよ?」
「と言ってもなぁナイン、結構ハイテクじゃないのこれ?」
もとの時代だと軍用モデルなんて見たことないんだが
と思っていたらナインから衝撃の一言
「え?これって指揮官とかじゃなくても持ってるよ?と言っても、ちゃんとした身分証持ってないと買えないけどね」
なん……だと……
こっちじゃそんな普及してんのかよ
まあ、ここはそういうモノだと納得しよう
「おお、レンズはブラックだけどクリアレンズ並みに見やすいな」
「つるの根本にボタンあるでしょ?それ押してみなよ!」
「これかな?」
ボタンを長押しすると、画面に制作会社のロゴが現れた
IOP&16Lab、確か戦術人形を制作と研究している会社だったっけ
ロゴが消えると視界にマップと、手にした銃の残弾管理が出来る表示が出た
「戦術人形って感覚的に残りの銃弾とか管理するけど、人だと可視化しないと難しいからね!」
「なるほど、確かにこれは使いやすい」
軽く頭を振ったりするけどズレないし、HUDも邪魔にならないくらいのサイズ感だ
「でも、これを持ってもまだまだ作戦に加入するには実力が足りないかな」
「そんなことないと思うけどなぁ?だって、416が珍しく褒めてたよ!射撃が得意な分だけあるって!」
「そんなこと言ってたの?」
「うん!それに近々偵察任務あるみたいだし、いよいよ実戦だね!」
え?そんなの聞いてないよ?
これは後で45に聞かないとな
「マジか、偵察とは言えども実戦は緊張するな」
「大丈夫!何かあったら助けてあげるから!」
女の子の助けが必要になるとは、流石に自信なくすなぁ
彼女達のほうが実戦豊富なのは知ってるけど
「そうならないようにしたいな。ま、荷物も届いたし、色々調整とか45に聞きたいこともできたからちょっと行ってくる」
その後、45に任務について聞きに行ったところ
「ごめんねぇ、忘れてたぁ」
と言われ、内心絶対わざとだなと思ったのは言うまでもない
あれから数日、デバイスもといHUDの調整や陣形等の話し合いや、非常事態の対応について細かく調整し、遂に命令が下りた
「実戦なんて初めてあったとき以来だけど、大丈夫かな」
「心配性ね。私が訓練したんだから、しっかりやれば大丈夫よ」
「ふふっ、416の一番弟子だもんねぇ」
「ぶっ飛ばすわよ45……!」
これから戦地に行くと言うのに、流石だなぁ
今はヘリポートにてヘリが来るのを待っているが、小隊は割と気楽なムードだ
「うぅ……眠いよ……」
「これが終われば帰って好きなだけ寝れるぞG11」
隣にいるのはいつも眠そうにしているG11だが、これでもやる時はやるんだからな
その時、丁度ヘリの音が聞こえてきた
「やっと来たか」
そのヘリはゆっくりとヘリポートに着地してドアを開いた
「それじゃ、皆行くわよ」
45の掛け声に合わせてヘリに乗り込み、現地を出発する
行き先は鉄血エリアの手前付近、そこからは徒歩機動による潜入活動になる
「関係ない話だけど、このヘリってコードネームなんだ?」
何となく聞いてみる
「確かスーパー64だったと思うよ……」
「……」
聞いた瞬間に真顔になってしまったのは悪くないと思う
多分404でこの話を知ってるのは俺だけだと思うし
「落とされたら洒落にならんぞ……」
とにかく無事に現地に着くことを祈るしかないが、その祈りが通じたのか五体満足で潜入開始点に到着することができた
「はぁ……変な汗かいた」
「ただヘリに乗っただけじゃない、もしかして高い所苦手なのぉ?」
45、こっちは笑い事ではなかったんだぞ
機内でしきりに窓の外見てたんだから
「CP、こちら404。これより潜入を開始する、終わり」
この作戦のオペレーターを担当する名も無き人に通信を入れる
あとは何かあった時に連絡するか、終了報告以外では特に連絡しないだろうな
「これから鉄血エリアに入るから、通信は封鎖しなさい。あとはハンドサインと短距離秘匿回線で行くわ」
「了解、45」
無線の電源を落としてバックパックに収める
ゆっくりと闇に消えるか如く、俺達は前進する
道中敵の巡察と歩哨ヲ見つけてマップに書き込んでいく
これが後でここを攻める部隊の情報となるのでできるだけ詳細に書く
「みんな止まって」
45が部隊を止める
秘匿回線で前方に敵が居ると報告される
しかしただの敵ではないらしい
「確かアイツはスケアクロウね」
「鉄血のエリートか」
「そうね、アイツの周りで浮いてるのが唯一の攻撃手段たけど、すばしっこい上に防御も硬いわ」
「どうする?」
「とりあえず一旦下がりましょ、交戦する理由がないもの」
発見した位置から大きく迂回し潜入活動を続ける
かなりの時間、移動と偵察を繰り返したので安全地域にて休息を取る
敵の陣地で安全地域なんてないようなものだけど
「レイブン、体調は大丈夫かしら?」
「ありがとう416。まだ元気有り余ってるよ」
416からレーションを受け取りながら返答する
今は廃ビルの中程の階で休息中である
にしてもこのレーション、意外とうまい
味付けが絶妙にキマってる
「これからどうするんだ?」
「ここからしばらくは監視を続けるらしいわ。見つからなければここで3日程、見つかる可能性があるなら移動して監視を続行ね」
「見つからない方に賭けたいな」
「あら、弱気になってるの?」
「戦って死ぬよりも、安全に帰る方が断然いいからね。戦場だとちょっと臆病なくらいが丁度いいって、誰か言ってたし」
食べ終わったレーションを見つからない様に処分して監視についてるG11の元に移動する
「G11、交代するぞ……おい?」
「んあっ……なんだレイブンか……」
「何だじゃないぞ、交代だ。代わるから仮眠とってこい」
「ありがと……ふぁ……」
欠伸をしながら下がるG11だが、ちゃんと見てたんだろうか……
そう思いながら手元の双眼鏡を覗く
「1900変化なし、と」
手元の資料に書き込んで窓際の壁に寄りかかる
敵の歩哨や巡察に大きな変化は見られないし、鉄血のエリートもあれから見てない
「今のところ順調と言ったところかな」
壁に穴が空いているので、露出しすぎない程度に外を監視する
休憩していた階よりも更に上に居るので全体の見通しは良い方だ
「こうしてると、前の世界を思い出すな」
日が暮れて、月明かりに照らされながら道なき道を歩いたっけ
そういや、仲良かった同期は元気してるかな
「今となってはいい思い出か。……お?」
敵の巡察を見つけた、3名か
「敵3名、東南方向に移動中っと」
約500メートル先に見えたので詳しい武装は見えなかったが、情報と照らし合わせる限り中距離型か
「ここら辺に敵の拠点があるのは間違いないな。情報ありがとさん」
双眼鏡を置いて見つからない様にまた隠れる
その後、特に変化事項もなくナインと交代した
そして予定通り3日目に離脱することになった
ヘリのLZまでは敵に悟られないように大きく回り道する
「特に何もなくてよかったね!」
「そうだね、怪我もなくてクリーンに任務達成だ」
空が明るくなりつつある時間帯をLZに向け歩いている
「……早く帰って寝たい……」
「シャキッとしなさい!全く……」
ともあれこれで任務完了、とは問屋が降ろさないらしい
「皆、止まって」
45の声で全員が止まり周囲を警戒する
耳を澄ますと、ほんの僅かに話し声が聞こえてくる
「ここに来て敵か?」
いつでも戦闘になってもいいように警戒レベルを引き上げる
「いえ、ただの民間人みたい」
「民間人?こんな所に何の用が……ッ!」
声のする所からいきなり銃声が聞こえてくる
応射してるだろう銃声も聞こえることから撃ち合ってるらしい
「ほんと最悪ね……!」
416が悪態をつくが、同じ気持ちである
「おいおいおい、なんかこっち来てないか?」
「すぐに離脱するわ!走って!」
すぐさまその場を離脱しながらLZに向かって走るが
ここでも問題発生
「初めまして、グリフィンの皆様。ですがここでさよならです」
スケアクロウと鉢合わせてしまうなんて、初任務でこれはハードモードすぎるだろ
「皆散開!」
45の指示どおり手頃な遮蔽物に隠れる
「45!フラッシュで何とかできないか!」
「だめよ、エリートには効かないわ!」
「マジかよ、それならこっちでアイツ引きつけるから何とかしてくれ!」
「分かったわ、持ちこたえて!」
クソ、ヘリの時間まで余り時間がないってのに!
とにかく銃を指向し射撃を食らわせるが、ドローンに殆ど防がれる
と言うか、マジで硬すぎるって!
「少しは手加減してもらいたいね」
「おや、泣き言ですか。そのまま死んでくれると嬉しいのですが」
「そんな簡単に死んでたまるか!」
とにかく今出来るのは時間稼ぎだけだ
倒すことに拘るなよ、俺
「うわっ!」
頭の上を貫通してったぞ!
この遮蔽物はもう役に立ちそうにないか!
「食らえ、てめぇ!」
遮蔽物から飛び出しながらフルオートで撃ちまくる
「くっ、悪足掻きを……!」
スケアクロウが防御している間に、次の遮蔽物にたどり着いた
「45!まだか!」
……返事がない
「おい!返事しろ!」
「フッ、404に見捨てられたのね」
そんな事はない
あっていいはずが無い
「嘘だ、ウゾダドンドコド!」
「残念ですが、これが現実です」
「お前たちとは……仲間じゃなかったんで……ヴェ!」
いつの間にか接近していたスケアクロウにぶっ飛ばされる
痛い……
数メートル投げ飛ばされたぞ、怪力すぎんだろ
「これでお終いです」
ドローンの銃口がこちらを向く
「ここまでか……」
「なにか言い残すことはありますか?」
言い残すことか……
やっぱり、こう言うしかないじゃん
「この程度……」
「聞こえませんよ?今なんと?」
スッと顔を上げて
自信満々言ってやる
「この程度、想定の範囲内なんだよ……!」
瞬間スケアクロウが爆炎に包まれた
この威力は……!
「待たせたわね」
「遅かったじゃないか、416」
404の唯一のグレネード持ちの416が来た
実のところ、416がスタンバっていたのは見えていた
「貴方が丁度いい位置に投げ飛ばされたから、やっと仕留められたわ」
「時間かかってすまんな」
今も爆炎に包まれているスケアクロウをスルーして、今度こそLZに向かって走る
「416、レイブン急いで!」
いつでも飛べるように待機していたヘリに飛び乗り、作戦地域から離脱する
「間一髪だったな」
「レイブン、よく頑張ったわね」
「正直待機してる416見てなかったら諦めてたね」
後は帰って報告書をまとめるだけだな
ヘリに揺られながら、俺はそっと目を閉じた
次も頑張って書き上げるので、待てる人は待っててくりゃせ