東方喜劇談話集   作:月見草

2 / 4
東方創作落語;桜前線超特急

テケテンテケテン~!

どうも、初めまして。稗田阿求と申します。

時季外れではございますが、ばかばかしい小噺を一つ。

酒豪ぞろいで二十歳前でも酒を飲むのが幻想郷。花見となれば誰しも酒を飲むものです。

何?「酒弱いから潰されるのが嫌だ?」甘い甘い。幻想郷じゃ酒代で潰れそうな神社がある。

今日だってねえ、酒飲んで帰ってきたんですよ?あの巫女。それだってのに二日酔いしてないんですよ?それどころか迎え酒してたんだから。

いや~、怖いですよね…東風谷早苗は。未成年のはずなんですけどね。

 

そんな酒豪揃いの幻想郷。桜が咲けば花見に行くのがここの人たちのたしなみでして。

 

「よ~、パチュリー!本借りに来たぜ!」

「借りるって言葉は返してから言いなさいよ…」

「死んだら返す」

「あんたは長生きしそうだから嫌。忙しいから出て行って」

「そうつれないこと言うなよ~。なんだ、花見の時期だってのに魔法の研究か?」

「違うわよ。何でもレミリアが白玉楼の一角で花見やるから、面白い宴会芸みたいな魔法でも考えてくれって」

「お!花見か!で、いつだ?」

「あんたも来るのね…まあいいわ。一人や二人増えても変わんないし。三日後よ。三日後の昼から」

「おーそうかい。じゃあ来るぜ」

「好きにしなさい」

宴会の約束を取り付けた魔理沙は、魔法の森をふらりと飛んでいた。

「いやー、相変わらず素直じゃないんだからパチュリーは。ありがたいぜ」

「おーい!魔理沙~!」

「ん?おお、アリスじゃないか。どした?」

「実はね、木曜日の昼に魔界でお花見やるのよ。あんたもどう?」

「魔界で!?出来んのかよ?」

「お母さんが桜並木を魔界に作ったのよ」

「へえ~、神綺がね~!」

「どうする?」

「行くぜ!!タダ飯食えるんなら葉桜でも行くぜ!」

「相変わらずねえ…」

 

ってなわけで、二人と約束をした魔理沙。意気揚揚と博霊神社にやってきた訳で。

「よう霊夢。邪魔するぜ」

「邪魔するなら撃つわよ」

「おい止めな。桜と共に散りたくはないぜ~。ずいぶんな挨拶だな、いら立ってるのか?」

「あんたの気分が高いだけ。何かあった?」

「おうよ。実はアリスとパチュリーに花見に呼ばれてな」

「へえ~。私もアリスに呼ばれたわよ」

「ん?パチュリーには呼ばれないのか?いや、呼ぶとしたらレミリアか」

「行けるわけないじゃないの」

「何だ、桜とワインは合わないから嫌か?」

「同じ日の同じ時間にどう行けって言うのよ?」

「へ!?」

「何驚いてんの?同じ日じゃないの」

「ちょっと待て!今日は…日曜だよな!?」

「何言ってんのあんた。今日は月曜日よ」

「うえええ!?なんてこったい…これじゃ私、二人の恨みを買っちまうぜ…どうしよう~」

「あ~あ、魔理沙の命もこれまでか。二股かけるなんてね」

「冗談じゃないぜ!どうにかして二人同時に…いやダメか、二人の場所はかなり離れている。ホウキで飛ばしても何十分もかかっちまうぜ」

「紫に頼んでみれば?」

「あいつがこんなことに手を貸してくれるタマかよ?何かねえかなあ…」

「無理よ。あんなに距離があるんだから」

「距離…?それだ!!おう、邪魔したぜ!」

 

ホウキに飛び乗り全速力で、風をも追い越し山越えて、魔理沙はひたすら飛んで行った!

ヒュ~~ン…ザザザザ!!

「おい!おい!起きろこら!」

「…ん?何だい、休憩中だよ今は」

「お前はいつでも休業してるだろ!そういうの、もはや廃業というんだぜ?」

「お、何だい。いつぞやの魔女じゃないか。肝が据わっていると思ってたのに、ずいぶん早い人生だったな?」

「馬鹿言え、このとおり足は付いてるぜ。そうじゃねえよ小町。お前の力を借りにきたんだ」

「あたいの力を?どういうこったい?」

「じつはその…かくかくしかじかで」

「何!?同じ時間に二人の女に約束入れた!?か~!これだから色男は…」

「男っぽいのは口とスペカだけだぜ…。とにかく、力貸してくれよ。お前の距離を操る力使うんだよ!」

「どういうこったい?」

「まず私はアリスの宴会に行く。お前はパチュリーの宴会に行ってくれ。30分したらお前の力で、私とお前の位置を入れ替える」

「なるほどね。そしたら二人の宴会に行けるな。でも、人に見られたらまずいよ?」

「なんとかして人目の付かないとこに行ってくれ!アリスとパチュリーには、お前が宴会に行けるよう話つけとくからよ」

「う~ん、まあいいか。タダ酒だよな?」

「当然だ」

「なら行くとするかね。ちょいと面倒だけど、それならやる価値はありそうだ」

 

そんなこんなで、宴会当日。

「よっ、アリス」

「あら、魔理沙。来てくれたの」

「当然だぜ。私は約束を守るタチだからな」

「調子のいいこと言っちゃって…」

「あら、魔理沙じゃないの。久しぶりね」

「おお、神綺じゃねえの。元気そうだな」

「あなたはずいぶん変わったわねえ。昔はもっと女の子らしかったのに」

「な、何のことだ?」

「あら、言ってたじゃない。うふふふふ…って」

「さ、さあな?いいじゃねえかそんな昔話。いいから飲もうぜ?魔界初の桜だ、酒飲まねえともったいないぜ」

「無理に話そらしたわね?」

「いいからアリス、お前も飲めって」

宴会始まってすぐ、調子よくグビグビ飲んでいく。そんなこんなで30分後

「どこ行くの?」

「ま、ちょっとな。聞くな」

「あ、そうね」

便所に行くふりをして、人気のないとこに向かうと、時計を確認する。

「もうそろそろだな…今度はパチュリーか」

 

ギュン!!

「お、ここは白玉楼か!流石だぜ小町、役に立つ!宴会場は…いたいた。おーい、パチュリー!」

「もう、遅かったじゃないの」

「悪いな~。前の日も酒飲まされて、すこし寝過しちまった」

「まったく…レディーを待たせるものじゃないわよ?」

「あん?レミリアか。どこがレディーだよ、レミィのくせに」

「うっさいわよ!まあいいわ。今日は無礼講よ。とっておきを用意したわ!」

「お、何だい?」

「紅魔館秘蔵のヴィンテージワインよ!私が生まれた日に作られた500年物のワイン、たっぷり振る舞ってあげるわ!」

「おお!そりゃ美味そうだ!」

「さあ、じっくり味わいなさい」

「おっととととと…いいねえ、この香り」

「じゃあみんな、この花見にかんぱ~い!」

「パチュリー、乾杯!」

「あ…乾杯」

「なんだよ、嬉しそうだな?」

「んー、そうね…魔理沙」

美味いワインで酒が進み、また30分後。

 

ギュン!

「おうアリス…」

「長かったわね魔理沙…って、顔が相当赤いわよ?大丈夫?」

「だ、大丈夫だぜ!さ、飲もう!な?」

「う、うん…」

 

ギュン!

「ようパチュリー…」

「遅かったわね…大丈夫?足元ふらついてるわよ?今日はそんな飲んでいないはずだけど」

「だ、だいじょーぶ、だぜ。な、飲もうぜ?な?」

「え、ええ…」

 

こんな太鼓持ちみたいな真似をずっとやっていたわけで。最初からぐびぐび飲んでたもんだから、酒には多少強い魔理沙でも効いてきた。

宴会じゃ最後まで残る魔理沙が、すぐに帰ったんじゃ怪しまれる。かといえ、アリスとパチュリーの見ていない所でも酒飲んでいるなんて、二人は夢にも思っちゃいない。

怪しまれないよう、二人の前ではいつも以上に酒を飲んでいたわけなんだが…

 

「な、なんてこったい…二つほぼ同時で酒飲んで、しかもいつものペース以上飲まなきゃいけねえんだから…いつもの二倍は飲まなきゃならないのか…」

 

宴会始まって3時間。すでに魔理沙は千鳥足。ホウキをつえにし、ふらふらと歩くまでになっている。二人の前じゃ気丈に振る舞うが、もうすでに吐きそうだ。

顔はもう真っ赤に染まり、目はうつろ。酒臭くって少女らしさのかけらもりゃしない。

 

「おうアリス…」

「魔理沙…大丈夫?」

「大丈夫だって!ほら、このとお…っとっと!」

「きゃあ!もう、大丈夫?」

「お…悪い」

「もう…ほら、こっち来なさい」

「ん?」

「ヒザ、貸したげる」

「お…悪いな」

「まったく、あんたはいつも無茶しすぎなのよ。どうせ宴会前日も酒飲んだか何かしたんでしょ?」

「…くー」

「聞いてないし」

 

「おっとっと…。あたいも酒が回ってきちまったようだ。だいたい、この入れ替えはいつまでやってたらいいんだ?全然決めてなかったよ…」

一方、白玉楼で飲んでいた小町も、結構に酒が効いている。

後先考えず酒飲んでいたから、こっちもいつも以上に酒がまわっている。

「うー…ああ、立てないや。まあいいか。えっと、魔理沙魔理沙…いた!ホイっと!」

 

ギュン!

「ねえ魔理沙…ほんとに大丈夫?あなた前は結構飲んでいたじゃない?永遠亭で薬でも貰った方が…って、キャ!!」

「うおっと!」

「あ、あんたいつぞやの死神!なんであんたヒザで寝てるの!」

「え!?あ、いやその…」

「魔理沙は!?魔理沙をどこにやったの!?」

「いやその、あの…ほら、迎えにきたんだ!魔理沙のお迎えに!」

 

お後がよろしいようで

 




いかがでしたか?
一応解説して置くと、酔いつぶれた魔理沙のお迎えに、死神の小町が迎えに来るという縁起でもない話です。皆さんもお酒はほどほどにしましょうね。
阿求を噺家に選んだのは、数少ない和服キャラで似合いそうだったからです。座布団に座って話す姿が一番しっくりくるのでこうしました。

それでは、読了ありがとうございました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。