八雲紫がいなくなったあと、いつの間にか俺(零夜)の机の上に一枚の手紙が置いてあった。この家は零夜が外に出ている間は基本鍵を閉めているらしいので、俺以外は入れないはず。空間を無視して移動出来るやつじゃない限りは無理だ。
「八雲紫のやつだな?一体何が目的なんだよ……たくっ」
一向に紫の目的がわからない以上、この手紙を無闇に開けるものじゃあない。だが、開けなければいけない。そう俺は感じた。
【明日、時間帯はいつでもいいから博麗神社に行くことをオススメするわ】
博麗神社っていやぁ、確か博麗霊夢が住んでいる寂れた神社だったよな?奴は信用出来ない。今まで数多くの人間を、ましては同胞さえも騙してきた俺が言えたことじゃないが、奴は何かを隠している。それもとても重要なものをな。
だが、手紙を置いていったってことは、俺がそれを行かなかったらせっかく預けたエボルドライバーを修理してもらえなくなる可能性もある。それだけは何としても避けたい。まだあの世界に生きていた頃は目的の為にわざわざ人間の命令を聞いてやったこともあったが、今更誰かに指図命令されてまで目的を果たしたいとは思わない。
『まァ、行っといた方が得策ってもんだよなァ?』
そう言ってニヤリと笑った俺は、明日に備えてベッドに潜り寝ることにした。
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ベッドに潜って寝始めたエボルトの事を、バレないように妖力で隠した隙間から覗いていた紫は少しだけ微笑んだ。
友人から貰った扇子で口元を隠すと、
「フフッ。そう。今は私の言うことを聞いていて頂戴。そうすればあなたの望みを叶えてあげるから、ね?」
まるで母親のような慈愛に満ちた笑みを浮かべる。
「あなたもそうは思わないかしら?かつて、エボルトが感情を知るきっかけとなった仮面ライダー……桐生戦兎さん?」
そう言って後ろを振り返った紫の前に立っていたのは、正義と愛、LOVE&Peaceのために戦った仮面ライダービルド、桐生戦兎だった。
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〜〜博麗神社〜〜
手紙に書かれていた通り博麗神社にやってきた俺は、博麗神社の惨状を見て言葉を失った。どうやら霊夢は今買い出しにでも行っているのか、ここにはいなかった。ってか、記憶を覗いた時から知っていてはいたが、ここには滅多に賽銭をしに来るものはいないと聞く。だからこそ霊夢は常に貧乏な生活をしているらしい。
ちょっと可愛そうだァって思ってしまった。仕方ないので賽銭箱に百円玉を十個ほど入れて置いてやる。普段能力を用いた仕事をしている零夜のお金は金持ちレベルと言ってもいい。だからこれぐらいなら零夜も許してくれるだろう。
あー死ぬ前の俺がやるような事じゃねぇけど、感情ってんのがここまで面倒だったとは。まァ、そのおかげで人間ってのがまた一つ知れた気はするがな。その事については戦兎には感謝している。
と、そんなことを考えていると、この博麗神社の住人霊夢が袋に野菜とかを入れて帰ってきた。本当に買い出しに行っていたようだ。
「あら、零夜じゃない。博麗神社になにかよう?」
霊夢が不思議そうに聞いてくる。零夜の記憶を覗いた時に、霊夢が零夜に好意を抱いていることを知った。あいにく零夜はかなりの鈍感みたいだから気付いていないみたいだがな。
「いやぁ、紫さんに呼ばれてきてたんですよ」
俺が乗っ取る前の零夜はかなり交友関係が多かったためか、紫からとても信頼されていた。おそらく能力と零夜自身の性格もあって信頼されているのだと思うが。だからこそ俺がここにいる理由に関してはこのような嘘をついてもバレないはずだ。零夜が紫に信頼されている事については霊夢も知っている。
「そう。紫にね。じゃあもう終わったの?紫の姿が見えないけど」
「はい。紫さんは僕に用事を伝えるともう帰られましたよ。じゃあ僕も帰りますね」
俺はそう言って霊夢の隣を通り過ぎ、階段を降りようと足をつける。
「別に、まだ帰らなくてもいいじゃない。だってあなたは……私に退治されるのだから!!」
後ろからそんな声が聞こえたと思った途端、凄まじい量の弾幕が俺の背中に向かって迫ってくる。それに気づいた俺は横に大きく飛んで、大量の弾幕を躱していく。
「ふん!私が気づいていないと思ったのかしら?」
お祓い棒を構える霊夢を俺は睨む。
「いつまで神崎零夜の仮面をかぶっているつもりかしら? 貴方が昨日の鎧騎士であることは勘で知っているわ」
ありゃ? 勘ってなんだけ?
「いつもだったらすぐ退治するんだけど、貴方には選択肢をあげるわ。私に今すぐ退治されるか、それとも戦って退治されるか」
選択肢ってなんだっけ?
『それは選択肢って言わないんだが、知ってるか?』
「ええ、知っているわ。でも、幻想郷の素敵な楽園の巫女直々に退治するのよ? 誇りに思っていいわ」
だめだこいつ。言葉が通じねぇ。
『はぁ、めんどっちぃが、仕方ねぇか』
そう言って立ち上がった俺は、懐からトランスチームガンを取り出すと、コブラフルボトルをセットする。
コブラ!
『蒸血』
俺は掛け声とともにトランスチームガンのトリガーを引く。するとトランスチームガンからネブュラガスが放出され、俺の周りを包んでいく。
ミストマッチ…! コ・コッ・コブラ…! コブラ…!
ファイヤー!
『楽しい宴をありがとうよ』
周りに充満していたネブュラガスから現れた俺の体は、赤い鎧に包まれ、水色と赤の兜を被っていた。
『さァ、始めようかァ』
俺はそう言って霊夢に殴りかかった。
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