東方エボリューション   作:プロトタイプ・ゼロ

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第四話「隙間の大妖怪」

 

 

やァ、読者の諸君。俺の名はエボルト。地球外生命であり星狩りの一族だ。俺はある日、俺自身が育て上げた仮面ライダービルドこと桐生戦兎に敗れ、この幻想世界で蘇った。話は変わるが俺は今まで感情というものを知らなかった。仮面ライダービルドジーニアスフォームの攻撃を受け、感情を知るようになるまではな。

 

だが、それでも『恐怖』というものまでは知らなかった。いや、戦兎に敗れ消滅するまでの間はとても恐ろしかったが、そうではなくてな。

 

まァ、何が言いたいのかといえば、だ。

 

まさかこの俺が、突然現れた絶世の美女に恐怖を抱くなんてなァ。誰も思わないだろ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分前……

 

 

人里に現れた博麗霊夢から逃れた俺は人里からある程度距離のある場所に転移し、変身を解いた。そして、霊夢がいなくなったであろう時間を見定めて、人里に戻った俺は、慧音に物凄く心配された。

 

普段から俺が乗り移っているこの体の宿主である零夜は、能力関係の仕事の為に里から出ることが多いらしく、慧音達はいつも心配していたらしい。里に入った瞬間に抱き締められた時は、顔が慧音の胸の中に埋まって窒息死するかと思ったぜ。

 

まァ、そんなこんながあって俺は、零夜の家に入る。自分の家ではないのに、何だか落ち着く感じがするなぁ。恐らく俺が零夜の体を使っているからだろうが。

 

 

 

 

「いやァ、幻想郷ってんのも案外悪くないもんだなァ」

 

 

 

 

零夜の顔でとてつもなく悪い顔をする。幻想郷にはスペルカードというものが存在し、博麗の巫女のもと弾幕勝負というのもが作られ、そのためのルールまでがある。零夜の記憶を覗いた俺はこれを見て元いた世界では味わえなかったスリルを楽しめるんじゃないかと考えた。

 

 

 

 

「あら?随分と楽しそうに笑うのね、地球外生命エボルトさん?」

 

 

 

 

後ろから声がかかった瞬間俺は振り返って大きく跳んだ。まさかいつの間にか後ろに誰かいるなんて誰が思うのだろうか?

 

そして目の前にいる人物を見て、いきなり現れたのも納得がいけた。なぜなら、

 

 

 

 

「八雲紫……」

 

 

 

 

妖怪の賢者と呼ばれるほどの実力を持つ大妖怪八雲紫が自らが開いた隙間に腰を置いて、美しく目を細めながら居たからだ。

 

 

 

 

『ふん。妖怪の賢者とまで呼ばれるお前が、いったい俺になんの用だァ?』

 

 

 

 

俺は零夜としての口調ではなく、エボルトとしての口調で話す。

 

 

 

 

「あら?そんなあっさりと正体を表してもいいのかしら?」

 

 

 

 

『どうせバレてるんだ。だったら潔くしたほうがいいだろう?』

 

 

 

 

俺の言葉に「そうもそうね」微笑む紫。クソ!こいつがなんの目的をもって俺に接触してきたのかが全然分からねぇ。零夜の記憶通りなら、俺は紫と話をする前にとっくに消されているはずだ。

 

 

 

 

「そう身構えなくてもいいわ。私はあなたと話をしに来たの」

 

 

 

 

『分からねぇなァ?お前は危険分子と取らてたやつは問答無用で消してきたんだろう?だったら俺を消しに来るって思うのも同然だ。ま、今の俺じゃあ、お前には到底勝てないがな』

 

 

 

 

「じゃあ、力さえ元に戻れば私に勝てるとでも?」

 

 

 

 

威圧感を放ちながら話す紫に少し圧倒されながらも、俺は飄々とした感じで肩をすくめる。勝てるとは思ってはいない。勝てる可能性が上がるとは思っているが。

 

 

 

 

「正直に言えば、あなたをここで消すことぐらい私にとってはいつでも出来る。でもあなたを消してしばえば此方としても不都合が生じるの」

 

 

 

 

『ほう?それはどういう意味だ?』

 

 

 

 

「だって、あなたをこの幻想郷に呼んだのは私よ?呼んだ張本人が消してどうするのよ」

 

 

 

 

紫の言ったことが俺には理解できなかった。俺ほど悪行を犯し、罪を重ねたヤツなんてそれほどいないって思ってる。まァ、もしかしたら俺が知らないだけで他にもいるかもしれねぇがな。

 

それでも俺のような危険分子を自らが呼び出したというコイツの頭が信じられなかった。

 

 

 

 

「あなたの持つエボルドライバーは私が責任をもって修理をしてあげる。それを直せる人に心当たりがあるからね」

 

 

 

 

そう言って隙間を開いた紫の手には、俺が所持していたはずのエボルドライバーが握られていた。

 

 

 

 

『流石は境界を操る程度の能力だねぇ。いいぜ、そのエボルドライバーを直せるって言うのなら任せてやるよ。正直戦兎以外にそいつを直せるやつがいるとは思えねェがなァ』

 

 

 

 

ニタニタ笑いながら煽る俺に対して、紫は不愉快な顔を一切見せずむしろ微笑んだ。

 

 

 

 

「一週間もあれば完璧に直っているわ。幻想郷に居るその子の技術では、その戦兎という子みたいには出来ないもの」

 

 

 

 

そう言って隙間の中に潜っていくのを見届けた俺は、思わず床に手をつけた。それ程までに紫から迫り来るプレッシャーは恐ろしいものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『忘れてだぜ。この世界が人外魔境の幻想郷だということをよォ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一人になった部屋の中でエボルトの声だけが響いていく。

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