やはり俺がありふれた職業なのはまちがっている。   作:辻谷戒斗

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お待たせしました。『やはり俺がありふれた職業なのはまちがっている。』第三話になります。
それでは、今回もよろしくお願いします。


第三話 ステータスプレート

 異世界に召喚された翌日の朝、俺達は訓練と座学などの説明のためと言われ集まっている。

 そして、集まった俺達に、十二センチ×七センチ位の銀色のプレートが配られた。

 なんだこれ……?

 周りの人達を見ても、俺と同じように不思議そうに配られたプレートを見ている。

 そんな俺達に向かって、騎士団長らしいメルドさんが直々に説明を始めた。

 

「よし、全員に配り終わったな?このプレートは、ステータスプレートと呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だからな、失くすなよ?」

 

 なるほど。いかにも異世界っぽい。

 しかしこれ、魔法陣みたいなものしか書かれてないが……どうやってステータスを表示するんだ?

 

「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう。そこに、一緒に渡した針で指に傷を作って魔法陣に血を一滴垂らしてくれ。それで所持者が登録される。『ステータスオープン』と言えば表に自分のステータスが表示されるはずだ。ああ、原理とか聞くなよ?そんなもん知らないからな。神代のアーティファクトの類だ」

 

 そんなふうに登録するのか……。

 でも、アーティファクトってなんだ?

 

「アーティファクト?」

 

 光輝も俺と同じくアーティファクトという単語が気になったのか、メルドさんに質問をした。

 

「アーティファクトって言うのはな、現代じゃ再現できない強力な力を持った魔法の道具のことだ。まだ神やその眷属達が地上にいた神代に創られたと言われている。そのステータスプレートもその一つでな、複製するアーティファクトと一緒に、昔からこの世界に普及しているものとしては唯一のアーティファクトだ。普通は、アーティファクトと言えば国宝になるもんなんだが、これは一般市民にも流通している。身分証に便利だからな」

 

 メルドさんからの説明を聞いて納得した俺達は、ステータスを表示するために指先に針をチョンと刺し、プクと浮き上がった血を魔法陣に擦りつける。

 そして表を見ると、文字が表示されていた。

 

===============================

比企谷八幡 17歳 男 レベル:1

天職:盗人

筋力:40

体力:40

耐性:10

敏捷:120

魔力:60

魔耐:10

技能:風属性適性・短剣術・窃盗・縮地・先読・気配感知・魔力感知・隠業・言語理解

===============================

 

 ……このステータスが強いか弱いかは分からないが、一つだけ分かったことがある。

 ……このステータス、完全に敏捷極振りのステータスだろ!?

 俺が自分のステータスを見て半ば呆然としていると、メルドさんが話し始めた。

 

「全員見れたか?説明するぞ?まず、最初に『レベル』があるだろう?それは各ステータスの上昇と共に上がる。上限は100でそれがその人間の限界を示す。つまりレベルは、その人間が到達できる領域の現在値を示していると思ってくれ。レベル100ということは、人間としての潜在能力を全て発揮した極地ということだからな。そんな奴はそうそういない」

 

 つまりはゲームみたいにレベルが上がるからステータスが上がる訳ではないってことか……。

 まぁ、ゲームと少し違うとはいえ、鍛えなければいけないことに変わりはなさそうだ。

 

「ステータスは日々の鍛錬で当然上昇するし、魔法や魔法具で上昇させることもできる。また、魔力の高い者は自然と他のステータスも高くなる。詳しいことはわかっていないが、魔力が身体のスペックを無意識に補助しているのではないかと考えられている。それと、後でお前等用に装備を選んでもらうから楽しみにしておけ。なにせ救国の勇者御一行だからな。国の宝物庫大開放だぞ!」

 

 ここもゲームとは違うのか……。魔物を倒しただけでステータスが一気に上昇するということはないみたいだな。地道に腕を磨くしかない。

 

「次に『天職』ってのがあるだろう?それは言うなれば『才能』だ。末尾にある『技能』と連動していて、その天職の領分においては無類の才能を発揮する。天職持ちは少ない。戦闘系天職と非戦系天職に分類されるんだが、戦闘系は千人に一人、ものによっちゃあ万人に一人の割合だ。非戦系も少ないと言えば少ないが……百人に一人はいるな。十人に一人という珍しくないものも結構ある。生産職は持っている奴が多いな」

 

 俺の天職は盗人か……。多分だが、『窃盗』に才能があるんだろうな。

 ……あんまりうれしくねぇな……。ま、俺なんてこんなもんか。

 

「後は……各ステータスは見たままだ。大体レベル1の平均は10くらいだな。まぁ、お前達ならその数倍から数十倍は高いだろうがな!全く羨ましい限りだ!あ、ステータスプレートの内容は報告してくれ。訓練内容の参考にしなきゃならんからな」

 

 この世界の平均は10なのか……。で、俺達はその数倍から数十倍高いと……。

 ……おかしいな。何度見ても耐性と魔耐が10なんだが……。

 おいおい……。紙耐久じゃねぇかよ……。

 

「マジかよ……」

 

「……どうしたのさ。ステータス、悪かったとか?」

 

 俺のボソリとした呟きを聞いたのか、隣にいた川……崎が話しかけてきた。

 ちなみに高校別で並んでいるため、光輝たちとは少し離れている。

 

「い、いや、めちゃくちゃ悪かったってわけではないんだが……。耐性と魔耐がクソカスでな……」

 

「ふーん……。ねえ。あたしのも見せるから、あんたのも見せてよ」

 

「まあいいぞ。ほれ」

 

「ん」

 

 川崎とステータスプレートを交換し合い、川崎のステータスを見る。

 

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川崎沙希 17歳 女 レベル:1

天職:操鞭師

筋力:80

体力:70

耐性:60

敏捷:70

魔力:70

魔耐:60

技能:風属性適性・鞭術・剛力・気配感知・隠業・言語理解

===============================

 

 ……普通にオールラウンダーだった。

 だが、技能の数は俺のほうが多いな。それでも羨ましいことに変わりはないが。

 

「……返す。まさかこんなに低いとは思わなかったよ」

 

「おう。お前とステータスを交換したいぐらいだ」

 

「ステータスの交換なんて無理だし、出来てもしたくないけどね」

 

「まぁ、だろうな」

 

「ほお~、流石勇者様だな。レベル1で既に三桁か……技能も普通は二つ三つなんだがな……規格外な奴め!頼もしい限りだ!」

 

 川崎と話していると、不意にメルドさんの声が聞こえた。

 そちらの方を向くとメルドさんと光輝がいた。

 どうやら光輝のステタースが高かったので、声を発したようだ。

 ……まぁあいつ、THE勇者って感じだもんな……。

 光輝のあとに続いて、他の生徒たちもメルドさんにどんどん見せていく。

 

「……俺達も行くか……」

 

「……だね」

 

 俺と川崎もメルドさんにステータスプレートを見せるべく、メルドさんのところに向かう。

 すると、結構早くに順番が回ってきた。

 今まで、規格外のステータスばかり確認してきたであろうメルドさんの表情はホクホクしている。

 そんなメルドさんに、俺は自分のステータスプレートを渡した。

 

「む!これは……」

 

 メルドさんは少し驚いたようだったが、すぐに表情を戻して俺のステータスプレートに目を通す。

 そして一通り見終わったのか、俺にステータスプレートを返してきた。

 

「盗人は、『窃盗』という技能に天性の才能を示す天職だな。『窃盗』という技能は、ある特定の相手から何かしらの物を盗むというものだ。盗める物はランダムで、何が盗めるか分からないらしい。一応、戦闘職に分類されるが……戦闘職の中では最もありふれていると言われている職業だな。しかし、本来盗人にはここまでのステータスも技能もないはずだが……流石は勇者一行の一人、と言ったところか。このステータスと技能なら充分戦えるだろう」

 

 なるほど……。つまり技能の『窃盗』は某カズマさんのスティールとほぼ同じだと……。

 ……いや使えねぇ……。しかも某カズマさんと違ってこっちは幸運値もクソもない完全なランダムだし……。むしろこっちのほうが悪いまである。

 しかしまあ、メルドさんが充分戦えると言っているのだからそこまで心配しなくていいだろう。

 まずは『窃盗』がどれくらいのものまで盗めるのかを確かめなければ……。後で誰かに協力してもらおう。

 ……協力してくれるやつ、いるか?いやまて、戸塚と光輝たちならワンチャン……。

 

「八幡。ステータスどうだったの?」

 

 メルドさんのところから離れて考えていると不意に左から声が聞こえた。

 その方向を見ると、そこには雫がいた。

 

「……雫か。どっちかって言うと悪い感じだな。見るか?」

 

「いいの?じゃあわたしも見せるわ。交換ね」

 

「おう。分かった」

 

 俺は先程川崎とやったように、雫ともステータスプレートを見せ合うことになった。

 俺が雫のステータスプレートを受け取り、雫は俺のステータスプレートを受け取る。

 

===============================

八重樫雫 17歳 女 レベル:1

天職:剣士

筋力:70

体力:70

耐性:50

敏捷:120

魔力:60

魔耐:60

技能:剣術・縮地・先読・気配感知・隠業・言語理解

===============================

 

 ……完全に俺の上位互換だった。

 でも、技能の数はまた俺の方が多いな……。もしかして、俺は技能が多いからステータスが低いのか?

 

「ありがとう。返すわ。八幡は技能が多いのね」

 

「そうみたいだな。どんなのかはまだよく分かんねえけど」

 

 そんなことを話している間にも、メルドさんは次々とステータスを確認していく。

 メルドさんの表情は、俺の時と同じようにホクホクしていた。

 

「あ、次は南雲君の番みたいね」

 

「南雲?……ああ。あいつか」

 

 その南雲がメルドさんにステータスプレートを見せた瞬間、メルドさんの顔が固まった。

 その後、メルドさんはステタースプレートをコツコツと叩いたり、光をかざしたりする。

 ……これ、多分異常にステータスが悪かったやつだろ……。異常によかったらもっといい反応するはずだし……。

 

「ああ、その、なんだ。錬成師というのは、まぁ、言ってみれば鍛治職のことだ。鍛冶するときに便利だとか……」

 

 ……ってことは非戦闘職か……。しかも鍛冶職……。

 これはきつすぎるな……。戦えないだろうし、南雲は後方支援になるのか?

 

「おいおい、南雲。もしかしてお前、非戦系か?鍛治職でどうやって戦うんだよ?メルドさん、その錬成師って珍しいんっすか?」

 

 ある一人の男子生徒が、ニヤニヤとしながら声を張り上げた。

 メルドさんはその質問に少し間を空けて口を開く。

 

「……いや、鍛治職の十人に一人は持っている。国お抱えの職人は全員持っているな」

 

「おいおい、南雲~。お前、そんなんで戦えるわけ?」

 

 そいつが、実にウザイ感じで南雲と肩を組む。

 見渡せば、周りの光輝たちの学校の生徒達――特に男子はニヤニヤと嗤っていた。

 いや男子に嫌われすぎだろ南雲……。まぁ、俺も人のこと言えないんだけどね!

 なんなら俺はクラス全体から嫌われてるレベル。……あれ?おかしいな。目から汗が出そうなんだが……。

 

「さぁ、やってみないと分からないかな」

 

「じゃあさ、ちょっとステータス見せてみろよ。天職がショボイ分ステータスは高いんだよなぁ~?」

 

 いやいや……。メルドさんの表情を見たら分かるだろ……。

 どんだけ南雲のこと嫌いなんだよこいつ。

 南雲は投げやり気味にステータスプレートをそいつに渡した。

 

「ぶっはははっ~、なんだこれ!完全に一般人じゃねぇか!」

 

「ぎゃははは~、むしろ平均が10なんだから、場合によっちゃその辺の子供より弱いかもな~」

 

「ヒァハハハ~、無理無理!直ぐ死ぬってコイツ!肉壁にもならねぇよ!」

 

 ……まずいな。少し怒りが芽生えてきた。

 仕方ない。ここは俺が――

 

「こらー!何を笑っているんですか!仲間を笑うなんて先生許しませんよ!ええ、先生は絶対許しません!早くプレートを南雲君に返しなさい!」

 

 ……俺が一歩踏み出して口を開こうとした瞬間、俺よりも早く畑山?先生が怒りの声を発した。

 どうやら、俺の出番はないみたいだな。

 

「……ねえ、八幡」

 

「ん?なんだ雫?」

 

「さっき、どうして南雲くんの方に一歩踏み出したの?また、標的を自分に変えようとした?」

 

「……別に、どうだっていいだろ」

 

「……今日の夜、会えない?」

 

「はあ?なんで……」

 

「話したいことがあるの」

 

「……分かったよ」

 

 ……雫が何を話したいのかは、大方予想がつく。小学校六年生のときの、あのことだろう。

 だが、どんなことを言ってくるのかは全く想像がつかない。もしかしたら……。

 ……やめよう。ネガティブな考えしか浮かばない。

 考えをやめてちらりと南雲の方を見ると、死んだ魚のような目をして遠くを見ていた。

 

「……どうしたんだ?あいつ」

 

「あらあら、愛ちゃんったら止め刺しちゃったのね……。愛ちゃん……先生のことよ。愛ちゃんは非戦闘職だけど、とても珍しい職業らしいの。技能の数も多かったし……。状況を見るに、愛ちゃんが南雲くんにステータスを見せたんじゃないかしら」

 

「ああ……。そりゃそうなるわ……」

 




 はい!今回はここまでになります!
 八幡のステータスが明かされました。いかがでしたでしょうか?

 八幡の職業は盗人となりました。
 技能の『窃盗』は記述通り『この素晴らしい世界に祝福を!』のスティールをイメージしてください。

 次回は少しオリジナル?要素が入ると思います。

 そして、pixivに新しく出来たリクエスト機能でリクエストプランをお試しでつくってみました!
 『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』とのクロスオーバー先、一次創作でこのテーマにそった小説を書いてほしい、一次創作でも二次創作でも設定だけは浮かんだけど自分では書けないから書いてほしいなどなどの小説に関するリクエストを募集しています!

 小説で自分にできることなら、できるだけ応えたいと思っております。

 できればですが、一次創作のテーマのものは希望文字数などを書いていただけると嬉しいです。文字数が多ければ書けないかもしれません……。時間がなくて……。上限は一万字程度とさせてください。

 設定のほうですが、できるだけ詳しく書いていただけると嬉しいです。リクエストされたものと私の解釈に齟齬が生じる場合があるかもしれませんので。

 目安は下限金額の3000円にしておきます。本当はもっと安くしたかったのですが……。これ以上安く出来なかったので、やむなしでこうなりました。
 よければリクエストの方、よろしくお願いします。気長に待っております。

 最後に、『やはり俺がもう一つの現実で戦うのはまちがっている。』の方で、次に書いてほしい『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』のクロスオーバー先を募集しています。
 第一話のアンケートのところに、自分が書きたいと思っている作品を置いていますのでご協力よろしくお願いします。
 また、第二話に第一話のアンケートに入り切らなかったクロスオーバー先の作品を置いておきます。こちらの方も投票の方よろしくお願いします。
 第四話のアンケートにも、クロスオーバー先の作品を置いておきます。こちらもまた、アンケートの回答の方よろしくお願いします。
 そして、それ以外の作品でこの作品とのクロスオーバーを書いてみてほしい、などなどの要望がございましたらコメントにて教えて下さい。できるだけ書けるように色々考えてみますので。

 ただしリクエストが来ましたら、そちらの執筆を優先させていただきます。リクエストの方はお金を払ってくださっていますので……。ご了承ください。

 それでは、ここまで読んでくださりありがとうございました!また次話、または次の作品にてお会いしましょう!
 ここまでのお相手は、辻谷戒斗でした!

八重樫雫、ティオ以外の八幡のハーレム要員について【第二弾】

  • リリアーナ
  • 中村恵理
  • 川崎沙希
  • 折本かおり
  • 仲町千佳
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