元下士官と人形   作:FAZZ

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インスピレーションは色んなところから得てますので、ご了承下さい。

展開が早いって?
そんなこと言ったってしょうがないじゃないか、ダレる可能性を減らした結果なんです……


#4

初任務から2週間がたった

あの後は報告書を出して解散し、各々自由な時間となった

俺は特にやることもなかったため、起きて飯食って射撃して寝るを繰り返していた

 

「平和だな」

 

「どーしたのいきなり」

 

いま宿舎には45と俺しかいない

他の3人は買い物に行ってる

 

「特に任務もないし、恒常勤務だけだから暇なんだ」

 

「そういう事ね。それならちょっと体でも動かす?」

 

「何して?」

 

45は不敵に笑った

嫌な予感が……

 

「い、い、こ、と」

 

45に連れられるままやって来たのはVRシュミレーション室

通常のVRと違うのは、戦術人形用のフルダイブ仕様と言うこと

 

「コレでシュミレーションやるわよ」

 

「負けたら頭がレンチンされたりとかしないよな?」

 

「そんな物騒なものじゃないわ」

 

ずっと笑みを浮かべてるのが不安なんだけど

俺死なないよね?

 

「それじゃ、コレを被ってね」

 

「了解」

 

被ると目の前にダイブするかの表示が出ている

YESを押してダイブすると、恐らく同じタイミングでログインしたと思われる45がいる

 

「異常なくダイブ出来たみたいね」

 

「そうみたいだな、それで?何するんだ?」

 

「至ってシンプルよ、私達404と貴方で戦っていくだけ」

 

「味方として?」

 

「いいえ、敵として」

 

嘘だろ、冗談きついって

絶対死ぬやつじゃん!

 

「嘘だと言ってよ45。こんなの絶対おかしいよ……」

 

「大丈夫よ、痛みはそれなりに有るけど死ぬわけじゃないんだから」

 

「痛み有るの!?」

 

「当たり前じゃない、痛みがなかったら訓練にならないじゃないの」

 

ますます終わったじゃないか

しかもいきなりカウントダウン始まってるし!

 

「それじゃあ、頑張りましょう〜」

 

「え、ちょっ、まっ……!」

 

光が視界を埋め尽くしたと思いきや、いつの間にか建物の中にいた

マップを開いて、フィールドを確認する

全体の大きさは2キロ×2キロの正方形

荒廃してない市街地っぽい

現在地は右下に位置してるから、404は左上にいると仮定しよう

PMCは迷彩を使えないので、戦闘服をオールブラックにしたものを

銃はサプレッサーとホロサイトを付ける

あとは爆薬、C4でいいかな

 

「建物には入れるみたいだな」

 

一応建物に緊急回避出来ることを確認したら前進開始する

相手が纏まってくるのか、そうじゃないのかすら不明

しかも、こっちはワンマンアーミーと来た

多分、そこら辺の主人公なら燃える展開かもな

 

「でも、やってみたら分かる」

 

コレは絶対無理ゲーと言うことに

 

 

 

 

 

CPこちらレイブン、現在20回くらいを超えた辺りで数えるのを辞めている、送れ

いや、もうね、遊んでるわけではないのよ

初めの方なんて発見してないのに撃たれて死んで

やっと見つけたと思ったら集中砲火で死ぬし

ちょっとだけダメージ与えたと思いきや普通に撃ち返されてゲームオーバー

少しずつ良くなってんだけどね

最早訓練というのを忘れて顔真っ赤にして逆襲に燃えてますよ

 

「野郎(女)ブッ殺してやぁあある!」

 

人は怒りに身を任せると大抵沼にハマりがちだが、軍隊時代の賜物か頭はクリアに、心はヒートに落ち着いている

 

「手足なんて撃ってやるもんか、眉間をブチ抜いてやる!」

 

移動してクリアリングを繰り返してひたすら前進する

 

「見つけた」

 

建物の2階部分に隠れてるG11を見つけた

運がいい、丁度明後日向いてる

今回もある程度バラけて移動してるらしい

と言うか、途中で動き変わったような気がするんだよな

レベル上げやがったか?

 

「すまんな、G11。早めに仕留められて嬉しいよ」

 

迷いもなく脳天を撃ち抜いた

全般通して初めてのキルだ

 

「次だ」

 

恐らく、音信不通になったのを確認しに来るはず

気づかれる前に罠を仕掛けよう

壁にG11を寄りかからせて、寝ているように見せかける

背中側にC4を設置し、建物から離脱

 

「さあ、来いよ」

 

と言っても、余り長くいては時間の無駄になる

最悪来なくても爆発音で気を逸らせるはず

 

「来ないな」

 

すぐさま割り切って移動する

あそこにG11が居たということは残りも近いハズ

適当な建物に入って残弾の確認をしようか

 

「5.56が5弾倉に、C4が一つか」

 

思ったけど弾薬とか少ないな、まだ3人相手にするのに足りるかな

いざとなったら416からスカベンジャーするか

弾薬確認も終わったし行くとしますかね

 

「あ」

 

「あ」

 

建物から出たらまさかのナインと遭遇

戦術人形相手にフリーズしてしまった

 

「やぁっ!」

 

「うぉっ!」

 

間一髪、相手のマズルチャージを払いのける事に成功

持ってる銃を手放して相手の銃を奪いに行く

 

「えい!」

 

「パワーがダンチすぎ!」

 

両手で押さえたのに簡単に振り解かれる

流石は戦術人形、でも良いのかなぁ

 

「両手が塞がってるぜ!」

 

「うわっ!?」

 

抱き着いてナインの両腕を、胴体ごと拘束する

更に間髪入れずに足を股の間に入れて足を引っ掛け押し倒す

 

「この距離なら銃は振れないな!」

 

「くぅ!」

 

身動ぎしているがこっちも必死にしがみついて放さない

と、ナインが急に足を俺の腰に巻き付けるように挟む

 

「おりゃあ!」

 

「痛っててて!」

 

腰を伸ばして無理やり引き剥がそうとするとは、流石プロですな

めっちゃ痛いけど!

俺の腰が逝く前に片付けなければ!

 

「コレで終わりだ!」

 

「うっ……ぐぅ……!」

 

右手を動かしてスリングで吊るしてあった俺の銃を、ナインの鳩尾に当てて撃つ!

数発撃ったらナインの抵抗が無くなり、そのまま撃破出来た

 

「不意遭遇戦は心臓に悪いよ」

 

動かなくなったナインを解放しその場を去る

今ので腰がやられた、鈍い痛みが走る

 

「416と格闘訓練してて良かった、絶対今までのままだったら死んでたのはコッチだ」

 

痛む腰を擦りながら路地裏に隠れる

コレであと2人、やれるか?

 

「ナイン!」

 

「……!」

 

416の声がする、今はスルーだ

こんな状態じゃ接近戦なんて無理

 

「まだ硝煙の匂いがするって事は、近くに居るわね」

 

感のいい奴は嫌いだよぉ……

もう泣きそう

 

「虱潰しに探すしかないようね」

 

冗談じゃないぞ、今の居場所バレたらヤバいって!

何か良い方法はないか!

あ、無い……さいですか

 

「こっちから硝煙の匂いがするわ」

 

匂いで察知できるのかよ、さてはオメーコマンドーだな?

待てよ、良い考えがある

ポケットからC4の起爆装置を取り出す

コレで気が逸れたらワンチャン!

 

「何!?」

 

爆発音に加えて衝撃が伝わって来る

これなら硝煙の匂いもごまかせる筈!

 

「なるほど、コレは陽動ね」

 

……ほんと、君みたいな感の良い奴は嫌いだよ!

もう最後の手段、出し惜しみはしねぇ!

C4に加工して……!

 

「食らえ!」

 

「……!」

 

路地裏から道路目掛けて投げる

しかし、殆ど至近距離で爆発したのもあり耳が……!

耳鳴りと目眩がする中、様子を見に行くと

 

「うっわ、グロい」

 

C4に埋め込んだ小石等が416をズタズタにしていた

生体パーツを使ってる分辺りが真っ赤に染まってる

 

「ようやく耳鳴りが収まったか」

 

ようやく普通に外の音が聞こえる様になって来たが

驚くことにまだ416は生きてる

 

「ヒュッ……ゴボッ……」

 

「……」

 

まだ生きてる416に銃を向ける

ふと、急に冷静になり始める

 

「成長……したわね……」

 

「416のおかげだよ」

 

「……顔色……良くないわよ?」

 

自分でも多分渋い顔してると思う

冷静になって、この訓練の意味に疑問を覚える

いつもの訓練なら仮想敵を出せばいいだけ

いかにこれがVRだとしても、味方同士で撃ち合う必要なんてあるのか?

だが、ここまで来てしまったんだ、負ける訳にはいかない

 

「許しは乞わん……恨めよ」

 

「これが……あなたの任務よ……向こうで待ってるわ」

 

減音された音と、薬莢が落ちる音が響く

一時の静寂

俺は416に敬礼し、その場を後にする

 

「次は45だけか」

 

気持ちを切り替えて前進する

外周は殆ど探し終えているので、恐らく中央にいるはず

 

「遅かったわね……言葉は不要?」

 

「45……」

 

開けた所に45がいる

しかし、開けているとはいえ、遮蔽物が散りばめられている

 

「待たせたな」

 

「ええ、待ってたわ。でも凄いわね、あの三人を相手に目立った傷も無いなんて」

 

「皆から沢山教わったからな」

 

さて、軽口はここまでだ

銃口を向けていつでも撃てるようにする

 

「ふふっ、この短時間で随分と成長したみたいね」

 

「お陰様でね」

 

唐突に45がこちらに向かって歩いてる来る

銃口はそらさないが、いきなりの事に思考が停止する

 

「止まれ」

 

「ねぇ、レイブン」

 

「止まらないと撃つぞ!」

 

「味方を撃つのってどうだった?」

 

上空に向かって一発発砲する

 

「こっちは本気だぞ!」

 

「ふふっ、怖がってる」

 

今度は足元に撃つ

 

「クソ……!」

 

「撃てばいいのに、撃たないの?」

 

息が荒くなる、引き金に力が入らない

動け、動けってんだよ!

早く終わらせて帰るんだ!

 

「今まで散々殺されて、やっとここまで来たのに?」

 

「45……!」

 

もう目の前にまで来た

何を思ったのか、45は自分の頭に銃口を誘導する

 

「レイブンは、私を殺さなきゃならなくなったら撃てる?」

 

「何言ってんだ……!」

 

「答えて、貴方の答えが知りたいの」

 

「撃てるわけ無いだろ、いったいどうしたんだ!」

 

だめだ変に冷静になってる分、力が入らない

ほんの僅かに手が震える、それでも指は動かない

 

「私はね、今の貴方と同じ状況になった事があるの」

 

「……」

 

「その時は、もうどうしようもなかった。撃たなきゃならなかったの」

 

彼女の瞳がこちらを見据える

何か黒いものを見たような気がする

目を反らせない、反らすことを許さない

 

「もしその時が来たら、迷わないで」

 

「どうして……!」

 

「どうしてこんな話をしてるのかしらね、どうかしてるのかも」

 

そっと45が頬を撫でる

 

「もしかしたら、貴方が一人ぽっちだったからかな」

 

「……45も一人だったのか?」

 

「ええ、404ができるまではね」

 

「それ、向こうに帰ったら話してくれるか?」

 

「……」

 

「頼む」

 

「……分かったわ、教えてあげる。何があったのか、だから」

 

私を撃ちなさい、そう言われてようやく指が動いた

引き金に指をかける

対して45は笑顔で待ってる

 

「もしかしたら、貴方にも似たような物を背負わせちゃうことがあるのかな」

 

「それが無いことを祈ってる」

 

引き金を引いた瞬間崩れ落ちる45を抱きしめる

もう息はしていない、あとはこの世界が終わるのを待つだけだ

帰ろう、我が家に

 

 

 

 

 

ようやくVR世界から離脱できた俺は、隣で起きてた45に近付く

周囲を見ると、404の全員がこの場にいた

 

「やっぱり全員ログインしてたんだな、どおりでやたらつよいワケだ」

 

「帰ったら二人がいないし、二人でダイブしてたから混ざろうかなって!」

 

「レイブン死にすぎだよぉ……」

 

「ま、最後は上手くできてたんじゃないかしら」

 

「……」

 

きっと、撃たれたあとはそのままログアウトしてたから、最期のやり取りは見てないんだろう

と言うか、割と軽いな、これが人間と人形の差と言うことか

 

「皆でご飯食べよ!疲れてるだろうし!」

 

「そうだな、準備してくれるか?」

 

「うん!416、いこ!」

 

「はいはい、出来たら呼ぶわ。……その間に45をよろしくね」

 

……もしかして見られてたか

小さく了解とだけ返しておく

 

「出来るまで寝ててもいい……?」

 

「アンタも手伝うのよ、この寝ぼすけ!」

 

そうして部屋からは45と俺以外が居なくなる

 

「レイブン、屋上行こっか」

 

45に誘われるがまま屋上に向う事にした俺は、訓練はじめの頃と比べて大人しくなった45に付いていく

屋上に着くと、既に外は暗くなっていた

 

 

 

 

 

お互い柵に寄りかかりながら遠くを見てる

少し冷える風が吹き抜けていく

隣の45は切り出すタイミングを考えているように見える

 

「今日……悪かったわね」

 

「気にすんな、何か思うところがあったんだろ?」

 

「……」

 

「45、知りたいと言っておいて何だけど、話す事が辛いなら無理にとは……」

 

「大丈夫、ちゃんと話すから」

 

それから45はポツポツと話し始めた

自分は、本当はどこから来たのか

そこであったこと

知らない間に、最悪な任務の片棒を担いでいたこと

そして友を失った事

 

「世界で存在が消えた貴方に、私を写してたのかもね」

 

「そうか……でも、今は違うだろ?」

 

こちらを向く45と目が合う

瞳に涙を浮かべて、今にも泣きそうな45の肩に手を置く

 

「俺達は、帰れる場所があるんだ。こんなに嬉しいことはない、そうじゃないか?」

 

「そうね、今は帰れる場所があるもんね」

 

「君の友も言ってたんだろ?自分のために生きてもいいんだ、って」

 

「でも、良いのかな。だって、私は……」

 

「……生きるもの全てに、春は来る」

 

「えっ?」

 

「希望を持つことだ、俺が感銘を受けた言葉だよ」

 

今まで色んなものを見てきた、そして学んだ

生きる事を諦めないこと

助ける事ができる力があるなら、助ける事を迷わないこと

たくさん学んだ

 

「沢山の経験を、辛い経験もしてきたと思う。でも諦めないでほしい、友の為にも、何より君自身の為にも」

 

「強いのね、レイブンは」

 

「そんなんじゃないよ。まだまだ未熟者だよ」

 

お互い空を見上げる

45を助けるのは難しいかもしれない、でも何とかしてあげたいのは本気だ

でも、心を治すのは本人にしか出来ない

 

「月が綺麗ね」

 

唐突に45がそんな事を言い始める

確かに月は綺麗に見えてる、人の営みが減ったお陰と言えるのが皮肉だけど

 

「俺にとって、月はずっと綺麗に見えてるよ」

 

「えっ……」

 

「お……?」

 

どうしてそんな意外そうな目で見てるの?

知らないと思ってたけどまさか、こんな古いの知っていたの!?

つい推しからそんな風に言われたらこう返しちゃったんだけど

 

「ふふっ、じゃあこれからも一緒に月を見てくれる?」

 

「これからも、一緒に月を見よう」

 

そう言ってまた月を眺める

その後は、呼びに来たナインが何していたのか45に聞いていたが

 

「内緒だよぉ」

 

と、やや上機嫌な45を見て首を傾げるナインがいた

食事を摂ったあと、45にどうして俺だったのか聞いたところ

 

「悩んでいた事を月までふっ飛ばしてくれたからかしらね。ま、私を重ねて見てたって言うのもあるのかな」

 

と言われ、45が過去から一歩前に進めたことに喜んだ

もちろん、選んでもらった事も嬉しいんだけどね

 

「今日はいい夢を見れそうだ」

 

こうして怒涛な一日が終わりを告げた




次はいつになるのか……出来れば最後まで(未定)お付き合いください。
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